21/09/25(土)00:00:52 闇の存... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1632495652521.jpg 21/09/25(土)00:00:52 No.849397444
闇の存在・魑魅魍魎が跋扈する近未来・日本。 人魔の間で太古より守られてきた「互いに不干渉」という暗黙のルールは、人が外道に堕してからは綻びを見せはじめ、人魔結託した犯罪組織や企業が暗躍、時代は混沌へと凋落していった。 しかし正道を歩まんとする人々も無力ではない。 時の政府は人の身で「魔」に対抗できる“忍のもの”たちからなる集団を組織し、人魔外道の悪に対抗したのだ。 人は彼らを 「対魔忍」と呼んだ──
1 21/09/25(土)00:01:04 No.849397509
東京湾上に浮かぶ廃棄都市"東京キングダム"。 桜島の半分ほどのこの人工島は、かつて政府の一大プロジェクト『東京キングダム・シティ』として建設され、第二の都心として期待されていた──しかし。 企業誘致の失敗と東京湾地下鉄の工事の大幅な遅れから交通の不便な海上の孤島と成り果て、十数年前に開発が全面中止、事実上捨てられた幻の都市となった。 そしていつからか密入国者や犯罪者、無政府主義者、魔界から流れたきた住人たちの住処となり、現在では享楽と退廃の一大スラムと化している。 そんな生暖かい湿気とともに性の香りが立ち込める人工都市、その繁華街に降り立つ少女── 「単独潜入任務だなんて随分久しぶりじゃない?ま、ちゃっちゃと終わらせちゃいましょう」 ──対魔忍がひとり、"雷撃の対魔忍"水城ゆきかぜであった。
2 21/09/25(土)00:01:26 No.849397611
東京キングダムで日々繰り広げられる闇組織間の抗争。 その中で勃興した振興組織のうち特に力のあるもの。誰が言いだすでもなく"四強"と呼ばれるようになる存在が生まれるが、当然それが抗争の終わりとなるわけではない。 その後も次々と新たな組織が生まれ、争い、廃れ、また生まれというサイクルを繰り返すわけである。 これを幾度となく繰り返し成長を遂げ、再びの"五強"もかくやと噂されるひとつの組織があった。 「新興宗教・拝暮教……その実体の調査ってことね」
3 21/09/25(土)00:02:04 No.849397814
拝暮教。 我らがおはします"王"の威光を以て人々を、ひいては世界を救済していく──信奉対象が魔界ではない、異世界の"魔王"と呼ばれる存在であるらしいことを除けばごくありふれた新興宗教のようだった。 そんな組織がにわかに注目を浴びることになったのは、異様なまでに早い拡大速度からであった。 このような時代、敵対する組織同士は武力によって鎬を削りあうことが当たり前になっている。 そのようななかで、拝暮教と敵対した組織はひとりの死傷者も出すことなく組織がそのまま拝暮教に取り込まれていく──文字通り「食らっている」と形容すべきかのような成長度合いだったのだ。 五車からも何人かの対魔忍を先鋒として実態調査を行わせたものの、結果はなしのつぶて。加えて「その対魔忍も"更生"し、新たに拝暮教に入信した」という噂が立つほどであった。 これを重くみた五車の上層部は、単独で戦略兵器レベルの破壊力をもつ対魔忍のホープ、ゆきかぜを潜入任務に送り出すことを決定した。
4 21/09/25(土)00:02:28 No.849397939
「怪しいっていう状況証拠はある。あとは私が自分の眼でそれを確認しさえすればブッ放して潰しちゃってオッケー、無ければ無いでそれでよし……うん、シンプルでいいわね」 そう言いながらゆきかぜは目的地にたどり着く。拝暮教本部の、向こうからは直接こちらを確認できないであろう死角から観察を行う。 「それにしても……凄い恰好ね……」 彼女の目に入るのは色とりどりのハイレグ水着に身を包んだ女性たち。水着以外には何も着けず、皆恥ずかしげもなく素足のまま歩き回っている。 露出度だけで言えば対魔忍の中にも彼女たちとタメを張れるようなスーツを着ているものもいないわけではない。 ただしそのような対魔忍も自分の体質だったり忍法に最適だからそういう恰好をしているだけで、好き好んでやっているわけではないのだ。多分。 ──なんて事だったり、そろそろお昼の時間だったな、ラーメンでも食べてくれば良かったかな、なんて事も考えてみたりした数刻後。 (明らかに外に集まってるわよね、アレ……)
