ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/09/03(金)22:50:37 No.842276974
早朝、鳥の鳴く声が目覚ましとなって私の意識を覚醒させる。いつもならば寮の自室で、同居人が起きないうちに起きてしまうものであるのだが、今日は。いや、最近は違う。妙に濃い匂いに包まれて、かけられたタオルケットをぎゅうっと握りながら顔を上に押し付ける。唸りながらも抱き寄せてくるのは、私のトレーナーさん。最近、怖い夢を見ると申告したらトレーナーさんが計らってくれて、暫く一緒に寝ることが許可された。メンタル面の改善には一番効果的らしく、学園のほかの子もやっていることらしかったので特に反対などは来なかった。 「んん…」 私がゆっくりと声を出すと、トレーナーさんはそれに気づいたように目を開ける。心配するような目でこちらを見た後、私の頭を撫でながらこう言った。 「…おはよう、よく眠れたか?」 優しく溶けるような声が、私の耳に入って脳を柔らかく溶かしていく。 「…ええ、まあ。よく眠れましたよ、トレーナーさんのおかげで。」 ちょっとからかうように言葉をぶつけると、彼はやや照れくさく顔を掻く。 「…そうか。それなら、よかった。」
1 21/09/03(金)22:51:00 No.842277149
すると一度ぎゅっと私を抱きしめて、タオルケットの中の匂いが私と彼のとでブレンドされて互いの鼻腔をくすぐる。なんだか、少し恥ずかしい。 「…ん…もうすこし、このままで…」 「はいよ。俺もしばらく、こうしたい。」 そう言ったのを確認してから、トレーナーさんに抱き着けるように後ろに腕を回して、暫くは二人で互いの息を吸ったり、吐いたり。こうしていると朝の気怠さもある程度吹き飛ぶし、何より体が本当にリラックスできる。そうしていると、ピリリと目覚ましが鳴って私たちのこの時間を奪う。ゆっくり起き上がろうとするトレーナーさんにエスコートされながら、私も上体をゆっくり起こして朝日の洗礼を受けた。 「んあぁ…ふぅ。…準備、しないと。」 「出来たら行ってくれ、教室まで送るよ。」 そう言って、いそいそとYシャツとズボンを手に取り風呂場のほうへ向かう。私に配慮しての事なのか、こういう生活を始めてからトレーナーさんは私の着替えが終わるまで風呂場で待機してくれる。あんまり待たせるのも悪いので、私もハンガーに掛けられた制服を引っ掴んで足早に着替える。一度鏡で確認してから、トレーナーさんをリビングへ呼んだ。
2 21/09/03(金)22:51:26 No.842277342
「トレーナーさん、終わりましたよ~」 「ん、ああ。」 すたすた、といつもの格好に身を包んだ彼が歩いてくる。そうしてそのまま、私の両手をゆっくりと彼の両手と絡めて、唇と唇がゆっくり近づく。朝のモーニングキスを、軽くかわした。 「…んっ…ぷはっ。…やっぱり、まだ恥ずかしいですね…」 「俺もだ。…慣れるまで、もう少しかかりそうだな。」 「ですね~…にゃはは。」 くだらないように笑い合って、手を繋ぎながらテーブルに向かう。彼の手がするりと流れるようにしなり、私を一度ソファに座らせた。 「簡単に朝ご飯作ろうか。なにがいい?」 「ん~、昨日釣ったやつってまだありましたっけ?」 「あぁ、アレか。まだあるぞ、それで何か作るか。」 「よろしくお願いしま~す☆」
3 21/09/03(金)22:51:51 No.842277542
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4 21/09/03(金)22:52:12 No.842277696
互いに目線を交わしてから、トレーナーさんはキッチンのほうへ向かう。テレビを見ながら出来るのを待っていると、魚の焼けるいい匂いが鼻を突く。すんすん、と鼻を鳴らす間もなくトレーナーさんは料理を並べて、最後に私の茶碗にご飯をよそった。ことん、という音と共にテーブルに並べられた、二人前の朝ご飯をトレーナーさんと二人で戴く。やや急ぎ気味にご飯をかきこむトレーナーさんをからかいながら、ゆっくりとご飯を口に運んでいく。 「ん~!美味しいですね~、トレーナさんの料理。いっつも食べられる私は凄い贅沢ですね?」 「まあ、スカイにしか作ったことないからな。美味しいなら、何より。」 そういって魚の塩焼きを早々と片付けたトレーナーさんは、味噌汁を流し込んで台所に食器を持っていった。カチャカチャと洗う音が聞こえてきたので、私も少し早くご飯をかきこむ。 「ゆっくり食べてていいぞ、時間はまだあるしな。」 彼の気遣いには感謝しつつ、少しでも二人でいたいという気持ちが私の腕と喉を動かし、最後に味噌汁を飲んで両手を合わせた。そうして食器を、トレーナーさんのところに持っていく。
