ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/10/16(土)00:32:36 No.856776705
『クソ!なんなんだあいつは!』 夜も更ける頃、寮の三階のとある一室で怒号が響いた。 横に居る相手に投げつけるような、苛立ちや不満を込めたような──そんな声の正体は勿論、ここに居座る俺。他人の部屋だろうが、幸いにも防音性が高いこの寮の一室でいくら夜中に大声を出したところで近所迷惑になる心配は無い。 『あいつは最初から一着を取る気なんて無い……お前も見ただろ!最後の直線でわざと差し切らずに二着を狙ってんだ!』 『それでも選抜の一着か最下位の時期よりはずっと良いよ。あと勝手にお酒飲まないで……』 『勝てそうにないレースは最初から捨てて、打算的に一着以外の掲示板を狙う──あの小賢しいやつは本当にウマ娘なのか?』 元はと言えば今話しかけているこいつが連れてきたんだ。小柄で、黒い髪で、ぱっと見だけは走りそうだった、苛立ちの原因。 練習は無理やり引きずってこなきゃやらない、舐め腐った態度、見境なく睨みを利かせる──指導する立場になってやっと分かってきた。トレーナーは名義上だけだったから分からないが、現役の頃の俺もこんな風に厄介者扱いされていたのかもしれない。
1 21/10/16(土)00:33:57 No.856777189
それにレースだってそうだ、全部のレースがそうではないにしろ、まるで入着だけを狙い澄ましたかのように最後まで全力を出さずにゴールし、おまけに斜行癖だってある。 単に目立ちたくないだとか、トラウマがあるだとか、こいつの言った通り何か理由があるのか?このまま理由なんて無く手を抜いているだけだとすれば……ウマ娘の本能であるはずの勝ちたいという意志がまるでないという、救いようがない解釈をしなければならないが……。 『まあ……確かにレース結果で妥協するのはウマ娘らしくないとは思う』 『……ダート』 『うん?』 『ダートだ。それも砂じゃなくて土のやつだ。あいつは絶対に俺を下に見てるからあんなレースをするんだ……ダートで一回勝負させろ』 『君は下に見られてないし、むしろ苦情が来るぐらいリョテイは怖がってた。それにレースも怪我で走れなくなって引退したんだからできないよ』 『黙れ!俺は……俺は誰よりも速く走れるんだ……クラシックの最後だって……最後の2ハロンさえ無ければあんなお嬢様ごときに負けるはずは無かったんだ!』
2 21/10/16(土)00:34:19 No.856777339
『明日は休みだから良いけど、流石にちょっと飲みすぎじゃない……?』 『俺はウマ娘なんだから酔う訳ないだろ』 机に置かれた十何個かの潰された缶を目の前にして、言い伝え程度の根拠も無いでたらめな言い訳をする。 やけになって手を付けた酒のせいで頭が回らなくなり、身体もそのせいか分からないが火照ってきた──そんな明らかな酩酊状態じゃ、話をしようにも会話が二転三転してもはや自分でも何を言っているのかも分からない。 思いついたら何も考えずに口に出して、訳が分からなくなって、普段のことなんかもうどうでもよくなってきて……そして挙句の果てには振り返らないと決めていた現役で走っていたレースの未練さえ出てきた。 ……直線を丸ごと無くすなんて戯言、相手と勝負する距離が合っていなかっただけだったというのに、今よりプライドが高かった俺はよっぽど悔しかったんだろう。 しかしそんな泥酔一歩手前の状態の俺に対して、どういう訳かこいつはまだ一缶しか飲んでいなかった……まあ今考え込む必要は無い、どうせ俺を介抱するだとか必要のない事を考えているだけだ。
3 21/10/16(土)00:34:31 No.856777407
