21/09/30(木)17:41:06 エタニ... のスレッド詳細
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21/09/30(木)17:41:06 No.851337884
エタニティ怪文書書きました ピョンテ要素はないですごめんなさい
1 21/09/30(木)17:42:00 No.851338135
見渡す限りの海原を、一隻の船が進んでいた。 「この辺でいいのかい?」 その船上で佇む黒い服をまとった長身の女に、男が近寄り声をかけた。 女はバイオロイド―エタニティ。男はこの船の船長だ。 エタニティは無言で頷いた。指定したポイントと寸分違わない。 「そうか……大金貰っといてなんだが、あんた本当にいいのか?」 「もちろんですわ。ご迷惑をかけないよう、手続きは全て済ませてあります」 「わかった……よし、錨を降ろせ!作業開始だ!」 船長の檄に船員たちは一斉に動き出した。 その様子を見ながら、エタニティはほんの数日前のことを思い返していた。
2 21/09/30(木)17:42:56 No.851338380
「まだここにいたのかエタニティ」 主の傍に寄り添うエタニティにそう呼び掛けたのは、主の叔父にあたる人物だった。 「常にご主人様の傍にいるのが、私の務めです」 そう返すと叔父は大きくため息をついた。 「まったく、おまえは変わらんな。兄夫婦が事故で亡くなったその日に、残されたそいつの世話をする、と 棺桶を担いだおまえが現れた時は何事かと思ったぞ?」 「ご主人様のご両親様がそのように契約されていましたので」 「確かにバイオロイドなら遺産を奪うことも見捨てて出て行くこともないだろうしな。 だがおまえの役割もわかっているが、その上であえて言うぞ。これからの生き方は自分の意思で選んだらどうだエタニティ」 「…申し訳ございません。おっしゃられてる意味が…」 「おまえはよくやってくれたよ。そいつにとっておまえは、母親であり姉であり友人であり、恋人だった。唯一無二の存在だったろう。 残念ながら間に合わなかったが、あと数年すればおまえたちは結婚もしていただろう。そうなっても俺も反対はしなかったよ」
3 21/09/30(木)17:43:36 No.851338555
叔父はそう言うとエタニティの隣に立ち、棺の中を見つめた。 「穏やかな顔だ…心からの愛を受けた顔だよ。エタニティ、甥をここまで愛してくれたおまえを、俺はただの道具だとは思えなくなった。 おまえはこいつと夫婦にはなれなかったが、こいつの遺産をすべておまえが受け継いでくれ」 「失礼ながら、バイオロイドが私財を持つことはできません」 「わかっている。だからあくまで名義は俺だ。おまえの所有者も俺にする、これもあくまで形式上だ。後はおまえの好きにするがいい。 兄貴と甥っ子夫婦の遺産にたかるほど落ちちゃいないさ。これが甥と、甥っ子の妻に俺ができる唯一のことだ」 「伯父上様…」 しばしの沈黙の後、エタニティは言葉を続けた。 「お心遣い感謝いたします。ですが、やはり私はご主人様に最後まで寄り添うことにいたします。 それが…妻としての務めでもありますから」 エタニティが主の手にそっと触れる。 二人の薬指には、質素だが丁寧に磨き上げられた指輪が光っていた。 「そうか…」 叔父は静かに肩を落とした。 「伯父上様、ひとつだけお願いがございます」
4 21/09/30(木)17:43:54 No.851338642
「なんだ?」 「私…エタニティタイプは乳母型として発売されながらも、生ではなく死をイメージさせてしまい、あまり人間様のお役に立てておりません。 このメモリモジュールにはご主人様と私の出会いから全てが記録されております。これを元に、ご主人様の遺産を投資し新たな乳母型の開発を行ってはいただけないでしょうか。 優しく温かく、人間様に愛される母に相応しいバイオロイドを完成させてください」 「わかった…必ず役立てると約束しよう」
5 21/09/30(木)17:44:10 No.851338707
エタニティの目の前に主の眠る棺桶が運ばれてきた。 「それでは船長様、後はよろしくお願いいたしますわ」 「ああ、任せとけ」 エタニティが棺に納まり、蓋が完全に閉じると、表面に設えられたレリーフが静かに形を変えた。 寄り添う白骨化した亡骸が、我が子を抱きしめる美しい光景に変わっていた。 「…おまえら、作業は丁寧にやれよ!間違っても途中で海に落としたりするんじゃないぞ!」
6 21/09/30(木)17:44:27 No.851338781
棺に入ったエタニティは眠る主を抱きしめ、その頭をそっと撫でた。 この棺には冷凍保存機能を備えた特別な改造が施してある。 主は生前、自分が死んでもエタニティが焼かれてしまうのは嫌だ、としきりに言っていた。 その願いを叶えるため、武装をすべて取り払い機能を追加していた。 棺がゆっくりと上下に揺れ始めた。海上に置かれたようだ。 船長は先ほど聞こえた言葉の通り、本当に丁寧に作業をしてくれたようだ。 「ご主人様、私はずっといい出会いに恵まれていたようです」 冷凍機能が作動を開始したようだ。棺の中の温度がゆっくりと下がっていく。 海底に達する頃には氷点下になり、機能を停止したエタニティと主は誰の手も届かぬ海の中で文字通り永遠の眠りにつくことになる。 可愛い坊や。元気なお坊ちゃま。素敵な旦那様。愛しいあなた。 わずか十数年であったが、満たされた日々の記憶と共に、エタニティもまた静かにその役目を終えた。 わたしはエタニティ。未来永劫の時を、貴方と共に―
7 21/09/30(木)17:45:28 No.851339027
以上です 思い付いたままばばーっと書いたのでエタニティのキャラが変だったらごめん あとまだ製造で出てません
8 21/09/30(木)17:49:04 No.851339874
昨日のバ発で満身創痍なのにエタニティ欲しくなっちゃうじゃん...
9 21/09/30(木)17:54:30 No.851341211
坊やからあなたまで共に歩むのいい…
10 21/09/30(木)17:55:39 No.851341497
あまり売れなかったって設定だけど買われた先では幸せになってそうだよねエタニティ
11 21/09/30(木)17:57:38 No.851342022
わざわざエタニティ選んで買ったってことは一緒の棺桶入る気があったってことだろうしな…
12 21/09/30(木)18:01:10 No.851342981
土葬か火葬かわからんけど一緒に心中する機能は擁護できねえ…
13 21/09/30(木)18:02:56 No.851343453
エニウェアシリーズだから技能的な部分では一切悪い話は聞かないね
14 21/09/30(木)18:21:44 No.851348745
俺が死んだ時にはポピーちゃんと一緒に埋めて墓守りはロクくんに頼みたい…
15 21/09/30(木)18:39:47 No.851354060
>俺が死んだ時にはポピーちゃんと一緒に埋めて墓守りはロクくんに頼みたい… めちゃくちゃ贅沢だな!