5 21/09/03(金)22:52:33 No.842277860
「んふふ~、たまには愛妻がお片付けしてもいいですよ?なんて。」 「…そうだな。じゃあ食器拭いて棚に戻しておいてくれ、お嫁さん。」 「んっ…!…しょうがないですね、引き受けました☆」 彼の反撃にやや戸惑いつつも、横に移動して布巾できゅっと皿を拭いていく。ご機嫌に尻尾なんぞを振りながら、元あった場所へと収めていく。トレーナーさんはその間に洗い終わったようで、私のほうを手伝ってくれた。 「…っし、これで終わりか。時間は…まだ一時間は余裕あるな。」 「今日は早起きでしたからね~、セイちゃんにしては珍しく。」 「…そうだな。それじゃ、残った時間はどうする?」 「ゆ~っくりしましょ、ゆっくり、ね。」 「ああ、そうだな。」 そういって、私と彼は互いの頬にキスを飛ばす。そしてまた手を繋いでソファに座り、ゆっくりとテレビを見ながら彼の腕に私を絡める。
6 21/09/03(金)22:52:56 No.842278047
>暫く一緒に寝ることが許可された。メンタル面の改善には一番効果的らしく、学園のほかの子もやっていることらしかったので特に反対などは来なかった。 理事長!?
7 21/09/03(金)22:53:19 No.842278231
「最近はスカイの報道も増えたな。オペラオーを倒したのが効いてたり?」 「かもしれませんねえ、私として少し複雑ですけど。」 「…まあ、こうして知名度が上がることはいいことだ。スカイの可愛さも全国に知れ渡るしな。」 「~~っ、もうっ…恥ずかしいこと言わないでくださいよ…」 「ホントのことだしなあ。」 頭を強めに撫でながら、彼は笑う。それにつられてか私も顔を蕩けさせて、にゃははと笑いかけた。朝日が昇り、キラキラとした綺麗な陽の光が外を照らす。一時間もあっという間に、私たちは一旦それぞれの役目を果たすべく部屋を出ようとする。 「…とと、その前に。」 トレーナーさんがドアのノブに手をかける前に、私はトレーナーさんの手を握った。 「ん?どうしたスカイ、忘れ物か?」 「…いや~、ちょ~っと忘れてるものがあるんじゃないですか?って…」 含みを持たせて、少し期待する目線を投げかける。ただ見ているだけなら、いつものように会話をしてドアを開けていたのだろうけど。彼はそれを察知して、ゆっくりと顔を近づけた。
8 21/09/03(金)22:53:36 No.842278369
「…行ってきますのキスが、まだだったな。」 「…そ、そこまで言ってませんけど…」 「じゃ、辞めるか?」 「…いや、して…ください。」 んっと唇を突き出して、トレーナーさんを待つ。私の手をゆっくり引き寄せて、そしてゆっくりと唇が近づく。ちゅちゅ、と少し濡れそぼったそこにぶつかって、それを少し舐めるように舌を出してきた。負けじとこちらも舌を入れ込み、互いの唾を飲み込み合う。卑しい水音が玄関にこだまして、二人の口の間は銀の柱となって垂れていった。 「…ん…ぷはっ……行きましょっか、トレーナーさん。」 「ああ。…そうだ、スカイ。俺も、言いたいことがあった。」 「なんです?」 「…明日、確か成人するんだったよな。」 「そうですけど……あっ…」 「…今日は、少し寝るの遅くなるかもな?」 「…寝不足には、しないでくださいね。」 「…約束は、出来ないかな。」
9 21/09/03(金)22:53:57 No.842278526
いじわる、と返す口。その口は先ほどの愛撫ですでに陥落しており、今日の夜。つまりは0時を過ぎたころの逢瀬を期待してやまなかった。そうするも時は刻々と過ぎ、互いにやや急がないといけない時間になった。 「っと、少し遅れてしまったか。スカイ、ちょっと走るぞ!」 「って、わっちょっ!」 勢いよくドアを開けたトレーナーさんは、私をお姫様のように抱き抱えながらダッシュして教室に向かう。道行く他のトレーナーやウマ娘たちに黄色い視線と声をもらいながら、私の顔は真っ赤に染めあがっていた。 「…と、ここか。それじゃ、スカイ。また後で」 「…ひゃ、ひゃい…」 手の甲にキスされたことなどは意に介さず、トレーナーさんが足早にトレーナー室へ向かっていく様子をただ突っ立ったまま見ていることしかできなかった。 「あ~!セイちゃんおっはよー!今日すごかったねえ!トレーナーさんと一緒に来るなんて、ウララもしてもらおうかな~!」
