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21/09/24(金)03:33:46 No.849081428
夕方に立てて1レスくらいで沈んだドイツの昔話を再放送 1800年頃のことコペンハーゲンの王への使者がデンマークを旅していた 使者の紳士は夜遅くに近くの丘の上にきれいな小城の見える村に着いた 紳士が宿を訪れると明日処刑があるので首切り役人たちで満室だった そこで紳士は「それではあの城に泊めてもらうことにしよう」と言った すると宿の亭主はこう言った 「お城の鍵は私が預っていますしお城にはベッドもお部屋もございます でもおやめになったほうがよろしいかと存じます 三か月前にお殿様が奥方と若様を連れて旅に出てから妖怪が出るのです 執事も召使もお城から逃げ出して誰も二度と行こうといたしません」 紳士は剛胆な人だったので鍵を受け取ると従僕を連れて城へ出かけた 城で紳士はテーブルの燭台に火をつけ弾を込めた二挺の拳銃を置いて待った 真夜中に教会の塔の鐘が12時を打ったとき扉を強く三度叩く音がした つづく
1 21/09/24(金)03:34:45 No.849081509
戸口に毛むくじゃらで30センチの鼻を持ち歯を剥き出した化け物が現れた 化け物は部屋に入ってくると身の毛のよだつような唸り声を上げて言った 「余はメフィストフォレス大王じゃ妻子に別れを告げてまいったろうな」 従僕は腰を抜かした 紳士は化け物に拳銃を向け「止まれ!さもないと撃つぞ!」と言い放った するとメフィストフォレスはゆっくりまわれ右をして立ち去ってゆく 紳士は片手に燭台を持つとゆっくり廊下を歩いてゆく妖怪の後をつけた 従僕は主人の後から夢中で飛び出すと村へいちもくさんに逃げて帰った 化け物は廊下で紳士の目の前から床に吸い込まれたように姿を消した 紳士が数歩前に進むと突然足下の床が消えて火の明かりの洩れる穴に落ちた 紳士は3メートルほど落ちて地下の穴蔵の干草の山の上に怪我もなく倒れた 6人のあやしい人間が火を取り囲んでおりメフィストフォレスもそこにいた あたりには妙な道具が転がっていてテーブルには銀貨が積み上げられていた つづく
2 21/09/24(金)03:35:45 No.849081594
この連中は妖怪などではなく人間の贋金づくりどもの一味だったのだ 一味は領主の留守をよいことに城にひそかに貨幣鋳造台を持ち込んだ おそらく城の中の事情に通じた領主の家来も手を貸していたに違いない そして妖怪騒動をでっちあげて城にやってくる者があると脅かしていた 紳士は暗い穴蔵に押し込められ一味は捕虜をどうしようかと相談した 「あいつを殺して穴に埋めてしまうのがよかろう」と言う声が聞こえた 旅の紳士は宿の亭主の忠告に耳を貸さなかった自分の無分別を後悔した しかし一味のひとりが「まずあいつが何者なのかを確かめよう」と言った そして紳士が貴族でありコペンハーゲンの王へ使いの旅の途中だと知った 「こいつはまずいぞ 宿の亭主の口からあいつが城へ行ったきり戻ってこないことがわかったら いきなり警官どもがやってきてここを手入れするに違いない 今年は麻の出来ばえもよく縛り首にする縄も安くてすむからなあ」 つづく
3 21/09/24(金)03:36:45 No.849081690
そこで一味は紳士に秘密を漏らさないと神に誓わせて釈放することにした 紳士は誓約にしたがって一味にコペンハーゲンでの宿を教えた そのあと紳士はワインをもらって明け方まで銀貨をつくるのを眺めていた 夜が明けると紳士は一味にもてなしの礼を言って別れを告げた そして拳銃と時計とパイプを置き忘れたことに気づかずに宿屋へ帰った 宿の亭主は「一晩中心配しましたよどんな具合でしたか」と言った けれども紳士は「誓約は誓約だから」と考えて何も言わなかった そのとき鐘を打ち鳴らす音がして処刑ショーが始まったのでみんなそっちに夢中でうやむやになった 二三週間たった頃コペンハーゲンの紳士の宿に郵便で小包が届いた 包みを解くと銀で象眼を施した拳銃二挺とダイヤを散りばめた金時計と金鎖のついたパイプが出てきた そして一通の短い手紙が入っていてこう書かれていた 「ヨウヤク万事片ヅキタリ 今ヤ余人ニ話スモ苦シカラズ」 それで紳士は人に話しまくった めでたしめでたし
4 21/09/24(金)03:38:55 No.849081875
コメントに困る…
5 21/09/24(金)03:40:36 No.849082022
最初は贋金マン達が痛い目にあう話かと思ったから事故に見せかけて殺しとけよって思ったけど思ったよりはお互いに義理堅いな… ワイン飲ませてくれて忘れ物もオマケ付きで返してくれるのはちょっとロマンがある
6 21/09/24(金)03:42:58 No.849082228
ドイツの昔話のくせにずっとデンマークの話してるな… あの辺ちゃんと覚えてないけど元々同じ国だったのかな
7 21/09/24(金)03:48:45 No.849082680
他にも話ない?
