21/10/01(金)00:41:17 ザー... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1633016477241.jpg 21/10/01(金)00:41:17 No.851500478
ザーザーと大粒の雨が地面に降り注いでいる 朝方から降り続いていた雨は、カルミナのダンスレッスンが終わる夕方になっても止む気配は無かった 街頭にも人の気配は無く、頭上に差した傘を雨粒が叩く音がやけに大きく聞こえた レッスンを終えて疲れた身体を引きずって帰路を歩く 広い大通りを曲がって路地に入ると、ふと道の向こう側から歩いてくる人影が見えた 俯いたまま、傘も差さずに道を歩くその姿に見覚えがあった 私は息を飲んで思わず立ち止まった そして雨の帷の向こう側から姿を現したその人の、私が最も尊敬する人の名前を呼んだ 「…………レイ様」
1 21/10/01(金)00:41:45 No.851500644
私がそう呼ぶと、その人——レイ様は顔を上げて暗い微笑みを浮かべた ハロウィンの時に見たものとは違う 演技ではない、心の底から絶望を感じた人間の微笑み 「久し振りだね」 「…………そう、ですね」 私はコツン、コツンと重苦しい足取りで歩み寄ってくるレイ様の足元に視線を落とした 今の私には、レイ様に合わせる顔がなかったから
2 21/10/01(金)00:42:33 No.851500931
レイ様が騎士さんに想いを寄せていることは知っていた だけれども、この想いだけは、ようやく芽生えたこの想いだけは絶対に譲ることができなかった だから私は誰よりも先に騎士さんに想いを伝えて——そして、恋を実らせた それがレイ様への最大で、最低の裏切りと知っていながら 「ツムギ」 顔を上げられなかった。目を合わせられなかった 唇を噛んで俯いていると、レイ様がその細い指を剣の柄に掛けて言い放った 「顔を上げろ」 その声は背筋が凍るほど冷たかった 「ひっ……」 従わなければ殺される そんな本能に従い、私は恐る恐る顔を上げた ボサボサの髪、赤く腫れ上がった目、痩せこけた頬 弱り切ったその姿は、いつもの美麗で凛々しい佇まいとはかけ離れていて 目の前に立っているのが、まるでレイ様のフリをした得体の知れない何か思えた
3 21/10/01(金)00:43:03 No.851501083
「……ツムギ」 青い前髪の隙間から覗く両目は鋭くて、光が無い まるで亡霊のような虚な眼差しでレイ様は真っ直ぐ私を見つめていた 「ツムギにはアイドルとして沢山ファンがいるんだろう？ それでいいじゃないか。私には彼しかいないんだ。ありのままの私を受け入れてくれるのは、私を愛してくれるのは彼しかいないんだ。だからお願い。お願いだから——」
4 21/10/01(金)00:43:19 No.851501168
「彼を諦めて」 熱く煮え滾る情念を込めた言葉が、冷たい鉛色の雨空に溶けていった
5 21/10/01(金)00:49:55 No.851503145
コワ～～～…
6 21/10/01(金)00:50:45 No.851503388
レイ様怪文書だ！
7 21/10/01(金)00:50:52 No.851503423
ツムギが悪い
8 21/10/01(金)00:51:29 No.851503624
諦めなかったらどうするつもりなんです…？
9 21/10/01(金)00:52:12 No.851503823
そうだったレイは寂しがり屋なんだった...
10 21/10/01(金)00:57:46 No.851505474
おっと愛する男と信じた後輩に裏切られた悪霊発見伝
11 21/10/01(金)01:03:55 No.851507085
ツムギ。
12 21/10/01(金)01:11:32 No.851508880
いい… でもハロウィンの季節だからってホラーが過ぎる
13 21/10/01(金)01:12:35 No.851509131
>諦めなかったらどうするつもりなんです…？ 刺す
14 21/10/01(金)01:15:54 No.851509987
それだけは許して下さいッ！って泣きながら土下座するツムギだなんて…
15 21/10/01(金)01:17:24 No.851510351
レイ様の唇に髪の毛かかってそう
16 21/10/01(金)01:20:08 No.851511008
>それだけは許して下さいッ！って泣きながら土下座するツムギだなんて… 私にとってもそれだけは許して欲しいものだったのにいとも簡単に奪ったじゃないか