10 21/09/03(金)22:54:21 No.842278685
元気な声が後ろから入ってくるのでようやく、私は体のコントロールを取り戻す。はっとした意識でウララに誤魔化しを入れながら会話をして教室に入る。数時間、憂鬱な授業を抜ければまたトレーナーさんに会える。そう思えば不思議と力が湧いて、いつもは気だるげな授業も真面目に受けようと思えた。 トレーナーさんととてもいい朝を過ごした… トレーナーさんはもうすでに大好きだ! 対トレーナーさん◎を習得した! やる気が絶好調になった! 体力が100回復した! トレーナーさんには既に胃袋を掴まれている!
11 21/09/03(金)22:54:47 No.842278850
勝てる…このセイちゃんは勝てるぞ!
12 21/09/03(金)22:54:52 [s] No.842278889
これぐらいイチャついてるのもいいよね
13 21/09/03(金)22:55:16 No.842279062
>>暫く一緒に寝ることが許可された。メンタル面の改善には一番効果的らしく、学園のほかの子もやっていることらしかったので特に反対などは来なかった。 >理事長!? 許可ッ!
14 21/09/03(金)22:55:43 No.842279245
>勝てる…このセイちゃんは勝てるぞ! モウカッテナイカナー
15 21/09/03(金)22:56:38 No.842279640
自分で走る方が速いウマ娘がわざわざお姫様抱っこそれて運ばれる…この意味がおわかりですね…?
16 21/09/03(金)22:56:45 No.842279709
一か所ダブってる?
17 21/09/03(金)22:57:13 [s] No.842279896
>一か所ダブってる? 助かったありがとう 消しといた
18 21/09/03(金)22:59:50 No.842280942
>「あ~!セイちゃんおっはよー!今日すごかったねえ!トレーナーさんと一緒に来るなんて、ウララもしてもらおうかな~!」 このウララちゃんはセイちゃんが何をしているのか把握している方のウララ
19 21/09/03(金)23:02:21 No.842281916
>対トレーナーさん◎を習得した! 対トレーナーとはどんな効果だ?いつ発動する?
20 21/09/03(金)23:03:11 No.842282248
お互いの吐息と匂いのブレンドでお互いにリラックスしてるのすごく良い… 制服姿の若妻お嫁さん朝ごはんセイちゃんすっごく可愛い
21 21/09/03(金)23:03:49 No.842282502
>>対トレーナーさん◎を習得した! >対トレーナーとはどんな効果だ?いつ発動する? トレーナーさんにちゃんと求愛できる
22 21/09/03(金)23:04:40 No.842282783
食事の時の描写いい…
23 21/09/03(金)23:10:35 No.842285201
真っ直ぐにいちゃついてる!
24 21/09/03(金)23:11:25 No.842285569
こういうVRゲー欲しい
25 21/09/03(金)23:11:46 No.842285706
ほのぼのイチャラブかと思ったら最後で急にアクセル踏んできて面白かった
26 21/09/03(金)23:13:53 No.842286608
もう既に釣って釣られた後のセイちゃんは強いぞ!
27 21/09/03(金)23:16:27 No.842287631
きっと成人うまぴょい後の朝にもまた何時もどおり一緒に抱き合ってお互いの温度と匂いと吐息を交換しあって朝ごはんを食べてキスしてまた二人の一日が始まるんだ…
28 21/09/03(金)23:21:40 No.842289600
これもう籍入れてません? 怖い夢とかいう建前いらなくないですか?
29 21/09/03(金)23:22:33 No.842289927
>これもう籍入れてません? >怖い夢とかいう建前いらなくないですか? 籍を入れても怖いものは怖いのだ だからこうして安心させてあげる