虹裏img歴史資料館

1 21/08/15(日)19:08:43 No.835434404

メイクデビュー…新バ戦で1着を勝ち取り、あるトレーナーにスカウトしてもらえた。 そのトレーナーは私のレースに対する想いと、不安を抱える足の両方を理解してくれた。 良いトレーナーに出会えたと思う。…スカウトされたものの、トレーナーと反りが合わない。 なんて事はよく聞く話なので本当に運がいいと思う。 続いたOP戦、これも無事勝つことができた。これで2戦2勝。 この勢いで重賞も挑戦してみようと、お互い話し合った上で挑んだ小倉の舞台。 あぁ、そういえば…これがすべて始まりだったのかなと、騒がしく混み合う食堂でふと思う。 …初めての重賞は9着。2戦2勝の勢いがあるとは言ってもそう上手くは行かない。流石に理解できた。 続いたOP戦は6着。まだ大丈夫。 GⅡ、5着。初めての重賞掲示板。素直に嬉しい。 GⅢ、3着。あともう一歩。嬉しい想いと悔しい想いが入り乱れる。 GⅡ、11着。きっと前走で浮かれていた。気を引き締めないと。 …結果こそ振るわないものの、人生一度きりのクラシック第1戦、桜花賞はなんとか出走登録する事ができた。

2 21/08/15(日)19:09:04 No.835434556

──11着だった。…数をこなせばこういうこともあるだろう。 なんて冷静には考えられない。登録ギリギリだった事だって分かる。それでも……。 続いたGⅡ、6着。うん、大丈夫。まだ頑張れる。 訪れるクラシック第2戦…私が密かに憧れていたレースだ。 今回もギリギリの出走登録。トレーナーには感謝しなくてはならない。 それなのに… ───9着。 レース後の控室。 「すみませんでした…トレーナー。」 最初に出たのは謝罪の言葉だった 君はよく頑張ったと、彼は言ってくれる。が、そんな言葉は到底受け入れられない。 「登録もギリギリで…トレーニングの事も…貴方がこんなにも頑張ってくれたのに、私は…！」 声が震える。泣きそうになる。そんな私を…

3 21/08/15(日)19:09:31 No.835434796

「トレー、ナー…」 彼は優しく抱きしめてくれた。 ダメだ。そんなに優しくされたら… 涙が流れる。レンズが濡れる 「こんな事なら…走らなきゃよかった…」 彼の頑張りまで否定する最低の言葉 「9着なんて…誰の記憶にも私は残らない」 涙が止まらない 「走った意味なんて無かった…」 後悔の言葉も止まらない。もうこれ以上口を開かない方がいいと、頭では分かっているはず 「私がここにいる意味なんて、無かった…」 …彼は何も言わずに、より強く抱きしめる。 痛い。彼の腕が体に食い込む。その痛みが、私の存在を認めてくれているようで。 …思い出した。この時に私は、頭のネジが何本か飛んでいってしまったんだろう。

4 21/08/15(日)19:09:44 No.835434886

「トレーナー。」 私は 「お願いします。私を…」 何を… 「私を、抱いてください」 何を言っているんだろう。 「そうやって、強く抱きしめてくれるんだったら…そのまま…。 私はここにいて良いんだって、証明してください。私を…めちゃくちゃにして下さい…」

5 21/08/15(日)19:10:02 No.835435059

これ以上お互いに言葉は要らなかった。ここが控え室である事なんてお構いなし。レース後の昂りと、汗のおかげで前戯なんて要らなかった。 勝負服の下だけを脱ぎ捨て、彼もまた下半身を曝け出す。 ──あぁ、痛い。破瓜の痛みよりも、自分はこんなにも弱かったのだと。 そんな自分の心が痛い。…それでも、それ以上に彼に抱かれて心地が良いと、体が、本能が悦んでいる。 …勝負に勝てなくても、こうして彼が受け入れてくれるのなら。それも良いな…なんて思ってしまう。 ひとしきり行為を終えた頃には涙も止まり、お互い気まずい空気の中衣服を整え、彼の車に乗せられ帰路を辿る。 …ちなみにウイニングライブは辞退した。バックダンサーだし。こんな状態ではとても人前になんて出られない。 レース後のメンタルケアと足の不調という事で、敗者の権利を活用した。 助手席は危ないからと、後部座席に座る。 泣き腫らしてめちゃくちゃになった目元を見られたくなかったし、 何よりもお互いの間に流れる空気が異質すぎて。彼の顔を見なくて済むと、少し気が楽になった。

