虹裏img歴史資料館

1 21/10/02(土)21:51:35 No.852141181

私はトレーナーさんが好きだ。 「シオンちゃん、今日も頑張ろう！」 「うん！がんばろーっ！」 仕事が出来て、いつも自分を奮い立たせてくれる彼女が好きだ。 一度落ち込もうと二度三度と私を慰めて、抱きしめて、絶対に離れることは無い。ただ何の迷いもなく私を優先して、絶対に見捨てない彼女が好きだ。オルちゃんに負け続ける私、シルバーコレクターだと言われた私を『ウィンバリアシオン』として見てくれる。 「シオンちゃーん、明日はジャスちゃんとシップちゃんたちと並走ねー」 「はーい♪あ、コーヒーはもう駄目ですよ？はい、温かいほうじ茶」 「ありがと……ふぃ～、やっぱりシオンちゃんの淹れる飲み物は格別だねぇ……一ガロンぐらい飲めそう」 「も～嬉しいけどそんなに飲んだらお腹壊しちゃいますからね？」

2 21/10/02(土)21:51:57 No.852141358

私はトレーナーさんが好きだ。 恙なくスケジュール管理をして、書類仕事なんか魔法みたいに無くしちゃってる。仕事に打ち込む横顔がとても綺麗で、ついつい時間を忘れて見惚れている。私が見つめているのに気づいたら、ちょっと頬に朱が差してはにかんでくれる。私だけが見ることのできる特別なモノ。思わず胸が高鳴るくらいにお気に入りの顔。 この顔が見たくて私は門限間際までトレーナーの仕事のお手伝いをしたりしてる。この事をオルちゃんに話したらちょっと驚いてたけど、オルちゃんだって自分のトレーナーさんの部屋を掃除したりお料理作ってあげてるんだから私とどっこいどっこいだと思う。

3 21/10/02(土)21:52:20 No.852141548

とはいっても、私のトレーナーさんは抜けてるところもある。 「うぅ…キャリアウーマン無理とか何様……私の運命の人はいずこへ…」 「お疲れ様トレーナーさん。いつかきっといい人が見つかるはずだから大丈夫だよ、きっと」 「ありがとねぇ……シオンちゃん大好き…一緒に住も…」 「っ……酔った勢いでそんなこと言っちゃ駄目だよ～よしよし」 トレーナーさんは、週末に暇さえあれば合コンに行く人だ。真面目過ぎるからいい人は見つからないんだけど。 昔は居たらしいけど自然消滅、合コンは連敗中で恋人が居ないと嘆く日々。だから日曜日の朝は毎回私が慰めにトレーナー寮へお邪魔してる。 ぼさぼさの髪、目の隈、ちょっとお酒の匂い。もはや日常と化したけど、私はトレーナーさんの身なりを整えてあげている。その間はずっと愚痴を聞いたり、打ち合わせをする。 これは私とトレーナーさんだけの特別な時間。とっても穏やかで、とっても幸せ。

4 21/10/02(土)21:52:47 No.852141768

だけど、トレーナーさんが男性の話をするたびにちくりとした感情が私を襲う。ほの暗い感情───例えば、なんで私じゃないんだろう───が心の中で渦巻いてしまう。それがとてつもなく不快だったけど、気のせいだと決めつけた。 きっと、釣り合わないから。 けれど、トレーナーさんは私の心中なんてお構いなしに私とお話ししてくれる。真面目な話、悲しい話、他愛のない話。 全部私の為だけにしてくれる。それが嬉しくって、トレーナーさんのことがもっともっと好きになってしまう。 けどそのことは言えない。言う勇気がない。 燻る想いを胸の中にしまって、ただ耐えるしかなかった。

5 21/10/02(土)21:53:27 No.852142115

そんなある日の昼下がり。私とトレーナーは木陰で一休み。 「シオンちゃんの膝枕って最早高級まくらと同じだと思う」 「ありがとねトレーナーさん。もうちょっと寝てていいよ」 「……うん、ありがと。好きだよ、シオンちゃん」 突然そんなこと言って、私の膝枕で眠るトレーナー。少ししたら寝息が聞こえてきた。私は彼女の綺麗な黒髪を撫でる。 ふやけた顔をして幸せそうな寝顔に、ひらりと魔が差した。 彼女の頭を撫でる片手を止めて、耳元に唇を。じわりと湧き出る背徳感に身を震わせて、一言。 「……私だって、大好きだよ」 自然に紡いだ言葉の真意は図れない。恋とも、親愛だとも見て取れる。 私はトレーナーに対して何を想っているのか、分からない。優しくて、ちょっと抜けてて、素敵な人。もっと良いウマ娘と出会えたはずなのに、私を選んでくれた人。

