ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/09/28(火)21:19:22 No.850767600
「昔、喫茶店でバイトをしていたんだよ」 何気ない雑談のとっかかりとして提供されたそんな言葉に私は口元に運ぼうとしていたカップをぴたりと止めた。 今は休憩中だから、そう言ってだらしなく足を組んでソファにもたれかかっている姿は清潔そうな身なりとやけにミスマッチだ。 先日契約を結んだばかりの私のトレーナーは片手で器用に読み進めていた文庫本をパタンと閉じると、整えられた眉を持ち上げて微笑んだ。 「喫茶店で、ですか」 「うん。 うちはあんまり裕福では無くてね。 遊ぶ金はおろか生活費もおぼつかないもんだから、大学行ってる最中は近くの喫茶店で働き詰めだった。 結構人気のあるところだったよ、ランチ時はかなり忙しかったっけな」 そう言って目を細めるのは昔のことを懐かしんでいるのだろうか。 しかし、だからと言って返せるのは相槌程度だ、詳しく口を挟めるほど、喫茶店の業務に詳しいわけではない。 「普段は、キッチン担当だった、オムライスとか、パンケーキとか。 手が足りない時にはコーヒーや紅茶も淹れたっけ。 こう言うの興味ありそうだなって」
1 21/09/28(火)21:20:29 No.850768093
チラリとこちらを探るような目で見るのは、交友を深めるためのヒントを探っているんだろうな、と思う。 実際私は、『コーヒーを淹れる』というところに少しばかり興味を惹かれていた。 「お上手なんですか? お料理とか」 「まぁそれなりに作ったから、メニューに載ってたものならね。 もちろんコーヒーも、店主に出してもいいって言われる程度のものは淹れられたよ」 少しばかり遠回りに尋ねるつもりがそのまま答えを与えられてしまう。 この手の雑談が、トレーナーさんは得意らしい。 ……私とは大違いだ。 「だからもし良ければ、カフェがこの前ご馳走してくれたコーヒーのお返しでも、と思ってね。 もし良ければ今度持ってこようか」 「……えぇ、お願いします」 いささか以上に興味があったので、素直に頷くことにした、契約したトレーナーが、偶然珈琲に関して詳しい人であったと言うのは、私としては嬉しい誤算だった。 話題の種にもなるし、同好の士が増えると言うのは悪いことではなし。 そのコーヒーがどんなものなのかはわからないけれど、少しばかり楽しみにしながら、立ち上がる、休憩は終わり、トレーニングの時間だ。
2 21/09/28(火)21:21:56 No.850768799
そんな話をした翌日、トレーナーさんはなにやらカバンを持ち込んで、中からひと抱えはありそうな道具をテーブルの上に置いた。 それにどういうわけか、ソムリエエプロンまで巻き付けている、色々と本気だ…… 「それは」 「コーヒーを淹れる道具さ」 それは、知っていたけど思ったより本格的だった。 備え付けられた簡単なコンロで程よく温められたケトルから、湯気たつ熱湯がドリッパーに注がれていく。 真剣な横顔をぼんやりと眺めていると、いつの間にか終わっていたらしくカップいっぱいぶんのコーヒーが差し出された。 「さぁ、どうぞ」 「……いただきます」 カップを手に取り、まずは、一口。 ……おいしい。
3 21/09/28(火)21:23:10 No.850769342
「これは、どんな豆を使ったんですか」 「店長から教えてもらったブレンドだよ。 今度、教えてあげる」 「なるほど……」 奥深い風味を堪能しながら、トレーナーのコーヒーを味わう……本当に、美味しい。 「気に入ってくれたようで、よかったよ。 カフェが良ければ、たまに淹れてあげようか」 「いいんですか?」 「ささやかなご褒美ということで、どうだろうか」 ニコリと笑う姿に、少しだけ、胸がときめいた。 こんな素敵なご褒美があるのなら、トレーニングだって、頑張れる。 「はい、ぜひお願いしますね」 そう返して、またコーヒーを一口、さっきより、少し甘やかな味がする気がした。
4 21/09/28(火)21:24:13 No.850769783
ぎこちなく距離を縮めていき最終的に夫婦になる少し大人なトレーナーとカフェの純愛物語を見たかった 書きたいものは書いたので失礼する
5 21/09/28(火)21:24:27 No.850769894
いい…
6 21/09/28(火)21:25:40 No.850770412
待ってくれ置いていかないでくれ お前なら全ての過程を書けるはずだ
7 21/09/28(火)21:26:03 No.850770566
オイ待てぇ ちゃんと夫婦になるところまで書いていけぇ
8 21/09/28(火)21:27:54 No.850771384
見せたからには生産者としての責任があると思うんですよええ
9 21/09/28(火)21:31:13 No.850772837
シンプルにカフェの男性感が破壊されるとしたら同好の士というのはいいな
10 21/09/28(火)21:31:44 No.850773099
いや今日は失礼してもいいぞ その代わり続き書いてくれ!