6 21/08/15(日)19:10:36 No.835435385

窓からぼんやりと外を眺める。交差点に差し掛かったところで、街灯モニターがウイニングライブを流している事に気がついた。 歌が聞こえる。そういえば…トレーニングの後こっそりカラオケで一人練習したな、なんて事を思い出した。 …私はここまでオークスに憧れていたのかと、自分でも驚いた。 傷心のまま彼に抱かれる事を受け入れた事が何よりの証明だと思う。 ━━思った以上に燃え尽きている…モチベーションをどこに持っていけばいいのか分からない。 「私は…何のために走ればいいのでしょう」 ボソッと、本当に、独り言のつもりだった。 "俺のため…ってのは、ダメかな？" 「…えっ？」 運転席から声が聞こえる。 "君が目標を見つけるまでの間でいいから。…俺のために走ってくれないか？君の走っている姿が好きなんだ" 「それ、は…」 …熱い。頬が火照っている。耐えきれずに窓を開け、冷たい空気を顔に浴びた。 「少し…考えさせて下さい」 きっとこの言葉は外の喧騒に紛れ、彼に届いていないだろう。

7 21/08/15(日)19:11:00 No.835435601

それから寮に着くまで、お互い言葉はなかった。 それでも。車内に漂う空気が、ほんの少しだけ心地の良い物になったような気がしていた。 それから。 GⅢ、3着。また勝てなかったけど、彼に頭を撫でて貰った。 GⅡ、2着。あと一歩だったと、疲労で熱を持つ足をマッサージしてもらった。 GⅠ、4着。惜しかったねと、彼に抱きしめて貰った。 …ついぞクラシック級では勝利する事ができなかった。悔しい。 悔しいはずなのに、負けるたびに慰めてくれる彼の声が。腕が。彼の全てが私の心を満たしてくれていた。 年が明けても3戦負け通し、訪れた3月のOP戦。 最後の勝利から実に15戦ぶり。ようやく勝利する事ができた。 嬉しかった。ウィナーズサークルで思わず泣いてしまった。もちろん嬉し泣き。控え室ではトレーナーも泣いてくれた。 おめでとう、と。飾りのない言葉だけど、自分の事のように喜んでくれた。　

8 21/08/15(日)19:11:25 No.835435855

ウイニングライブを終えた帰り道。運転席から声が聞こえた。 "勝ったお祝いでもしないか？イクノは何かやりたい事ない？何か食べたいとか、どこかに行きたいとか。" 「あの、それでは…トレーナーのお部屋に行ってもいいでしょうか…？」 ───車を降り、肩を並べて歩く。お互いの手の甲がコツ、コツと触れ合うたび、心臓が喧しい。 きっと彼も分かっていると思う。私が部屋に行きたいなんて言った意味を。 エレベーターに乗る。密室のせいか、お互いの匂いが濃く感じる。 扉の前。ふと、彼が鍵を回す手が震えていた。もう片方の手と、私の手が絡み合う。ドアが開くその数秒すらも待ち遠しい。 ドアが開く。同時に彼に腕を引かれる。ドアが閉まり切る前に抱きしめられた。 誰かに見られたかもしれないけど、そんな事はどうでも良い。手探りで鍵を閉める。 私も遠慮しなかった。彼が壊れない程度に強く抱きしめ返す。 そしてそのまま、下半身に手を滑らせる。彼の片手も、私の胸を撫でている。 意思確認なんて、そんな物は要らないのだけれど… 「お願いします、トレーナー。また、私を…抱いてください」

9 21/08/15(日)19:11:48 No.835436051

──レース後の触れ合いが、いつしかお互い癖になっていたのだろう。 ゴール板を駆け抜けた直後から、彼に触れて欲しくてたまらなかった。 控え室では、彼の手がソワソワと震えているのを見た。 勝利という今まで以上の昂りが、その欲求を色濃くしていた。 シャワーも浴びずベットへ向かう。 私の陰部は今直ぐにでも彼を受け入れようと、既に充分すぎる程濡れていた。 …前戯は要らないだろう。彼のそれもまた、頭の先から透明な液をダラダラと流し、我慢の限界を示していた。 ……そこから先の記憶はない。 気がついた時には日が昇っていて、辺りにはお互いの体液と、クシャクシャのティッシュがそこら中に散乱していた。──体液が乾いていない辺り、夜明けギリギリまでお互い求め合い、そのまま気絶したのだろう。 その日をきっかけに、お互い欲求を隠そうとする事はなくなった。 勝てば興奮のままにお互い強く求め合い、負ければお互い慰め合うように優しく求め合った───。 手段と目的が入れ替わっている事には目を伏せた。 こんなに心地の良い日々が続くなら、どれほど幸せだろうか、と。

