虹裏img歴史資料館

1 21/10/03(日)13:45:10 No.852365707

ええ……えええ……。 それはもちろん、ウオッカさんも直後にライスを見たら逃げるよ……。 「横に描かれてるのは……お兄さまだ……」 うわ……うわあ……。 ら、ライスだって勿論女の子だし、年頃だし、お兄さまのことは大好きだし、そ、そういう妄想、一度もしたことないと言ったら、嘘になるけど……。 「いざ見ると、ちょっと引く、ね……」 一糸まとわぬライスが、ちょっと美化されたお兄さまに後ろから抱きしめられて、恍惚とした表情をしてる。 イラストになってるけれど、ライスたちの特徴はしっかり捉えてるから、たちが悪い。 ライスの大切なトコロがタイトル文字で隠されてるあたり、描いた人の謎のこだわりを感じる。 「近寄らないでおこっと……」 と、立ち去ろうとしたときに、ふと気付いた。 え、これ放っておいたら、ライスとお兄さまのくんずほぐれつチョメチョメであはーんな内容を、みんなに読まれちゃうんじゃ……？ 「だ、だめー！」 頭の中のマルゼンさんに言われて、慌ててその本を拾って逃げた。

2 21/10/03(日)13:45:30 No.852365780

「どうしよう、この本……」 とっさに掴んで、近くの体育倉庫に逃げ込んじゃった。 胸元に抱きしめた本の表紙を、改めてまじまじと見る。 「わあ……うわあ……」 さっきはライス、引いた気持ちが先行してたけど。 冷静になって見てみると……。 「えっち……えっちだ……」 そんな言葉が漏れて、ライスのほっぺたが熱くなった。 ライスも高等部だし、さすがにそういうこと、全然知らないわけじゃないけれど。 こういう本やえっちな動画とかは、まだ見たことがなくて……。 どーきどきどきどきどきどきどきどき……。 沸騰した頭の中を、ブルボンさんがうまぴょいを歌いながらくるくる回ってる。

3 21/10/03(日)13:45:46 No.852365860

これはね、お仕事だよ、ライス。 ライスはおまわりさん。怪しいモノを見つけたら、ちゃんと確認しなきゃ、だよ。 うん。違うよ。気になるから、興味があるから見るわけじゃないよ。 危険物は適切に処理しなきゃ、だから。うん。 頑張れー、ライス。 ぺらり。 「……あれ？ 割と普通、かな……？」 何ページかめくってみたけれど、ライアンさんに借りた少女漫画の内容みたいに、ライスとお兄さまがどぎまぎしてるだけで……？

4 21/10/03(日)13:46:00 No.852365935

ぺらり。 「……ひいいいいいい？！」 な、なんでいきなりお兄さまがお洋服を脱いでるのお？！ それにドキドキしたライスも服を脱いでって……！ そこトレーナー室だよ？！ マックイーンさんたちとか来ちゃったらどうするの？！ ううんそうじゃなくて、ライスそんな脱いだりしないよ！？ ライス、もっとガード固いよ！？ じゃなくて！ なんでいきなりえっちなことになってるの？！？！ 「……わあ、お兄さまの、その……小さい頃見た、お父さまのより、大きい……」 ぼっ。 ライス、掛かっちゃってる……。

5 21/10/03(日)13:46:16 No.852366008

ライスのお手々は、ごにょごにょ……に自然と伸びてしまって……。 あ……ライス、ちょっと興奮してる……。 「ま、待って、そんな大きなの、ライスに……無理だ、よ……」 「ひゃあああ？！ そんな乱暴にしたら、ライス、ライス……！」 「壊れちゃう！ ライス壊れちゃうよお！」 「！！ だめだよお兄さま！ それは、そんなことしちゃ……外に……！」 「……お兄さま……ちゃんと責任取って、ライスのことを幸せにしてあげてね……」 ぱたん。 「ふう……あとでお手々洗わなきゃ……」 ライス巡査、きちんと危険物の確認を行いました。 これはいけない、いけません。えっちな本です。 ちゃんと責任を持って、誰の目にも触れないようにライスが保管しないと――。

6 21/10/03(日)13:46:29 No.852366087

「や……やあ、ライス」 「へ？」 視線を上げると。 何故かそこには、お兄さまが立っていて。 「あ」 「その、な……閉まってる倉庫からライスの悲鳴が聞こえたもんだから、いじめられたり何かに巻き込まれてるんじゃないか、って心配になってだな」 「えっと」 「いや、入ってきた俺に気付いてると思って何度か声をかけたんだ。でも反応ないから、もう見て見ぬふりしていなくなったほうがいいかな、とか思ってて」 「あの」 「倉庫から出ようとしたらドアに何か引っかかっててなかなか開かなくてさ、仕方なくもう一回声かけようと思ったら今で」 「ふえ……」 「……その、だな、ライス。性の目覚めにその内容はちょっと過激というか、おませさんじゃないか……？」 「ふえーーー！！？？」