6 21/10/02(土)21:53:44 No.852142249

「ね、トレーナーさん。私なんかじゃ貴女の隣に居られないのかな？」 今、理解した。 私はひたすらにこの人が好き。理由なんて関係なかった、この人の隣に居たい。けど絶対に面と向かって言えないかも。 思いの丈をぶつけたら、胸が張り裂けちゃって死んじゃいそうだもん。それに……トレーナーさんは困った顔をすると思う。 だからね、まだこの甘い関係で居させてください。私が貴女の隣に居るために、私が幸せで居たいために。 「恋人が出来ないって嘆いてるけど、此処に貴方のことが好きなウマ娘だっているんだからね」 一回、頬へ優しくキスをした。今はこれが精いっぱいだし、どうせバレることは無い。 私は眠るトレーナーさんを慈しむように撫でた。

7 21/10/02(土)21:53:56 No.852142337

嗚呼…大好きな貴女へ、私を…ウィンバリアシオンをずっと貴女の隣に居させてください。 願わくば、死がふたりを分かつまで。

8 21/10/02(土)21:54:10 No.852142459

……今、私シオンちゃんにキスされた！？何事！！？） （おい見たかジャスタ、オルフェ！！シオン先輩が！！！！！……ジャスタ？） （ひゅ、ひゅえぇ……） （ジャスターーーーーーーッッッ！！！？） （アタシもちょっと真似しよっかな…）

9 21/10/02(土)21:55:03 No.852142840

前週土曜日のジャスタ怪文書感想スレで非常に濃厚な幻覚を頂いたのでそれを元手に初めて百合を書きました 前々から執筆中の12年組恋愛奮闘記が詰まったので気分転換のバリトレ♀を書いた感想ですがとても楽しかったです 幻覚の提供ありがとうございました

10 21/10/02(土)21:55:53 No.852143248

む！

11 21/10/02(土)21:56:14 No.852143401

いいねぇ...

12 21/10/02(土)21:56:34 No.852143546

ｷﾃﾙ…

13 21/10/02(土)21:57:50 No.852144130

新しい風が来たな…

14 21/10/02(土)21:58:53 No.852144711

今日も感想スレはたつのでしょうかね…

15 21/10/02(土)21:59:40 No.852145137

>今日も感想スレはたつのでしょうかね… きっと立つはずです のんびりと待ちましょう

16 21/10/02(土)21:59:48 No.852145189

むっ！あの幻覚が濃厚になってお出しされてていいねぇ…

17 画像ファイル名:1633179688069.png 21/10/02(土)22:01:28 No.852146021

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

18 21/10/02(土)22:01:35 No.852146081

>むっ！あの幻覚が濃厚になってお出しされてていいねぇ… ありがとうございます いい栄養を貰えた上に百合を書く練習にもなったので良かったです…

19 21/10/02(土)22:03:09 No.852146830

>No.852146021 絵「」ャスタ！！支援絵ありがとうございます！！シオンちゃん可愛いですねぇ！

20 21/10/02(土)22:06:46 No.852148537

>>今日も感想スレはたつのでしょうかね… >きっと立つはずです >のんびりと待ちましょう 今から！ 立てます！ スレ「」ャスタの怪文書は後から見ます！

21 画像ファイル名:1633180207001.png 21/10/02(土)22:10:07 No.852150170

ｷﾀ━━━━━━(ﾟ∀ﾟ)━━━━━━ !!!!!

22 21/10/02(土)22:13:01 No.852151496

読みました！ 大半甘酸っぱくて素敵ですね！ ネタを投げた身としてはこの上ない歓びですよ。素敵な怪文書を読めて

23 21/10/02(土)22:14:01 No.852151970

>No.852150170 あっ…バレてるーーーーーーーッッッ！！！ 絶対これ後で色々とあるやつですよ！！！

24 21/10/02(土)22:15:53 No.852152854

>読みました！ >大半甘酸っぱくて素敵ですね！ >ネタを投げた身としてはこの上ない歓びですよ。素敵な怪文書を読めて ありがとうございます！物書き冥利に尽きますね… シオン先輩のしっとりかつ甘々な感じが書けた気がするので良かったです

25 21/10/02(土)22:19:00 No.852154239

百合は良いものだ...

26 21/10/02(土)22:23:19 No.852156296

いい怪文書を読めた…

27 21/10/02(土)22:38:55 No.852163630

>百合は良いものだ... 健康にいいということは本当だった…