21/09/23(木)14:44:44 連日の... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1632375884087.png 21/09/23(木)14:44:44 No.848830261
連日のコーチングや研究に疲れを感じ、有休をとって小旅行に出かけた。 存分に羽を伸ばし、気力の充実した状態で学園に戻った、その時の話である。 「……騒がしいな。イベントとかあったっけ?」 電車を乗り継ぎ、荷物の入ったナップザックを背負って校門をくぐってみると、そこではなにやらトレーナーやウマ娘らがやいやいと走り回っていた。 最初は理事長が思い付きで鬼ごっこでも初めたのかと思ったが、狂騒を聞き分けると悲鳴の割合がずいぶん多い。 「どうなってるんだ……」 騒ぎをすり抜けながら自分のトレーナー室を目指していると、自分の担当が三女神像の前でボーっと立っているのを見つけた。 「おーい、デジタルー」 「……あ、トレーナーさん」 声を掛けるとすぐに反応したが、やはりどこか眠そうというか、夢見心地である。 また夜遅くまであの薄っぺらい本の山と向き合っていたのだろうか。
1 21/09/23(木)14:45:06 No.848830367
「……明日までお休みじゃありませんでしたか」 「荷物片づけたりお土産配ったりしたかったからさ。デジタルにもあるよ、とりあえずキーホルダーと……」 「じゅるり」 聞きなれた涎を啜る音。 しかしそれはこの場に居ないウマ娘ちゃんたちに昂っているのではない。 「デジタル?」 「えへ、えへへぇ……」 爛々とした目線は真っすぐに自分のことを捕らえて、厭らしく歪んだ口から鋭い犬歯が飛び出しているのが見える。 「そっか、デジたんの為に帰ってきてくれたんですねぇ……」 「なんかニュアンスの伝達ミスがある気がする……」
2 21/09/23(木)14:45:29 No.848830487
「ああ、もう……辛抱たまらんいっただっきまーす!」 「のわぁ!?」 じりじりと距離を詰めたかと思いきや、一直線にこちらへ向かって飛びかかって来た。 何かよく分からない危機を感じ、万事休すかと思われたその時、 「危ない!」 「たわば!」 完全に正気を失った彼女に飛びつかれるその刹那、横から声と共に鮮やかなドロップキックが飛んでくる。 横やりをモロにくらったデジタルは爆散することなく隣の生垣に吹き飛ばされ、逆さに直立して風変りなオブジェと化した。 「き、桐生院さん!?」 「謝罪と説明は後で、とにかく今は安全な場所に!」 と手を引かれ、トレーナー室の方とは反対の食堂の方へと連れていかれたのだった。
3 21/09/23(木)14:45:52 No.848830615
「ミーク、私です。開けてください」 閉じたシャッターに向かって桐生院さんが囁くと、人一人分の隙間だけがさっと開いた。 「今のうちです、早く」 「は、はい」 なんとか這いつくばって中に入ると、窓も扉も閉め切ったホールにぱらぱらと学園のトレーナー達が集まっていた。 全員表情が暗く、すすり泣く声も聞こえてくる。 「一体何があったんですか?」 「……今朝のことです」 重苦しい表情で彼女が話してくれたのは、にわかには信じがたい話だった。 「今朝から、ウマ娘が担当のトレーナーを襲うようになったんです」 「襲う?」 「彼女たちはいつの間にか鋭くなった牙でトレーナーに噛みつき、血を吸います」 さっきのデジタルの様子を見ても、確かにうなづける節がある。 口元に牙のようなものが覗いていたのは見間違いではなかったらしい。
4 21/09/23(木)14:46:45 No.848830832
「まるで吸血鬼じゃないですか!じゃあ、吸われたトレーナーも吸血鬼とかゾンビに……」 「いえ、貧血で動けなくなった体を存分に弄ばれます」 「うわぁ、ダルい」 頭痛で頭がガンガンしているところを構われると思うだけで気分が悪くなりそうだ…… 「原因は……」 「おそらく三女神像です。さっきのデジタルさんの様子もそうでした」 「ああ……」 確かに彼女も三女神の像の前で立ち尽くしていた。 想いを受け継いで強くなるというジンクスがあるが、多分そこで吸血鬼の因子か何かを受け継いでしまったのだろう。 「HELLSINGでも読んだのかな三女神……」
5 21/09/23(木)14:46:58 No.848830894
