ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/10/03(日)20:36:08 No.852512337
「トレーナーさん!助けてください!」 キタサンが血相を変えて飛んできた 「どうしたんだ?」「『おウマさんといっしょ』でお兄さんがまた辞めてしまいました!」「ま、マジか…」 『おウマさんといっしょ』とは幼児向け番組である 人のお兄さんとウマ娘のお姉さんがチビっ子達と楽しく歌に遊びに興じる キタサンはそのお姉さん役に抜擢されたのだが… 「前から言ってた子が原因で…?」「そうです…」 キャストの中に大人の男を弄ぶのが大好きなガキウマ娘が居るらしく、短期間で何人ものお兄さんが辞めてしまっていてた しかもそのガキ、親がキタサン以上の実績を上げたウマ娘なので誰も辞めさせる事が出来ず、キタサンの言う事すら聞かない スタジオで女王様になっているらしい… 「トレーナーさん!お願いです!歌のお兄さんになってください!」「えー…」「プロデューサーが言ってました!このままだと番組自体終わってしまうって!だから…」 チビっ子の楽しみだけでなく、家事するお母さん方の助けになる番組が終わるのはマズイな 「なんとかしてみよう」 俺はキタサンの頭をポンッと手を載せた
1 21/10/03(日)20:37:33 No.852513094
「ざーこ♥ざーこ♥男なんてオモチャよね♥」 スタジオの隅にADやキャストをこき使うガキウマ娘の姿があった アイツか… 「あら、アンタが新しい歌のお兄さん?」「おう。そうだが?」 「あらー何も知らないのね♥カワイソカワイソ♥」「ほう?」 「アタシにはちゃんと頭を下げなさい♥9冠ウマ娘の子のアタシに♥そしたら少しは手加減してあげるから♥」「はあ…」 「あー喉が乾いたわ♥いつものヤツ頼めるかしら?♥」 クソガキは俺を手で払った 「いつものヤツ?」「そう♥ミルクたっぷりのアイスティーが飲みたいわ♥」「自分で行けクソガキ」 俺はその場を後にした 「な、ななな、何よあいつ!プロデューサー!」「あ、彼はキタサンお姉さんをURA優勝させたトレーナーでして…」「キタサンが何よ!ママの方がスゴイじゃない!みてなさい…!」
2 21/10/03(日)20:39:33 No.852514074
収録が始まった 「やあ!みんな元気かな!」「今日から新しい歌のお兄さんが登場するよ!」「じゃあ早速『ジャンプジャンプジャンプ』で一緒にお祝いしよう!」 ボイトレしていたとは言え、俺は歌も踊りもズブの素人 ここはライブ慣れしてるキタサンを立てて、乗り切っておくか… と、先程のクソガキが飛び跳ねながら少しずつ距離を詰めてきていることに気がつく 「ジャンプジャンプジャンプ♥はい♥」 踊るフリしてクソガキの足が俺の股間目掛けて振り上げられた 「ふん」 俺は紙一重のところで後ろに避けた 「避けた!?」「こんくらいトレーナーやってりゃ朝飯前だ」 踊りがつづく 「これなら!」 今度は後ろから蹴りが飛んできた 「下…いや、真後ろか」 それも避けてやる
3 21/10/03(日)20:40:03 No.852514331
「あ、あのお兄さん出来る…!」「プロですらセンチ単位で避けるのにミリ単位だと!?」 番組スタッフから感嘆の声が上がった 「でも…」 クソガキはキタサンの方へ向いた 「こっちならどうかしら♥」 クソガキは跳ねながらキタサンに近づくと 「それえ♥」 足をかけ、転ばせようとした 「あ!?」 バランスを崩して倒れそうになったキタサンを咄嗟にお姫様抱っこしてやった 「大丈夫かい?お姉さん」「あっ…♥ありがとうお兄さん…♥」 見つめ合う俺達を横目に 「つまらないつまらないつまらない!!!」 クソガキは地団駄を踏んでいた…
4 21/10/03(日)20:40:40 No.852514684
それから数回収録が行われた 時には他のチビっ子ウマ娘までけしかけてイタズラや攻撃を仕掛けるクソガキをその都度俺は相手にせずかわし続けた 一回親を呼んで叱ってやろうとプロデューサーを詰めたが、どうやら親は溺愛するタイプらしく暖簾に腕押しと頭を下げられた さて、どうしたものか…
5 21/10/03(日)20:41:52 No.852515291