『無くなった。買ってくる』 『もう夜も遅いし家に帰って寝ようよ。酔ってるし、こんな時間じゃ外は危ないし』 『俺に指図するな!そもそも酔ってない上にウマ娘に襲い掛かるバカなんて居ないだろ……寝るのはお前だけにしてくれ』 『……じゃあ付いていく』 『付いてくるな。一人で行く』 心配する声を跳ね除けつつ、今着ている服装に上着を付け加えて、こいつの部屋の鍵を取った──多少歩けば酔いが覚めるかもしれないと思ったものの、当然そんな訳も無く、寮の出口まで歩いても足取りは少々ふらついたまま……これで酔ってないなんてかなり無理がある。 つい勢いで襲われる心配は無いと意地を張って一人で行くと言ってしまったが、正直この真っ暗な目的地までの道のりを歩く上で懸念しなければならないのは、変な奴に絡まれることよりも真っ直ぐ歩けないせいで車に轢かれる方が大きいかもしれない。 ただ今更そんなことを考えても、部屋に戻るという選択肢は酒に浸った頭に浮かばなかった。むしろ浮かんだのは、まあ何とかなるだろうなんて、酔った勢いで起こした問題は酔った勢いで解決するような考えだった。
4 21/10/16(土)00:35:21 No.856777696
『あら、サンデーさん?』 『……お前か』 警戒心半分、気散じ半分、今の所は何も起きていない──そんな気分で道のりを辿って、やっと目的地についた時だった、饅頭みたいな知り合いに声をかけられたのは。 こいつは確か……どっかのお嬢様の、マックイーンだったか。 『……こんな時間にコンビニですの?しかもかなり酔っておられるようですが』 『酒が無くなったから買いに来た。お前もこんな時間なんだから早く帰れ』 『いえ、仕事上この時間に帰るのも偶にありますから、ご心配なさらず……それよりも、お一人で?』 『違う、あいつもいる』 『……まあ!そいうことでしたら、私が代わりに買い物をして差し上げましょう!』 『いや、俺はただ酒を買いに来ただけで──』 『ご安心くださいまし。ちゃんとお酒も買いますから、少しここで待っていてください』 お酒もってなんだ。酒以外にも何か余計なものを買うつもりなのか。全部払ってくれるのはありがたいとはいえ、いらないものはいらない……そう抗議したいところだったが、それを言う前に店に入られてしまい、結局俺は五分程度外で待たされた。
5 21/10/16(土)00:35:39 No.856777805
取り残されて待たされている間に外は寒いと感じる風が吹いていて、生憎と今は夜風にあたるという表現は到底似合わない。自分では待たされていると思っていても、ふらつきながら店の周りをうろついているなんて傍から見れば不審者にしか見えないのだから早くしてほしい。 ……そしてその五分後、大きなビニール袋と共に出てきたそいつに渡されたのは、手に持っていたビニール袋と、一個の小さな瓶。 『栄養ドリンクです。あの方に渡せば、きっと喜んでくれますわ』 『……あいつはどうだっていいだろ』 じゃあな──と、軽く別れの挨拶をそう言ってその場からさっさと離れ、やけに気味悪くにやけた顔を背にして帰路に就いた。 そして歩いてきた道のりを、今度は目的地を三階の一室に切り替えて歩みを進める──それは来た時と同じように、真っ暗で寒く、少々ふらついた足取りで、勢いに任せてながらも、何も起こらなかった道のりだった。
6 21/10/16(土)00:36:15 No.856778025
袋の中身は確認していないためあいつが買ってきた中身の全容は分からない。ただそうだとしても、目当てのものが入れてあるのは分かる。あいつの思惑はなんであれ目的が達成できたのなら今回はそれで十分だ。 『もうすぐで出るから待ってて』 鍵を使ってドアを開けると、浴室からシャワーを浴びていると分かる水の音と一緒に、ドアを開けた事に反応したような声がした。 シャワーは多少片付けてから向かったのだろうか。暖房である程度頭っている部屋に上がれば、テレビは変わらず点けっぱなしなものの、つい数十分前まで机にあった缶は全部無くなっている。いつも役立たずで機嫌取りは下手くそだというのに、こういう所は何故か気が利く……いや、そもそもこれくらい片付けるのは普通か? ……どうでもいいか。眠気が襲って来ていてまともな思考ができない俺にとって、そんなことはどうだっていい。 『……俺は……寝るからな……』
7 21/10/16(土)00:36:56 No.856778293
