21/08/15(日)00:12:00 トレー... のスレッド詳細
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21/08/15(日)00:12:00 No.835134424
トレーニングの時間を過ぎても、スカーレットが一向に現れない。 トレセン学園はもうじきテスト週間に入る。大方、それの対策に熱が入っているのだろう。 こういう時、彼女が居るのは大体二か所。 迎えに行くとしようか。テストも大事だが、なまけ癖が付かれても困ってしまうから。 そうして初めに向かった教室。放課後だというのに、多くの生徒が残っている。 雑談だったり、勉強だったり。他愛のない事でも、見目麗しい彼女たちならその場は華やかな空間と変わる。 しかし、その中にスカーレットは居なかった。 ……となると、後は。 彼女が向かうであろう場所のもう一つの心当たりは、図書室。 教室に居なかったのなら、十中八九ここに居るだろう。 話しかけてきたスカーレットの同級生に別れを告げ、決まった次なる目的地へ向け歩みを進める。 道中、顔見知りの子たちに挨拶をしつつ、そこまで長くは無い距離を歩けば、もうそこだ。 廊下の先に見えてきた図書室の扉。彼女はあそこに居る筈。
1 21/08/15(日)00:12:15 No.835134545
歩くほど縮まる扉への道のり。しかしその間に、誰かが割り込んだ。 「……よお」 足を止めた俺に話しかけてくる、その人物。 見覚えはある。というか、何度も会っている人物だった。 「ウオッカ……?」 スカーレットのライバル、ウオッカ。 仲が良いのか悪いのか、よく二人で何らかの勝負をしているのを見かける。 一度、しっかりと話をしてみたかったが、今じゃない。 軽く会釈をして横を抜けようとすると、ウオッカは俺の進路を拒むように横へズレた。 「アイツとのテスト勝負……勉強できなかったなんて言い訳させるつもりはねぇからな!」 ……なるほど。 これは、全力で勝負をしたいというウオッカなりの意地なのだ。 目に宿る意志は強靭。退く気など微塵も無い。 ……ならば、仕方がない。 俺もやりたくは無かったが、スカーレットのためだ。実力行使に出るしかないだろう。
2 21/08/15(日)00:12:25 No.835134630
決めたのなら行動も手早くだ。ウオッカを真正面に見据え、口を開く。 「愛してる」 「うわーーー!?ぶーーーっ!!」 宙を舞う鮮血。鼻を押えるも、出血は止まらない。 これだけ体調に表れるほどの弱点を突く事には、少しばかり申し訳無さを感じるが……。 しかし、こちらもトレーニングが懸かっているんだ。すまない。 崩れ落ちるウオッカの横を、今度こそ抜ける。 ……袖を、背後に引かれた。何事かと思わず振り返る。 「バ……カな……」 「ふぅっ……ふぅっ……」 息も絶え絶えなウオッカが、俺の袖を掴んでいた。 軽く腕を振ってみても、掴む手が離れる事は無い。 そこまで、俺を止めたいのか。そうなってまでも、スカーレットとの公平な決着を望むのか。 ウオッカを前に、揺らぎそうになる自らの意志。 ……ダメだ。それでも、俺はスカーレットを連れていきたい。
3 21/08/15(日)00:12:37 No.835134735
「一目見た時から、ずっと好きだった!」 「うひゃああああーーー!?」 トドメを刺すために放った言葉。だがそれでもウオッカは手を離しはしない。 「俺に恋を教えてくれたのは、君なんだ!!」 「ひぇえええええーーー!?」 鼻から血を流しながらも、決して、手に込められている力が緩む事は無い。 「君と共に歩む事を夢に見ない日など、無い!!」 「むぎゃああああーーー!?」 額に汗が浮かぶ。 叫ぶ事による疲労か、それとも折れぬウオッカへの戦慄による冷や汗か。 「毎朝俺に味噌汁を作ってくれ!!」 「ふぎぇええええーーー!?」 何度叫んでも、ウオッカは鼻血を吹き出し悲鳴をあげるだけ。離す姿が、想像できない……! 「僕は誓う!五十年後の君を今と変わらず愛してる!」 「キャー!!イケイケよーーー!!」
4 21/08/15(日)00:13:27 No.835135099
「「はぁ……はぁ……」」 数多の台詞を口にし、息が切れる。ウオッカは未だ、俺を離さない。 しかし、ダメージは着実に蓄積されていた。 フラフラと揺れる上体。焦点の合わない目と、拭う体力が無いのか流れっぱなしの血。 ……これで全部、終わらせてやる。 振り払おうとしてきたウオッカの腕を逆に掴み、身体を寄せながら顔を近づけて。 「生涯愛する事を、誓う」 告げた途端、背後で何かがバタバタと落ちる音がした。 振り返る。目的の扉が開いていた。 開けて立ち尽くす少女が本を落とした事で、音が鳴ったようだ。 何かあったのかと、少女をよく視認する。 「……あ」 スカーレットだった。 ……スカーレットが、綺麗な赤い目を見開いて、こちらを見ていた。
5 21/08/15(日)00:13:39 No.835135169
「アンタたち……何、してるのよ……」 震えた声が、スカーレットから届く。 ……落ち着け。慌てるな。 こういう時は下手に騒がず、冷静に状況を理解してもらう事がベスト。 「……は、ハハっ。誤解だよ、スカーレット」 俺一人ならそう上手く信じてはもらえないだろうが、幸いにも、ここにはもう一人居る。 「なぁ、ウオッカ?」 落ち着いた笑顔を取り繕いながら、今も腕を掴んでいるウオッカに語り掛ける。 「……ウオッカ?」 ……返事が無い。 スカーレットへ向けていた視線をウオッカへ。 ……先程までの死闘で鼻血に濡れた顔。ウオッカの目は、閉じていた。 起こすために軽く肩を揺すってみるも、目が開かない。 「ウオッカ!ウオッカ!?」 名を呼びながら強く揺すっても、変わらない。
6 21/08/15(日)00:13:53 No.835135249
……どうやら、状況説明に協力は得られないらしい。 ウオッカの肩から手を離し、天を仰ぐ。 目を閉じて数秒。意を決して、もう一度スカーレットを見る。 スカーレットの震える瞳に、安心させるように微笑む自分が映るのを見ながら、口を開いた。 「違うんだスカーレットこれにはわけがあって
7 21/08/15(日)00:16:31 No.835136517
ウワーッ!?
8 21/08/15(日)00:16:48 No.835136689
これはトレーナーが悪いよ…
9 21/08/15(日)00:18:27 No.835137550
なんかトレンディなの混ざってない?
10 21/08/15(日)00:20:40 No.835138557
バブリー粒子が満ちていたようだ
11 21/08/15(日)00:21:33 No.835138992
これなんでウオッカがスレ画なんだ
12 21/08/15(日)00:23:01 No.835139700
構わん続けたまへ
13 21/08/15(日)00:25:13 No.835140829
>告げた途端、背後で何かがバタバタと落ちる音がした。 デジたんが死ぬ音かと思ったのに
14 21/08/15(日)00:50:02 No.835150984
ダスカの心が粉々になってしまう