11 21/09/28(火)21:32:16 No.850773350
欲を言うならこういうイケメンになりたかった…
12 21/09/28(火)21:32:17 No.850773365
このまま終わったら予後不良になっちゃう…
13 21/09/28(火)21:35:01 No.850774636
こういう真面目で大人なトレーナーがこう言う趣味事の時だけやたらエプロンとか時間とかにこだわって味の感想に一喜一憂する子供っぽいところを見せてカフェがキュンとくると素敵だと思います
14 21/09/28(火)21:35:30 No.850774888
純愛路線はただでさえ貴重なのでスレ「」の様な戦士が不可欠なんだ
15 21/09/28(火)21:36:18 No.850775265
引退後は二人で小さな喫茶店を開くんだ……
16 21/09/28(火)21:38:33 No.850776351
お互いにコーヒー淹れてどっちが美味しいで意地になるといいな
17 21/09/28(火)21:39:34 No.850776824
将来が決まっているという安定感がいいよね 本当にいい…
18 21/09/28(火)21:40:18 No.850777212
劇的なドラマがある訳でもなくてじっくりと1歩ずつ育んでいく純愛好き
19 21/09/28(火)21:40:51 No.850777455
カフェには猫みたいにゴロゴロ甘えてきて欲しいんですよ
20 21/09/28(火)21:41:40 No.850777848
どの豆がいいか専門店デートして 結婚式のお返しが2人で選んだオリジナルブランドのコーヒーとかどうですか
21 21/09/28(火)21:42:36 No.850778298
>引退後は二人で小さな喫茶店を開くんだ…… 純愛の末の喫茶店で純喫茶というわけか
22 21/09/28(火)21:44:37 No.850779321
MAXコーヒーよりも甘い恋をしたい
23 21/09/28(火)21:46:25 No.850780161
カフェにはゆったりと歩む純愛が似合う
24 21/09/28(火)21:50:12 No.850781849
いいですよね思春期の少女に劇薬の大人ぶつけるの
25 21/09/28(火)21:51:07 No.850782285
続きは明日でいいぞ 毎日頼む
26 21/09/28(火)21:54:34 No.850783997
夫婦になるまで書くなら卒業後のぴょいも夫婦生活ですので見れますよね
27 21/09/28(火)21:55:24 No.850784364
コーヒーを入れる姿勢を正そうと知らずしらずのうちに密着して…みたいな展開見たい!