7 21/10/03(日)13:46:45 No.852366156

「……ちょっと本、見ていいか？」 「はい……」 「うわあ……これ描いたの絶対にトレセン生だろ……」 「おかゆにして、お兄さま……ライスを……おかゆに……」 「トレーナー室の内装とかそのまんまじゃないか……まさかこの本、買ってきたのか……？」 「違うの、そこで拾ったの……ウオッカさんに聞いて……」 「だからアイツ、さっき鼻血出してたのか……おませな中等部め……」 ライス知ってるよ。 こういうの、公開処刑っていうんだよね。 分かるかな、この気持ち。 ライスがしちゃったことにあえて一言も触れずに、自分とライスがえっちなことしてる本を、本人に目の前で検分される気持ち。 「……本物より小さいな」 お兄さまがぼそり。 「えっ」 「なんでもない」

8 21/10/03(日)13:47:06 No.852366267

「お兄さま……その本に描かれてるサイズは小さいんだね……」 「待てライス、そんな冷めた目で見ないでくれ」 ……お兄さま。 ライスは恥ずかしくて恥ずかしくてね、もう失うモノなんて何もないんだよ。 今更ね、自分だけ助かろうって言ったって、そうはライスがおろさないんだよ。 「お兄さまも道連れにするから」 「落ち着けライス、何考えてやがる」 呟いてからライスは、制服のボタンを外して――。 「わあ！ わあああ！！ 薄い本見たあとに本人がそんなことするんじゃありません！ 乙女の身体はもっと大切にしなさい！ 清く慎ましい心を持ちなさい！ 未来の旦那様のためにも！ 不純異性交遊絶対反対！！」 「ライス、ボタン一つ外しただけだけど」 「むっ」 いきなり強気な表情になって向き直ってくるお兄さま。 ちょっとイラッとしたから、ライス、ブルーローズチェイサーしかけるね。 少し制服をずらして、下着の肩紐をちらり。 「ウワーッ！ おばか！ 破廉恥！ お兄さまはライスをそんな子に育てた覚えはありません！！」

9 21/10/03(日)13:47:21 No.852366337

「でも、お兄さま……身体は、正直だ、ね？」 「あっ」 スラックスの上からでも分かる、アルプス連峰。 お兄さまの顔から、サーッと血の気が引いていく。 お兄さま、あれだけで……。 「ほんとだ、絵より大きそう……」 「ライスが……俺のライスが、非行少女に……」 「これがこの本では、ライスの中に……」 「定規を取り出すんじゃない……」 「本物、見てもいい？」 「それは駄目」 肩を掴まれ、真剣な表情で止められる。 どきん、と、胸が高鳴った。 そうだった、忘れてた。 ライス、お兄さまのことが……世界で一番、大好きだったんだった。

10 21/10/03(日)13:47:37 No.852366405

あんな本を見ちゃって、あんなことしちゃって、お兄さまに見られて、そんな状況で、お兄さまにそんなかっこいい表情されちゃったら……ライスは、ライスは、もう……。 「でもお兄さま、どれだけ雰囲気良くても、そこの正直な身体は気になっちゃうよ」 「ライス、今は生物学的に避けられない事象には触れないでくれ」 だけどね、お兄さま。 ライス、もう止まれないんだ。 身体が熱くて、火照って、まるでライスのものじゃないみたい。 肩を掴むお兄さまの手を振りほどき、逆にお兄さまを押し倒し、押さえつける。 「な、何するんだ？！」 フラッシュさんに教わった言葉を、静かに復唱する。 「お兄さまなら勿論分かってるよね」 「ら、ライス、何を」 「ヒトが、ウマ娘の力に敵うはずがないよね……？」 「やめっ」 「誰も助けには、来てくれない、よ？」 いただきます、お兄さま……♪

11 21/10/03(日)13:47:51 No.852366482

「あっ♥」 「ダメだ、ライス、今からでもやめ」 1。 「お兄さまっ♥ お兄さまっ♥」 「ちょっと、許して」 2。 「ほらほらお兄さま♥ こっちはまだまだ元気だよ♥」 「待って、まじで体力が」 3。 「ざぁこ♥ ざぁこ♥ あ、大きくなった♥」 「ほんと、死ぬ」 4。 「お兄さま♥ 頑張れ頑張れ♥」 「助け」 5。