「私はまた外に出て無事なトレーナーを探してきます。トレーナーさんは休んでてください」 「俺も手伝いますよ」 「ありがとうございます。ミーク、私はまた行ってくるから……ミーク?」 見張り番なのか、先ほどからシャッター前でぼーっとしているハッピーミークに声を掛ける。 しかしその反応はいつもに増して鈍く、先の出来事から嫌な予感が働いてしまう。 「桐生院さん、離れて!」 「ミーク……?」 「ぐぁー」 引きはがす間もなく、大きく口を開けたミークが桐生院さんの首筋にかぶりついた。
6 21/09/23(木)14:47:10 No.848830942
「あぁっ……そんな、どうして……」 流石に彼女と言えどウマ娘の力には抗えず、血を吸われてぐったりと倒れこむ。 そのままミークは彼女に背を向け、シャッターを解放してしまった。 扉の前で待機していた、飢えた吸血ウマ娘が殺到していく。 「やばい!シャッターが開いたぞ!」 「だからウマ娘は外に出しておこうって言ったんだ!」 「うわあああああああ!来るなオグリィィィィィ!」 阿鼻叫喚の食堂で腰を抜かしてしまった俺に、小さな影が掛かる。 「デジタル……」 「ふふふ……逃げるなんてつれないじゃないですか」 その手には小さな女神像が握られていて、俺は全てを察した。
7 21/09/23(木)14:47:22 No.848830984
「ポータブル女神像……」 「これさえあれば、世界中のウマ娘ちゃんたちにこの幸せを分け与えられるんですよ」 「……クソッ!」 せめて一矢報いようと女神像に手を伸ばすが、ウマ娘の瞬発力に敵うはずもなく組み伏せられた。 背負っていたナップザックも奪われ、乱暴に打ち捨てられて中身が散乱する。 背中側から首筋に生暖かい吐息が掛かり、俺の破滅を予感させた。 「……ちくしょう」 「んあー……❤」 ゆっくりと近づく死の気配。 しかし、 (あれは……!) 俺は視界の端に一筋の光明を見たのだ。
8 21/09/23(木)14:47:49 No.848831093
「うおおおっ!」 「にゃっ!?」 勢いよく体を伸ばし、散った荷物の中からそれをつかみ取る。 「い、今更抵抗したって……!」 「これでも喰らえ!」 蓋を取り、一粒ひっつかんで噛まれること覚悟で手ごと口の中に突っ込んだ。 引っ掻けて傷が付きながらも、”ソレ”を食べさせることに成功した。すると…… 「ぐ、ぐおお……力が抜ける……」 「う、上手く行った……!?」 にわかに胸を掻きむしったかと思うと、力なく地に倒れ伏す。 抱きかかえて口の中を覗いてみると、牙が消えた代わりに独特のにおいが鼻を突いた。
9 21/09/23(木)14:48:24 No.848831249
「なんですかこれぇ……おいしい……」 「……お土産の黒にんにく」 「なんで……」 「おいしそうだったし……」 「……女の子のお土産に選ぶものじゃないですよ」 「ごめん……」 その後手分けしてあるだけ大蒜をご馳走し、騒動はひとまず収束に向かった。 代わりに購買でブレスケアの売り上げが激増したという。
10 21/09/23(木)14:48:48 No.848831361
~~~~~~~~~~~~ 「……流石に無理ない?」 「行けます行けます!二次創作は全てを受け入れますから!残酷なほどに」 「せめて実名はやめとこう?」 「じゃあいい感じに修正しといてください。今ペンが凄い勢いで進むんです……!」 「はぁ……」 締め切りは明日。間に合えばいいが。
11 <a href="mailto:s">21/09/23(木)14:49:13</a> [s] No.848831469
今朝の夢を元に書きました デジたんかわいいね
12 21/09/23(木)14:50:55 No.848831964
いい夢みてんじゃん ありがとう
13 21/09/23(木)14:53:01 No.848832548
>「なんですかこれぇ……おいしい……」 かわいい…
14 21/09/23(木)14:56:03 No.848833382
やっぱ便利だぜコミケキャラ…
15 21/09/23(木)14:57:58 No.848833870
ほう…ここでも吸血ウマ娘流行ですか…私の性癖には合っていますね!
16 21/09/23(木)15:27:22 No.848841347
>やっぱ便利だぜコミケキャラ… どんなシチュも作中作に出来るのちょうべんり
17 21/09/23(木)15:34:59 No.848843310
またタキオンがなんかしたのかと思った
18 21/09/23(木)15:46:53 No.848846515
オグリに吸われる担当トレーナーかわいそ…
19 21/09/23(木)15:52:17 No.848847874
桐生院パクト…