21/09/01(水)23:58:11 「だっ... のスレッド詳細
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21/09/01(水)23:58:11 No.841654320
「だってぇ~!」 街へ出て、トレーニング用品を買って学園へ戻る帰り道。聞きなれた声がした。 聞こえた方に向かってみると……。 「だってぇ。じゃないんですって、お嬢」 「で、でもあの人が、すごい魔法教えてくれるってぇ……!」 細い裏路地への入り口に、スイープトウショウが居た。 隣で話しているのは……確か、彼女のトレーナーの協力者の……。 「だから、それに着いてっちゃうのがマズイんすよ」 「うぅ~……」 俯いて呻く彼女に、やれやれと肩を竦め首を振る彼。 何度もゆっくりと横に振られる顔が、こちらへ向いた途端、止まった。 「……ん?お!兄さんじゃないですか!」 周りを見てみるが、辺りに人は居ない。 ……どうやら、彼の言う兄さんとは自分の事らしい。 呼ばれたようなので、とりあえず彼女と彼の方へ向かった。
1 21/09/01(水)23:58:21 No.841654383
「兄さんは、いつもお嬢と旦那に良くしてくれてますもんね。ありがたいっすわ、ほんと」 とんでもない!お二人には何度も助けていただいてます!と、慌てて告げる。本心だ。 「二人共、普段があんなでしょう?仲良くしてくれる人は、ほんと物好きというか……っと、失礼」 すまないと片手を立てる彼。心地の良い気安さを醸し出す彼に、怒る気なんて湧かなかった。 「そうだ!兄さんが来てくれてちょうどよかった!」 ポンと手を叩いた彼は、親指を立てて自分の肩越しに彼女を指した。 「時間があったらでいいんですけど、学園に帰るお嬢の話し相手になっちゃくれませんかねぇ」 どうして?という浮かんだ疑問符が、傾げた首から伝わったのだろう。 こちらに顔を寄せてきた彼は、囁いた。 「お嬢……今、悪いヤツに騙されて連れてかれるとこだったんすよ」 えぇ!?と思わず口から出てしまった。 たまにそういうコトがある事は知っていたが、まさか身近で起きるとは。 「本当なら旦那が一緒なんですけど、今日は大事な会議があるんで。頼めませんかね?」 先も伝えた通り、二人には恩がある。自分に出来る事なら、喜んで。 そう伝えると、彼は満足そうに頷いた。
2 21/09/01(水)23:58:33 No.841654465
「そいつぁよかった!そこの車で送らせてもらうんで、ま、乗って待っててください」 指された方には、道路沿いに止められた黒い車。これに乗せて貰えるらしい。 「アンタは……!あ、アタシは別に一人で帰れるわよ……!」 「はいはい。すぐ強がるんだもんなぁ」 「むぅ……」 不服そうな顔をした彼女の手を引いて、車の扉を開けて乗り込んだ。 「おーい!誰か、二人を送ってってくれ~」 彼が路地を向いて声を掛けると、奥の暗がりから、一人出てくる。 同じ黒外套のその人物は、彼の横を通り過ぎる際に、何かを彼に手渡したのが見えた。 「アタシ、あの人がう、ウソついてたなんて、わかってたんだから!ねぇ、聞いてる!?」 運転席に座った黒外套に、彼女が絡み……話しかけて、出発が遅れているようだ。 ふと、彼が気になって、窓越しに視線を向ける。 手渡された物を眺めている彼。たまに、それを指でなぞるような仕草。 そんな姿をボンヤリと見ていると、彼に向かって歩いている人に気づいた。 自分が来た方とは逆の方向。そちらからゆっくりと近づいてくる人に、彼も気づく。
3 21/09/01(水)23:58:43 No.841654518
「……おっ?アンタまで来たのか」 ……現れたのは、白い外套を身に纏った人物。 「……他にも?」 「十三ほど奥に詰めてる。指示貰った時は冷静そうに見えたけど、旦那も結構お冠だったのかねぇ」 車の窓越しで聞き取りづらいが、どうやら外套の色以外は似通った姿の通りに、彼の仲間のようだ。 「まぁ、急ぎだったからなぁ。旦那が操作するんじゃ間に合いそうに無かったし」 「卿は、なんと?」 「お嬢を迎えに。後はこっちにお任せします。だってさ」 白と黒の会話。どちらも手慣れた雰囲気で、見目も相まってまるで映画や創作物みたいに見える。 「あの男、“戦果”を報告するグループなんて作ってたみたいで。写真あげて気に入ったのは“共有”だとか」 見ます?と手にしていた物を見せると、白外套はそれを取り上げ歩き出した。 「……纏めて断つとする」 「へぇ。ま、お願いしますわ。所在とかは、必要なら旦那に聞いていただけりゃ割り出してくれるんで」 遠くなっていく白外套を、彼は手を振って見送っていった。
4 21/09/01(水)23:58:56 No.841654601
「さて……おっと」 振り返って路地の方を彼は、何かを避けるように片足を上げた。 「おーい、こっちに飛ばさないでくれよ~。はぁ……お掃除が大変だなぁこりゃあ」 自分からは暗闇しか見えない路地の奥に向け、何やら注意をした後ボヤく彼。 すると、黒外套の仲間がまた一人暗闇から出てきて、彼に何かを話したようだ。 「ん?そいつ、どうするか?どうするったって、そりゃ捨てるしか……」 「いや、待てよ?回収して使うか……?」 腕を組み、思考に熱を入れているようだ。固まった姿勢のまま動かない。 「確かアレに……でも優先度はかなり低いしな」 「う~ん。成人男性は有り余ってるし、補充も容易だからなぁ……」 「……よし、そいつはつぶ」 最後の言葉は、駆動し始めたエンジン音で途中からかき消されてしまった。 ……彼は、最後に何を言おうとしたのか。また聞けないか。 そう思い、耳を澄ませていたが、走り出す車。彼の後ろ姿が遠くなっていき、やがて見えなくなる。 帰り道。自分の担当にも注意を促そうと心に決めながら、彼女の話し相手を務めたのだった。
5 21/09/01(水)23:59:10 No.841654672
賢さが20上がった! 迅速果断のヒントLvが5上がった! スイープトウショウのトレーナーの絆ゲージが9上がった!
6 21/09/02(木)00:07:55 No.841657795
アンブラハンズがみんな出てきてる…