21/09/18(土)23:25:25 『おい... のスレッド詳細
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21/09/18(土)23:25:25 No.847471855
『おい、お前週末空いてるか』 『一応空いてるけど…』 『じゃあ初仕事だ、週末に俺の部屋来て掃除しろ』 『…それってお家デート?』 『自惚れるな』 『はい』 別に自分で掃除ができない訳ではない。 理由としてはただ単純に面倒だからだ。 しようとしても掃除をしなくても生活は出来るなんて考えが出てきて後回しにする…それの繰り返し。 だから今回はそれを終わらせるためにこいつに依頼した。 今日も相変わらず俺に惚れている見習い奴隷にぴったりの初仕事だろう。 『何時ぐらいに行ったらいい?』 『何時でも良い、とりあえず掃除しろ』
1 21/09/18(土)23:26:16 No.847472230
そして約束の当日、俺はインターホンの音で目を覚ました。 おそらく外の日光の加減的に昼ではない。そういえば鍵開けてなかったなんて思いつつ起き上がると、視界に入った時刻は午前8時を表示している。 …初仕事だからって流石に来るのが早すぎないか。 とはいえ自分で招いた客を待たせるわけにはいかない。例え相手が奴隷でもそれは変わらない。 眠い目を擦りながらもベッドから離れ、軽く顔を洗ってから玄関へ向かった。 『おは…よ…ってうわあああ!!』 『…うるさい、どうした』 当たり前だが、玄関を開けると見慣れたそいつが居る。 第一声は挨拶でも天気でもなく悲鳴…朝からとんだ迷惑な奴隷だ、やっぱりこのまま追い返そうか。
2 21/09/18(土)23:26:30 No.847472347
『どうしたって…今…下着が見えて…』 『下着にシャツなんて珍しくないだろ。そんなに騒ぐな』 『…そうなの?』 『まさかお前、女の下着見たことないのか?』 『…と、とりあえず、今は関係ないでしょ…』 『はいはい、外が眩しいからさっさと上がって掃除してくれ』 『…お邪魔します』 そう軽く挨拶を済ますと、目を伏せたままのそいつが入ってきた。 目で追っていけばたちまち目に入る俺の部屋…カーテンを閉め切った場面でも十二分に散らかっているのが分かっていてお世辞にも綺麗とは言えない。 とぼとぼ下向きながら歩いてるのを見ると何か蹴りそうだから前向けと言いたいところだが、そうなったらそれで面白そうだからやめた。 それはそれとしてなんだこいつ、散々女たらしの雰囲気出しといてなんで肝心の経験は無いんだ。
3 21/09/18(土)23:26:46 No.847472456
『とりあえず…カーテン外していいかな。あとベッドシーツとかも』 『なんで全部外すんだ』 『いや、掃除のついでに全部洗濯しとこうかなって思ったんだけど…』 『…そうか、俺はソファーで寝るから勝手にしろ』 『起こさないように努めるよ』 『俺の貴重な睡眠の途中で起こしたんだからぜひともそうしてくれ』 未だに視線が挙動不審なそいつからの勝手な追加オプション、わざわざ朝から来たのはこれが目的だったのか。 まあ幸いにも見られて困るものなんてないから断る理由もない、というか漁るほどの品物もない…そんなまだ眠っている頭で考えた適当な結論で俺は了承した。 『服とか盗むなよ』 『しないよ!』 手際よく準備を進める奴隷に対してソファーで寝そべる俺…この状況に何も文句を言わない辺りこいつは良い旦那になるだろう。 なんて一生縁のないどうでもいい想像をしながらそいつに背を向け、俺は再び眠りに落ちた。
4 21/09/18(土)23:27:03 No.847472581
…そして今日二度目の起床。時計は12時を表示している。 朝と同じ視点で目が覚めたからタイムリープでもしたのかと思ったが、すっかり綺麗になった部屋とやけにふかふかでいい匂いのする寝具がある辺りそうでもないらしい。 「……ぅん…好きだよ……ふふ…」 もはやルーティン化した洗顔とうがいを済ませ、声がした方向…即ち本来起きるはずだった位置を見ると、気持ち悪い寝言を吐いているそいつが寝ていた。 今頃俺の匂いに包まれて気持ち悪い夢を見ているんだろうか。 むしろそうでないとさっきの寝言の説明がつかない。 『おい、そんなに俺は良い匂いしてるのか』 『…うん…そうだよ……あれ?』 『なんだ、もう嗅がなくて良いのか?』 『…えっ…あ、いやこれは……ごめん!ここで寝る気なんて無かったんだけど…』 『…本当か?お前嘘ついただろ』 『本当!君をベッドに運んだ後ここで休んでたつもり……い、痛い!』
