虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/08/29(日)01:09:44 不愉快... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

21/08/29(日)01:09:44 No.840273881

不愉快な、或いは幸せな微睡み。いずれにせよ、私の朝はそれらに抗うことから始まる。 戦績は日による。身体を引き摺り出すように起きる日もあれば、もう一度布団に沈んでしまう日もある。仕事やトレーニングのある日は無理にでも起きるけれど、オフの日は基本的に不戦敗だ。 ただ、今日ばかりは何とか起きなくては。 いつも私を起こしてくれる人を、今日は私が起こさなくてはいけないのだから。

1 21/08/29(日)01:10:27 No.840274084

出会ったときから思っていたけれど、お人好しにも程があると思う。休日にも関わらず仕事に付き合うところも、それなのに前の日の夜遅くまで、後輩のトレーナーの相談に乗ってあげるところも。 結局彼が帰ってきたのは、日付が変わって暫くしてからだった。私を起こさないようにそっと布団に入ってきてはいたけれど、元々眠りが浅く、彼がいることに慣れきっていた私の意識は、待ち望んでいた空気を求めるように微睡みから浮上した。 疲れていたのだろう。彼はすぐに眠りに落ちて、朝が来ても起きそうになかった。いつもの借りを返す意味でも、明日の朝は彼を起こしてあげようと考えたのは、概ねそんな経緯である。

2 21/08/29(日)01:10:37 No.840274131

「ほら、起きて。仕事あるんでしょ?」 声をかけてみるが、うん、と唸るだけで起き上がる様子はない。軽く揺すってみても反応が芳しくないのは変わらなかった。 「ねぇ」 声は聞こえているのだろう。半分は起きかけているようだが、まだ目覚めきってはいないのだろう。 最終手段だ。背中から抱きつくように耳元まで口を近づけて、囁く。 「…帰るの遅くなったら、一緒に出かけられなくなるよ」 眠そうに身を捩っていた彼の動きが止まると、ゆっくりと此方に振り向いて目を開けた。さっきよりも小さい、聞こえるか聞こえないかくらいの声で言った言葉の効き目に、半ば苦笑気味になる。 「ほんとに寝てた?」 「寝てたよ…ぁー、しんど」 伸びをする彼はまだ眠そうだ。仕事ではきちんとしている分、これだけ隙のある姿は新鮮だ。いつもやりこめられている分、ついからかいたくなる。

3 21/08/29(日)01:11:24 No.840274394

「サボってみる?」 「…ありかも。怒られたらシチーが慰めてくれ」 そう呟く彼は布団の端を掴んで、もう一度横になりそうな風情だった。 「…マジ?」 「嘘だよ。きちんと認められたいからなぁ。仕事はタルいけど、シチーと一緒にいられないのはもっとやだ」 「…ほんとにアンタ、アタシのこと好きだよね。ちょっと引くわ」 「えっ」 「…嘘だって。早く出なよ」 黙ってても、相変わらず表情がうるさい奴だ。寝ぼけたり惚気たりびっくりしてみたり。 そういうところに安心している私も、大概なのだろうけど。

4 21/08/29(日)01:11:34 No.840274442

「まあ、眠いもんは眠いけどな…ふぁぁ」 「…ほら、しゃんとしなって。遅れるよ?」 「もっと応援してくれ、そしたらもっとしゃっきりする」 「…調子乗んな」 往生際の悪い。結局、鼻を摘んで起こしてやった。 ──昼御飯、なんか作ってあげないと。

5 21/08/29(日)01:11:56 No.840274573

「ぁあ…んっ」 まだ醒めきらない意識を強引に引っ張って、キッチンに立つ。時刻はちょうど正午になるかというところだった。 午前中には終わると言っていたので、あとそろそろで彼も帰ってくる。それまでには終わらせないと。 眠い目を擦りながらも、覚えたてのレシピを諳んじる。まだそれほど豪華なものを作れるわけではないけれど、手は抜かない。 頑張ったあいつを、ちゃんとねぎらってあげたいから。 鍵の開く音が辛うじて目覚ましになる。布団に倒れ込むように、彼に寄りかかった。 「ただいま」 「…ん、おかえり」 ぽん、ぽんと、彼が背中を撫でてくれる。そのまま意識を手放したくなる誘惑に負けそうになるけれど、何とか身を起こして奥に上がる。 「そのまま寝てもいいぞ?」 「…やだ。ご飯冷める」 起きるに決まっている。今までほとんどしてこなかった料理を覚えようと思ったのは、食べて喜んでくれる時間を一緒に過ごしたいからだ。 そんな時間を寝て過ごすなら、作った意味がない。

