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  • ウマ娘... のスレッド詳細

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    21/09/30(木)00:04:27 No.851157670

    ウマ娘とは常に適切な距離感を心掛けるように、と何度も繰り返し教わっている。 トレーナーライセンスの教本には必ずこの一文の記述が有り、新人研修でも聞き飽きるほどに習った。 当然だとは思う。多感な思春期の少女達と接していくのだから、彼女達と向き合っていく上では常に距離感を意識していかなければならない。 ──だが、そんな教えを無視してでも。この子は放って置けないと、俺は思ってしまった。 「一人で走って……一人で、勝つの」 ストイックな強さと、そして儚さがある。 それがアドマイヤベガというウマ娘に対して抱いた印象だった。

    1 21/09/30(木)00:05:07 No.851157908

    「……レーナー? トレーナー? どうしたの?」 肩を揺すられて我に帰る。頭上には満点の星空。隣には肩を寄せて座るベガ。足元は河川敷の芝生。彼女と共に遠出して天体観測に来ていたのだが、少しセンチな気分になってしまっていたようだ。 「あ……いや、ごめん。ちょっと、昔の事思い返してた。君と、出会ったばかりの頃の」 「そう……くしゅっ」 思い出話に花を咲かせるか──なんて思っていたら、微風が吹いて、ベガが小さなくしゃみを一つした。 昼はまだ少し暑いが、夜は少し肌寒い。そんな夏と秋の中間のような時期。彼女が風邪を引いてはいけないと、俺はジャケットを脱いで彼女に羽織らせる。 「……ありがとう」 縮こまるように、そして自分を抱き締めるようにジャケットを羽織るベガ。その様子を見て、改めて実感する。 この三年間を通じて、何とか彼女と適切な距離感を作ることが出来たな、と。 あの頃の彼女なら多分上着を受け取ってくれなかっただろうし、余計なことをしないで──なんて怒られていたかもしれない。

    2 21/09/30(木)00:05:51 No.851158174

    適切な距離感久しぶりに見た

    3 21/09/30(木)00:05:52 No.851158181

    「そうね……あなたは、ずっと前から不器用で、お節介だった」 「君が心配だったんだ」 ──君が一人で勝つなら、俺は一人で君を勝たせる! そんな勢い任せのことを言って白い目を向けられたり。それでも彼女がオーバーワークとならないように見守っていたり。寝る間も削ってトレーニングプランを組んだり。あの頃はとにかくがむしゃらだった気がする。 「それに……かなりしつこかった。私、そんなに弱そうに見えた?」 「いや、それは違う! そうじゃなくて!」 慌てて弁明する俺を前に、くすり、とベガは小さな笑みを一つ。ただ単に揶揄われていただけだと気付き、肩を下ろす。 「ふふ、そうね……あなたは、私のトレーナーだもの」 「……ああ」 そして彼女は目を閉じて、俺の肩に頭を預けた。すぐ側に感じる体温と重み。これ即ち信頼に他ならず、適切な距離感を築けている証拠に違いないだろう。

    4 21/09/30(木)00:06:31 No.851158401

    アドマイヤベガのトレーナーになる。 それはつまり、彼女の人生の一部を共に背負うということ。例え彼女が如何なる使命を背負っていようと、如何に彼女に鬱陶しがられようと、守ろうと決めたのだ。 ……皐月賞前に体調管理に失敗したり、時にはあわや引退かと疑われる程の故障をしかけたり。 あんまり、スマートには出来なかったけど。 「……トレーナー。一つ、聞かせて?」 「うん?」   それでも、彼女と俺はここにいる。 引退する事もなく、世紀末覇王や怒涛と鎬を削り、上の世代とも火花を散らす日々を過ごしている。 そして、合間合間の休みにこうやって遠出して、一緒に星を観ることが出来ている。 結果良ければ全て良し──と呼ぶには、些か早いけれど、適切な距離感で歩めているのは間違いない筈だ。

    5 21/09/30(木)00:06:51 No.851158527

    星を眺めながらしみじみと頷く俺に、ベガが一つ問い掛ける。 「あの時、あなたはトレーナーとして私に連れ添ってくれた……なら、今ここで一緒にいてくれるのはどうして?」 「それは……君が誘ってくれたから」 「トレーナーとして? まだ私が心配だから?」 「……ああ、いや……」 どう答えるべきか、少し悩む。今のベガにあの頃のような危うさは無い。それでもこうして付き添って、外泊届けまで出して遠出している理由。 それは── 「……笑わないで欲しいんだけど」 「ええ」 「何というか……怖かったんだ。ベガが、目を離したらあの星の向こうに行ってしまいそうな気がして……」

    6 21/09/30(木)00:07:12 No.851158642

    勿論、そんな事は有り得ない。自分がとても臭いことを言っている自覚もある。 今のアドマイヤベガというウマ娘に、あの頃のような、自壊してしまいそうな脆さは無い。 それでも時々、夢を見てしまう。 使命を果たして、あの星空の向こうに溶けるように消えていく彼女の姿を。 「……それ。オペラオーの真似?」 「……だから、あんまり言いたくなかったんだ」 ──はーっはっはっは! なんて、どこかで聞いたような高笑いが聞こえた気がした。