12 21/10/03(日)13:48:02 No.852366538

「……お兄さま？ どうしてそんな死にそうなお顔してるの？」 「もう、無理……空っぽ……」 「そっか……ふふっ、ご馳走さまでした、お兄さま……♥」

13 21/10/03(日)13:48:14 No.852366607

全てが終わった途端、一気に虚無の感情が襲ってきた。 二人で無表情で服を着ながら、放心状態だった。 「ライス、何しちゃってるんだろう……」 「お前完全に掛かってたな……俺、もうお婿に行けないよ……」 トレセンもクビになるかもしれない、世間の目も冷たくなるかも、どうしようどうしよう、と顔面蒼白で呟くお兄さま。 「大丈夫だよ、お兄さま。ライス、ちゃんと責任取るから、ね？」 「ライスさん……」 お兄さまの頭をよしよししてあげると、言いようのない幸福感がこみ上げてくる。 そっか、これがクリークさんが言ってた――。

14 21/10/03(日)13:48:27 No.852366670

何とか体育倉庫のドアを開け、お兄さまと外に出た。 陽は落ちかかって、そろそろ帰りましょうの音楽が街に流れる頃。 「夕陽が綺麗だな」 「うん、綺麗だね、お兄さま」 「明日からまたトレーニング、頑張ろう」 「頑張るぞー、おー！」 「で、だ」 二人でライスの手の中のものを見る。 「これ、どうするかな……」 「ライスがもらってもいい？」 「いや……何となく聞く相手が分かった気がするから、あとで俺が処理しておく」 「……そう言いながら、今後は一人で『処理』しちゃ、めっ、だよ？」 「ライス、ちょっとお口チャックしようか」 むー！とお兄さまのお口チャックに抵抗していると。

15 21/10/03(日)13:48:40 No.852366757

「ウワーッ！？ なんでライス先輩とトレーナーが一緒にいんだよ！？」 しばらく前に聞いた叫び声が、再び。 「あ、ウオッカじゃん」 「ウオッカさん、帰るとこ？」 「そ、そうだけどわああああ？！」 ウオッカさんががくがくと震えながら、ライスのことを指した。 正確にはライスのことじゃなくて、その手の中にある……。 「ライス先輩なんでソレ持ってんすかあああ？！ ……そうか！ そのえげつないのはライス先輩のモノだったんだ！ 二人はうまぴょいだ！ 間違いねえ！！ 」 「おい待っ……」 「うわああん！ 助けてくれよスカーレットぉぉお！！」 お兄さまが止めるまもなく、ウオッカさんはまた鼻血を垂らして泣きながら逃げちゃった。

16 21/10/03(日)13:48:53 No.852366823

取り残されたお兄さまとライスは。 「何なんだアイツは」 「きっと純粋なんだよ」 「そんな闇のある女みたいなセリフ」 「ライスはもう、汚れちゃったから……」 ごちん。 お兄さまがげんこつを落とした。 「変なこと言うんじゃありません」 「お兄さまがぶったあ……DVだあ……」 なんて、涙目になっていると。 「っと……」 お兄さまの足元がふらつき、崩れ落ちかける。 すぐさま抱きとめると、お兄さまはもう、満身創痍といった様子だった。 「すまん、情けないようだが、体力が限界だ……」 「大丈夫だよ、お兄さま。ライスがおぶってあげるから、帰ろ？」

17 21/10/03(日)13:49:06 No.852366882

「本は後でライスが届けておくね」 「届け先分かるか？」 「うん、多分」 笑顔で頷くと、お兄さまが。 「一人で『処理』しちゃ駄目だぞ、ライス巡査」 ぼっ。 見られたことを思い出して、顔が真っ赤になる。 「はは、仕返しできたからもう十分、だ……」 何か言い返そうとしたときには、お兄さまは、もう。 ライスの背中で、小さな寝息を立てて夢の中だった。 「……ふふっ、これじゃ、どっちがお嫁さんか分からないね」 ちょっと過激な本だったけれど。 結果的には、ちょっと感謝してもいいかもしれない、かな？ 「それはそれとして、持ち主には『分からせ』てあげないと、ね……」 目に光を宿したライスは、お兄さまを背負い、夕日へと向かって歩んでいったのでした――。

18 21/10/03(日)13:49:22 No.852366959

エピローグ 寮の自室にて、一人のウマ娘が絶望に打ちひしがれていた。 「デジたんは最低の変態ウマ娘でしゅ……」 「変態ウマ娘には同意するが、どうしたのかねデジタル君？」 部屋着に着替えたもう一人の変態、アグネスタキオンが、ベッドの上で死んだ顔をしているアグネスデジタルを見やる。 デジタルは目が虚ろで、心は既に地獄へと引きずり込まれかけているようだった。 「知人からの預かりものとはいえ、ナマモノの薄い本を落として人目に触れさせてしまい、あまつさえ本人のお手に取らせてしまうだなんて、デジたんはこの世から消滅すべき絶対悪なんでしゅ」 「そんなこと言いながらしっかり観察してるじゃあないか……ふゥん、だったら消滅する前に試してほしい薬が三種類ほどあるのだが」 「それは是非謹んで飲ませて頂きますけど」

