21/09/05(日)23:26:54 先日ポ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1630852014854.jpg 21/09/05(日)23:26:54 No.843060067
先日ポケスペお乗様ダイス目スレでレブル純愛の話になりましたので便乗して書かせていただきました このスレ自体はダイススレではありません 思いっきり三次創作ですのでご了承下さい あらすじ ブルーは駄菓子を無性に食べたくなって…
1 21/09/05(日)23:27:23 No.843060265
過去に戻れたら。 あの時あの人がいれば。 そう思うことは何度もある。 だけど。 現在の自分は。
2 21/09/05(日)23:27:42 No.843060397
まだ暑さの残る昼間のマサラタウン。 ブルーはその街中を歩いていた。 帽子をとり、汗を拭う。 髪が靡くほどの強い風が心地いい。 ブルーはこの街が好きだ。 都会のような喧騒もなく、 高層ビルもないが自然が多くのどか。 みんなが優しく、平和に暮らしている。 子供の頃にここで遊んで、楽しんでいた記憶が微かにある。 自分の故郷がこの街でよかった。 ここで両親と暮らせるようになって本当によかった。 ブルーは心の底からそう思う。
3 21/09/05(日)23:27:55 No.843060479
弟の贈ってくれた女の子らしい新しい服。 両親のいる新しい家。 自分の新しい人生が始まることに期待心が湧いてくる。 と、子供たちが横を通り過ぎた。 手には駄菓子。 その後をポケモンたちが追いかける。 おそらくあの子たちのポケモンだろう。 子供たちは駄菓子を食べながら、ポケモンと戯れている。 楽しげな彼らの姿。 それがブルーに眩しく見える。
4 21/09/05(日)23:28:10 No.843060604
「よ、ブルー」 声をかけられた。 そちらを振り向くと、見慣れた赤い服装の男がいた。 「レッド…」 同じマサラタウンの生まれで、図鑑所有者としての同期で仲間。 付き合いはそれなりに長いものの、プライベートで会うのは珍しく少し不思議な感覚になった。 「あの子たちを見てたのか?」 彼の言葉に素直に頷く。 「ああやって子供たちが遊んでて、 平和な街でいいなって」 「そうだな。オレもそんなマサラが好きだよ」
5 21/09/05(日)23:28:27 No.843060727
「レッドは、子供の頃あんな感じだったの?」 うーん、とレッドが腕を組んで考えこむ。 「確か、そうだったと思うな。 まだ旅に出る前はああいう風に同じ歳くらいの子たちと遊んでたっけ」 「その頃のレッドって、なんか自分の腕前を自慢していい気になってそうだけど」 「…なんでわかったんだ」 暑さのせいではないだろう汗を流すレッドに苦笑し、 「会ったばかりの頃のレッドって調子に乗りやすかったからね。 アタシにも身の程知らずとか言ってたわ」
6 21/09/05(日)23:28:44 No.843060844
「…そういえばそうだったかな」 レッドは目を逸らすが、少しすると何かに気づいたようで、 「いやあの時はブルーがオレを騙したりしたからだろ」 「…そういえばそうだったかな」 今度はブルーが目を逸らした。 「いやまあ、昔のことだしいいんだけどな」 「…お互い、歳とって丸くなったわね」 はぁ、と2人でため息をつく。 「まぁ、それが今みたいな関係になったんだから世の中わかんないよな」 「そうね。こんなに付き合い長くなるなんて思わなかった」 2人で笑い合う。 こんな関係も悪くない。 ブルーはそう思えた。
7 21/09/05(日)23:29:01 No.843060965
その夜。 ブルーは夢を見た。 子供の頃の自分がマサラタウンで遊ぶ夢を。 たくさんの友達やポケモンに囲まれて。 その中には同じくらいの年代になったレッドたちもいて。 戦いも悲劇も無縁の世界。 自分が求めて止まなかった光景。 その中の自分は確かに笑っていた。 皆もそうだ。 あんなことが過去になければありえていたかもしれないこと。 でも、それは永久に手に入らないもの。 自分はそこにいることができなかった。
8 21/09/05(日)23:29:21 No.843061087
