ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/08/22(日)23:29:47 No.838147545
雨。 今日もまた雨が降り続く。 窓から降り止まぬ雨を見て、レッドは憂鬱な気分になった。 「流石に何週間も雨続きだと辛いな」 モンスターボールの中の仲間たちに語りかける。 窮屈なボールから出してやりたいが、 ピカやニョロくらいならともかく他の皆は室内で出すには大きすぎる。 トキワジムにでも行こうか。 あそこならみんなが入れるスペースもあるし久しぶりにグリーンとも戦える。 「あ、そういえばグリーンは留守だっけ」 彼がカロスに留学に行ったのはずいぶんと前だ。 あの日はまだ雨が降ってなかったとどうでもいいことを思い出す。
1 21/08/22(日)23:30:09 No.838147669
グリーンがダメならと次に思いついたのは同期の女性だった。 だが、さすがに友達といえども異性を誘うというのは躊躇いがある。 と、ポケギアが着信音を鳴らした。 手に取ってみると画面に表示されたのはその人物だった。 「もしもし?」 「もしもしレッド。急にごめんね」 通話に出れば彼女、ブルーの声が聞こえた。 「ブルーか。大丈夫だよ」 「ちょっと暇だから、そっちに遊びに行ってもいい? 雨続きで遠出できないからせめてと思って」 「いいさ。オレもちょうどブルー誘って何かしようかなと思ってたところだから」 「あ、そうなの?」
2 21/08/22(日)23:30:26 No.838147797
スピーカー越しにすこし嬉しそうな声が聞こえる。 「お昼ごはんそっちで作ろうと思うんだけど、食材買うの手伝ってくれる?」 「わかった。どこで待ち合わせするんだ?」 「スーパーの前ね。アタシの家とレッドの家の間くらいにあるとこの」 「オッケー。それでいいよ」 通話を切ると身支度をして、傘をさして家を出た。 そういえばブルーと会うのは久しぶりな気がする。 そう思うと雨の中でも足取りが軽くなった。
3 21/08/22(日)23:30:43 No.838147925
スーパーに着くと、出入り口に見慣れた姿があった。 白い帽子に青いシャツ。 呼び出してきたブルーだ。 「ごめん、待ったか?」 駆け寄って声をかける。 だが、ブルーの反応か薄い。 こちらを見ても表情が変わらない。 「どうした?」 聞いてみても様子は変わらない。 まさか、と思った時。 「わっ!」 「うわぁぁっ!!」 後ろから聞こえた声につい驚いてしまった。 振り返ってみると、ブルーが愉快そうに笑っていた。
4 21/08/22(日)23:31:01 No.838148026
「やっぱりか…」 「あ、気づいた?」 「気づいたのはいいけど、心の準備が間に合わなかったけどな」 表情の変わらない方のブルーを見ると、その姿が崩れて溶けた。 いや、元の姿に戻っていった。 変装をといたそれはメタモンの形になるとブルーのポーチの中に入っていった。 「メタモンを使ったイタズラなんてな…。 反応が薄いからおかしいとは思ったんだけど」 「ごめんね驚かせて」 「いいよ。ブルーらしいし」 イタズラをされたことに不快感はない。 むしろ自分を出し抜くブルーはすごいと評価してしまう。
5 21/08/22(日)23:31:17 No.838148134
「驚かして悪かったし、レッドの好きなもの作るわ。 なににする?」 「んー、蒸し暑いしそうめんかな。 お歳暮でもらったのがまだ残ってるし」 「…仮にも女の子の手料理なんだから、もうちょっと作りごたえのあるやつにしてくれない?」 「ごめんごめん。じゃあハンバーグと目玉焼きで」 ブルーに半目を向けられたので、訂正すると彼女はため息をついた。 「じゃ、そうめんは夕飯ね。 それならいいわ」 「ああ、ありがとう」 その口ぶりから、どうやら夕飯まで作ってくれるらしい。 ありがたいと思いつつ、彼女とともにスーパーに入った。
6 21/08/22(日)23:31:31 No.838148238
