ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/09/27(月)23:18:45 No.850497461
かしゅっ、と。家事を終えた夕暮れ、早めの一杯を1人嗜むのは私セイウンスカイ。 「はあ、今日も疲れましたなあ」 なーんて、大したことはしていない。ただ生きているだけ。 およそまともに走れなくなって、無様に引退してから。外に出ることすら嫌になった。病院に行くのも億劫だったけど、ネットの診断によれば私はそれなりの鬱状態らしい。脳みそが変質して、策士を名乗るに値しないらしい。 全く笑える話だ。こんなふうに酒を飲んだって、私の思考は私のままなのに。 …まあ、それでも確かに。今の私は、ただはいずる肉塊が如し。そう断じられたなら、私はおそらく否定できない。 それくらいには。弱ってしまっているのだろう。 「…帰ったわよ、スカイさん」 何度も繰り返した思考を切り払うように、玄関から音がした。 「…おかえり。お嬢様」 「お嬢様みたいな生活をしているのはあなたではないの？」 「キングには感謝してるよ」 「…もう」 どの言葉にも嘘偽りはない。私そのものが嘘偽りでない限りは。
1 21/09/27(月)23:19:07 No.850497602
キングと暮らし始めたのは、お互いに引退してすぐのことだ。キングは本当ならこんな道筋を歩むはずなかったのは知っている。 私みたいな臆病者と違って、キングは自分のトレーナーさんへの想いを前々から私に語っていたから。 恋愛相談をする相手が恋心を掠め取るというのは定番かもしれないが、何も同性がそんなことをしなくてもいいのにな。自分で自分に苦笑いせざるを得ない。 「…ごちそうさま、スカイさん」 「ん。お粗末様でした」 キッチンに向かい自らの皿洗いを始めるキング。今日はいいことがあったのか、少し鼻歌混じりのキング。尻尾がゆらゆら、少し煽るように揺れているキング。 それを。 「…どうしたの、スカイさん…。…んっ」 ぎゅーっと、後ろから抱きしめる。 首を回して、唇を密やかに貪る。キングの唇はとても弾力があって柔らかい。 それは昔の私にとっては羨む対象だったかもしれないけど、今は劣情を煽るばかりだ。 「ねえ、キング」 囁いて、囁いて。 「なあに、スカイさん」 応えて、応じて。
2 21/09/27(月)23:20:34 No.850498135
「せっくす、しよ？」 答えを待つこともなく、私はお姫様の腰を溶かしていく。
3 21/09/27(月)23:31:11 No.850502264
キングを一本釣りしてる…
4 21/09/27(月)23:35:09 No.850503712
2人とも帰るとこは ここじゃないじゃねえかな…
5 21/09/27(月)23:42:36 No.850506425
良くないよ…沈むだけの関係だよ…
6 21/09/27(月)23:48:01 No.850508397
かつての戦友を見捨てられないキングいいよね…
7 21/09/27(月)23:49:30 No.850508942
グラスもスペもエルも励ましてくれるけど そうじゃなく、隣にいようとしてくれたのはキングだけだったのかな
8 21/09/27(月)23:54:27 No.850510857
キングは肯定も否定もせずそばに居てくれるんだ ズブズブなんだ
9 21/09/27(月)23:59:13 No.850512521
良くないよ…こんなんヒモと飼ってるOLよ…