10 21/08/15(日)19:12:04 No.835436193

──────────── 改めて思い返すと相当爛れてるな…なんて事を思いながらも、それでも良いやと思ってしまう自分が情けなかった。と、その時 「おいっすーイクノ。ここ開いてる？」 「席探しててさー。よかったら一緒に食べても良い？」 ネイチャさんとタンホイザさんだ。彼女らとはある時期からよく連むようになっている。 自主トレも一緒によくしているくらいには仲がいい…はず。 「いや～それにしても相変わらず食堂は騒がしいね…」 「あ、あそこのグループまた恋バナしてない？」 「…うわ、ホントだ。こっちまで恥ずかしくなるからやめて欲しいんですけど…ねぇイクノ？」 …急に話を振られた 「えぇ…そうですね。羨ましい限りで…す……」 「え、イクノも羨ましいとか思うんだね？」 「珍しいですな～イクノさん…てか恋愛とか興味あったんだ…」 二人が驚いている。自分でも驚く。 さっきまで下らないと、そう思っていたはずなのに羨ましいだなんて……無意識だった。

11 21/08/15(日)19:12:31 No.835436412

そしてそのまま思い至る。 そうか。あんな風に、理想の恋を夢見る事を、私は羨ましいと。そう思っているんだ。 くだらない…と、見下していたのではなく、嫉妬していたんだと。 そういえば、この気持ちを彼に伝えていなかったな…なんて思ってしまった。 なんかもう順番がめちゃくちゃ過ぎて思わず吹き出してしまう。 「ぅぇ！？ちょイクノ…急に何…？」 「ふふっ…いや、何でもありません。それよりもすみません、用事を思い出しましたのでこれで失礼します」 「えっ？それはいいけど…食べかけどうするの？」 「あ…っと、そうですね…。ターボさんを呼んでおきましょう………、呼んでおいてください」 「えっ！？そんな色々急すぎるよ…」 そのまま席を立ち、トレーナー室に向かう。

12 21/08/15(日)19:12:42 No.835436491

熱に浮かされたように、それでも足取りは迷いなく。 一時の気の迷いだって構うものか。 私がまだ、憧れを抱けているうちに。 この憧れが消えてしまう前に伝えなくてはならない。 彼は受け入れてくれるだろうか。なんて、急に不安になる。 …初めてを色々捧げておいて。何を今更乙女ぶってるのかと苦笑いが止まらない。

13 21/08/15(日)19:12:53 No.835436604

あぁ、でも。そうか…そういえば…。 キスだけは、した事なかったな──。

14 21/08/15(日)19:13:34 No.835436934

キャラ崩壊注意ですよ あとハート塗れの本番シーンは誰か書いといて

15 21/08/15(日)19:14:21 No.835437434

これは お前が 始めた物語だろうが！ 雰囲気良き……

16 21/08/15(日)19:20:00 No.835440566

とてもいいと思いますね

17 21/08/15(日)19:23:57 No.835442435

理知的なキャラが一旦快楽の味を知ったらどこまでも溺れていくのは私の性癖に合っていますね

18 21/08/15(日)19:26:34 No.835443826

昨日のイクノもまとめて.txtしたいんだけど やり方良く分からん

19 21/08/15(日)19:27:38 No.835444373

メモ帳にまとめてあぷ小にあげるとか

20 21/08/15(日)19:28:39 No.835444841

fu251401.txt

21 21/08/15(日)19:30:10 No.835445583

お仕事がはやい！

22 21/08/15(日)19:30:53 No.835445942

fu251401.txt fu251405.txt fu251406.txt fu251409.txt これで出来てるかな？ 昨日のイクノエッチシリーズ3本も入ってます

23 21/08/15(日)19:32:21 No.835446683

ありがとう...

24 21/08/15(日)19:40:21 No.835450572

ありがたい…

25 21/08/15(日)19:42:25 No.835451737

なむなむ

26 21/08/15(日)19:53:21 No.835457100

いいですわね…

27 21/08/15(日)19:55:53 No.835458297

告白シーンも見たい！

28 21/08/15(日)20:00:57 No.835460720

なんかネタくれ 何も思いつかん

29 21/08/15(日)20:04:56 No.835462782

とりあえずURAで優勝するところまでやってみよう

30 21/08/15(日)20:05:21 No.835462997

イクノ不足で乾いた心にオアシスが