買い物を済ませて、家への帰路につく。 そこまで距離は離れてなかったので、 自宅には程なくしてついた。 「お邪魔しまーす」 玄関を通り、ブルーが靴どころか靴下まで脱ぎ出した。 剥き出しになった彼女の脚につい見惚れる。 「雨で靴下も靴下も濡れちゃったわ。 悪いけど乾かさせて」 「あ、ああ。乾燥機あっちだから」 スリッパを履いてそちらへと向かう彼女を見送り、レッドは買い込んだ食材をキッチンへと運ぶ。 危ない。思わず見てしまった。 女の子の脚って綺麗なんだなといまさらながら思う。
7 21/08/22(日)23:31:46 No.838148343
思い出すと少しどきりとする。 太ももから足首へとつながるラインが艶かしく感じてしまう。 自分は女の子の脚が好きなのかなと性癖を少し疑う。 「レッド」 「お、おう」 用事を終えてこちらに来たブルーに動揺しつつも返事をする。 「今からごはん作るけど、アタシ1人でやっていい?」 「えっと、うん。お願いするよ」 キッチンを彼女に任せて、自分はリビングに向かう。 普段は考えないようにはしていたが、たまに思ってしまう。 彼女が優れた容姿を持つ女性だと。
8 21/08/22(日)23:32:06 No.838148483
思えば、彼女との出会いも少なからずその容姿に惹かれたところはある。 その時は色々とあったものの、不意に意識してしまう。 「レッドー。ボウルどこにしまってるのー?」 「あ、上の棚だよ」 気持ちを切り替えて、エプロン姿のブルーのいるキッチンに向かう。 上の棚はそれなりに高い位置にある。 女性としては背の高い方の彼女でも取りにくいだろう。 そう思ってレッドは自分でボウルを取った。
9 21/08/22(日)23:32:24 No.838148609
「ほら、これ」 「ありがと」 ブルーがボウルを受け取り、台の上に乗せた。 ついその近くにある彼女の胸の膨らみを見てしまい、また悶々としてしまった。
10 21/08/22(日)23:32:41 No.838148726
「ごちそうさま。美味かったよ」 「ありがと。お粗末さまでした」 昼食と片付けを終え、一息つく。 「で、これから何する? ゲームでもするか?」 「んー、それもいいんだけど」 ブルーはそう言いつつ指を立てて、 「レッドの家、探検してもいい?」 「別にいいけど、そんな大したものないぞ?」 探られて困るようなものはないので一応許可はするものの、 なぜそういった提案をしたのかとレッドは首を捻った。
11 21/08/22(日)23:32:56 No.838148821
「知らない家や部屋ってワクワクしない? 自分の知らない何かがありそうで。 普通の部屋でも、その人がどんな部屋で過ごしてたかわかるし」 「…まあ、わからなくもないな」 子供の頃は好奇心からよくいろんなところに行こうとした。 それらは好奇心によるものだ。 今にしてみればあの頃は相当無茶をしたと反省する。 「あ、いやらしい本とか見つけても知らないふりするから」 「ないよそんなの!」 「電子派なのね…」 「それも違うよ!」 不安になったので、レッドもついていくことにした。
12 21/08/22(日)23:33:16 No.838148948
「ここは物置」 「まあ、普通よね」 すぐには使わないような日用品。 それらを押し込めた部屋でブルーはつぶやいた。 が、隅に置かれたものを見るとそれに近づいた。 「これ、トレーニング器具?」 「ああ。一応はオレ自身も鍛えておこうと思って」 ふうん、と言いつつも彼女は今度は布がかぶさった大きなものに触れる。 布がとられると、自転車型の器具が現れた。 「こういうのも買ったんだ」 「たまに使うくらいだけどな。 大体は外でトレーニングするから」
13 21/08/22(日)23:33:31 No.838149042
