21/08/25(水)22:48:14 こんに... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1629899294726.png 21/08/25(水)22:48:14 No.839159407
こんにちは。ヴィルシーナよ。今日は私達同期組とシオン先輩達数名のヒト達と一緒に実戦を想定した伏せの練習の日。皆、ウォームアップをする毎にどんどん闘志が増してきたわ。そして、彼女も… 「中々に仕上がってますわね。シーナ」 「貴女こそ。ドンナ。何時にも増してオーラが溢れてる」 「貴女こそ、風が吹き出てるのはご存知? 伏せの最中に台風にならないで下さいましね」 ジョークを交わした私達は拳をぶつけ合い、ジャスタウェイに名前を呼ばれるとコースへと入っていった。 配置はドンナがややイン側に。少し離れて外側に私。破天荒なゴールドシップやジャスタウェイも左右に散っている事から、簡単に乱戦が予想出来た。コースは芝、2200…阪神競馬場を想定したセッティング。
1 21/08/25(水)22:49:33 No.839160020
「位置について!」 トレーナーの掛け声に私達は身構える。ドクン、ドクン、ドクン、と心臓が強く脈打ち、体中に熱い血液を送り出す。疾走れ。疾走れと言わんばかりに… 「パフンッ」 耳の敏感なウマ娘に考慮された、音を控えめにしたスターターピストルの花火が成る。私達は一斉にバッ! と駆け出した。 ゴールドシップは出遅れずとも加速が伴わずやや後方に。それでも上がってくる事は彼女のレースを見ていれば目に見えて分かる。また、2000メートル級ならジャスタウェイだって競争相手として恐ろしい相手だ。だけど、私にとっては… 「はぁぁぁぁぁああああ!!」 貴婦人が、あの黄色い髪を靡かせて力強く走る貴婦人が何よりも恐ろしく、そして…負けたくない相手。例え其れが「伏せ」だったとしても。
2 21/08/25(水)22:49:56 No.839160230
レースはホームストレートを抜けて第一、第二コーナーへ。先頭争いは既に始まっていて、ゴールドシップも加速が乗ってきて追い上がってきた。 シオン先輩にオルフェーヴル先輩、フェノーメノにスピルバーグだって、皆、皆負けてない。バックストレートに入ると高速巡航モードに突入したゴールドシップが頭一つ抜けてトップを取った。 ソレを追う影。ジェンティルドンナ。ちらりちらりと背後を伺うゴールドシップ。私も其れに乗った。 後続と何馬身も離した打っ千切りなら兎も角、先頭を走るウマ娘は1位に甘えてダラダラ突っ走って居れば良いって訳じゃ無い。 走行妨害をしない程度に左右に揺れて間合いを取りながら全力で走るのだ。それは凄く精神力を使うし、何時誰がスパートを駆けて追い抜いてくるかも分からない。
3 21/08/25(水)22:50:21 No.839160417
第三コーナーから第四コーナーへ。ドンナは勝負を仕掛けた。ゴールドシップよりも更にイン。ガードレールギリギリを駆け抜けた。インを詰めればドンナに接触してしまうゴールドシップは手が出せない。 そしてそのタイミングを私も貰った。三つ巴の先頭争い。僅かに一抜けたドンナを先頭に、二番手は私。三番手はゴールドシップ。そして私は奥の手を繰り出した。 我武者羅に走る。スタミナとパワーが切れるまで。遠心力でカーブのアウトへと膨らんでしまいながら。其処で私は、思いっきり体をインへと倒した。 トレーナーが私に見付けてくれた「ハングオン走法」。斜めの姿勢を維持する体にも、意識を集中させる事にも負担の掛かる、文字通りの必殺技。それが上手く決まりさえすれば、ホームストレートのアウト側でトップを獲れる。 …三女神様の気紛れに愛された「誰か」を除いて。
4 21/08/25(水)22:50:45 No.839160603