「どうしてアタシの言う事が聞けないの!?」 クソガキがチビっ子ウマ娘達に吠えていた 「あの2人、目障りだからさっさと辞めさせるわよって!」「だって…」「キタサンお姉さんとっても優しいよ」「何でも相談に乗ってくれるし…」 キタサンはクソガキ以外のチビっ子達とちゃんと関係を作っていたようだ 「ならあのオッサンの方を!」「何度もキタサンお姉さん守ってくれてるし…」「うちのママが言ってたよ!あのお兄さんキタサンお姉さんの婚約者だって…」 あのスポーツ紙一面と記者会見見たらそう思われるか… 「ならどうしたいのよアンタ達!」「…」 チビっ子ウマ娘達が無言で立ち去って行っていた 「な、何とか言いなさいよ!ねえったら!ねえ!」「…」 王国崩壊だな、こりゃ その日からクソガキの言う事を聞く人間が居なくなった…
6 21/10/03(日)20:42:27 No.852515611
それから数日後 「これ…」 立場を完全に失い、すっかり小さくなったクソガキが俺に1枚の紙を手渡してきた 「何々? 『これまでのことを謝りたいから後で楽屋に来い』っと?」「待ってるから一人で来なさい…」 ふ~む、よっぽど懲りたか、はてさて… 俺はキタサンを呼び寄せ耳打ちした…
7 21/10/03(日)20:44:26 No.852516628
「キャー❤️変態お兄さんに強姦されちゃう~♥誰か助けて~♥」 楽屋には全裸で待ち受けていたクソガキの姿があった 「あ、あの…?」「はあ!?なんでアンタが!?」 困惑な表情を浮かべて立ち尽くすキタサン そう、トラップである事も考え、代役を頼んだのだ 「流石にそれは…騙した君の方が捕まっちゃうかもよ?」「なによなによなによ!ママより実績もないアンタが偉そうな口して!」「その、ねえ…?確かに君のママは強かったかもしれないよ?」「それはそうよ!自慢のママですもの!」「じゃあ君は…ママみたいに強いのかなあ?」 クソガキが顔を真っ青にした 「そ、そうに決まってるわ!そうに!だってアタシは一」「私の先輩ウマ娘にね、君と同じようにママが凄かった方達が居るよ」 キタサンはしゃがみ込み、クソガキに目を合わせて説いた 「先輩達は…みんなママの実績を越えようと必死で、時にはそれ大きなプレッシャーや恐怖にもなって…」
8 21/10/03(日)20:45:44 No.852517280
「あ、アタシはそんなことないわ!そんなこと…」 クソガキの目に少しずつ涙が浮かぶ 「だから…担当になってくれたトレーナーが支えたんだよ」 キタサンはクソガキの頭を撫で始めた 「トレーナー…?」「そう。私で言うと歌のお兄さん。苦しい時、辛い時、腹が立つ時…どんな時でも優しく暖かく包み込んでくれて…だから先輩達や私は走り続けられた…」「…」「君はまだトレセン学園に入ってないからもしかしたら、独りぼっちで苦しみ続けてたのかもしれないね」「うっ、うう、グスン…」 「トレセン学園で待ってるから。きっと素敵な君だけのトレーナーさんが待っていてくれてるから。今のうちからママの実績まで使って強がらなくていいんだよ」「お姉さんごめんなさい!!!」 クソガキが大粒の涙を流しながらキタサンの胸に飛び込んだ 「ヨシヨシ…大丈夫だから、きっと大丈夫だから…ね?」 その後、キタサンにしっかり着替えさせられたクソガキが俺やチビっ子ウマ娘、番組スタッフそれぞれに頭を下げてきた これで一件落着だな…
9 21/10/03(日)20:47:08 No.852517940
「キタサン!助けてくれ!!!」「ど、どうしましたトレーナーさん!?」 俺はキタサンに一枚の手紙を手渡した 「ふむふむ…『本当はイヤだけどアンタの愛馬になってあげるわ♥アタシを10冠ウマ娘にしなさい♥』!?あの子…」「それだけじゃなくて!」 俺はスマホで撮った自宅の写真を見せた 「なんですか!?この凄まじい荷物の数々!?」 「どうやら向こうの両親にも気に入られたみたいで、担当トレーナーなれとの贈り物が…」「もうソダシちゃんの次、決まっちゃいましたね!」「どうすりゃいいんだ…」「と、トレーナーさんを巻き込んだのは私です!正妻として愛人の一人や二人…」「そういうことじゃなくてだなあ!?」 俺は頭を抱えた…
10 21/10/03(日)20:47:34 No.852518139
歌のお姉さんなキタサンが書きたくなりました お目汚し失礼しました
11 21/10/03(日)21:05:02 No.852526554
ハツラツとしてるし合うよね歌のお姉さん ソダシって馬の方もこんな感じなんかな
12 21/10/03(日)21:06:06 No.852527116
10冠!?
13 21/10/03(日)21:11:10 No.852529507
>ハツラツとしてるし合うよね歌のお姉さん >ソダシって馬の方もこんな感じなんかな ソダシはどうなんですかね 最近ゴルシに似てきたみたいです・・・