5 21/09/18(土)23:27:34 No.847472808
手首を掴んでソファーに押し倒す。こいつの動きを封じるなんてそれぐらいで充分だった。 一応少し遊ばせてからご褒美を与えるつもりだったが…今目の前に居る涙目のやつは何を考えてるんだろうか。 殴られる?どこ殴られるか?謝罪の内容? そんな殴る気なんてさらさら無い、でも勘違いして泣いて怯えてるのは本当に滑稽で面白い。 …もう少し様子見でもするか。 『…よく聞け…俺は嘘つくやつが嫌いなんだ』 『…ご、ごめん……ごめんなさい…もう次はしません…』 『それに言い訳までするやつは…もっと嫌いだ』 『…いや…ぁ……待って…本当に…本当にそんなつもりじゃ…』 『うるさい、黙って目瞑って歯食いしばれ』 もう完全に怯え切った顔に腑抜けた声色…これから褒美があるのになんて酷い顔をしてるんだこいつは。 …だめだ…息を荒げて未だに殺されると思い込んでいると思うと笑いがこみあげてきて仕方がない。
6 21/09/18(土)23:28:19 No.847473122
『お前、今から何されるか分かるか?』 『…お、お仕置き…』 『…どうだろうな』 唇が軽く触れ合うだけの軽いキス、生憎と今は金を持ち合わせていないからそれが褒美。 …何秒かばかり唇を重ねて、離してみればさっきよりもひどい間抜けな顔。 ただ強いて言えば傍に携帯が無くて写真を撮れなかったのが今回唯一の欠点だったが。 『…えっ……え?今キス…され…た…?』 『キスぐらい慣れてないと女なんて抱けないぞ』 『あ、あの…お仕置きは』 『そんな理不尽なことする訳ないだろ。褒美だ』 『…そんなのって…はああぁぁ…それもっと早く言ってよ…』 『言ったら面白くない。あとその酷い顔どうにかしてさっさと帰れ』 『…うん、そうした方が良さそうかな…あ、コンビニでおにぎりとか買っておいたから食べてね』
7 21/09/18(土)23:28:53 No.847473362
『金は明日でいいか』 『大丈夫だよ、俺が勝手に買っただけだから』 ティッシュで拭いて幾分かはマシになった顔でそいつがどたばたと支度しながら言った。 しかし初仕事にしては上出来だったのは良かったが少しサービスが過ぎる。 なんでもかんも勝手にしてくれるのは結構…でも流石にこっちも罪悪感を感じない程の性悪じゃない。 …お返しなんて柄じゃないが、後で気持ちだけで充分なんていわれる前に1000円ぐらいどっかに仕込んどくか。
8 21/09/18(土)23:29:06 No.847473449
『おい、これ持っていけ』 『これって…合鍵?』 『次呼んだときは勝手に入って掃除しろ』 『…またキスしてくれる?』 『あんな軽いキスならいくらでもしてやるよ』 『本当に!?』 『冗談だ。早く帰れ』 『…ですよねー』
9 21/09/18(土)23:29:22 No.847473548
蛇足の続き 本当に長くなりそうなんですが一応お亡くなりになるまで書こうと思ってます 今回も長いし内容が薄いしでごめんね… これまで fu354798.txt
10 21/09/18(土)23:33:45 No.847475448
いい…SSの過去を知れば知るほどカフェがどうアプローチするのか気になるね
11 21/09/18(土)23:36:10 No.847476517
いい… だけど死別が確定してるの辛い…
12 21/09/18(土)23:37:56 No.847477317
書き込みをした人によって削除されました
13 21/09/18(土)23:38:40 No.847477668
今更だけどこのトレーナー超ベタ惚れしてるのいい…
14 21/09/18(土)23:40:27 No.847478519
こっから死別はキツすぎないか 絶対SS側も離さないじゃん
15 21/09/18(土)23:58:49 No.847486513
>こっから死別はキツすぎないか >絶対SS側も離さないじゃん 未練が無けりゃ憑いてカフェにガン飛ばしたりしないだろうからそりゃもう…
16 21/09/19(日)00:01:19 No.847487458
ここから死別になるのか…
17 21/09/19(日)00:02:50 No.847488037
書き込みをした人によって削除されました
18 <a href="mailto:s">21/09/19(日)00:08:16</a> [s] No.847490062
>No.847488037 ウワーッ!手描き! ありがとうございます… これで今後も筆が進みそうです…