目を覚ますと、目元から涙が溢れた。 少し前はこんな夢は見なかったのに。 両親と再開して暮らすことが1番の願望だったのに。 それが叶うとそれ以上のことを求めてしまう。 自分の欲深さにため息が出てしまった。
9 21/09/05(日)23:29:37 No.843061214
翌日。 ブルーは昨日のように街を歩いていた。 だが、昨日ほど気分は良くはない。 昨夜見た夢のせいで、少し陰鬱な気分になっていた。 もう手に入らないものなのに。 昨日はあんなに幸せな思いだったのに。 子供たちの遊ぶ光景すら羨望と嫉妬の目で見てしまう。 あの子たちは何も悪くないのに。 認めたくない気持ちを振り払うべく、ブルーは帽子を目深に被りその場を足早に離れた。
10 21/09/05(日)23:29:53 No.843061315
「はぁ…」 歩き疲れ、足を止めて一息をつく。 「ここどこだろ…」 適当に歩いていたため、自分の知らない場所にまで来てしまった。 マサラが小さな街といえども、ブルーが全てを知っているわけではない。 知らない場所の光景は新鮮で、荒んだ心を癒やしてくれる。 いや、この場所は違う。 ブルーはどこかでそんな引っかかりを覚えた。 見覚えがある。 そんな気がする。 いつか、この道を通った感覚がある。
11 21/09/05(日)23:30:11 No.843061419
と、ブルーの横を少女が通り過ぎた。 その後を両親とおぼしき大人たちが追いかける。 それを見て、思い出した。 ここは、かつて自分がよく通っていた道だ。 よく両親とともに、この付近の駄菓子屋に通っていた記憶が甦る。 辺りを見回し、あの店があるか探す。 あった。 覚えているものよりも古びれてはいるが、確かにあった。
12 21/09/05(日)23:30:32 No.843061548
入ろうか。 そう思うが、足が動かしづらい。 緊張している。 幼い頃の思い出に踏み入ることを、躊躇している。 それでも行きたい。 あの時していたように。 あの頃の駄菓子の味が懐かしい。 ラムネやエビせんべい、ゼリーなどを食べていた記憶がまた甦る。 あれをまた味わいたい。 そのためには。 覚悟を決めて行こうかと決心を固めようとして、 「あれ?ブルーか」 また、聞き覚えのある声に振り向く。
13 21/09/05(日)23:30:51 No.843061671
やはり昨日と同じく、レッドの姿があった。 「レッド…」 「よ。また会ったな」 明るく挨拶をしてくる彼に、手を控えめにあげて返す。 「ブルーもあの駄菓子屋行くのか?」 「アタシもって、レッドも?」 「ああ。昔からよく行ってるんだあの店。 最近もフエラムネよく買っててさ」 「へぇ…」 レッドが駄菓子。 イメージとしてはたしかに合っている気がする。 「どうせ行くなら、一緒に行こうぜ」 「あ、ちょっと!」 答えを待たずに、レッドはこちらの手を引いて駄菓子屋へと入っていった。
14 21/09/05(日)23:31:06 No.843061771
「お邪魔しまーす!」 「いらっしゃい。おや、女の子連れかい」 「あ、お邪魔します」 店主のおばあさんに声をかけられ、ブルーは頭を下げる。 と、おばあさんは目を細めて、 「いやぁ、久しぶりだね。昔よく通ってた子だろ」 「え、はい」 返事をして、少しして驚いた。
15 21/09/05(日)23:31:28 No.843061925
「おばあさん、アタシのこと覚えてるの!?」 「そりゃあ、マサラは狭いし人もそこまで多くないからね。 子供の顔くらい覚えてるよ」 その言葉が、嬉しかった。 昔の自分を覚えている人がいる。 あの頃の自分は確かにいたと証明してくれる人がいる。 そのことがブルーにはありがたかった。 「…ありがとう、覚えてくれてて」 そういうと、ブルーの目元から涙が溢れる。 嬉しいのに、涙が止まらなかった。
16 21/09/05(日)23:31:47 No.843062059
買い物を済ませて、帰路に着く。 「ずいぶんいっぱい買ったな」 「覚えてくれてて嬉しくてついね。 そういうレッドだって箱買いしてるじゃない」 「あー、ちょっとな」 頭をかき、レッドが言葉を濁す。 言いたくないのなら、追求することはないかと 判断する。 レッドと隣り合って歩く。 マサラの街道を。 駄菓子を抱えて。 それが、前に見た子供たちの姿を連想させた。
17 21/09/05(日)23:32:04 No.843062165
