21/08/15(日)02:13:00 5月初旬... のスレッド詳細
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21/08/15(日)02:13:00 No.835179694
5月初旬、京都競バ場。 日曜日、第10レース。条件戦、鴨川特別。芝1800m。 天候は曇、バ場は稍重。 レースは最終局面を迎えていた。 『最後の直線!先頭はマーベラスサンデー!マーベラスサンデー!』 レース後半、三番手に位置したマーベラスサンデーは抜け出し準備を整え、先頭に躍り出た。 『後続も粘る!食らいつけ…ない!マーベラスサンデー独走!マーベラスサンデー独走!!!』 いとも容易く差を広げるマーベラスサンデー。そして 『大楽勝だ!マーベラスサンデー一着でゴールイン!』 この日、マーベラスサンデーは鴨川特別を一着で終えた。二着との差は5バ身差だった。
1 21/08/15(日)02:13:24 No.835179818
5月下旬、中京競バ場。 日曜日、第11レース。プレオープン、桶狭間ステークス。芝1800m。 天候は曇、バ場は良。 前走から短い間隔でレースに挑んだマーベラスサンデーだったが 「マーベラァース☆」 その調子は絶好調といったところ。 元気にはしゃいで、最後のホームストレッチを迎えていた。 『さぁ最後の直線!先頭に出たのはヒガシノカイザー!』 四番手から位置を上げてきたヒガシノカイザーが直線を向いて加速し始める。 『しかしその横にマーベラスサンデー!マーベラスサンデーも並んできた!』 外にマーベラスサンデーは位置取りし、肩を合わせるようにヒガシノカイザーと並ぶ。
2 21/08/15(日)02:13:41 No.835179902
『300mを切った!ここからは坂がある!ヒガシノカイザーか!マーベラスサンデーか!』 坂を必死に上るヒガシノカイザー。その横にぴったりつけ、彼女を時たま眺めながら走るマーベラスサンデー。 (なんなのこの子ぉ…!並んでこないでよぉ…!) 汗を顔中に吹き出し必死に走るヒガシノカイザー。マーベラスサンデーを離そうと必死にあがくが、全く彼女が離れる様子はない。 むしろ 「マーベラァァース☆」 一層の加速をし、彼女の前に徐々にその身を出し始める。 「やぁ…もぉぉ!!!」 それに食らいついて彼女と肩を並べるヒガシノカイザー。
3 21/08/15(日)02:14:05 No.835180015
『さぁ200を切った!マーベラスかヒガシノか!?マーベラスかヒガシノか!?』 白熱する実況。必死に足を動かす二人のウマ娘。 そして最後の100m。 (もうちょっとで勝てるのぉ!もうちょっと…!もうちょっとぉ…!!!) 必死に足色を輝かすヒガシノカイザー。しかし 「もっと!もっと!マーベラァァース☆☆☆」 マーベラスサンデーがさらにスピードを上げた。徐々に差が広がるマーベラスサンデーに、真っ赤な顔をして縋りつくヒガシノカイザー。 しかし 「ぷはっ」 呼吸が乱れたがその一瞬、リズムが崩れたように足色が輝きを失った。 そして 『マーベラスサンデー!勝ちました!!!』 マーベラスサンデーは一着で桶狭間ステークスを終えた。二着のヒガシノカイザーとの差は1/2バ身差だった。
4 21/08/15(日)02:14:37 No.835180171
