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21/08/15(日)08:06:54 キング... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1628982414242.png 21/08/15(日)08:06:54 No.835222735

キングにパーティの連れを頼まれた。その時の話。 「はふぅ…一人で飲むお酒おいし……」 シックな間接照明の中でカウンターで一人カクテルを呷る。 体面ではロマンスグレーの老人が先ほど開けたグラスを黙々と磨いている。 少し離れたところにあるホールの扉からはがやがやとした、それでいて品のある声の束が漏れ出して、離れに居る私にこっちに来いと誘っているようだ。 「人ごみ、苦手なんだよね……」 ぐい、と不満ごと甘い刺激を飲み干し、一息ついた。 キングは大丈夫だと言っていたけど、流石に一人で置いてきたのは指導者失格かな…… 酩酊の渦に乗ってやってくる後悔とか自責とかが心にのしかかる。 お腹の調子が心配になって、ドレス越しにしきりにさすった。

1 21/08/15(日)08:07:57 No.835222866

「お隣、よろしいかしら」 「えぇ、こんな酔っ払いでよければ」 緑に黒のアクセントが効いたドレスを纏った麗人がやって来た。 トレーナーの癖でじろじろと脚や体つきを値踏みしかけて、失礼すぎることに気づいて止めた。 ただそれを抜きにしても、彼女は息をのむほどの美人だった、女の私でもちょっとクラっとくるくらいの。 「パーティは楽しんでいますかしら」 「こんなにいい雰囲気でお酒を飲んだことは今まで無いですね」 素直な感想を伝えてみたが、これ『騒がしいから外で酒飲んでる方がいいわ!』って言ってるようなもんじゃないか? 失言に気づいてももう遅し、態度には出さずに自分の低俗さにがっくりときた。 それを聞いても微笑んでいるだけなのは、気づいてないのかその振りなのか。

2 21/08/15(日)08:08:16 No.835222901

「貴女、キング、ヘイローのトレーナーさんでしょう?」 「はい、よくご存じで」 「ご存じですとも。よくインタビューとかも受けていらっしゃるじゃない」 「いやいや、私なんて裏方で十分なんですよ」 「謙遜なさらなくてもいいわ。あなたが居てこそ、今のあの子が居るのだから……」 キングのファンだろうか、トレーナーの私までご存じとは中々入れ込んでくれているようだ。 思わぬ支持者との対面に理解者として内心で鼻高々である。 カクテルのお替りとチェイサーを頼んで、沈黙に浸った。 「トレーナーとして、あの子の一番側にいる貴女から、あの子についても聞いていいかしら」 「構いませんよ」 彼女も一杯、ワイングラスを傾けながら踏み込んできた。

3 21/08/15(日)08:08:30 No.835222936

「とってもいい子なのは前提として…」 「そうかしら、あの子結構頑固なところがあるでしょう?」 「譲れないものがあるんですよ。彼女の根幹ですから」 「でも苦労しそうな気性だと思うわ」 そう思うのも真っ当だろう。 傍から見れば大して強くも無いのに強者を気取っていた時期、というのがあったものだ。 今はそんなことを言わせないけれど、苦労しそうというのはそう間違ってはいなかった。 「そうですね。まあ彼女とする苦労なら、苦しくもなんとも」 「そう、変わってるのね」 「それは確かに」 ちゃきちゃきとシェイカーが鳴って、からりと氷が崩れる。

4 21/08/15(日)08:08:45 No.835222969

「それに、あの子はレースの世界で生きるのには優しすぎる」 「そうですね」 「今に後悔するときがくるかもしれない。他人の夢を踏みにじることに、あの子が耐えられるとは……」 「大丈夫ですよ」 この人はよっぽどキングが心配らしい。憂慮も的外れではないあたりかなり本気である。 でも、それはやっぱり外野からのヤジとさして変わりはないのだ。 「あの子は譲れないものの為に走ります。たとえどんなに傷ついても、彼女自身が折れない限り、私が側で支え続ける」 「……へぇ」 「他人の夢を踏みにじる痛みも、半分なら耐えられると思いませんか?」 「うふふ、確かにそうね。流石はキングのトレーナーさんだわ」 納得してもらえたようで、上機嫌にワインを飲み干した。嚥下でうめく喉が色っぽくて、思わず見惚れてしまう。 お代を置いてから席を立ち、私の方を振り返った。

5 21/08/15(日)08:09:10 No.835223031

「いいお話を聞かせてもらいました。礼を言わせていただきますわ」 「いえいえ、こちらこそ。あの子を応援してくれてありがとうございます」 「私はそろそろ戻りますけど、貴女もどうかしら」 「折角ですけど、人ごみが苦手で……情けないことに」 「いいえ、パーティですから。楽しみ方は人それぞれです」 優雅に一例をして去っていく。 今まで気が付かなかったけど、その引き締まったヒップには毛艶のよい尻尾が揺れていた。 「ああ、そうでした。あと一つ」 「まだ、何か?」

6 21/08/15(日)08:09:41 No.835223110

「娘が旦那ではなく嫁を連れてきたのには驚きましたが……」 「ぶふぉ」 「これからも、あの子とよくしてあげて下さいね」 「……!……!?」 「でも、この歳でおばあちゃんと呼ばれるようになるとは、血は争えませんね。そう思いませんか?」 にこり、と首をかしげて笑うその顔は、なるほど確かにキングにそっくりだった。

7 <a href="mailto:s">21/08/15(日)08:11:36</a> [s] No.835223350

そういえばこんなの書いてたなってことで これとかのおまけでしたfu249885.txt

8 21/08/15(日)08:18:27 No.835224337

早起きした甲斐があった

9 21/08/15(日)08:29:01 No.835225947

デキてる……

10 21/08/15(日)08:58:46 No.835233166

待ってこれ血は争えないって学生婚したってとこ?それとも嫁を連れてきたってとこ?

11 21/08/15(日)09:05:16 No.835234607

育成シナリオではキングの母と会話したことなかったっけ?

12 21/08/15(日)09:09:21 No.835235561

>育成シナリオではキングの母と会話したことなかったっけ? シニア有馬で勝った時だけだったかな このキングは負けたか出走しなかったのかもしれない

13 21/08/15(日)09:11:41 No.835236148

>待ってこれ血は争えないって学生婚したってとこ?それとも嫁を連れてきたってとこ? 学生で子供作ったところ 産むのはキングじゃないけどな!

14 21/08/15(日)09:12:03 No.835236223

>これとかのおまけでしたfu249885.txt ♀トレーナーがふたなりキングの嫁ーっ!?

15 21/08/15(日)09:13:08 No.835236461

お義母様に気づかないくらい酔っちゃだめだよ!

16 21/08/15(日)09:17:07 No.835237385

>>育成シナリオではキングの母と会話したことなかったっけ? >シニア有馬で勝った時だけだったかな >このキングは負けたか出走しなかったのかもしれない しらそん… シニア有馬勝ったことないからか…

17 21/08/15(日)09:17:18 No.835237430

身重でお酒飲んでない?

18 21/08/15(日)09:24:39 No.835239093

>身重でお酒飲んでない? 胎盤が出来る前なら大丈夫らしい

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