21/10/19(火)23:30:38 ディ... のスレッド詳細
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21/10/19(火)23:30:38 No.858157483
ディンガー中隊はどこまで撤退すればよいのか解らなかった。 タクール砦より後方との連絡が途絶えているのである。強力なタクール砦は迂回され、後方が攻められたというのがイシルの見方だ。 「『鬼面』の盾でびゅーって飛べないんスか?」 天幕を張りながらメラニーは尋ねる。 「あんなもの運用できないわよ、仮に運用するとすれば移動先にいるティラントーから源素供給器と魔力転換炉を奪って付け替えて……」 鬼面を一通り調べたが、ティラントーをより高級にして魔力転換炉を使い捨てにすることが前提という馬鹿げた機体だということが分かった。 その装備も同様であり、『飛空盾』に至っては複数の人間による制御でやっと動かしているらしい。要は小型の飛空船だ。
1 21/10/19(火)23:31:30 No.858157766
「どこの馬鹿が作ったんスかあんな幻晶騎士……」 「そうなのよね、そろそろナルヤについても色々知りたいんだけど?」 イシルもメラニーとの話の片手間にナルヤの腕をつかみ、脈を測りながら尋問を行っている。 捕虜として捕らえた鬼面の騎操士ナルヤには一通りの尋問を行ったが、収穫は殆ない。 「困るのよねー、心音も脈拍もさー、どんな質問かけても変一定のリズムなのよね? ねぇ、そろそろ何か喋らない? ほらさ、女騎操士同士だし、手酷いことはしないよ?」
2 21/10/19(火)23:34:08 No.858158640
「私はクシェペルカの人間です」 「クシェペルカの騎操士はどういう訓練受けてるのよ、尋問中に声色も脈拍も変えないとか。今からでも歌姫目指さない?」 唐突に自分がクシェペルカの騎操士だと言い出したが、イシルはまっすぐ自分を見据えるナルヤが何を考えているのかまるで理解できない。ナルヤがそもそも口を開くとも思っていなかったイシルは次の質問さえ用意していなかった。 「あー、とりあえずクシェペルカの民謡でも歌ってみない?」
3 21/10/19(火)23:34:22 No.858158713
「隊長、せっかく捕虜が話をする気になったんスからもっと有益な情報を、例えば、あんたの目的はなんなんスか?」 「クシェペルカはジャロウデクに領土的は野心はありません。ですのであなた方に資源を『適正価格』でお売りし、正当な利益を得ようとしただけです」 「じゃあ最初の一戦、私たちを強襲した理由は?」 「機体の性能を確認するための試験戦闘です。あと黒騎士に蹂躙された経験がありジャロウデクもティラントーも憎かったです」 ナルヤは微かに表情に怒りを滲ませる。イシルにはそれが偽の感情だとはとても思えなかった。 「クシェペルカが介入かぁ、信じていいのかなぁ?」 「信じていいんじゃないんスかね? 隊長、アレ……」 メラニーが遠方を指さす。そこには忘れられない、黄金の幻晶騎士が塔の騎士たちが佇んでいた。
4 21/10/19(火)23:37:16 No.858159654
「塔の騎士!? いや、そんな音は聞いてないけど……」 イシルはあからさまに困惑した様子を見せるが、少なくとも6機の塔の騎士が佇んでいるのが解る。 「メラニー、貴女の小隊のティラントーを法撃役にしてっ、もう一方を盾役にして迎撃準備!」 野営の外周には騎操士の乗り込んだままのティラントーが配置されている。重装甲のティラントーを文字通り壁として利用しているのだ。 一番塔の騎士に近いティラントーの背後へと、メラニーのティラントーが隠れ魔導兵装を構える。以前は塔の騎士にボロボロにされたメラニーだが、今回は秘策がある。 「ナルヤ、あれは何をしに来たと思う?」 「ジャロウデクの弱体化が想像以上に激しく、遂に本格的な介入をするのでは?」
5 21/10/19(火)23:38:12 No.858159943
ジャロウデクの領内に塔の騎士が現れました めでたしめでたし