「それでもちゃんと使ってるだけいいわよ。 アタシん家だと買ったはいいけど使わなくなったトレーニング器具とかあるし。 パパが買ったぶら下がり用器具なんてハンガーラックになってるわ」 「たはは…」 使い続けてる自分が特殊なのだろうと苦笑する。 そうしていると、ブルーが自転車型器具に乗ってペダルを漕ぎ始めた。 「ちょっと使ってみるわ。こういうの初めて使うから」 「じゃあオレも、久しぶりに使ってみるかな」 そうしてしばらく、2人で室内トレーニングに励んだ。
14 21/08/22(日)23:33:46 No.838149140
「…そろそろ、やめにするか」 「たまにはこうやって汗を流すのもいいわね」 そう言いつつブルーが前髪をあげて、汗を腕で拭う。 汗に濡れた彼女が色っぽく見えてしまい、 トレーニングで上がった体温がさらに上がる錯覚を感じる。 「身体動かしたくなったらここにきてまた使わせてもらおうかしら」 「オレん家がスポーツジムみたいになってるな…。いいけど」 タオルを渡しつつ苦笑する。 自分もタオルで汗を拭き取る。 先程のことも拭い取れればいいのにとつい思ってしまった。
15 21/08/22(日)23:34:26 No.838149394
軽くシャワーで汗を流した後、 今度は自室にブルーを招いた。 彼女はキョロキョロと周りを見回し、 「あ、これ!」 本棚に向かうと、そこから漫画を取り出した。 「これ、アタシが子供の頃に読んだことある! こんなに続いてたんだ!」 彼女が手に取った漫画は、本棚に59巻まであった。 「まだ続いてるぞ。多分もうすぐ60巻もでるかな」 「息長いのね…」
16 21/08/22(日)23:34:43 No.838149508
ブルーはその漫画を興味深げに見つめ、 「これ、読んでいい?」 「いいよ。読み終わらなかったら貸すよ」 「んー。それはやめとくわ。 また来た時に読むから」 そっか、と言い彼女はベッドに腰掛けた。 自分も隣に座って漫画を読む。 そういえば読もうと思って買ったはいいがまだ読んでなかった漫画があった。 この機会に読むか、とレッドはページをめくった。
17 21/08/22(日)23:35:37 No.838149866
それからしばらく経ち。 「…」 レッドのベッドの上で、ブルーが寝転がりながら漫画を読んでいた。 もうすでに自分の部屋かのようにくつろいでいる。 彼女の顔の側には単行本が数冊積み上がっていた。 一冊ごとに取りにいくのが億劫でこうして準備しているのだろう。 自分も似たようなもので近くに単行本を何冊か置いている。 ちょうど自分の手にしている単行本を読み終わったので次のへと手を伸ばす。 と、その近くにブルーの素足が見えた。 そのままブルーの身体を見る。
18 21/08/22(日)23:35:55 No.838149990
普段は髪で隠れた小さな背が。 うつ伏せになったために押しつぶされた乳房が。 レッドの視界に入っていった。 慌てて目を逸らす。 ブルーが漫画に夢中になっているところだ。 そんな無防備な姿をじろじろと見るのは失礼だろう。 そう思って今度こそ単行本を手に取る。 漫画を読んでそちらに気を向けよう。 そうは思いつつも、なかなか頭からあの光景が離れなかった。
19 21/08/22(日)23:36:10 No.838150088
またしばらく経ち。 ブルーがベッドから身を起こした。 また別の本だろうか。 もしくは夕ご飯の支度だろうか。 時間からして後者だろうかと思っていると、 「レッド」 「うわぁぁぁぁ!!」 後ろから突然声をかけられて、レッドは驚愕した。 単にいきなり呼ばれたからではない。 レッドの肩の後ろに当たっていた。 ブルーの豊かな乳房が。 とても柔らかなその感触に心が奪われる。 それに、顔が近い。 横を向いたらすぐ近くにブルーの顔がある。 シャンプーの香りが鼻をくすぐる。
20 21/08/22(日)23:36:25 No.838150193
「ぶ、ブルー?どうした突然?」 気が動転しそうになるのを堪えて尋ねる。 「ほら、窓の外」 腕を上げて、ある方向を示してきた。 その動きで肩にあたる感触が変わるが、 それよりもと彼女の示した方を見る。 「晴れてる…」 雨続きだったはずの窓の外の光景。 それが今は雲一つない晴天だった。
