ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/09/17(金)20:23:07 No.847075103
テイオーと頭をぶつけたら身体が入れ替わってしまった。 戻る方法が見付からず、グダグダと過ごす日々。 レッスンの名目で二人きりになり、お互いになりきる練習を重ね、何とか隠し通しているのだが── 「トレーナー! 何股かけてるの!? たづなさんに桐生院さんに代理までー!」 「何の話!? そっちこそキタサンとか憧れ以上の感情持ってそうなんだけど!?」 ──お互い今まで築いてきた人間関係というものは、如何ともし難いのであった。
1 21/09/17(金)20:24:03 No.847075451
「だって! お出かけのお誘いとかたっくさん来るんだよ!? 『テイオーとのトレーニングが忙しいので~』ってお断りしてるけどさ!」 「あ、あれは純粋に慰労とか、トレーナーとしての意見交換とかそういうので……!」 「どうだか! それにキタちゃんとボクそういうのじゃないし!」 「……そうだと良いんだけどさ。何というか距離が凄く近いというか……寮とか気づいたら隣にいるし。お風呂とか『お背中流します!』って……その、前の方まで洗ってこようとしたりするんだけど……」 「……ホントに? ボクの時はそんな事無かったんだけど……」 俺の身体で疑問符を浮かべて小首を傾げるテイオー。どうやら入れ替わる前はそこまでスキンシップが激しいわけではなかったらしい。 何があったんだろう──?なんて二人で首を傾げていると、噂をすれば影。スマホにキタサンからのメッセージ。 「映画のお誘いだって。初恋キャロットケーキ2」 「それ、二人で見ると恋が叶うって噂のやつだね。マヤノが言ってた……」 お互い顔を見合わせて、額から汗を垂らし、悩んだ末にお断りの返信をした。 テイオーと元に戻る方法を探す事を優先しなきゃいけないのもあって。
2 21/09/17(金)20:25:17 No.847075922
私──キタサンブラックは、もしかしたら恋をしているのかもしれない。 トウカイテイオーさん。怪我を乗り越えて、三冠ウマ娘になって、奇跡を見せてくれた人。 最初はただ憧れていたけど──最近のテイオーさんは、どこか頼りがいのあるお兄さんみたいな感じがして。 ちょっと前のテイオーさんならしなかったようなポカミスをしたり、リボンがズレてたりとか、お風呂だってざーっと適当に洗ってすぐに出ようとしちゃったりとかもあるけど……そんなところも、可愛く見えちゃう。 だから、この気持ちが本当に恋なのか──確かめたくて。私は、テイオーさんを……デートに誘った。 「でも……断られちゃったかぁ……」 ごめんね。トレーナーとの予定があるから、また今度でいい? スマホに映るのはそんなメッセージ。 テイオーさんがトレーナーさんとの予定を優先するのは当たり前だけど、何だかとても寂しい。 スマホの電源を落として、俯きながら道を歩く。
3 21/09/17(金)20:25:40 No.847076068
だから、気が付けなかったんだ。視界の外で、少し危険な運転をする車に。 「──危ない!」 そんな声に振り向いた時には、私の身体は歩道へと押し倒されていた。 そしてすぐ側を通り抜けていく乗用車。私の身体に覆い被さるテイオーさん……のトレーナーさん。 すぐに理解できた。身を挺してこの人が助けてくれたんだ! 「あ、す、すいません! 大丈夫ですかっ!?」 目を回すトレーナーさん。どうしよう、私のせいでこの人が怪我しちゃったら! 慌てて、顔を覗き込んで。 「……ぁ」 トレーナーさんから、最近のテイオーさんと同じものを感じて。私は、胸が高鳴る予感を覚えたのでした。
4 21/09/17(金)20:26:24 No.847076360
──危ない! 俺とテイオーが駆け出したのは、ほぼ同時。 曲がり角の向こうに見えた車の影と、歩道を俯いて歩くキタサン。 次の瞬間に起こり得る悲劇を想像したら、身体が先に動いた。 ロケットスタートを決める俺とテイオー。普通なら、ウマ娘であるテイオーの方が先に彼女の元に辿り着く。 だが、今はお互い別人の身体。咄嗟の反応に身体が上手くついて行かず── 「きゃっ!?」 「うわっ!?」 「ぴぇっ!?」 何とかキタサンを助ける事には成功した。 が、俺とテイオーは弾んだ勢いのまま、見事に二人でおデコを打ちつけ──視界が、暗転していく。
