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21/08/14(土)22:17:17 No.835078106
前回 fu248695.txt
1 21/08/14(土)22:17:39 No.835078263
あれからオレとスカーレットの間には微妙な空気が漂っていた。日常会話は普通にできる。でも顔は未だに正面からは見れなかった。どうしてもスカーレットの顔と、紅さんのあの赤い頬で微笑む淫靡な顔が重なって、顔に異常に熱が集まって目を逸らしてしまう。風呂なんか一緒に入れるわけもなく、意識して時間をずらしている。アイツもどうしてかオレの行動を咎める事もなく、お互い顔を合わせないまま同室で過ごしていた。 そして、月末。バイトを始めてから初めての月末。初めての、給料日。ついにこの日がやって来た。待ちに待った給料日。オレは朝からそわそわしっぱなしだった。都合良く明日は休日で、トレーニングも無く丸々フリー。つまり、多少夜更かししても大丈夫。授業なんて身が入るはずもなく、何度先公に注意された事か。横目で盗み見たスカーレットは呆れた顔をしていた。オレは、ドキドキしっぱなしだった。
2 21/08/14(土)22:18:02 No.835078457
「らっしゃいせぇ~。お客さん、お一人ですか?」 「お、おう……1人だぜ……」 そしてオレは夜の帳がすっかり下りた頃『モミ娘プリティダービー』の入り口をくぐっていた。この前と同じく薄暗い入り口にベストを着た男が同じく1人でだらしなく立っていて、やる気のない挨拶をしてきた。オレの心臓は未だにドキドキしていた。 「お姉さん。フリーと指名、どっちにします?今なら指名料1000円でお安くなってるっすよ~」 「あ、し、指名で……その……べ、紅さん、を……」 「ウィッス。紅さんっすね。確認しますね~」 HPで出勤状況は確認している。紅さんは今日出勤しているはず。でも今空いているかは分からない。空いていてくれと心の中で願う。 「オッケーでぇす。席ご案内しま~す」 オレは、勝負に勝った。
3 21/08/14(土)22:18:20 No.835078606
そして通されたゲートの中のような狭苦しい席で、オレはまた麦茶をちびちび飲んでいた。また緊張で狭い部屋を無意味にキョロキョロと見渡してしまう。小さいテーブルにティッシュ箱と飲み物のメニュー表。壁の料金表。それで終わり。また1分1秒が果てしなく感じられる。でも、今度は待ち遠しくて堪らなかった。早く来て欲しい、早く来て欲しい。早く、会いたかった。 「失礼しまぁす。紅さん入りまぁす」 そしてその時は来た。暖簾が外から捲られて、するりと俺の隣に腰掛けてくる。ふわりと香る香水の甘い匂い。青い服を着たその人は。 「紅ですっ。よろしくお願いしますねっ」 薄暗い部屋の中、はっきりとは見えないけど。オレの寮の同室で、レースではオレのライバルの、あのダイワスカーレットにホントによく似た顔で、彼女は満面の笑みをオレに向けてくれた。
4 21/08/14(土)22:18:39 No.835078768
『お客さん入りました。来れますか?』 トレーナーとのトレーニング終わりに学園外で自主トレとしてランニングをしていた時、ポコン、とアタシのスマホが鳴った。確認すればお店の案内役からのメッセージ。アタシは確証があった。けど念押しで確認する。 『前と同じ人?』 『そうです』 来た。アイツが来た。ついに。朝からいつも以上に様子のおかしかったアイツ。やっぱりそうだった。あれはお店に行く緊張からだったのだ。 『わかりました。行きます』 現在地を送り、人目に付きにくいところでガードレールに寄り掛かり送迎を待つ。これ以降のアタシは『紅』だ。だって、アイツがお店に来て会いたいのは『紅さん』だから。アイツの同級生で、寮の同室で、ライバルの『ダイワスカーレット』では、ないから。心が揺らがないように、アタシは覚悟を決めた。
5 21/08/14(土)22:18:58 No.835078929