6 21/08/29(日)01:12:17 No.840274677

食事終わりの微睡みは、なおのこと瞼を重くする。慣れない早起きをしたこともあって、今眠ってしまえば次の朝まで目覚めないのではないかとさえ思えた。 これから彼と出かけるのだ。寝過ごしたら、トレーニングに寝坊したときの比ではないくらい後悔する。 ──だというのに、どうして私は彼の膝の上で横になっているんだろう。 「出かけるのに…」 「いいから。今日は頑張ってくれただろ?」 穏やかな声を聞きながら頭を撫でられるとすぐにでも眠りに落ちそうになるけれど、今だけはその誘惑に乗るわけにはいかない。 「…でも…今寝ちゃったら…」 「大丈夫だって。ちゃんと時間になったら起こすから。いつもみたいに。 だから、ちょっとは信用してくれ」

7 21/08/29(日)01:12:52 No.840274859

ずるい。ほんとにずるい。 いつもそうやって、私のことを甘やかす。だから私は、あんたから離れられなくなるんだ。 ちょっとはあんたの前に立っていたいのに、すぐにこうやって包み込まれて、だめになってしまう。 結局、また甘えてしまったな。 ──ああ、でもどうせ甘えるんだったら── 「シチー?」 「ん…ほら、あんたも」 あんたも一緒に、だめになってしまえばいい。

8 21/08/29(日)01:13:15 No.840274978

暫く逡巡していた彼も、私が首に手を回して催促すると、観念したように横になって、私をぎゅっと抱きしめてくれた。膝の上を堪能するのもいいが、せっかくそばにいるのだから、少しでもいいからもっと彼を味わいたい。 「ふたりで寝坊したらどうする?」 「起こしてくれるんでしょ?信用してる」 苦笑いする彼の姿を見るのも、意外に新鮮で愉しいものだ。いつも敵わない分、こういうときに借りは返さなければ。 「そうだな。寝てるシチーも好きだけど、やっぱり一緒に何かしたいからな」 きっと彼はいつものように笑って、私を抱きしめてくれるだろうけれど。 そんな時間も、幸せだから。

9 21/08/29(日)01:13:33 No.840275075

彼も私も、もうすっかり微睡みに囚われていた。でも、お互いにすっかり意識を手放してしまう前に、ひとつだけ訊いておかなくては。 「…ご飯、どうだった?」 「…美味かったぞ。毎日でも食いたい」 寝惚けているのか、或いはそういう振りなのか。今なら何を言っても、眠気のせいにしてしまえる。 でも、今は待ってあげるよ。 「…なにそれ、ばーか」 ──いつかちゃんと、言わせてみせるから。

10 21/08/29(日)01:13:51 No.840275164

いつも彼に起こしてもらっているから、彼の寝顔を明るい場所で見ることは少ない。普段はあんなにうるさいのに、穏やかな寝息を立てる彼は、本当に可愛らしく思えた。 彼の腕に身体を預けると、水の中に浮いているような気分にさせられる。身体を縛る重力から開放されて、潮騒だけが私の心を安らげる。 もう一度、沈む。静かな海の底のような、深い眠りに。 この海の中は、いつも暖かくて心地いい。 ──ずっと、ここで泳いでいられたらいいのに。

11 21/08/29(日)01:14:31 No.840275374

おわり 起こしたり起こされたりするトレシチ概念

12 21/08/29(日)01:14:33 No.840275384

抱けー!