5 21/09/17(金)20:26:26 No.847076372
スレッドを立てた人によって削除されました まーた入れ替わりか…
6 21/09/17(金)20:27:04 No.847076627
「あ、す、すいません! 大丈夫ですかっ!?」 俺の身体の下から、キタサンの声がする。 パチパチと瞬きを繰り返し、目の前のお星様を消す。 何とか惨劇を回避できた事にホッと一息をついて── 「あたたた……大丈夫? キタちゃ──って! トレーナー!?」 「テイオー!!」 「やった! ボク達、戻れたんだー!」 起き上がって、歓喜のあまりテイオーと抱擁を交わす! やった、戻れた! 数日ぶりなのに随分と久しく感じる自分の身体の感覚に、俺達はキタサンの目の前である事も忘れて喜びを伝えあった。
7 21/09/17(金)20:27:19 No.847076723
そして、一週間後。 「ねぇ、トレーナー」 「はい」 「今度はキタちゃんにまで手を出したの? なんか宣戦布告されたんだけど。『恋もレースでも負けませんから』って」 「なんでだ……」 テイオーがジト目で詰めてくる。俺はキタサンに対して何もしていない。 きっとキタサンの勘違いか何かだ──そう口を開こうとした瞬間に、スマホの着信。 「……映画のお誘いだって……初恋キャロットケーキ2……」 「ふーん……ねぇ、トレーナー……」 そして妙に不機嫌なテイオー。 彼女の要求に、俺は身構え──
8 21/09/17(金)20:27:33 No.847076809
「それ……ボクも、一緒に行っていい……?」 「え?」 培ってきた人間関係というのは、消えることは無い。 ただ──些細なきっかけで、関係が変動するのは、大いに起こり得るのだった。
9 21/09/17(金)20:28:09 [s] No.847077008
身体の違いとか性差に翻弄されるのも好きだけどお互いの人間関係で苦労するのも好き
10 21/09/17(金)20:29:48 No.847077576
順調に修羅場ってくな
11 21/09/17(金)20:30:06 No.847077693
こういうのが見たかったありがとう
12 21/09/17(金)20:33:23 No.847078896
こう言うのでいいんだよこう言うので
13 21/09/17(金)20:34:33 No.847079354
ウワーッ!?
14 21/09/17(金)20:34:40 No.847079396
テンプレラブコメいいねぇ… テイオーとくっつくだろうっていう安心感がいい
15 21/09/17(金)20:35:21 No.847079677
テイオーボディでトレーナーの頼れるお兄さんムーブが炸裂し トレーナーボディでテイオーの王子様的ムーブが炸裂すれば お互いの人間関係が更に拗れて拗れる
16 21/09/17(金)20:36:11 No.847080016
ところでテイオーの身体でお風呂入って体洗ったことについて詳しくお願いしたい
17 21/09/17(金)20:36:15 No.847080040
サトちゃん!キタトレ!何とかしてくれ!
18 21/09/17(金)20:36:36 No.847080163
キタサンとテイオーに矢印向けられるのずるいな しかし王道ラブコメで栄養分が補給されて満足した
19 21/09/17(金)20:37:20 No.847080454
>キタサンとテイオーに矢印向けられるのずるいな >しかし王道ラブコメで栄養分が補給されて満足した 食いしん坊を覚えなさい
20 21/09/17(金)20:38:41 No.847081005
ここでキタちゃんは本格化前なのでトレーナーがまだついてなくて募集中という設定をひとつまみ加える
21 21/09/17(金)20:39:11 [s] No.847081200
書き忘れたし書かなくても分かると思うけど一応書くと最近の『テイオーさん』さんのお風呂が適当だったのは裸とかなるべく見ないようにするため
22 21/09/17(金)20:39:54 No.847081466
>サトちゃん!キタトレ!何とかしてくれ! そして身体が入れ替わるキタトレとサトちゃん
23 21/09/17(金)20:54:54 No.847087721
トレーナーとテイオーとキタちゃんとか トレーナーとマックイーンとサトちゃんとか ありそうで中々見ない三角関係