「お客さん、お久しぶりですねっ!あれから連絡来ないから、忘れられちゃわれたかと思いましたよ!」 「……あぁっ!いや!そ、その……登録しようとした時にちょっとごたごたがあって、それから忘れてちゃってて……すっ、すみません……!」 やってしまった。登録しようとして寝落ちしてしまって、その後のスカーレットとのあれこれですっかり忘れてしまっていた。嫌われてしまっただろうか。あんなに大事そうに渡してくれた連絡先なのに。オロオロするオレに、紅さんは。 「……っぷ、あははっ!慌てすぎですよ!冗談ですから、そんなアワアワしないでください、ね?」 「あ、う……あざっす……」 「今度は、忘れずに登録してくださいね?」 「は、はいっ!っていうか、今、します!」 「えっ、今?」 「はいっ、お姉さんの名刺、持ってきてるんで!」 オレは財布から名刺を取り出してスマホのメッセージアプリを立ちあげる。あんまりメジャーじゃないそのアプリは登録するのが大変したが、紅さん専用と思えば苦ではなかった。友達追加の画面を開き名刺のIDを入力して決定ボタンを押す。
6 21/08/14(土)22:19:17 No.835079076
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7 21/08/14(土)22:19:51 No.835079348
「……出ました!これですか?」 オレは出てきたそっけない初期アイコンで『紅』と名前が出た画面を彼女に見せる。 「うん、それだと思うわ」 「じゃ、じゃあ友達希望、出しますね……」 震える指で友達追加ボタンを押す。追加されました、の表記。 「で、できました……」 「ありがとうございますっ。いつでも連絡して下さいね!」 「い、いつでもって……そんな頻繁に来れませんよ……」 「もうっ。そういう事じゃなくて……」 急に顔を寄せてくる彼女に、オレは思わず仰け反る。
8 21/08/14(土)22:20:14 No.835079525
「アタシ、お話聞くの好きなんです。だから、他愛ない事でも何でも、お話しましょう?」 「……は、はい……」 「何でも送って下さいね!あ、でも昼間は大体寝てるんで、夕方以降なら返信できるから嬉しいです」 「わ、分かりました……!」 「ふふっ、お願いしますね」 にこっと笑う彼女。オレはその笑顔に引き込まれてしまう。今まで感じていたモヤモヤも、罪と罰の意識も吹き飛んで。きゅう、と胸が締め付けられて、今すぐ走り出したくなるような、もどかしい感覚。オレの全てを肯定されるような笑顔。 あぁ、会いに来てよかった。
9 21/08/14(土)22:20:34 No.835079670
「今日は何かしてたんですか?」 「いや、特には……学校終わって、時間潰して、ここに来ました」 「あら、学生さんだったんですね。大学生?」 「え、ぅ……はい」 「……そっかー。いいなぁ、アタシも大学行ってみたいなぁ」 本当の大学生ならここで大学での話をするのだろうが、オレは大学生ではなく、大学での生活なんて知らないから、知らない事を語る事はできない。 「……ねぇ、こっち向いて?」 「え?……ん、ぅ……!?」 俯いてた顔を向けると不意に唇に感じる柔らかい感触に、視界いっぱいの目を閉じた彼女の顔。直ぐに離れた彼女はゆっくりと目を開き紅い虹彩を煌かせて、ちろりと舌舐めずりをすると。 「……しよっか」 「……は、はい……」
10 21/08/14(土)22:21:35 No.835080096
終わり お盆であんまり筆が進まないのでえっちなのは次回
11 21/08/14(土)22:22:58 No.835080774
ウワーッ!?
12 21/08/14(土)22:28:49 No.835083468
ウマ也久々も高気配7
13 21/08/14(土)22:33:00 No.835085498
べni…ダスカ側も悶々してるのいいよね
14 21/08/14(土)22:38:17 No.835088018
ここで終わりだって…?
15 21/08/14(土)22:55:20 No.835096626
なまごろし…
16 21/08/14(土)22:57:07 No.835097562
ウワーッ!?
17 21/08/14(土)22:58:16 No.835098159
お互いにズブズブなのいいよね…
18 21/08/14(土)23:00:40 No.835099338
大人の女(同級生)と一緒に夏の階段を昇っちゃうんだ…
19 21/08/14(土)23:02:02 No.835099995
生殺し過ぎる…
20 21/08/14(土)23:04:15 No.835101193
楽しみが増えたと思えば盆時期の夜勤だって耐えられる
21 21/08/14(土)23:06:49 No.835102468
>楽しみが増えたと思えば盆時期の夜勤だって耐えられる がんばれ…