13 21/08/29(日)01:17:34 No.840276294

一瞬バンブー・メモリー男らしいな…って錯覚してしまった

14 21/08/29(日)01:20:01 No.840277071

一緒に住んでかなり長いカップルの距離感ですね 私の性癖には合っていますよ

15 21/08/29(日)01:20:07 No.840277100

シチーが起こそうとするのいいね…

16 21/08/29(日)01:24:10 No.840278355

モデルの仕事とか出張とかで離れてたら露骨に朝に弱くなるシチーさんが見てぇ

17 21/08/29(日)01:31:43 No.840280418

幸せな家庭にゴールインする日も近い

18 21/08/29(日)01:33:22 No.840280828

寝るまでシチーさんの髪手櫛してあげたりしてるやつ

19 21/08/29(日)01:34:42 No.840281232

書き込みをした人によって削除されました

20 21/08/29(日)01:36:53 No.840281840

出先でトレーナーがいないから寝れなくて帰ってきたらその分いっぱいくっつくシチーさんを所望します

21 <a href="mailto:おまけ">21/08/29(日)01:38:47</a> [おまけ] No.840282345

「ふぁ…なんだかんだ言っても起きられるもんだな」 「まあね…二度寝だし」 シャワーに入る時間くらいはあるだろうか。微睡みと現実の間を彷徨っていた意識が、少しずつ現実のほうに傾いてゆく。 今覚えていることも、きっと数刻の後にはもう思い出せなくなっているのだろう。 「夢見たんだよね」 「どんな?」 だから、今のうちに言っておこう。 「アンタと一緒にいる夢。一緒に起きて、仕事行って、ご飯作って、一緒に寝る」 「びっくりするくらいいつもと変わらないな」 確かにそうだ。でもひとつだけ、はっきりと違うことがあった。 「でも、今は子守りなんてしてないじゃん」 「…っ!」 流石の彼も動揺を隠せないらしい。いい気味だ、今くらいは存分に慌ててもらおう。 どんなことを言っても、微睡みのせいなのだから。

22 21/08/29(日)01:39:45 No.840282571

おまけ シチーさんは日和らずに結婚とか匂わせると思います

23 21/08/29(日)01:40:41 No.840282802

いいべ…

24 21/08/29(日)01:43:20 No.840283452

>「でも、今は子守りなんてしてないじゃん」 !掛かり

25 21/08/29(日)01:46:40 No.840284292

大丈夫?週刊誌に抜かれたりしない?

26 21/08/29(日)01:47:23 No.840284429

こういう適度な湿度のカップルいいよね…

27 21/08/29(日)01:48:08 No.840284592

多分堂々と婚約発表するやつ

28 21/08/29(日)01:49:38 No.840284964

>多分堂々と妊娠発表するやつ

29 21/08/29(日)01:50:02 No.840285072

さすがはつよつよ四天王…

30 21/08/29(日)01:51:53 No.840285540

これが適切な距離感ですか トレーナーと生徒が同衾してもいいんですか

31 21/08/29(日)01:54:08 No.840286088

>これが適切な距離感ですか >トレーナーと生徒が同衾してもいいんですか 推奨ッ!

32 21/08/29(日)01:55:56 No.840286518

たまにキスで起こしたりしてるよ絶対

33 21/08/29(日)01:57:10 No.840286766

シチーさん最近増えてるべ…もっと増えるべ!

34 21/08/29(日)02:02:59 No.840287973

シチーさんの柔らかい体とトレーナーさんの匂い どっちが先に掛かるか

35 21/08/29(日)02:09:45 No.840289384

帰ったらシチーが出迎えしてくれると難病が治るというデータがあるらしい

36 21/08/29(日)02:15:08 No.840290551

いちゃつき慣れてるカップルはいいものだ

37 21/08/29(日)02:19:53 No.840291563

書き込みをした人によって削除されました

38 21/08/29(日)02:20:19 No.840291652

シチーさんのは湿度というよりも生活感があるしっとりさで健康に良い

39 21/08/29(日)02:23:26 No.840292289

尊死するべ…

40 21/08/29(日)02:28:24 No.840293296

結婚発表しても世間はやっとかみたいな反応しそう

↑Top