5 21/09/25(土)00:02:49 No.849398058
本部の大きな扉から次々と出てくるハイレグ姿の信者。そのまま横に並ぶように整列し、誰一人戻ろうとする素振りはない。 そのうちの一人、手足をハイレグ水着と同じ素材の長手袋とストッキングで覆った女性─彼女たちより立場が上の信者なのだろうか─が号令をかける。 「魔王様!ハイグレ教の敬虔なる信徒たる我らハイグレ人間が本日もハイグ礼拝を行わせていただきます!」 『ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!』
6 21/09/25(土)00:03:11 No.849398175
「うわぁ……」 腰を屈め、両腕を股間の前で交差させ、屈めた腰を反らしながら腕を一気に引き上げる。 「ハイグレ」という奇妙な掛け声とともにポーズを繰り返す信者を目にし、思わず声が漏れる。 そんななか、彼女の視線はひとりの信者に注がれる。 「……ってアレ、ウチの生徒じゃないの!?」 見知った顔の同級生対魔忍であった。任務でも数度チームを組んだ記憶もある。見間違える筈もない。
7 21/09/25(土)00:03:27 No.849398251
その顔は”ハイグレ”の度に快楽に歪み、とても潜入任務のために嫌々やっているようにはとても見えない。 (ってなになになに!?あの子があんなエッチな顔するなんて……明らかに任務じゃないよねアレ!? でもあんな事喜んでやるような人でもないし……やっぱり裏があるってこと!?) 一瞬パニックになるゆきかぜだったが、その直後にあることに気付く。 (もしかして今、チャンスじゃない?) 多くの信者が"礼拝"とやらで外に出揃っている。即ち、建物には人はあまり残っていない。 信者と化した五車対魔忍というかたちで証拠は見つけたものの、無駄な死傷者を出して事を大きくしたくない。 とすれば、今が攻撃を加える一番のチャンスなのではないか?
8 21/09/25(土)00:03:43 No.849398334
そう考えて、ゆきかぜは対魔粒子を操り始め、彼女の得物・雷鎚トールハンマーがバチバチと音を立て始める。 正面の信者たちに怪我をさせず、建物だけを破壊しないといけない。誰かまだ中にいたらゴメンだけど。 そんなことを考えながら、落ち着いて照準を定める。そのままトリガーに手をかけ、雷遁のエネルギーを―――― 「そこまでだっ!水城ゆきかぜっ!!!」 背後からの声。どこかで聞いたようなそれに振り向いたゆきかぜは、本日二度目のパニックに陥った。 「ハイグレっ!ハイグレっ!」 「凜子、せんぱい……?」 そこにいたのは、紫のハイレグ水着に身を包んだ"斬鬼の対魔忍"秋山凜子であった。
9 21/09/25(土)00:04:08 No.849398474
「ああ。私だ、ゆきかぜ。 しかし私はもう"秋山凜子"などではない!今の私はハイグレ魔王様にお使えするハイグレ教信者、ハイグレ人間リンコだっ! ハイグレっ!ハイグレっ!ハイグレっ!」 思ってもみなかった人物の登場に混乱するゆきかぜ。 確かに秋山凜子は数日前に東京キングダムに向かったと聞いていたものの、拝暮教絡みの任務ではなかった筈だが…… 「元々の対魔忍の任務が終わったあと、ハイグレ人間になった五車学園の後輩を見かけてな。 確認のための尾行を行う途中で、その後輩に私もハイグレ人間の素晴らしさを教えていただいたんだ」 ハイグレ人間としては先輩後輩の立場も逆転してしまったのだがな、と付け加える。 「それに……何ですか、その刀……妖しく光って……」 「これか?これはな……ハイグレ魔王様の御力によって更なる進化を遂げた石切兼光だっ! いや、これはもう魔王様のものなのだから"兼光"などという過去の刀工の名前をいつまでも付けているのはおかしいな…… うむ、"石切魔王"とでも名付けておこうか!ハイグレっ!」 刀身全体が淡いピンク色に包まれた下品な刀を突きつけながら凜子は自慢げに語る。
10 21/09/25(土)00:04:29 No.849398585