    7 21/09/30(木)00:07:30 No.851158748

    頬に感じる羞恥の熱が、秋の夜風で冷めるのを待つ。お互いに言葉もなく、星を眺めていると、ぽつりとベガが口を開いた。 「……じゃあ、しっかり捕まえておかないとね?」 「え?」 「こんな上着一枚じゃ、もしかしたら飛んでいってしまうかも」 微かに肩に感じる身動ぎ。 どうするべきか少し悩んで──ベガの肩に、手を回す。 「……ふふ」 よく出来ました、と言わんばかりに俺の胸に顔を埋める彼女。 やっぱり思春期の女の子は難しいな──と思いつつ、これからも適切な距離感を保てるように気を付けようと、彼女の温もりを抱き締めた。

    8 21/09/30(木)00:08:03 [s] No.851158959

    こんな感じでアヤべさんと適切な距離感を保ちながらしみじみと天体観測したかった

    9 21/09/30(木)00:08:51 No.851159250

    これはアヤベさんに対しての距離感としてはとても適切

    10 21/09/30(木)00:09:16 No.851159421

    本当に適切な距離なの初めて観た

    11 21/09/30(木)00:10:43 No.851160004

    いい…

    12 21/09/30(木)00:11:41 No.851160384

    適切な距離感で距離保ててるの初めて見た

    13 21/09/30(木)00:12:08 No.851160551

    いいねぇ…

    14 21/09/30(木)00:13:10 No.851160927

    この後理事長から距離感を見誤ったペアがいないか見張るのを頼まれて色んなデートスポット巡ったりするやつ

    15 21/09/30(木)00:14:01 No.851161223

    はーっはっはっはっはっ! ……そうだよ!こういうので良いんだよ! ボクらは学生なのだから!

    16 21/09/30(木)00:16:43 No.851162117

    いいよね顔を埋めてる時表情は見えないけど尻尾でわかっちゃうの.....

    17 21/09/30(木)00:16:53 No.851162186

    学生と抱き合うのは適切かな……?

    18 21/09/30(木)00:17:37 No.851162437

    >はーっはっはっはっはっ! >……そうだよ!こういうので良いんだよ! >ボクらは学生なのだから! でも覇王の世代は爛れてるっていうし…

    19 21/09/30(木)00:18:29 No.851162749

    いい…

    20 21/09/30(木)00:19:21 No.851163047

    スケベなアヤベさんに慣れすぎて感覚麻痺してるけど抱きしめるのは適切な距離感なのか…?

    21 21/09/30(木)00:21:32 No.851163838

    最悪メンコ使えば適切な距離感保ててるって先輩がいってた

    22 21/09/30(木)00:21:44 No.851163897

    >スケベなアヤベさんに慣れすぎて感覚麻痺してるけど抱きしめるのは適切な距離感なのか…? 親愛のハグは適切な距離デース!

    23 21/09/30(木)00:27:16 No.851165879

    >いいよね顔を埋めてる時表情は見えないけど尻尾でわかっちゃうの..... とくんとくんと、お互いの鼓動が感じ取れる距離。夜空の星々と、二人の心臓の音だけが時間の経過を教えてくれる場所。 いつまでも心地良さに身を任せたくなるけど、瞼も少しずつ重くなってきた頃に。 「ベガ、そろそろ……ベガ?」 そろそろ行こうか、なんて声をかけようとしたら胸元から聴こえてくる微かな寝息。 少しばかりズルいなぁ、なんて思いながら彼女を起こさないように抱き上げて。 するりと、太腿を撫でるように彼女の尻尾が滑っていく。 「……俺も、どこにもいかないよ」 身を寄せて抱き合っている時も、足を彼女の尻尾が撫でているのは感じていた。 ウマ娘の感情は耳と尻尾に現れやすいが、ベガは隠すのが上手な方だ。 それをこうして曝け出してくれているのは──きっと、適切な距離感が保てている証拠なのだろう。

    24 21/09/30(木)00:29:05 No.851166477

    妄想してた上着かけてあげるシチュが文になってるありがたい...

    25 21/09/30(木)00:29:18 No.851166559

    いい...ありがとう...

    26 21/09/30(木)00:31:14 [s] No.851167171

    結構前に投げたアヤべさんと適切な距離で過ごすやつの前日譚的なのが書きたかったけど気付いたら天体観測してた

    27 21/09/30(木)00:32:28 No.851167565

    二人で外泊は適切……?

    28 21/09/30(木)00:32:51 No.851167678

    アヤベさんとは何回でも一緒に星空を眺めていいからな....

    29 21/09/30(木)00:33:53 No.851168015

    寝ちゃったのを起こすのも忍びないからね....

    30 21/09/30(木)00:38:55 No.851169593

    まあ結局この後デートスポット巡りしたり通い妻したりするようになるわけだが…

    31 21/09/30(木)00:40:13 No.851170011

    この二人はぴっとりくっついて同衾してそうでとても好き

    32 21/09/30(木)00:41:59 No.851170533

    良かったクソボケクロスも鴨葱も無く本当に幸せそうなちょっと不健全(教え子と教師)なカップルだ....末長く爆発しろ