「アタシがさ」 「うん?」 「アタシが誘拐とかされなかったら、 子供の頃からレッドとこうやって歩いてたのかな」 レッドが少し驚いた顔になる。 構わず、話を続ける。 「普通に育って、当たり前のように友達と遊んで。 もしかしたらレッドの旅についてきてたかもしれない。 あのことがなかったら、もしもって思っちゃって」 レッドが真剣な顔になる。 余計なことをいってしまったか。
18 21/09/05(日)23:32:23 No.843062294
「ごめんね。変なこと言って」 レッドは答えない。 そのまま、沈黙が続きながら歩く。 「確かに、そうかもしれない」 と、レッドが語り始めた。 「もしかしたらあの時ブルーがいたら。 オレも、たまにそういうこと考えることあるんだ」 「レッドも?」 彼は頷き、こちらに目線を向ける。 「ずっと1人で旅してたからさ。 旅に出る前も大将気取りで対等な友達がいなくて。 たまに1人が寂しいって思ってさ。 仲間のポケモンはいるのに。 だから、あの時にブルーみたいな友達がいたらって」
19 21/09/05(日)23:32:40 No.843062418
言われて、少し驚いた。 レッドがそこまで寂しやがりだとは。 何か言おうとするが、それより先にレッドがまた語り出す。 「だけど、今のことも後悔してない」 きっぱりと、レッドが言った。 「もしって言うなら、オレとブルーが会えなかったかもしれない。 ひょっとしたら会ってても友達になれなかったり、お互いもっと違うオレたちになってたかもしれない」 と、レッドが足を止める。 ブルーも足を止めて彼を見つめる。 「でもオレ、今のブルーと会えてよかったって思うんだ。 友達になれてよかったって」 「え…」 戸惑うが、レッドはまた話を続ける。
20 21/09/05(日)23:32:59 No.843062534
「いろんな辛いことも、悪いこともあったけどさ。 そういうこともあったからブルーが強くなったり優しくなったりしてここにいるから。 だから、今のブルーを否定したくないし、 そんなブルーでよかったと思う」 肯定の言葉。 今の自分を受け入れてくれる言葉。 それがブルーの心に染み渡る。 夢で見たことは手に入らない。 でも、今の自分もあの自分には手に入らない。 それでいい。 それでいいと言ってくれた。
21 21/09/05(日)23:33:19 No.843062658
過去の自分。 現在の自分。 それらはどちらも自分だ。 否定しようのない自分の側面たち。 どちらも肯定する。 両方抱えて生きていく。 それでいいんだと。 「…ありがとう、レッド」 微笑み、礼を言う。 レッドが頬を染めて、目を逸らした。 「…おう」 その照れた表情がおかしくて、つい吹き出す。 手が空いていたらその赤い頬をつついてたところだ。 と、レッドの持ってる袋の中が見えた。
22 21/09/05(日)23:33:37 No.843062780
「レッド、フエラムネなんて箱で買ってるの?」 「あ、これは…」 先程の言いにくいことに関係あるのか。 レッドは少し渋い顔をしていたが、口を開く。 「実はさ、フエラムネのおまけにハマっててさ。 あと一個でコンプなんだけどなかなか出なくて」 「だから箱買いしてたの?」 「ああ。これで5箱目かな」 「それは買いすぎでしょ!」 思わず声を上げる。 「わかってるんだけど、次は出るかもって思っちゃってつい…」 たはは、とレッドが頭をかく。
23 21/09/05(日)23:34:10 No.843062978
さすがに呆れてため息が漏れる。 と、あることを思い出す。 「そういえば、アタシもフエラムネ買ってたわ」 袋から出し、開封する。 中身を取り出すと、フエラムネが。 そして、なんとも言えない奇妙な人形があった。 「これ、レッドが探してるの?」 「そう!そうだよ!これ当たらなくって!」 突然興奮し出したレッドに少し引きつつ、 「ほしいなら、あげようか?」 「え、いいのか?」 「さっきのお礼よ。それにアタシは特に興味ないから」
24 21/09/05(日)23:34:25 No.843063062
はい、と差し出すとレッドがそれを受け取って、 「ありがとう、ブルー!おかげで助かったよ!」 人形と一緒に手を握って上下に振られる。 その勢いに引っ張られる。 「あ!ごめん」 手を離され、ようやく歩みを再開する。 「もうこれで、フエラムネ買う必要ないわね」 「そうだけど、今度はいっぱい残ったフエラムネどう食べようか…。 そのままだと飽きるし」 捨てるという選択肢がないところが彼の律儀なところだ。