ゆきかぜはそれを聞きながら考える。 ――本部の前で"礼拝"を続けている同級生はもちろん、目の前の秋山凜子もこのような事をする人間ではない。仮にできたとしても、自身の片割れとでも言えるような刀剣を汚すような発言をするわけがない。 ――この拝暮教とやらは洗脳や調教などの手段で外の人間を引きずり込むことに長けているのではないか?現在東京キングダムで任務にあたっている他の対魔忍にも危害が及んでいるのではないか? ――そうすると私一人では手に負えないかもしれない。ならば今一番にやるべき事は、この情報を五車へと伝えることではないか? ――今の今まで凜子先輩の気配は感じなかった。遠方から私の気配を感じ、空遁の術で自身を転移させてきたのだろう。なら………… 「凜子先輩、ごめんなさいっ!」 ゆきかぜは既にチャージが完了していた雷鎚・トールハンマーを凜子――を通り過ぎ上へと向けトリガーを引く。 空へと放たれたゆきかぜの雷遁は輝きを放ちながら周囲を包み、世界を白く染め上げた。
11 21/09/25(土)00:05:01 No.849398765
・・・ 水城ゆきかぜは、東京キングダム唯一の出入口、東京キングダムブリッジへと向かい裏路地を突き進んでいた。 秋山凜子の探知可能距離は半径1kmと聞く。空間転移は連続して使うにはインターバルが必要な筈。それまでに探知範囲を抜けられれば―――― 「残念だったな、ゆきかぜ」 足が止まる。目の前には、紫色とピンク色。 撒いた筈の秋山凜子がそこにいた。
12 21/09/25(土)00:05:26 No.849398904
「そんな……凜子先輩、もう……!?」 「『自分ひとりだと任務の達成は困難だと判断。加えて自身を対象にした空遁の術は体力を多く消費するから秋山凜子には連続使用は不可能。ならば今のうちに五車へと戻り情報共有を最優先、考えうる最大勢力で再度強襲をかける』……といった感じか? 未洗脳者にしては悪くない手だと褒めてやろう!特にゆきかぜ、私から逃げるため、貴様の雷遁をただ目くらましのためだけに使うといったその発想!なかなかのものだったぞっ! しかし!やはりゆきかぜ、貴様はまだまだ甘い!言ったはずだ!私はもはや"秋山凜子"などではなく"ハイグレ人間リンコ"なのだとっ! ハイグレ魔王様の加護により今の私は24時間の連続ハイグレにも耐えられる身!空間跳躍の連続使用など造作もない! ハイグレっ!ハイグレっ!ハイグレっ!ハイグレっ!」 一通りハイグレポーズをこなす凜子。ゆきかぜにはそれを黙って見ているしかなかった。
13 21/09/25(土)00:05:47 No.849399013
「さあ、追いかけっこは終わりにしようか」 そう言いながら凜子は構えを取る。その刀身は、今までのピンクの光に加え青白い光も重なりより輝きを放っていた。 「石切魔王に私の空遁とハイグレ魔王様の魔力を纏わせ。相手に防御不可能な洗脳太刀を浴びせる…… 名付けて……ハイグレ流秘奥義"胡蝶獄門"っ!! 水城ゆきかぜっ、覚悟!!!」 凜子が斬りかかる。彼女と相対することなんて想像したくもなかったが、幸い彼女の逸刀流は見知っている。何度も肩を並べその刀捌きを見ていたのだから。 (落ち着け、水城ゆきかぜ……!大丈夫だからっ……!) 得物に対魔粒子を込めながら、トールハンマーで斬撃を受け止める。 そのまま後ろへ飛びその斬撃を受け流し凜子の足元に向かって雷遁を炸裂、殺すことなく足止めを――――
14 21/09/25(土)00:06:05 No.849399099
――ビリッ 「……え?」 背後に感じる痺れ。自分の中に染み入るような、根本から何かが変わっていくかのような、そんな感覚。痛いというよりも……気持ちいい? 辛うじて振り向いた目に入るのは、桃色の光。 「あべべべべべべべべべべべべべっ!?」 背中の疼きがより一層強くなり、身体の中心から末端に向かって広がり始める。 「べべべべべべべべべべべべべべべっっ!?!!?」 行き場を探すその光は、四肢を大の字に広げ、声として、汗として、愛液として放出される。 「いいいいいいいいいいいいいいっ!!?!!?!?!?」 身体の表面に至った快楽が、対魔忍スーツを弾き飛ばしあるべきカタチへと形成されていく。 「あああああああああああ!!!!………………はいぐれっ!!?!?!??!?!?」 そして数秒の後、光が消えたその場にいたのは―――― 「はい……ぐれっ……はいぐれっ……はいぐれっ……」 ハイレグ水着に身を包み、弱々しい声をあげながら奇妙なポーズを繰り返す水城ゆきかぜの姿であった。
15 21/09/25(土)00:06:58 No.849399392