28 21/09/28(火)21:55:48 No.850784547
い?」 「はい」 台所に立つトレーナーさんの問いかけに、私は素直に頷いた。 先日のメイクデビュー戦で1着を勝ち取った私に、トレーナーさんは大いに喜んでくれた。 普段物静かなトレーナーさんが、ああも声を高らかに褒め称えてくれたものだから、調子に乗って、私はご褒美をおねだりした。 「楽しみにしていますね」 「ご満足いただければいいんだけど」 トレーナーさんが、バイト時代に作っていた、パンケーキ、それが食べてみたい。 そう言ってみると、そんなことでいいのか?と尋ねられたけれど、それがいいんです、と言うと彼は不思議そうに頷いた。
29 21/09/28(火)21:56:22 No.850784807
「お待たせしました、パンケーキと、ブレンドコーヒーです」 「!」 完成したそれがテーブルの上に置かれて、思わず目を見開いた。 ふわりと柔らかそうで、小さなパンケーキが重ね合わせながらさらに横たわって、その上に丸く飾られたアイスクリーム。 ベリージャムも添えられて、想像していたよりずっとおしゃれで可愛らしい出来栄えのパンケーキがそこにあった。 そして、その傍らの、欠かせないコーヒーも。 「……素敵です」 「それはよかった、昨日感覚を取り戻すために練習したんだよ」 「ありがとうございます、いただきます」 待ちきれなくて、たまらずフォークを動かした。 ふわふわのパンケーキを一口分に切り取って、ぱくり。 予想通り、天使のように甘くて雲のように柔らかくて、美味しい。
30 21/09/28(火)21:57:39 No.850785421
夢中になって堪能していると、それを嬉しそうに眺めているトレーナーさんの顔に気がついた。 「じっとみて、どうしたんですか……?」 「ん? 美味しそうに食べてもらえると、作った側としてはたまらなく嬉しい、つい、ね」 その気持ちはわかる、私も、トレーナーさんに私のコーヒーを美味しそうに頂いてもらえると、胸の中が、暖かくなるから。 「ごちそうさまでした」 「お粗末様でした」 かけらひとつ残さず完食して手を合わせると、トレーナーさんはその皿をさっと回収して、流し台に運んでいく。 ざぷざぷと洗い物をするトレーナーさんに、私は思わず声をかけた。 「このまま勝ちを重ねて、トレーナーさんの得意料理を網羅しちゃいますからね」 「楽しみにしてるよ、カフェ」
31 21/09/28(火)22:00:55 No.850786965
良い…
32 21/09/28(火)22:01:10 No.850787097
なんとか引き出せた 明日は少し曇らせたいので失礼する
33 21/09/28(火)22:01:16 No.850787154
浄化される…
34 21/09/28(火)22:01:52 No.850787429
女子高生のささやかな願いを完璧に叶えやがって…
35 21/09/28(火)22:02:10 No.850787559
案外甘いもの好きなのもカフェの女の子っぽい一面な感じでいいねえ…
36 21/09/28(火)22:02:12 No.850787571
(最初の方コピペミスって切れてるよ…)
37 21/09/28(火)22:02:43 No.850787805
>明日は少し曇らせたいので失礼する !?
38 21/09/28(火)22:03:13 No.850788037
>(最初の方コピペミスって切れてるよ…) 一瞬そう思ったけど文末の方にトレーナーのセリフをカフェの独白で書いてるからわざとじゃねぇさな
39 21/09/28(火)22:04:15 No.850788519
そうだったのか…
40 21/09/28(火)22:05:23 No.850789120
>(最初の方コピペミスって切れてるよ…) ウワーッ!!!!! これを忘れてた 「飲み物はいつものでいいかい?」 「はい」 初めて淹れてもらって以来、たびたびトレーナーさんのコーヒーを口にする機会があった。 回数を重ねるたびに、コツを思い出したと言いながら私好みの味わいになっていくブレンドコーヒー、今では大好きな、私だけの味だ。 くつくつとお湯の忍び笑いと、フライパンとかえしが重なる小さな金属音が響く中、初めて招いていただいたトレーナーさんの自室のソファで。 なんだか落ち着かない気持ちをグッと抑え込みながら、完成を待つ。 まだ、まだだろうか。
41 21/09/28(火)22:06:12 No.850789502
>明日は少し曇らせたいので失礼する むっ
42 21/09/28(火)22:08:46 No.850790706
28の冒頭の途切れてる会話は消して、40、28、29、30の順で読んでください 本当に失礼した失礼する
43 21/09/28(火)22:14:49 No.850793469
おい待てぇ 曇らせてもいいけど最後は幸せにしろ
44 21/09/28(火)22:16:14 No.850794142
苦味とコクがあるから甘いスイーツがより一層引き立つんだ