ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/09/28(火)02:40:20 No.850549504
祖母の部屋には仏間があった。祖母はいつも背を丸めて仏間の前に座りずっと念仏のようなものを小声で呟いていた。幼い私はそんな祖母を気味悪く思い部屋には近づかなかった。 ある時、ふと目線を祖母の部屋に向けるとふすまが閉じ切っていなかった。その隙間から冷たい風が吹いてきたような覚えがある。なんとなしに怖気を感じ閉じようとしてふすまに近づくと中の様子がちらと伺えた。仏間の前に祖母がいない。 はじめての事だった。飯の時間以外は常に仏間の前にいて厠に立つ姿すら見た事ないというのに。気づけば私は祖母の部屋に足を踏み入れていた。仏間以外なにもない。祖母は本当にこの部屋で寝起きしているのだろうか。辺りを見回し、そして仏間に視線が戻り、気づいた。仏間の裏は壁ではなくふすまだった。この部屋の先にもうひとつ部屋がある。それに気づくとにわかに鳥肌が立ち、額から汗が吹き出すのが分かった。だが体が、まるで自分のものではないように、勝手に動き出したような気がした。 右足で一歩、左足で一歩、前に歩く、ふすまに近づく。嫌だ、怖いのに、見たくないのに。 ふすまに右手がかかる。手に力など入れてないのに、ふすまがすーっと
1 21/09/28(火)02:40:30 No.850549530
「けおおおおおおおおおおお！！！」 何かが私の頭の上をかすめ、ふすまが勢いよく破れ倒れる。突然の事に呆然としていると、知らぬ男が部屋にずかずかと入ってきた。 「ここが呪われた家屋ですか。カブキレーダーに反応あり！この気配は本物のヤベー怪異だぜ！先にピンポンパン君を投げ込んでおいて正解だったな。おーい、生きてるなら返事しなさい！しんでる、だが予備のパラダイス君はたくさんあるんだなぁこれが！」 しばらくすると奥の部屋から悍ましい姿の化物が出てきて開口一番、 「本当に勘弁してください」 男に向けて許しを請うた。 「これじゃパニック君の歌舞伎の稽古になりませんね。一緒に私の家に来なさい！」 そう言って化け物を連れて帰っていった。 それ以来、祖母は明るく社交的になった。私と一緒に買い物に出かける事が増え、私の両親も笑顔が増えた気がする。 歌舞伎って凄い。幼心に私はそう思った。
2 21/09/28(火)02:51:52 No.850550750
梨園生まれのKさん いやHさん？
3 21/09/28(火)02:57:03 No.850551294
やはり梨園生まれって凄い俺はそう思った
4 21/09/28(火)03:00:57 No.850551684
>「本当に勘弁してください」 あまりにもシンプルすぎてダメだった
5 21/09/28(火)03:14:10 No.850552797
白みたいな語り口でしっかり赤だった……
6 21/09/28(火)03:25:06 No.850553639
Kさんじゃねーか！
7 21/09/28(火)03:30:58 No.850554043
元Sさん元Kさん現Hさん
8 21/09/28(火)03:38:53 No.850554553
激変する空気感