虹裏img歴史資料館

ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。新しいログはこちらにあります

21/08/25(水)00:07:12 「スズ... のスレッド詳細

削除依頼やバグ報告は メールフォーム にお願いします。個人情報、名誉毀損、侵害等については積極的に削除しますので、 メールフォーム より該当URLをご連絡いただけると助かります。

画像ファイル名:1629817632667.jpg 21/08/25(水)00:07:12 No.838842230

「スズカさん」 ぼんやりと遊ばせていた思考が、聞きなれた声に中断される。同室のスペシャルウィーク──スペちゃんの声だ。 「えっと……どうしたの、スペちゃん」 「スズカさん、最近なにか悩んでませんか?」 「えっと……ど、どうかしら?」 「余計なお世話だったらごめんなさい……。でも最近のスズカさん、なんだかいつにも増してぼんやりしている気がして。それで、なにか悩みがあるんじゃないかって」 まるで常日頃ぼんやりしているかのような物言いに引っ掛かりを覚えつつも、とりあえずとぼけようとする。 「べ、別に悩みなんて──」 「例えば、トレーナーさんのこととか」 思わず、びくりと肩が跳ねてしまった。 「うそでしょ……そんなにわかりやすかった……?」 「はい、まあ……。ともかく、私なんかでよければスズカさんの力になりたいんです!」 「……スペちゃん」 初めこそ誤魔化そうとしたものの、そんなスペちゃんの真摯な表情に、私は意を決して口を開いた。 「私……トレーナーさんのことが、好きみたいなの」

1 21/08/25(水)00:07:36 No.838842358

⏰ 「…………なるほど、温泉旅行を境にトレーナーさんのことが好きだと気づいてしまったと。それから今までどおりの距離感で接することができなくなったんですね!」 「や、やめて、スペちゃん……!恥ずかしいわ……」 さっきまでの私の言葉を反芻する彼女を前に、思わず両手で顔を覆う。自分の顔が赤くなっているのがわかった。 「でも、安心しました」 「安心?」 「はい。てっきり、スズカさんはもうトレーナーさんと付き合っていて、何かの拍子に喧嘩でもしたのかと思いました」 「わ、私とトレーナーさんが付き合ってるなんて……!」 ますます顔が熱くなる。 「でも、そういう事なら私に任せてください!」 やたらと気合を入れたスペちゃんの様子に一抹の不安を覚えないでもない。 しかし、たしかスペちゃんは彼女のトレーナーと既に家族ぐるみの付き合いになっているという話だし、色恋沙汰に関しては、私の数穂先を言っているのは確かだ。 「スペちゃん……頼りにしてるわ……!」 「えへへぇ……スズカさん……。……そういえば、もうすぐバレンタイン──」

2 21/08/25(水)00:07:56 No.838842486

⏰ ……最近、俺の愛バ──サイレンススズカの様子がおかしい。 率直に言うと、急によそよそしくなったのだ。 以前はよく一緒に出かけたりもしたし、人混みでは俺のてを握ってくれるほどに距離の近い彼女が。 華々しい勝利を飾ったURAファイナルズの後には一緒に温泉旅行にまで行った仲だというのに、最近は目が合うことすら稀だ。 極めつけには、今朝に彼女から送られてきたメッセージ。 『今日の21時、トレーナー室に来てください』 そんな簡素な言葉が、スマートフォンの画面に映し出されている。 よもや、担当を降りて欲しいとでも言われるのではなかろうか。そんな嫌な考えが脳裏に浮かぶ。 ……だが、俺はスズカのトレーナーだ。彼女のどんな言葉だろうと受け止める義務がある。 そう自分を鼓舞し、半ばヤケになってトレーナー室の扉を開いた。

3 21/08/25(水)00:08:22 No.838842632

⏰ 「ハッピーバレンタイン、です。トレーナーさん……!」 扉を開いた先にあったのは、やたらとひらひらした洋服を身にまとったスズカの姿だった。 「お、お疲れ、スズカ」 だいぶ面食らったが、なんとか平静を装っていつも通りの挨拶をする。いや嘘。だいぶ声が上ずってしまった。