勿論普段の疲れもあるだろうが……たった数十分とはいえ、冷え切った外に晒された身体には眠気を誘う丁度いい室温。それが元々の睡魔と相まって更に瞼の重みが増してきた──どうせここで寝たところであいつは俺を家に帰そうと起こしてくる……それならば、その時間までこの身体を労って仮眠でも取ろう。 絶妙な室温とテレビの音、そして自分勝手な思考と共に、瞬きをしたつもりがいつの間にか俺は安らぎを感じる世界へと引きずり込まれた。 ────── 変な夢を見た。 見たというより、経験した──妙に現実味を帯びていて、感覚としてはそんな感じだった。 明かりが点いていないせいで見えづらいが、目を慣らせば辛うじて見える……どこか見覚えある部屋に、その部屋にあったはずのベッド。 そのベッドの上に、俺ともう一人誰かが居た。 そして次の瞬間──状況をすべて理解した。
8 21/10/16(土)00:37:18 No.856778426
『…………んっ…ぁ……』 ゴムを隔てながらも熱い液体が吐き出されたのとほぼ同時に、体中に電撃のような快楽が走った──知っている。荒い吐息も、すぐそばにある使用済みの二つも、今何をしているのか、何もかも、こっちだって基本的な性知識はある。まだ酔いが覚めきっていないまるで溶けたような脳を頼りに理解して、この状況を飲み込んだ上で、続ける。 『…はーっ……いっ………ははは………』 一回吐き出した後にも関わらず、まだ収まらないそれにゴムを付け替え──再びの自分の中に取り入れた。 そして取り替えた後もする行動は同じ……何度も何度も──下腹部の奥で疼く本能が求めるままに、既に侵食された内側をさらに自ら更に締め付けるように、一糸纏わぬ姿で何度もさっきの液体を吐きだすのを促すように跨ったまま腰を打ち付ける。 思わず込み上げる嬌笑を抑えながらも、体温や鼓動……匂いを全部感じ取れるように相手の身体と自分の身体を密着させれば、より一層感度が上がった気さえした。
9 21/10/16(土)00:37:48 No.856778617
何度も繰り返しているうちに、もはや脳に刻み込まれた打ち付けるたびに得られる快楽の信号は多分相性を示しているんだろう……しかしその信号のおかげで思考を妨げられては、こんな爛れ方からして良い方なんだろうなと考える余裕も無い。 『……大きい方じゃないはずなのに…んぅ……なんでだろうな』 『や、やめて……死んじゃう……もう出ないよ……』 そんなやめてと言われて泣かれたって無意識に出る変な声と同じく、身体が勝手に動くんだからやめられない……やめられるはずがない。 ぐちゅ……ぐちゅ……と、交じり合う音と淫らな互いの吐息だけが響く空間の中で、朦朧とした頭に残っているのはただひたすらにその刻み込まれた快楽だけを求めることのみ──今じゃもうその行為は性行為とはとても言えず、獣のように本能だけで動く交尾と化していた。 足りない、足りない、足りない……何度打ち付けても、何度味わってもまだ感じ足りない── もっと もっと欲しい 全部……お前の全部が欲しい こんなによく出来た快楽に耽る夢なんだからもっと楽しませてくれ ──短いながらも、夢はそこで途切れた。
10 21/10/16(土)00:38:09 No.856778762
午前10時───ほぼ何も見えない布団の中で、俺は何故か裸で横たわりながら何かを抱いた状態で目を覚ました。 一体昨日は何を抱いて眠ったのか、今の時点では分からない。しかしながら、知っているような気もする。なんだか少し温もりを感じて、この感覚をどこかで求めていたような。 『おはよう』 何事かと思って布団から顔を出せば、ついさっきまで暗闇に置かれていた目には眩しいと感じるぐらいの窓から入る日の光と共に、昨日一緒に居たと覚えているそいつが出迎えた──そしてそいつが視界に入った時、俺は一瞬で何が起きたのか把握し、昨日の記憶が瞬く間に頭の中を駆け巡った。 確か酷く酔いながら買い物から戻って、眠気が襲って来たからそのままこの部屋で寝てしまって──と、思い出したのは良いのかそれとも悪いのか……そこからは何をしたのか全く記憶が無い。ただ何も知らなくて記憶が無いとはいっても、一夜の過ちというやつで二人とも裸のままベッドで寝ていたんだからすることはしたんだろう。
11 21/10/16(土)00:38:34 No.856778961