翌日、月曜日。トレセン学園、トレーナー室にて。 「マベちゃん、桶狭間ステークス、お疲れさまでした」 「うん☆楽しかった☆」 ニコニコと笑顔を見せるマーベラスサンデーに、トレーナーも笑顔で答える。 プレオープンを勝利したマーベラスサンデーであるが、これでいよいよオープン戦に堂々と出られる立場となった。4月に復帰して1.5ヶ月でオープンクラス。かなりのハイペースでの昇格である。これもマーベラスサンデーと打合せしたローテーション通りだった。11月中旬から本格的な練習に取り組むことにした、マーベラスサンデーだが、その間しっかりとした休養と練習を繰り返し、ただ基礎能力を磨くことだけに集中をした。そして4月から約2週間のインターバルを置いての連続レース出走。ここで、追い込み以外の練習はほとんど行わず休養に充てる。つまり、条件戦を練習替わりに使うという大博打を彼女たちは行うことにしたのだ。 その大博打は成功したと言っていい。復帰してから3戦2勝。オープンクラスに昇格できたのだから。
5 21/08/15(日)02:15:06 No.835180290
「次のレースですが、…七夕賞なんてどうでしょう」 7月初旬のG3レース、芝2000m、七夕賞。その名前を出すとき、トレーナーの声は若干震えていた。彼女がトレーナーとなり3年目。もしマーベラスサンデーが首を縦に振れば、ウマ娘だけでなくトレーナーにとっても初めてのG3重賞の挑戦になる。そのことを意識すると、心が若干震えてくるトレーナーである。 そんなトレーナーの様子を見て、マーベラスサンデーはにっこり笑い 「ヤダ」 否定の言葉を口にした。 「えぇ!?」 思いもしない問いに驚きの声を上げるトレーナー。 「ど、どうして?」 と彼女が問うと 「アタシ、今ね、絶好調なの!7月まで待ってらんないよ!!!もっと早くレースに出たい☆」 と話すマーベラスサンデー。
6 21/08/15(日)02:15:31 No.835180405
「でも…一旦お休みしたほうがいいと思うけど…」 トレーナーはその言葉にある種の危うさを感じていた。何せ3度も骨折をしているマーベラスサンデーである。足の骨の弱さが身体的特徴として残る彼女に、考慮はしているとはいえ、ハイペースでレースに出ることはこれ以上は避けたいというのが、彼女の本音だった。 「トレーナーちゃん」 一旦彼女を呼んだマーベラスサンデーは 「お願いッ☆」 と言い、目の前で手を合わせ頭を下げた。 その態度を見て、少し考えこむトレーナー。確かに調子はいい。この勢いをくじくのはもったいないのも確かだ。しかし足の不安もある。では彼女がとることは何か。 それは 「一度、お医者さんの所に検診に行きましょう。それでよかったら…一番近いG3レースにでよっか」 一度、客観的な状態を測ること。これで納得してくれるといいけど、と心の中で思い描いた瞬間 「うん☆」 マーベラスサンデーの笑顔が、トレーナーの瞳に映りだされた。
7 21/08/15(日)02:17:26 No.835180840
そして次の日、2人は掛かりつけ医に検診に出かけた。 結果、マーベラスサンデーの脚に骨折の兆候は見られなかった。 マーベラスサンデーは笑顔で大はしゃぎし、トレーナーは心をなでおろした。 さらにその次の日、トレーナー室には、真剣な顔をし、出走申請書類の作成に取り組むトレーナーの姿があった。 緊張した手で文面を埋めていき、そして 「はぁ………っ!」 慎重に、丁寧に、必要箇所に押印を施していく。 「よし…よし…よし…」 最後に書類の不備がないか、一つづつ指さし確認を行い 「…出来た!」 遂に出走申請書類が整ったようである。 そこに書かれたレース名の欄には『グレード:G3 エプソムカップ』と書かれていた。 少し汗ばんだ顔で、震える両手で書類を眺めるトレーナーの姿があったのだった。
8 21/08/15(日)02:17:38 No.835180887
こんな話を私は読みたい 文章の距離適性があってないのでこれにて失礼する fu249521.txt
9 21/08/15(日)02:37:00 No.835185802
めっちゃやかましいなマーベラスサンデー!
10 21/08/15(日)03:25:44 No.835195526
逃げためらい先行ためらいいいよね…