虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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    21/08/16(月)23:38:54 No.835933284

     先日鬼面に荒らされ岩だらけの荒野。  相手が『鬼面』であること以外に幻晶騎士による増援は想定の範囲内であった。  だからこそ、一刃砦、三刃砦の幻晶騎士も人員達も蜘蛛の子を散らすように逃げる。  タクール砦に配備されている幻晶騎士は50機。通常の砦であれば過剰戦力であったが、背後の穀倉地帯の守護とイレブンフラッグスへの睨みにはむしろ足りないほどだ。  そこへ現れたのは、ヴォラキーロ隊長仕様機『ラズ・ワルド』である。その背後には様々に改修されたナードナックが12機ほど付き従っている。  それに立ち向かうは紅の『鬼面』。拳闘でもするかのように拳を前に出し闘志を見せているが無手である。 「ここでその幻晶騎士を差し出せば命だけは助けてやる。さもなきゃ俺の槍の餌食だっ!」 「ではこちらも提案だ。今回の一件に対する賠償を支払わなければ、貴様には捕虜になってもらう」

    1 21/08/16(月)23:39:11 No.835933409

     取引などするつもりは毛頭ない。ラズ・ワルドが全身のバネを使って斧槍を鬼面へと投げつける。斧槍は鬼面を掠り、勢いよく後方へと飛んで行った。 「次っ!」  ラズ・ワルドの背後に立つナードナックがラズ・ワルドへ斧槍を手渡し、再び鬼面へと投擲する。勢いの乗った幻晶騎士用斧槍は、勢いよく鬼面の胸へと突っ込んだ。もう一歩で胸部を直撃する。斧槍はぴたりと止まった。柄はしっかりと鬼面のに掴まれ切っ先をラズ・ワルドへと向ける。 「んなもの掴んだら結晶筋肉がイかれるに決まってる!」  さらにナードナックより斧槍を受け取り、ラズ・ワルドは接近する。突くも斬るも変幻自在の斧槍は幻惑しつつ致命的な一撃を加える必殺武器である。ラズ・ワルドは駆ける。しかし今度は全体重を乗せた、払うことも許さない突きが、距離を詰める。

    2 21/08/16(月)23:39:30 No.835933552

    『鬼面』は斧槍を構えラズ・ワルドを待ち受ける。破城鎚もかくやという勢いを乗せた斧槍が迫る。  今まで折りたたまれ隠されていた背面武装が展開する。腕部の触媒結晶がギラリと輝きを増す。ラズ・ワルドの斧槍がさらに異常なまでに加速する。ラズ・ワルドの大気ごと吸われているのだ。鬼面の拳へと。風が唸り、目前の敵へと放たれる! 「『鬼神拳』!!」  構えた斧槍が、ラズ・ワルドの斧槍が、その斧槍を掴む腕が、ボロボロと表面が朽ちるかのように砕けていく。関節は大気にねじ切られ、眼球結晶は傷ついたかと思えば破片が突き刺さる。 「なんだっ、てめぇっ!!?」  隊長機であったことが幸いしたのか、腕を吹き飛ばされ、頭部が破損し、胸部に巨大な傷を負い、轟音を伴い激しく後方へと叩きつけられただけでラズ・ワルドは済んだ。  まだ立つことは出来る。 「威力は分かっただろう、これは一撃で砦にも十分な打撃を与えることが出来る。その幻晶騎士から降りてもらおう」

    3 21/08/16(月)23:39:59 No.835933770

    「それがお前の最大の武器か?」 「勿論。これ以上の武器は必要だと思うかい?」  ゆったりと鬼面はラズ・ワルドとナードナックへ歩み寄る。 「なら、俺の勝ちだっ!」  ジャーンとひときわ大きな銅鑼が鳴る。ナードナックのうち一機が持っていただ銅鑼だ。一度だけ大きく響いた銅鑼に応えるように周囲から幻晶騎士の足音が響く。  次々とヴォラキーロがその場に現れる。実にその数30機。鬼面級の敵を正面から相手取るのに最低限必要と考えられる数だ。  それぞれ黄土色の布を身に着けており、後退後に偽装を施したのち岩陰に隠れていたのだ。

    4 21/08/16(月)23:40:11 No.835933860

     敵は極めて強大である。  しかし地に足を付け法撃が恐ろしいだけの幻晶騎士であればやりようはいくらでもある。左右から現れたヴォラキーロが背面武装を一斉に起動する。 「俺の槍の餌にできなかったことは謝ってやる。じゃあな、死ねっ!」  触媒結晶の光にひるむことなく、鬼面の装甲は赤く照り返す。業火が吹きあがり、鬼面を舐め上げるるように包み込むことはなかった。その炎は全て周囲の大気ごと拳へと巻きあげられ、拳は鬼面の右側に布陣していたヴォラキーロへと向く。大気が唸り、熱と暴風が運の悪いヴォラキーロ達へと叩きつけられる。  急激に熱せられた装甲は赤熱し、万力のような風の力の前にあっけなく砕ける。腕が、胸部装甲が、抉れ、吸排気機構へと潜りこむ熱波は魔力転換炉をズタズタに切り裂いた。右に布陣した15体のヴォラキーロのうち5体が完全に戦闘不能になる。

    5 21/08/16(月)23:42:20 [s] No.835934878

     イシルのティラントーがようやっと辿り着いた頃には、鬼面に近接戦闘を挑むヴォラキーロ達が次々と討ち取られていた。  自分の駆る『臆病者』は本当に危険な戦場だけは避けたのか、とイシルは思ってしまう。  タクール砦の騎操士たちは近接戦闘を得意としていたが、出力では鬼面がヴォラキーロに遥かに勝っている。鬼面は剣を振るえばその剣を掴み投げ、ヴォラキーロを力任せに投げつけ、組み合った相手の足を払う乱暴な戦いで多数を相手取っている。  数にものを言わせた一気呵成の戦いも対幻晶騎士騎馬部隊の援護も、範囲の広く強力な法撃のせいで思うように行えないのだ。 「多数のヴォラキーロの装甲を砕く法撃ね、なるほど厄介だ。でも高出力で、重装甲のティラントーならどうだろう?」

    6 21/08/16(月)23:42:41 [s] No.835935032

    めでたしめでたし

    7 21/08/16(月)23:53:29 No.835939747

    ナードナックって外見どんなんだろ