虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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21/10/14(木)00:30:39 「よし... のスレッド詳細

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21/10/14(木)00:30:39 No.856114380

「よし、ちゃんと乾いてる」 朝方、ベランダに干した洗濯物は秋の朗らかな陽に照らされ、すっかり乾いていた。 私はうなじ辺りで束ねた髪を揺らしながら、手慣れた手付きで洗濯物を取り込んでいく。 結婚して数年、不慣れだった家事も今ではもう慣れたものだ。 洗濯物が入った洗濯カゴを抱えて部屋に入ると、ふと棚の上に飾られた写真が目に入った。 結婚式の写真、元ギルドの仲間たちと撮った写真、彼との新婚旅行の時に撮った写真。 その全てがここ数年撮られた物で、それ以前の私の写真は一枚たりとも飾られていなかった。 それはある意味、私が新たな人生を歩んでいる証拠だった。

1 21/10/14(木)00:31:02 No.856114514

私は家を、約束された将来を、そして過去を捨てた。 夫と——ユウキと共に添い遂げるために両親との繋がりを捨て、駆け落ち同然で彼と結婚したのだ。 家は然程広くない都内のマンションの一角。22年間住み続けていた、あの生家に比べればかなり狭い家だ。 だが、今の生活に後悔や不満はない。 彼と一緒なら、例えどんな暮らしでも耐え切れる。そう信じているから。

2 21/10/14(木)00:31:20 No.856114612

取り込んだ洗濯物を畳んでいると、不意に机の上に置いていたスマートフォンが鳴った。 私はそれを手に取ると、明るく発光した画面を覗き込んだ。 『今日は早く帰るよ』 スマホに届いていたメッセージ、その送り主はユウキ——私の最愛の夫だ。 彼は大学を卒業した後はあの迷宮女王の元で助手として働いており、夫婦で生活をするには充分過ぎるほどの収入を得ている。 仕事の内容は詳しくは知らないが、あのアストルムの世界を築き上げた彼女の助手だ。きっと私には想像も付かないことなのだろう。 それにしても普段は多忙で、帰宅が日付を跨ぐことも珍しくない彼にしては珍しい。 私は時計を一瞥すると、彼の帰宅に合わせて早めに夕食の準備に取り掛かることにした。

3 21/10/14(木)00:31:39 No.856114711

「ただいま」 ユウキが帰ってきたのは、丁度夕飯の準備を終えた頃だった。 時刻は午後七時過ぎ。メッセージにあった通り、かなり早い帰宅だ。 「おかえりなさい」 キッチンから顔を出して、玄関で靴を脱ぐ彼に声を掛ける。 「……あれ?」 ふとその時、彼の手に見慣れない臙脂色の紙袋が握られているのに気が付いた。 「何か買ってきたの?」 そう尋ねても、彼からの返事は無かった。彼はニコニコと笑顔を浮かべたままネクタイを緩めて、私の元まで歩み寄ってきた。 「ねぇ、ちょっと…!」 少しだけムッとしてもう一度尋ねると、ユウキはその紙袋に手を突っ込み、その中から綺麗にラッピングされた小さな箱を取り出した。 「これ、プレゼント」 「…………え?」 そう言って渡された細長い箱。 白い包装紙に青いリボンが整然と巻かれている。シンプルながらも高級感が溢れる包装だ。

4 21/10/14(木)00:32:18 No.856114936

「……今日は結婚記念日、じゃないよね?」 結婚記念日——私が家を捨てて、彼と共に駆け落ちをした日はまだ数ヶ月後だ。私の誕生日でも彼の誕生日でもない。ましてやあの箱庭から解放された日でもない。 私が動揺していると、彼はニコリと笑って言った。 「今日は僕たちがアストルムで初めて出逢った日だよ」 「……あ」 その言葉に私はハッと息を飲んだ。 それは私と彼が記憶を失い、あの箱庭に囚われる前の事。 家庭での重圧や日々のストレスから逃れる為に没頭していたアストルムで、魔物に襲われていたユウキを偶然助けたのが全ての始まりだった。 それが数年前の今日の出来事。 そこから数多の苦難と挫折、絶望を乗り越えて私たちの今があるのだ。 そんな大事な日を、なんで私は忘れてしまっていたのだろう。

5 21/10/14(木)00:32:39 No.856115059

「……ユウキ、開けていい?」 私は彼が頷いたのを見ると、震える手でゆっくりとラッピングを解いた。 包装紙の中から露わになった箱を開けると、そこには銀色に輝くネックレスが入っていた。 青色に輝くサファイアが埋め込まれた、『記憶のかけら』を模した六角形のネックレス。 「ああ……本当に、綺麗」 私は恐る恐るネックレスを自らの首に付けた。サイズはピッタリだった。 「レイ」 彼が私の名を呼ぶ。私は滂沱と涙を流しながら彼の顔を見上げた。 「僕と出逢ってくれてありがとう」 ぼやけた視界の中で、彼の柔らかな笑顔が輝いて見えた。 「ユウキ……! 私も、キミと出逢えて本当によかった……! 本当に、本当にありがとう! 大好きだよ……!」 私は彼を力強く抱き締めて何度も感謝と愛の言葉を囁く。 窓から覗く夜空に浮かぶ星々が、優しく私たちを見守っていた。

6 21/10/14(木)00:34:21 No.856115572

激重ヤンデレと純愛イチャラブとの怪文書サンドイッチが最高にキク

7 21/10/14(木)00:43:37 No.856118360

ループしてるオチなんかな

8 21/10/14(木)00:48:10 No.856119712

カチコミヒロインムーブと勝ちヒロインムーブを交互に接種することで脳の破壊と修復を繰り返して強化する

9 21/10/14(木)00:50:47 No.856120507

ほんとはダメだけど!かけおち4畳半貧乏生活してるちょっとほの暗い騎士レイも見たいいい!

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