21 21/08/22(日)23:36:41 No.838150308
夕ご飯を食べながら、レッドは窓の外を見る。 レッドとブルーの手持ちのポケモンが家の外ではしゃいでいた。 長期間のボールの中での暮らしは彼らにとって苦痛だったようで、 皆が元気そうに動き回っていた。 「カメちゃんたちが元気でよかった」 「贅沢言うと、もうちょっと早く晴れてくれたらよかったんだけどな」 晴天だったのは少しの間で、 すぐに日が沈み初めて今は夕焼けだ。 それでも、窓の外のピカたちが喜ぶのならまあいいかとは思う。
22 21/08/22(日)23:37:28 No.838150616
「天気予報だと、明日もまた雨だってさ」 「じゃあ、明日もまた来ていい?」 「ああ、もちろん」 断る理由もないので、頷いた。 楽しかった。 ブルーと過ごして。 ブルーの側にいられて。 いつもの自分の家が、また違った姿になっていた。 またこの時間が過ごせるのなら、 断るわけがない。 「また来てあげるね。レッドの目の保養のためにも」 レッドはすすろうとしていた麺が詰まり、むせた。
23 21/08/22(日)23:37:46 No.838150724
色々と見ていたことがバレていた。 そのことへの動転から上手く飲み込めなかった。 ブルーが心配そうに駆け寄って背中をさすってくる。 窓の外の仲間たちもこっちを見つめていた。 酷い目にあったが、こうされるのも悪くない。 そう思ってレッドは明日を楽しみにすることにした。
24 21/08/22(日)23:37:58 No.838150801
以上です 閲覧ありがとうございました
25 21/08/22(日)23:40:10 No.838151742
お疲れ様です 昔歯医者で3巻のサカキ戦直前まで読んでそのまま読んでいなかったポケスペを去年のブーム直前に全巻読んだ自分とブルーが被ってて駄目だった
26 21/08/22(日)23:44:47 No.838153566
トレーニング機器買ってあんまり使わないのはあるある
27 21/08/22(日)23:47:25 No.838154646
今回はオチまで考えきれずに書き始めたせいで どうやって話終わらせよう…と悩みながら書いてました そのせいでこんなに遅れてしまってすみませんでした
28 21/08/22(日)23:47:56 No.838154854
抱けーっ!
29 21/08/22(日)23:48:31 No.838155049
遅れるのはいつもの事だし肝心な時に遅れないようにすればいいんだ
30 21/08/22(日)23:53:18 No.838156994
ブルーは今でもレッドを赤面できるからな…
31 21/08/23(月)00:01:59 No.838160186
いまさらですが今回の怪文書でレッドが脚に見惚れててこれゾロ目スレのネタじゃ…と思いました まあ多分レブルルートレッドさんはブルーの身体は顔も胸も尻も脚も好きだろうということでお願いします
32 21/08/23(月)00:03:18 No.838160638
>いまさらですが今回の怪文書でレッドが脚に見惚れててこれゾロ目スレのネタじゃ…と思いました >まあ多分レブルルートレッドさんはブルーの身体は顔も胸も尻も脚も好きだろうということでお願いします 人を好きになったらレッドの場合そういう事が割と起きそうだよね
33 21/08/23(月)00:08:37 No.838162369
レッドさんは人を好きになってからその全身を好きになる人な感じあるよね 真っ当に人柄で惚れてからじゃないと自分から性的に意識できなさそうというか
34 21/08/23(月)00:22:46 No.838167205
>レッドさんは人を好きになってからその全身を好きになる人な感じあるよね >真っ当に人柄で惚れてからじゃないと自分から性的に意識できなさそうというか 一章の頃のブルーにも初対面以外だと一切外見に釣られたことないしな FRLGとORASを経てブルーの人柄も受け入れてブルーにまた赤面できるようになった