ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/08/29(日)00:49:33 No.840267563
僕には魔力がある。魔力といっても強いものではない。竜巻を作ったり、手から炎を出したりとか、そう言う程度だ。体力をかなり消費するから役立つようなものではないし、かといって見つかったら面倒なことになる。なので、人には隠している。 とは言うものの、目立ちたい!と言う欲求は誰にでもあるもので、昔は近所の子供たちに見せびらかしたりもしていた。 …それがこんなことになるとは全く思っていなかった。
1 21/08/29(日)00:49:52 No.840267670
「ねーえ!いいでしょ!私のトレーナーになってよ!」 彼女はスイープトウショウ。曲者揃いのトレセン学園でも、かなりの問題児だ。まだまだ新人の僕に乗りこなせるウマ娘じゃない。丁重にお断りして他のトレーナーを探してもらおう。そう思ったのだが… 「ヤダヤダヤダ!魔法使いのお兄ちゃんがトレーナーじゃないとヤダ!」 なぜ知っているんだ…と言うかこんなことを大声で騒がれては困る。とりあえず騒がれないように目と口を塞いで物陰に連れ込み、魔法で少し近道をしてトレーナー室に出る。今の絵面はほとんど犯罪者だが…まあ力のことがバレるよりはマシかもだろう。
2 21/08/29(日)00:50:03 No.840267745
「今なにが…あれ?トレーナー室?」 彼女も今魔法を使ったことには気づかなかったようだ。とりあえずどこから聞くべきだろうか… 「どうして僕が魔法使いだと思ったのか、理由を聞かせてくれるかな?」 「だって昔見せてくれたじゃないの!」 昔…近所にウマ娘はいなかったはずだが… 「申し訳ないけど人違いだと思うよ。」 「絶対にお兄ちゃんがあの時の魔法使いよ!私覚えてるんだから!」 あの時…いつだ…?全くわからない。 「申し訳ないんだけど、あの時っていつのことだか全くわからないんだ。よかったら教えてくれるかい?」 「えっ…覚えてないの…?」 「うん。全く。」 「しょうがないわね…話してあげるからしっかり思い出しなさい!」
3 21/08/29(日)00:50:14 No.840267799
アタシがまだ小さい頃、落ち込んだりしていると、おばあちゃんがおまじないと一緒に赤いバラとか白いハトを出して励ましてくれたりしていたの。でも、そのことを友達に話しているのを聞いた学校の男子たちがそんなの手品だって言ってきた。アタシは反論したけど、うまく言いかえせなくて…魔法なんて本当はないんじゃないかってその時は思っちゃってた…なんだかすごく悲しくて、帰り道で一人で泣いてた。その時に…
4 21/08/29(日)00:50:25 No.840267856
「こんなところで一人で泣いてどうしたんですか?」 「ぐすっ…お兄ちゃん…魔法ってやっぱり全部嘘なの…?」 「………嘘じゃないですよ。ほら」 お兄さんが指を鳴らすと、その手には薔薇の花が握られていた。 「そんなのただの手品じゃない!………やっぱり魔法なんて嘘なのよ!」 「困ったなぁ…じゃあもっとすごい魔法を見せてあげましょう。こっちにおいで。」 そういってお兄ちゃんはアタシを、人の少ない公園の端へと連れて行った。 「今からここにチューリップの花畑を作りましょう!」 「ほんとに!?でもいま真冬よ?」 「できそうにないことをするから魔法なんですよ。」 そういってお兄ちゃんは地面に手をつくと、力を込め始めた。 …それから数分。
5 21/08/29(日)00:50:37 No.840267915
「ねえまだ?」 「もう…ちょっと…」 「アタシもう帰っていい?」 そういってアタシは来た道を戻ろうと、後ろを振り向いた。 その時、後ろから土が盛り上がるような音がした。驚いて向き直ると 「わぁぁぁ…!!!」 あたりが一面チューリップで埋まっていた! 「ほら…魔法は…実在…するんですよ…」 「お兄ちゃんすごい!お母さんたちも呼んでくる!」 そうやってアタシがお母さんたちを呼んでくると、そこにチューリップはなく、お兄ちゃんも居なかった。
6 21/08/29(日)00:50:47 No.840267959
「どう?思い出した?」 「あー…あの時か…」 思い出した。確かにそんなことをした記憶がある。たまたま遠出をした時に泣いていた女の子に真冬のチューリップを見せた。しかし、あれは本当に咲かせたわけではない。春ならば咲かせることもできるかもしれないが、冬には無理だ。ならばどうしたかというと、幻覚を見せたのだ。正直言って後ろめたい気持ちもあり、自分から忘れていたのだ。まさかあの時の子とこんなところで会うとは。しかもカッコつけていったセリフまで一字一句しっかりと覚えられていてものすごく恥ずかしい。 「あの時のお兄ちゃんとってもかっこよかった!また言ってよ!できないことをするから魔法なんですよ。ってやつ!」 「か…勘弁して…」 「ヤーダー!言ってよー!」 「トレーナーになるからそれだけは許してくれ…」 「ホントに!?トレーナーになってくれるの!?」 「あっ…ああ…」 かくして、俺はまだ新人だというのに、この気性難のウマ娘を担当することになってしまったのだった。
7 21/08/29(日)00:51:36 [s] No.840268223
ウマ娘の過去にトレーナー絡ませたい協会の者です
8 21/08/29(日)00:53:12 No.840268758
正式実装されたとき存在を抹消される命知らずなヤツら来たな…
9 21/08/29(日)00:56:23 No.840269764
スイーピーとの馴れ初めがこれはとても好き
10 21/08/29(日)01:07:54 No.840273327
強くないって言ってるけどこいつ普通にすごいな!
11 21/08/29(日)01:09:22 No.840273785
>そういってお兄ちゃんはアタシを、人の少ない公園の端へと連れて行った。 もしもし?
12 21/08/29(日)01:10:53 No.840274232
竜巻作れるやつが魔力強くないなら魔力強いやつは何ができちまうんだよ…
13 21/08/29(日)01:19:17 No.840276858
>竜巻作れるやつが魔力強くないなら魔力強いやつは何ができちまうんだよ… 平行世界運営したり魂物質化したり…
14 21/08/29(日)01:46:30 No.840284249
これ書いた「」は多分少し風を起こすって書けばいいのを竜巻と書いてしまったのかそれとも竜巻見たことないかのどっちか