出力が足りなかったか、などと言いながら刀を下ろす凜子。もはや決着はついてしまったのだ。 「はいぐれっ……はいぐれっ……そんな、どうして……」 「まあ、簡単に言えばオトリだよ。ゆきかぜなら私の太刀筋も捌ききってしまうのではないかという不安もあったからな。 純粋な魔王様の魔力を二太刀目として私との鍔迫り合いの間に背後から斬りかかる。 名付けてハイグレ流"虚空斬"!ハイグレっ!」 「凜子先輩……は……いぐれっ……そんな卑怯な手を使うような人じゃ……はいぐれっ」
16 21/09/25(土)00:07:09 No.849399445
「卑怯だと……?ああ、"昔の"私だと同じことを言っただろうな。 逸刀流剣士やら対魔忍としての誇りがどうこうとか……だがっ!今の私にとってはそんなものよりもっ!魔王様の理想とする世界を実現させるほうが何倍も大切だ! そのためならば誇りなんて無駄なもの、すぐにでも切り捨てようじゃないか!ハイグレっ!ハイグレっ! さて……このまま貴様の洗脳が終わるまで待つこともできるのだが、生憎そんな時間もない。なにせ定期のハイグ礼拝の時間を犠牲にしてお前の相手をしていたわけだからな!ハイグレっ! ……という訳で、さよならだ。対魔忍・水城ゆきかぜ」 凜子は再び刀を構えなおす。その刀身は、より一層派手派手しい色に光りはじめる。 「ハイグレ流・"胡蝶獄門"!!!」
17 21/09/25(土)00:07:29 No.849399553
「そして……………… 誕生日おめでとう、ハイグレ人間ユキカゼ」 「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ人間ユキカゼ、転向完了いたしました! 愚かにもハイグレに背いた私を洗脳してくださり心より感謝いたします!ハイグレ人間リンコ先輩!」 「ああ。私も君と再び仲間になれて嬉しいよ、ハイグレ人間ユキカゼ。 では、二人でハイグ礼拝の遅れを取り戻そうじゃないか!魔王様への感謝と支配への祈りを込めたハイグレはまた格別だぞっ!」 「ハイグレ!わかりました、ハイグレ人間リンコ先輩!」 「「ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!ハイグレ!」」
18 21/09/25(土)00:08:02 No.849399726
・・・ 水城ゆきかぜの任務失敗と、それと同時に発生した秋山凜子の失踪。 二人の若きホープに対する事態を受けた五車上層部は、五車学園教員を含めた大規模な斥候部隊の編成し、近日中に東京キングダムに向かわせることを決定した。 ――五車の里に拝暮教の教えが広がり渡るのも、そう遠くはないのだろう。
19 21/09/25(土)00:08:29 No.849399882
おわり スレ画はR子なのにメインはY豚なのをゆるしてくれるだろうかゆるしてくれるねありがとうグッドハイグレ
20 21/09/25(土)00:08:44 No.849399982
グッドハイグレ
21 21/09/25(土)00:09:37 No.849400264
GOODッ!
22 21/09/25(土)00:10:04 No.849400402
>誕生日おめでとう もしかしてこれが言いたかっただけなのでは?
23 21/09/25(土)00:10:30 No.849400559
衣装あんまり変わってなくない?
24 21/09/25(土)00:10:33 No.849400582
>>誕生日おめでとう >もしかしてこれが言いたかっただけなのでは? はい
25 21/09/25(土)00:11:05 No.849400734
>>>誕生日おめでとう >>もしかしてこれが言いたかっただけなのでは? >はい ぐれ
26 21/09/25(土)00:11:29 No.849400852
ハイグレ!
27 21/09/25(土)00:13:48 No.849401635
偉そうなハイグレ人間リンコ先輩も自分を洗脳した相手の前ではすごい素直なんだよね
28 21/09/25(土)00:15:59 No.849402376
対魔忍ってこんな舞台だったんだ
29 21/09/25(土)00:19:35 No.849403661
洗脳されたら名前がカタカナ表記になるのいいよね
30 21/09/25(土)00:26:39 No.849405950
ハイグレ人間になってただの雑兵になるのもいいけどパワーアップしてるのもいいよね
31 21/09/25(土)00:30:58 No.849407337
おてきすと… fu372677.txt
32 21/09/25(土)00:33:22 No.849408096
ありがたい…