「くぅぅぅううう!!」 「かはぁぁぁぁああ!!」 横一線。私とドンナが、トップを奪い合う。そのほんの直ぐ後ろには追い抜かんとするゴールドシップも控えて。 頭が煮る。筋肉が悲鳴を上げる。肺が燃える様に熱い。でも。 回(レブ)れ、回れ、回れ…! イメージトレーニングにと、トレーナーに見せて貰った、バイクのタコメーターの動きをイメージする。 ギアを上げろ。回転を落とすな。アクセルを開けろ───!! 疾走れ─!疾走れ──!疾走れ───!!! 「行ッけぇぇえええ───!!」 自分に叫ぶ。カラカラの喉で、雄叫びを上げる。
5 21/08/25(水)22:51:41 No.839161020
私は科学的に何の根拠も一切無い暴力的な精神論は嫌いだ。でも。 ──誰かが心の底から届けてくれる『頑張れ』は、嫌いじゃ無い。例えそれが自分でも。── ゴール板が見える。手を伸ばす。手を伸ばす。手を伸ばす。 届け。一歩でも届け。今この時、この瞬間、誰よりも速く、誰よりも強く! …そして… 私達3人は、団子になってゴール板を踏み越えた。 ぜぇ、ぜぇ、と荒い呼吸を繰り返しながら、ゆっくりとスピードを落として歩く。クーリングダウンをしながら、汗を拭う。
6 21/08/25(水)22:52:15 No.839161297
「いよーぉ。お前ら2人とも今日は上手いことやってくれたなぁ。左右散けてアタック駆けられたら如何しようもねえっての」 「ふふふ…それにしては貴女だって最後の追い上げに食い付いてきたではありませんか。見事なダッシュでしたわよ。所で、シーナ?」 「なぁに、ドンナ」 はしたないけれど、胸元をパタパタと扇いでいた私は問い掛ける。 「凄いつむじ風が吹いてましたわよ。まるで峰風のよう」 「…アハハ、ちょっと照れ臭いかな」 私の髪は長いから、マークしていれば簡単に風を巻き起こしてるのがバレバレだ。それは即ち、勝負に出た証拠。 ぐるりと一周芝を歩き終えて私達はトレーナーのところに戻ってきた。結果は…… 私が1番だった。 呆然とした。私は勝ったのだ。あの貴婦人に。ジェンティルドンナに。例え其れが、データに残らないようなトレーニングのレースだとしても。この感動をどう受け止めれば良いのか分からず、私はちょっかいを掛けてくる3位のゴールドシップに肘で突き返した。
7 21/08/25(水)22:52:43 No.839161512
…夕方。空が茜色に染まる時。 私はドンナをコースの見える丘に呼び出した。 「どうしましたの、シーナ」 ドンナの体から清潔な石鹸の香りがしてきた。上品で…高級そうな香り。私は立ち上がってドンナに向き合った。 「私さ…何時もドンナとレースすると2番じゃない?」 「ええ、そうですわね。何時でも、貴女はわたくしの1位を脅かしてくれた、戦い甲斐のある素敵なライバルですわ」 「だから、さ…何時かその時が来るまで、私はずっと思ってたんだ」 ポケットから、造花の赤い薔薇を取り出す。そして差し出した。 「…ずっと、ずっと好きだった。初めて貴女に打ち負かされて、その力強い背中を見せ付けられたあの時から。だから…愛してます。私の、貴婦人さま」
8 21/08/25(水)22:53:10 No.839161724
顔を真っ赤に染めて、目を瞑りながら彼女からの答えを待つ。イエスかな。ノーかな。それとも拒絶されちゃうかな…私はドキマギしながら彼女のアクションを待った。そして… 「わたくしを口説くのに、薔薇の一本だけだなんて、物足りないこと」 そっと、柔らかい手が触れてきた。 「でも、貴女の思いは、伝わりましたわ」 私の目尻に、涙が滲む。 「…私だけの『1番』に、なってくれますか…?」 「貴女ほどの美しい『頂上』を頂けるわたくしの方が幸せ者でしてよ」 ドンナは私の手に触れたまま、コツンと私の額と額をくっ付けた。 「…今度、薔薇の花束を買いましょう。そして改めて、わたくしに告白してくださいまし、ヴィルシーナ」 「えぇ…! 私だけの、ジェンティルドンナ!」 晴れた茜色の空にぽつりぽつりと、造花の赤い薔薇に暖かい雨が降った。
9 21/08/25(水)22:54:43 No.839162391
むっ!!!