8 21/09/24(金)03:53:45 No.849083026
金の象嵌してある二丁拳銃とか家宝にしちゃうよ
9 21/09/24(金)03:55:23 No.849083126
この話の教訓は不正は見逃してこそ金になるということだな
10 21/09/24(金)03:56:54 No.849083209
>ドイツの昔話のくせにずっとデンマークの話してるな… 紳士がドイツの人に話したという設定なのでごめん ちなみに原文 https://www.projekt-gutenberg.org/hebel/hausfre1/chap066.html
11 21/09/24(金)04:04:01 No.849083663
>そして一通の短い手紙が入っていてこう書かれていた >「ヨウヤク万事片ヅキタリ 今ヤ余人ニ話スモ苦シカラズ」 >それで紳士は人に話しまくった ダメだった
12 21/09/24(金)04:12:40 No.849084202
いい雰囲気の話だけど人に話しまくって贋金造りを内緒にしてたのがバレたらまずいのでは
13 21/09/24(金)04:15:01 No.849084360
>いい雰囲気の話だけど人に話しまくって贋金造りを内緒にしてたのがバレたらまずいのでは こういうのって被害者が訴え出ないといけない法律あるのかね
14 21/09/24(金)04:15:35 No.849084401
del
15 21/09/24(金)04:17:32 No.849084540
>1800年頃のこと うn >拳銃二挺 うn?
16 21/09/24(金)04:29:26 No.849085145
>うn? 拳銃の歴史は古いのだ
17 21/09/24(金)04:30:05 No.849085176
ちょっと前にフランスの下ネタの小話で立ててた「」?
18 21/09/24(金)04:35:24 No.849085429
贋金の証拠隠滅したからもう話していいよってことか
19 21/09/24(金)04:36:58 No.849085497
>>1800年頃のこと >うn だいたいナポレオン獅子の時代と同じ頃だ
20 21/09/24(金)04:49:11 No.849086068
>>ドイツの昔話のくせにずっとデンマークの話してるな… >紳士がドイツの人に話したという設定なのでごめん >ちなみに原文 >https://www.projekt-gutenberg.org/hebel/hausfre1/chap066.html スレ用にフランクな文体に変える前の文だと思って開いたらドイツ語出てきてびっくりしちゃった
21 21/09/24(金)05:13:21 No.849087088
訳して「」に反応もらうのは勉強のモチベ維持に良さそうだな
22 21/09/24(金)05:18:55 No.849087298
日本の昔話だって中国の話しとかあるしまあ普通だろう
23 21/09/24(金)05:19:39 No.849087322
あんまり期待せず読んだけど結構面白い話だった…
24 21/09/24(金)05:33:49 No.849087894
元は仕事する妖精系の話しだろうか 類型をたどるのも面白そうだけど学がまるでないので何をどうしたらいいのかわからない
25 21/09/24(金)05:53:26 No.849088610
>訳して「」に反応もらうのは勉強のモチベ維持に良さそうだな いや実は30年以上前に翻訳されてるんだ スレ用にフランクな文体に変えただけで八割方無断転載だごめん
26 21/09/24(金)05:55:42 No.849088705
またこういうのはオチのない話になるやつじゃん!と思ったら思いのほかまとまっていた
27 21/09/24(金)05:57:59 No.849088811
割と面白いな…
28 21/09/24(金)06:15:50 No.849089549
結構面白かった
29 21/09/24(金)06:48:32 No.849091423
面白かった 銃を向けられて帰るあたりからコメディだし この話が伝わってる理由もあっていい
30 21/09/24(金)06:55:42 No.849091908
日本で映画化するとして配役は東映の俳優かな?日活系俳優かな?大映か新東宝かもしれない
31 21/09/24(金)07:03:33 No.849093104
なんとも味のある昔話だ
32 21/09/24(金)07:21:51 No.849097118
妙にどっちも義理堅いな