ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/09/20(月)20:50:05 No.848004304
GⅡ、札幌記念。 有馬記念から3連敗、特に春の天皇賞では惨敗を喫した私──オダハヴィーングが、再び翼を広げるのに選んだ舞台。 春のGⅠ戦線では、白い彼──ホワイトファングにまとめて薙ぎ払われてしまったけれど、今日は大丈夫だ。 私でも勝てそうなレースを選んだ。どんな相手が出るのかはトレーナーさんから伝えられていないけれど、つまりそこまで警戒すべき相手はいないのだろう。 誰にも踊らされずに、自分のレースをすれば、きっと勝てる。ここで勝って、もう一度秋のGⅠ戦線で返り咲くんだ。 ……そう、思っていただったのだけれど。 「また会ったな、オレのライバル」 一番怖い相手が、一番顔を見たくない相手が、そこにいた。
1 21/09/20(月)20:50:24 No.848004444
「ファング……ッ!?どうして……!!」 「簡単な話だ。オマエとオレが、ターフにいる。それだけのこと」 聞いていない。知らない。ありえない。 無理だ。ダメだ。こんなの、悪夢だ──。 「宝塚の時のようなつまらんレースはもう飽きた。 オマエのいないレースに、オマエを置き去りにした勝利に価値はない……さあやるぞ、オレのライバル……ッ!!」 怖い。足が動かない。息が詰まりそうだ。 ……でも、やるしかない。 ここで負けたら、この前みたいに不甲斐ない走りをしてしまったら。 きっと彼は、嘗て私のことを最高のライバルと評した彼は、もう私のことを見てくれない。
2 21/09/20(月)20:50:46 No.848004574
(「クソッ……強い。強いな。だが……やっと見つけた、オレのライバル足り得る強者……!」) (「前哨戦だぞ、ちょっとは加減しろ。それにしても……やはり強いな。菊花賞では、こうはいかない」) (「ちくしょう……チクショウ……ッ!!どうして、どうして勝てない……!次は、次こそは絶対に──」) (「ふっ……やるな、さすが二冠ウマ娘。見事な戦術、もう少しで騙されるところだった。──だが、今回はオレの勝ちだ」) (「オレの、最高のライバル……流石だな。究極の仕上がり、完璧なペース配分、恐れ入った。だが、オレのほうが強い」) (「……その程度か?」)
3 21/09/20(月)20:51:16 No.848004766
あの日の、春の天皇賞の時の彼の顔が、目に浮かぶ。 何も考えられないまま走ったせいでペースを間違え、コースの特徴も忘れていたせいで結果最下位だった私に向けられた、冷たい声と表情。 正直、あの時で既に失望されていたと思っていたけど、どうやらまだ彼は私を待っていてくれているようだ。 ……嫌だ、見捨てられたくない。 まだ間に合うのであれば、彼との関係を取り戻したい。 もう一度、真剣勝負をしたい。本気の彼と、戦いたい。 そのためには、絶対に、ここで勝たなければ──
4 21/09/20(月)20:51:30 No.848004858
彼奴の纏うオーラが変わったのは、その時だった。 菊花賞のあの時のような、底知れぬ実力者に特有の迫力。 ──ああ、大丈夫だ。彼奴は、今も変わっていない。 「……貴方の牙から逃げ切ってみせる、ホワイトファング」 力強い視線。堂々とした態度。先程までの弱々しい彼奴とは違う、あの二冠ウマ娘が、目の前に。ならば。 「一瞬で叩き落としてやる、オダハヴィーング」 ……逆襲など、させない。勝つのはオレだ、最高のライバル。
5 21/09/20(月)20:52:06 No.848005079
img漁れない間に久々にオダハヴィーング回読み直してたらやっぱり札幌記念で泣いたので勝手に彼らをウマ娘にして勝手に書いた……つもりなのですがこれファング娘になってなくない? 娘でも元性別でもどっちでもファン×オダはすごくキテルと思います レース中も書きたかったんですけどどう描写して良いのかわからないので没りました 誰か書いて