思えばなんとなく奥の感覚は残っていて……それによく見れば首に跡だってある。嚙みついた証拠である複数の歯形、首を絞められたみたいな跡……俺は首を絞めたのか? 『……何かしたか?』 『……した』 『じゃあ良いだろ』 『いきなり首絞められて死にかけながらレイプされるなんて良くないよ……噛まれた所まだちょっと痛いし』 『人聞きの悪い事言うな』 昨日床で寝てい居た所を起こした後に、いきなり変な小瓶に入った飲み物を飲まされ、そのままレイプされた……どこか疲れた様子で、そいつがそう話した。 なんとも信じがたい話に思えるが、実際に傷つけて残した跡や床に放置されたままの四つの中身が満たされた避妊具がその行為を物語っていて否定のしようがない。
12 21/10/16(土)00:38:48 No.856779048
『俺が現役の頃つけてた耳飾り、どっちにつけてたか覚えてるか?』 『右だったかな』 『そうだ。そして耳飾りを右につけたやつはいつでもフケに入ることができる傾向にある──いつでもできるし、いつ入るか分からない』 『……つまり?』 『その……ここに来てから忙しくて処理してなかったから……おそらく酔った状態がきっかけになったんだろう』 酔った状態がきっかけになって、性欲を解消するために無理やり襲った──起きた時に薄っすらと覚えていた夢だと思っていたものは、夢じゃなくて現実だった。 性別が逆だと言うことを考慮したとしても、襲ったやつに思いを寄せられていたとしても、それは悪い事ではないとはとても言い切れず、結果的に行きつく先は相手を傷つけたということ。 それなのになぜだろうか……悪い事だと考える度に、僅かに覚えている時間の間に刻み込まれたあの感覚が戻って来る。傷つけるかもしれないのに、また下腹部の奥があの快楽を求めるように、徐々に鼓動が早まって、身体の奥が火照ってくる……やっぱりどうしても、血は争えないということなのか。
13 21/10/16(土)00:39:00 No.856779117
『失望したか?』 『正直本当に死にかけたし、傷ついたけど、別に君を嫌いになる程ではないよ』 『……そうか、じゃあもう一回しよう。記憶にないってことは前戯みたいなものだったってことだ』 『フケだったからごめんねって話の流れじゃなかったの……?』 『俺はそんなことを一言も言ってない。寝る前に四回出したんだから二回ぐらい出せるだろ』 『今から二回とか無茶言わないで……今度こそ本当に死んじゃう……』 白い肌、華奢で頼りない体格、綺麗な長い髪、整った中性的な顔──すぐそこに一つになった証があるにも関わらず、窓から射す光が照らしたその容姿の全てが、今見下ろしている相手は本当に男なのかという疑問を俺に持たせる。 もしかして俺は……本当は女が好きだったのかもしれないな──そんな冗談を思い浮かべながら、すぐそこにある唇の間に舌を強く押し込んだ。 『次は優しくしてやるから』 『……いつもそういうところはずるいよね』
14 21/10/16(土)00:39:18 No.856779240
少し私生活の方が忙しくなるのでしばらく書くのを休みます 今回も長いし描写も拙くてごめんね… これまで fu435240.txt
15 21/10/16(土)00:39:55 No.856779470
色ボケ饅頭がよ…
16 21/10/16(土)00:44:11 No.856781094
マックちゃん渡したのそれ本当に栄養ドリンク? うまぴょいZとか書いてあるやつじゃない?
17 21/10/16(土)00:44:57 No.856781362
メジロの片鱗
18 21/10/16(土)00:47:10 No.856782116
続き待ってるよ
19 21/10/16(土)00:47:14 No.856782143
でもトレーナーの方に飲ませないと満足できないよね…
20 21/10/16(土)00:54:23 No.856784641
続きありがたい…
21 21/10/16(土)01:00:08 No.856786417
正直に言うね 膂力じゃ絶対に敵わない相手に無理やり搾精されるのはすごく興奮する
22 21/10/16(土)01:02:18 No.856787078
気長に待ってるぜ!いつもありがとう!