4 21/08/25(水)00:08:36 No.838842705

って、今なんて言った?ハッピーバレンタイン? 「はい、お疲れ様です……。じゃなくて……!バレンタイン、です」 ホントはリボンを体に巻いてって言われたんだけど、恥ずかしくて……とよく分からないことを口走るスズカの声を聞きながら、ふと思い出す。 意識していなかったが、今日はバレンタインデーか。あまりに縁がないもので忘れてしまっていた。 「そ、そうだな、それはハッピーだ。それで、用事ってのは一体……」 「ば、バレンタインチョコを……」 「チョコ?」 そう言われて部屋を見渡すが、それらしいものは見当たらない。 「だから、その……」 スズカはそう言い淀むと、意を決したように言った。 「私がチョコです……!」

5 21/08/25(水)00:09:01 No.838842839

俺の愛バが、今、なんと言った? そんな最古のラブコメみたいなセリフを言うような性格だっただろうか、彼女は。 「その、だから……今日だけ、トレーナーさんのお願いを何でもひとつ叶えてあげます……」 そんな彼女を前に、俺の理性が崩壊しそうになる。いつも距離の近い彼女のことを異性として意識していなかったと言えば嘘になる。 だが、俺は彼女よりも10歳近くも離れた大人で、何より彼女のトレーナーだ。熱にうかされて彼女に欲望をぶつけることなどあってはならないのだ。 だから。 「いつまでも、先頭を走ってくれ」 俺は、2番目の望みを言った。 「……え?」 「ずっと、先頭を走り続けて欲しい。その姿を、俺に見せて欲しい。いつまでも。……お願いだ」 俺がそう言うと、スズカは目を白黒させて顔を赤くする。 「ずっと、いつまでも……!?うそでしょ、それってプロポーズ……?やっぱり、スペちゃんの言った通り……」 なんのことか分からないが、その笑顔は今までで一番満ち足りたものだったから良しとしよう。

6 21/08/25(水)00:09:17 No.838842928

『多分、スズカさんのトレーナーさん、スズカさんのこと好きだと思うんだけどなぁ……』

7 21/08/25(水)00:09:41 No.838843059

先頭民族が色恋でふにゃふにゃになっちゃうのいいよね...

8 21/08/25(水)00:10:11 No.838843227

いい…

9 21/08/25(水)00:11:26 No.838843662

スズカさんが意識をし始めるとほんの少しだけ距離が離れるのすごくわかるよ…

10 21/08/25(水)00:11:50 No.838843814

そのあと距離がもっと近くなるのもわかっちゃう…

11 21/08/25(水)00:13:21 No.838844288

いいやん…

12 21/08/25(水)00:14:43 No.838844763

ほう…これは素晴らしいトレスズですね

13 21/08/25(水)00:15:05 No.838844895

初めて怪文書投げたけど反応貰えるって嬉しいね…… 一応トレーナーは童貞のつもりで書いてます

14 21/08/25(水)00:20:38 No.838846946

元々トレーナーさんの居る景色に向かって帰ってくるとか言ってくるクセになんかそういうの気にしいみたいなの分かるよ…

15 21/08/25(水)00:30:57 No.838850739

>初めて怪文書投げたけど反応貰えるって嬉しいね…… やるじゃない…良かったよ…

16 21/08/25(水)00:32:41 No.838851364

>「ずっと、いつまでも……!?うそでしょ、それってプロポーズ……?やっぱり、スペちゃんの言った通り……」 ちょっと掛かり過ぎじゃありませんか

17 21/08/25(水)00:44:51 No.838855593

はい、寝じゃない綺麗なスズカ怪文書良い...

18 21/08/25(水)01:02:07 No.838861142

遠回りに見えた言葉は スズカさんにとっては直線だった

19 21/08/25(水)01:04:29 No.838861776

これはトレーナーが悪いよ…

20 21/08/25(水)01:06:57 No.838862496

真っ当にスズカさんが可愛いの助かる

↑Top