25 21/09/05(日)23:34:57 No.843063269
「アタシも少しは協力してあげるわ」 「悪いな…」 「こういうのも、友達だから当然でしょ」 はは、ほほと笑い出す。 「じゃあ、他のみんなにも手伝ってもらいましょう」 「ゴールドはともかくグリーンは大丈夫かな…」 「聞くだけ聞いてみたらいいじゃない? あ、調べてみたらカレーに混ぜるとかマッシュポテトにするとかあるんだって」 「それ美味いのかな…」
26 21/09/05(日)23:35:25 No.843063440
話しながらも歩いていく。 昔、両親と歩いていた道を 現在は2人で。
27 21/09/05(日)23:35:39 No.843063521
以上です 閲覧ありがとうございました
28 21/09/05(日)23:36:35 No.843063874
お疲れ様です フエラムネネタを上手く昔と絡めてて凄い…
29 21/09/05(日)23:44:06 No.843066790
>そして、なんとも言えない奇妙な人形があった。 やっぱ妙な形状判定なんだな…
30 21/09/05(日)23:46:24 No.843067674
まさかお乗様スレでまともなレブル純愛が出たとはという衝撃を受けて怪文書にさせていただきました 純愛で出たけど書いてたら友達止まりになってしまいましたが ブルーがなぜ駄菓子を食べたくなったかとレッドがフエラムネ大人買いしてるところを書いてたらそれだけでここまでかかってしまいました まあこれ以上続けてたらギャグになるのでここで止めちゃうのもありかと
31 21/09/05(日)23:47:12 No.843067975
>>そして、なんとも言えない奇妙な人形があった。 >やっぱ妙な形状判定なんだな… 興味ないフィギュアなんてそんな認識になっても仕方ないってのもあるかと
32 21/09/05(日)23:52:39 No.843070024
そういえばお乗様スレ原作の長文怪文書書いたの初めてです 即興のなら何回かはあるけど
33 21/09/05(日)23:56:48 No.843071551
>そういえばお乗様スレ原作の長文怪文書書いたの初めてです >即興のなら何回かはあるけど お乗スレって怪文書モードじゃないと高確率で愚弄だもんね その愚弄(主にしーちゃん曇らせ)を嬉々として即興書きしてる自分みたいなのもいるけど
34 21/09/06(月)00:00:47 No.843072861
>>そういえばお乗様スレ原作の長文怪文書書いたの初めてです >>即興のなら何回かはあるけど >お乗スレって怪文書モードじゃないと高確率で愚弄だもんね >その愚弄(主にしーちゃん曇らせ)を嬉々として即興書きしてる自分みたいなのもいるけど 愚弄系怪文書は短文ならともかく長文だと割と洒落にならないダメージ来るんですよ… 推し愚弄怪文書を他の人に書かれるくらいなら自分が…! というヤンデレじみた思考で書いたりもするんですが書いた後にどっとダメージが来る… お乗様ではないですが「」ガナ原作のレブルゴールド部屋相互赤ちゃんプレイ回でしばらくダメージ引きずってました
35 21/09/06(月)00:08:26 No.843075273
>愚弄系怪文書は短文ならともかく長文だと割と洒落にならないダメージ来るんですよ… 愚弄長文のダメージはルビエメホモで味わったからすっごくわかるよ… 今は脚本「」嬢様で作画サンのゴールドホモレイプ・クリス精神崩壊どうにか書けないかと余力回してはぐおぉ…ってなっちゃう
36 21/09/06(月)00:16:00 No.843077635
>「実はさ、フエラムネのおまけにハマっててさ。 >あと一個でコンプなんだけどなかなか出なくて」 >「これ、レッドが探してるの?」 >「そう!そうだよ!これ当たらなくって!」 感想スレのデオ星人ダイス思い出したけどブルーが5をくれた場合レッドさん単身じゃ77箱かかったのが15でコンプできたことを報告します
37 21/09/06(月)00:24:54 No.843080519
無論愚弄系怪文書も楽しんで書いてますし手を抜いてもいないつもりです ですが書くまでに覚悟が必要なだけです