19 21/10/03(日)13:49:38 No.852367036

二分後、虹色に光りながらデジタルが尋ねた。 「タキオンさん、記憶を適度に消す薬とかないですかね……？」 「以前は研究していたんだが、たづなさんに止められてしまってねえ」 「おおう……」 デジタルは必死だった。 何としてでもウマ娘ちゃんの尊厳を守護らなければ。 ついでにあんな劇物を持ち込んだ知人を葬り去らねば、と。 変態は変態に、事情をぼかしつつ話した。 話を聞いた変態は変態に、こともなげに答えた。 「素直に謝りたまえよ、デジタル君」 「で、でも、ウマ娘ちゃんの尊厳が……」 「なあに、誰しもミスや失態はあるものさ。大切なのは、きちんと認め、謝罪し、同じ過ちを二度と起こさないようにすることだよ」 「す、すごいでしゅ、タキオンさんが言うとまるで説得力がない！ でもそんなところが推せる！」 「デジタル君、そう言いたくなる気持ちは我ながら分かるが、少しはオブラートに包みたまえ。カフェみたいになるよ」

20 21/10/03(日)13:49:55 No.852367133

でも、とデジタルは顔を上げた。 「……そうですね、ウマ娘ちゃんに近づいてはならないと思うあまり、当たり前の、大切なことを忘れかけてました」 「参考になったなら僥倖僥倖。といったところでデジタル君、もう一本飲んでほしい薬があるのだが……」 「飲ませてください！」 明日、ライスさんに正直に謝ろう。 土下座でも何でもして、許してもらえなくても、まずは謝ろう。 駄目なときはその時、その次の誠意を考えればいいのだ――。 そんなことを考えたとき、こんこん、と。 扉をノックする音が聞こえた。 「はーい！」 迷いを断ち切り、前に進むことを決めた勇者デジタルは、笑顔で扉へと向かう。 その扉の向こう側で。 「『分からせ』てあげないと、ね……」 漆黒のステイヤーは、静かに、刃を研いでいた。

21 21/10/03(日)13:51:10 No.852367504

こないだは曇らせちゃったからハッピーライス書いたゾ♥ えっちなシーンもあるからシコっていいヨッ

22 21/10/03(日)13:52:29 No.852367875

デジたんが初めて物理的な命の危機に直面している…

23 21/10/03(日)13:52:45 No.852367936

また便利な舞台装置が犠牲になっている

24 21/10/03(日)13:53:43 No.852368190

こういう内気な子がぴょいする時は積極的なのいいよね…

25 21/10/03(日)13:55:44 No.852368678

しっかり頂いてからわからせに行くのずるくない？

26 21/10/03(日)13:56:31 No.852368927

ウワッー！？

27 21/10/03(日)13:57:52 No.852369320

ライスは掛かるとこういう事しそう

28 21/10/03(日)13:58:55 No.852369593

多分このライスは卒業後ストレートに結婚すると思う

29 21/10/03(日)14:00:33 No.852370042

してデジタルの知人殿は他にもこういうのをお持ちでいらっしゃるので？

30 21/10/03(日)14:10:28 No.852372931

ライスはむっつりなイメージあります

31 21/10/03(日)14:10:51 No.852373022

かかったライスに言い訳は無意味だぞデジたん…

32 21/10/03(日)14:18:31 No.852375184

二次被害でウオッカの脳はもうボロボロ

33 21/10/03(日)14:22:39 No.852376426

ライスはめちゃくちゃ締まり良さそう

34 21/10/03(日)14:29:36 No.852378564

下品な話だがトレセン生は全員アスリートだから あっちはヤバいだろ

35 21/10/03(日)14:30:13 No.852378766

>下品な話だがトレセン生は全員アスリートだから >あっちはヤバいだろ つまりウオッカも目覚めたらヤバい…？

36 21/10/03(日)14:42:26 No.852382826

このライスとお兄様なんか元々距離感近い…

37 21/10/03(日)14:47:58 No.852384784

>「ざぁこ♥ ざぁこ♥ あ、大きくなった♥」 >「お兄さま♥ 頑張れ頑張れ♥」 この変化球にお兄さまは耐えられない！

38 21/10/03(日)14:48:48 No.852385118

俺は本編で真面目なキャラが番外編でお目目ぐるぐるになって掛かっちゃうのが大好物なんだ