虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

21/10/14(木)12:25:17 No.856211323

すっぽりと、ベガが膝の間に収まる。それなりにゆとりのある作りのジャケットは前に伸ばされて、彼女までも包み込む。 「……だって、寒いから仕方ないじゃない」 出てくる前に、今日は冷えるから気を付けて……と教えてくれた彼女はどこに行ったのか。 それとも、最初からこれが目的だったのか。 いずれにしても出来ることは変わらず、もぞもぞと背中と胸の間で尻尾が揺れながら、二人羽織を楽しむことにする。 星を見る……有名無実でも、一応は口実を守るために天を見上げて―― 「なんでこっち見てるの？」 「ほら、あなたの瞳……宙を映してを綺麗だったから」 いつもの調子でそんなことを言われるものだから、こっちが困ってしまう。 「……今までもこれからも、君しか見えてないよ」 「そう……物好きなのね」 ふい、と彼女が顔をそらす。一瞬覗いた頬が僅かに色づいていて、どうにか年上の体面は保たれただろうか。 「……また、一緒に来たい」 勿論。これからも、いつでも、何度でも。