10 21/08/25(水)22:54:54 No.839162468
尾終い くっ付けました(直球) この子達を幸せにするにはもう熱い熱いレースしかないと思いました。 遠くから偶然2人を見掛けたデジたんは死にました
11 21/08/25(水)23:00:53 No.839165097
>むっ!!! むん!むん!むん!
12 21/08/25(水)23:02:40 No.839165776
ぬっ!
13 21/08/25(水)23:03:30 No.839166109
に"ゅ"っ"!”尊い/
14 21/08/25(水)23:04:16 No.839166429
ジェントレ推進委員会の方から来ましたがこれはこれで……
15 21/08/25(水)23:04:44 No.839166610
ジェンシーナ好きに届け怪文書
16 21/08/25(水)23:05:20 No.839166859
>に"ゅ"っ"!”尊い/ またデジたんどのがてえてえしてらっしゃるぞ
17 画像ファイル名:1629900375278.png 21/08/25(水)23:06:15 No.839167211
>「でも、貴女の思いは、伝わりましたわ」 >私の目尻に、涙が滲む。 >「…私だけの『1番』に、なってくれますか…?」 >「貴女ほどの美しい『頂上』を頂けるわたくしの方が幸せ者でしてよ」
18 21/08/25(水)23:06:24 No.839167277
>ジェントレ推進委員会の方から来ましたがこれはこれで…… ジェントレ委員会の方、どうも有難う御座います 其方のご活躍もお待ちしております
19 21/08/25(水)23:07:18 No.839167620
ジェントレ推進委員会に入りたいけどいまいちシチュが思いつかないのよね…
20 21/08/25(水)23:07:41 No.839167774
>>「でも、貴女の思いは、伝わりましたわ」 >>私の目尻に、涙が滲む。 >>「…私だけの『1番』に、なってくれますか…?」 >>「貴女ほどの美しい『頂上』を頂けるわたくしの方が幸せ者でしてよ」 何時も挿絵有難う御座います! 爽やかな夕方の風を感じますね
21 21/08/25(水)23:09:52 No.839168577
>ジェントレ推進委員会に入りたいけどいまいちシチュが思いつかないのよね… お洒落な喫茶店に美味しい紅茶飲みに行ったり ドレスや服の買い物に付き合ったりとか 無難なシチュエーションからアプローチを挑んでみては如何でしょう
22 21/08/25(水)23:12:17 No.839169465
一緒に筋トレするのもいいものですよ
23 21/08/25(水)23:13:13 No.839169811
>一緒に筋トレするのもいいものですよ 良いですね。マラソンなども
24 <a href="mailto:s">21/08/25(水)23:21:17</a> [s] No.839172623
久しくレースシーン書いてて楽しかったです またチャンバラとかも書きたいですね
25 21/08/25(水)23:23:59 No.839173550
いい…
26 21/08/25(水)23:24:20 No.839173692
>いい… いいですね…
27 21/08/25(水)23:34:04 No.839177108
毎回思うけどドンナは流れによっては貴婦人だったり霊長類最強絵文字だったりするのに根幹がぶれてないのか全く違和感なく地続きのキャラに見えてすごい あれ?オール幻覚なの?嘘でしょ…?
28 21/08/25(水)23:36:32 No.839178062
>毎回思うけどドンナは流れによっては貴婦人だったり霊長類最強絵文字だったりするのに根幹がぶれてないのか全く違和感なく地続きのキャラに見えてすごい >あれ?オール幻覚なの?嘘でしょ…? 気を確かに この芦毛ニウムを吸引して、落ちついて…
29 21/08/25(水)23:40:18 No.839179452
>気を確かに >この芦毛ニウムを吸引して、落ちついて… これを吸引したら「」ャスタになってしまいます… いやそれでいいのでしょうか…
30 21/08/25(水)23:42:38 No.839180247
>>気を確かに >>この芦毛ニウムを吸引して、落ちついて… >これを吸引したら「」ャスタになってしまいます… >いやそれでいいのでしょうか… しかし「」ャスタになる事でシップ含め愉快な同期の皆やバリちゃん先輩とキャッキャうふふのうまぴょい伝説が出来るんですよ