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21/10/14(木)23:56:23 最早日... のスレッド詳細

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21/10/14(木)23:56:23 No.856425941

最早日課となった、ユウキの剣技を上達させるためのマンツーマンの鍛錬。 今日の鍛錬は実戦形式で、訓練用の剣を使って立ち合いだ。 そよ風が頰を撫でる草原の真ん中で、私は彼と対峙した。 私は刃が引かれた剣を構えてユウキへ向けて言い放つ。 「それじゃあ、来て」 「うん……!」 彼の手に握られた、私のそれと同じ訓練用の剣。 その刀身が突然フッと消え失せた。 ——上。 「……ッ!」 咄嗟に顔を上げて見えたのは、彼の頭上から綺麗に振り下ろされる剣。 想像以上に、速い。 「はぁっ!」 私はその切先を剣の腹で弾くと、彼の右腕に刃の無い剣を叩き付けた。 それは完璧な一撃を前に、反射的に取った行動だった。

1 21/10/14(木)23:56:57 No.856426137

「っ、ぐぁぁぁぁ……!」 濁った悲鳴を上げてユウキが膝から崩れ落ちると同時に、私は自分の過ちに気付いた。 「ッ、大丈夫!?」 私は思わず剣を投げ捨て、地面に転がり激痛に悶える彼の側に屈み込んだ。 「すまないっ、つい勢い余って……と、とりあえず打った所を……!」 そこまで言いかけたところで、不意に言葉に詰まった。 苦悶に歪んだ彼の横顔、食いしばった歯の隙間から漏れ出す呻き声、冷や汗が滲む白い頬。 側から見てる私にも痛みが伝播してくるほど凄惨な、彼の苦しみ悶える姿。 だが何故だろう。 どうして私の胸はこんなにも高鳴っているのだろか。

2 21/10/14(木)23:57:27 No.856426338

「れ、レイ……」 ユウキが搾り出した声を聞いて、ようやく私はハッと我に帰った。 「……ッ、とにかく打った所を見せて」 私は慌てて彼の肩を掴んで身体を起こさせると、その右腕を掴んだ。 シャツの袖を捲って露わになった腕は内出血で真っ青に染まっていたが、骨折はしていないようだ。 「よかった……一応骨は折れてないみたい。でも、もしかしたら骨に傷が入ってるかもしれないから、今日の鍛錬は中止して病院へ行こう。それでいい?」 そう尋ねると、彼はコクリと小さく頷いた。 普段の様子からは想像も付かないほど弱々しい姿。 私は無意識の内にゴクリと唾を飲み込んでいた。 自分が感じている感情の正体に気付いた瞬間、私は慌てて視線を逸らした。 違う。私はそんな人間じゃない。

3 21/10/14(木)23:59:36 No.856427090

私は俄かに湧き上がった邪な感情を胸に抱えて、地面に放り投げていた剣の回収へ向かった。 (……私はさっき、彼の痛がる姿を見て……興奮していた? いや、他人の不幸を見てそんな風に喜ぶだなんて……私らしくない) 小さく首を振って、私は頭によぎった不埒な思考を振り払った。 (でも万が一、もしかしたら……) 私はチラリとユウキの方に目を向ける。 (……私は自分が思っている以上に、卑しい女かもしれない) その時、私は気付いていなかった。 彼を注視する自分の紅い瞳が、まるで野獣の双眸のように爛々と輝いていたことに。 そして、自分の口角が獰猛に吊り上がっていたことに。

4 21/10/15(金)00:00:14 No.856427311

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5 21/10/15(金)00:00:46 No.856427524

レイ様が新しい扉を開けるお話 続きはまた今度投下します

6 21/10/15(金)00:06:18 No.856429420

サディストレイ…

7 21/10/15(金)00:22:10 No.856434961

まさかの分割!?

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