21/10/10(日)19:27:22 ※昨日の... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1633861642442.jpg 21/10/10(日)19:27:22 No.854970402
※昨日の続き(fu420048.txt) 「ありがとうございました」 「ありがとうございました!」 陽が落ちた頃、合宿2日目のトレーニングが終わる。年末年始は家でのんびりという当初の方針なので、この合宿は明日の夕方…2泊3日を持って終わりになる 「あの、トレーナーさん」 「どうした?」 「聞きたい事があって…後でお部屋に行ってもいいですか?」 「あぁ、構わないけど…イクノは何か聞きたい事とかある?」 「いえ…ありません」 「わかった。じゃあタンホイザはまた後でね」 「はい!」 タンホイザさんに悪気はない。そんな事は分かってる。 どうして今聞かないのか?きっと疲れている私に気を遣ってのこと。私に早く部屋で休んで欲しいから、自分は後でという事だろう…きっとそのはず。それ以外考えられない
1 21/10/10(日)19:27:56 No.854970679
夕飯を終えた頃 「私トレーナーさんの所行ってくるね?」 「あ…はい。いってらっしゃい」 「イクノもくる?」 「いえ…私はいいです」 私も行くと、素直に言えばよかった 「そっか。じゃあいってくるね?」 「はい…いってらっしゃい」 襖が閉まる。同行を拒否したけれど…どうしても二人の様子が気になる ウマ娘の聴力は私が一番知っている。たっぷりと間を開けて、トレーナーの部屋へ向かう。もちろん入ったりはしないけど…ただ、どんな話をしているのか聞きたくて。 トレーナーの部屋の前。襖が閉まりきっていないのか灯が漏れている。メガネ越しにそっと覗いてみると、こちらに背を向けたタンホイザさんに、トレーナーさんの顔が見えた。これが逆だったらどんなによかっただろう。 間を開けたのが裏目に出てしまった。質問タイムはとうに終わって雑談をしているようだった…そもそも本当に質問などあったのだろうか。今となっては分からない。
2 21/10/10(日)19:28:33 No.854970976
「合宿も明日で終わりですね~」 「あぁ…2泊3日は流石に短すぎたかな?」 「あはは…かもしれませんね…合宿らしい合宿じゃなかったかも?」 「そうだよな…ごめんなタンホイザ」 「謝らないでください!そもそも私の体力テストが無ければ…」 「ううん、そんな事ないよ。君がいてくれて良かった」 「えっ…?」 「俺だけじゃイクノも気疲れしちゃうだろうし…友人である君がいてくれて良かった。彼女にもいい刺激になったんじゃないかな」 「あ、あ~…あはは、なるほど」 側から聞くだけなら、なんでもない会話。 でも私にはわかる。 あんなに…表情豊かに話すトレーナーは見た事がない
3 21/10/10(日)19:28:53 No.854971164
ごめんな…と、謝る表情。よく見る表情 短すぎだかな?と、苦笑い。見た事がない 君がいてくれて良かった…と…… 私が見た事のない、色々な表情を彼女はこの短時間で引き出している。 私にも、向けて欲しいと思った "喜"だけじゃない、喜怒哀楽。今タンホイザさんに向けているその表情、その感情。全て私にも… ……私にも? あぁ、そうか…と。この期に及んでようやく気がついた。 彼とタンホイザさんが話している時の胸のざわつき。 私は、嫉妬しているんだ。
4 21/10/10(日)19:29:11 No.854971307
昨日の朝、「おはようタンホイザさん」と。 私には言ってくれなかったのに・・・って、嫉妬していた 昨日の昼頃、「タンホイザ」と。 呼び方を変えて親密になった二人に嫉妬していた 昨日の晩、「呼び方を変えてもらったよ」と。 まるで内緒にするようにしていたタンホイザさんに苛立ちを覚えた 今日の夕方、「後で部屋に行ってもいいですか?」 私抜きで会おうとしていたその言葉に苛立ちを覚えた
5 21/10/10(日)19:29:40 No.854971511
ふと、部屋の方が静かな事に気がついた どうやらトレーナーが寝落ちしてしまったらしい 見れば…足元に空の瓶が2本ほど転がっている。 …きっと疲れていたのだろう。そんな事も、私は… 「トレーナーさん?…寝ちゃった…?」 タンホイザさんが布団を敷いている これ以上ここにいても仕方ない。聞くものなど何もない。 それでも目が離せなかった 「トレーナーさーん…?布団で寝ないと…」 「ぅ、ん…」 「肩貸しますから…よっ、と…」 嫌な予感がする 「トレーナーさん…ちゃんと寝てるよね?」 今すぐ踵を返して部屋に帰れ 「…」
6 21/10/10(日)19:30:31 No.854971884
早く、早く、早く 「ん…」 その瞬間、悟ってしまった。遅すぎた。 私の嫉妬心に。私の気持ちに。全てに気がつくのが遅すぎた。もう、取り返しはつかない。 「…ただいま~」 「おかえりなさい。長かったですね?」 「それが途中でトレーナーさん寝ちゃったみたいでさ…布団敷いたりしてたら遅くなっちゃった」 「そうだったんですか」 何を言っているんだ私は。知っているくせに 「うん…じゃあ私たちも寝ようか?」 「…はい」
7 21/10/10(日)19:31:05 No.854972171
何で隠すんだろう。ハッキリと、言ってくれた方が 「じゃあ電気消すよ?」 「…」 「おやすみ、イクノ」 「……おやすみなさい」 …まだ、ほんの少しだけでも、救いがあったかもしれない 短い会話の中で、彼女の尻尾や耳が絶えず動いているのを見た。 ポーカーフェイスを装っても、態度は隠しきれていなかった。 …明日からどんな顔をして、二人と接すればいいんだろう 怒りと嫉妬で興奮しきった胸の内とは裏腹に、意識は途切れ、泥のような眠りについた。
8 21/10/10(日)19:31:55 No.854972566
というわけで昨日の続きでした。見ている人がいると信じて
9 21/10/10(日)19:38:54 No.854975809
見ているよどんな結末を迎えるか気になってるから
10 21/10/10(日)19:47:16 No.854979536
マチタンに恋愛感情がない方に賭けてたがダメだったか…
11 21/10/10(日)20:18:39 No.854994526
どんどん重くなる…いいぞ…
12 21/10/10(日)20:19:26 No.854994990
>。
13 21/10/10(日)20:25:20 No.854998230
つらあじ...