21/08/14(土)14:44:12 いつも... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1628919852353.jpg 21/08/14(土)14:44:12 No.834906670
いつものように誰もいない私達の…私だけのブリテンを見守り続ける。小さく、冷たく、見える全てが醜いこのブリテン。何度彼の聖剣を以て破壊したいと思ったか、何度全ての妖精を昔、彼と考えた圧政で押さえつけようと思ったか。数千年の統治と一握りの妖精で耐え続けてきたがもう限界だった。救いようがなさすぎる妖精達をそれでもと考えてしまう自分に耐えられなかった。 疲れた。…誰もいない今だけは、少し瞼を下ろして眠りに着こう。 花園、内海、記憶。 あぁ…夢か。全身が燃え尽きて何かに変換されるような感覚、自分が剣に作り替えられている、そんな感覚はきっともう人生で二度とないのだろう。嫌がっても光で満たされ、終わりを迎える瞬間に世界にひびが入る。ひび割れた隙間から腕が伸びて私を引き戻し目を開ければそこには体の半分が焼け焦げた彼と半身不随の私、そして中途半端に作り上げられた彼の言うには『エクスカリバー』と言われたらしい聖剣擬き。三日ほど動けず彼と本音で殴りあっていた後聖剣は彼が持って二人そろって自分の役目をサボタージュ。それからは適当にのんびりと救世主と騎士として放浪の日々。
1 21/08/14(土)14:44:31 No.834906778
ある日はオークニー近くの湖水に浮かんでいた骨をかっこいいというだけの理由で何とか持って帰ろうとしようと無理する彼が沼にそのまま引きずり込まれかけたり、好き放題に暴れていたトトロットをノリと勢いで旅の仲間にしたり、なんか弱っていたマヴを倒したりしてその後に私達だけの国を作るために彼はロンディニウムという要塞都市を作って……用意を進めて。 そしてあの日に彼は死んだ。呆気なく、いとも簡単に私達の理想は崩れ去ったのだ。 燃える城塞都市、被せられた罪、嗤う妖精。 城塞都市から放たれた一筋の閃光はどこまでも遠くへと続き、その伸びた光に私は向かった。 光の終着点は少し虫の多い静かな森の中だった。グロスターからそれほど遠くない小さな森で腕や足、翅を捥がれた妖精達が濡れた布や水の入ったボウルを必死に運んでいるのが見えた。 その足元には剣を引きずったような跡があり半狂乱で走り、その先で彼はただ静かに口から血を流しながら木に背中を預けていた。
2 21/08/14(土)14:45:08 No.834906985
周囲を妖精たちが取り囲んで丁寧に汗を拭き取り、止血し、色々な解毒薬を試すがどれもこれも効力がなくただただ彼が衰弱していくだけであった。 「トネリコ!!ウーサー達が毒酒を飲まされた!!」 「強力な毒でも死ななかったウーサーが死にそうなの!!」 「助けてトネリコ!!私、二人の結婚式が見たかったの!!」 心当たりはある。昔、一番初めの内海から遣わされた神を殺したそれと同じものならきっと彼も、あくまでも効かないではなく抑えるだけの彼の体質であれば毒という形ではなく、古典的な呪いという解釈での毒や文字通りの規格外の毒を使えばいい。 ただ何故それが彼らの手にあったのか…知ることはきっと不可能だ。そして、既に尽くせる手を使ってしまっており、もうどうしようもなかった。 私の頬に彼の手が触れ、そのままそっと抱きしめられる。 そこに彼の熱は無く、瞳もきっと見えておらず、鼓動も無い。ただ小さく私の耳元で囁いたその言葉が最後の言葉だった。
3 21/08/14(土)14:45:41 No.834907157
涙も流れない、笑う事も出来ない、立ち上がる気力も無い。だから死のう。ここで救世主トネリコも死のう。だから死んだ。もうここには魔女モルガンしかない。それでいいんだ。 地面に刺さっていた聖剣を墓標に静かに騎士を眠らせて姿を消した。来るべき戦争に備えて全ての準備を整える。 目がさめるとそこはまた静かなキャメロット。一瞬、探知魔術に反応があり、沿岸を確認するとそこには一隻の白い船が訪れていた。きっとカルデアというものでしょう。 適当に泳がせて、不要になったら潰して終わり。……待って。なんであっちにウーサー君いるのですか?いや、偽物?……無いですね。髪型、瞳の色、呼吸の感覚全て同じなそっくりさんなんていない筈……そもそも私の情報なんて彼らが知る由もありません。もう少し観察してみましょう。
4 21/08/14(土)14:45:57 No.834907261
…………。信じたくない。信じたくない。信じたくない。きっと彼は本物だ、あの村での出会いが異常だった。きっと恐らく、あの彼こそ本物だ。……どうしよう。あの田舎臭い同業者と…ふざけるな!!どおして私のウーサー君があんなのと一緒に居るんですか!!当てつけですか!!嫌がらせですか!!…落ち着きましょう。鐘も鳴らしていない色々と貧相な小娘、ランスロット…駄目ですね、何故か彼女とは昔に会った覚えあるようなきがして何か信用も出来ないですし却下。バー…ガウェインは……論外です、ウーサー君を見たら絶対に我慢できずに食いにいきますね、むすm…駄目だ、ウーサー君普通に人間やめた動きするから口下手な対応次第で斬られたらたまったものじゃありません。じゃあ私が直に…あぁああああ!!!!トネリコ時代の服と合わない!!! 私は完璧な女王モルガンなので静かに座って待ってましょう。焦らずただこうやって座って待っていれば彼らの目的上、必ず私の元にたどり着くことでしょう。
5 21/08/14(土)14:46:14 No.834907370
……バーゲスト。先日、ウ…異邦の魔術師との件ですが、その…どうでした、貴女から見ての彼は。『内側に何かを隠している男』…ですか。充分です、話すことはありません。もし黒い剣の様なものを握っていたり、ウェールズの森に行ったのであれば即座に私に報告しなさい。その時点で彼は妖精國で私に並びうる者になります、頼みましたよ。 ……。あれ?今の言い方だと下手したら彼女。剣を持ってないウーサー君を独断で殺しに……どうしようトトロット!!!……いませんでしたね。 流石ウーサー君ですね、あんな貧弱な子でもちゃんと娘に勝てるようにサポート……。抑えましょう、彼は前からそういう人のだから。それよりももうベリル・ガットの存在もいらないですね。……ただ娘の件もあるので一存で切ることはできませんがカルデアとぶつけて退場してもらいましょう。 あぁ、たどり着いてしまった、行かないでほしかった。彼の墓標があるウェールズの奥までは行ってないのだろうか?きっとあれを握れば全てを……それでも。しかしそれは杞憂だった、その手に聖剣は無く、ただ何事も無かったようにノリッジの街へと向かっていた。
6 21/08/14(土)14:46:30 No.834907473
……ドラケイの河。望むものが流れるという河にたどり着いた彼ら。他の者たちが次々と飛び込んでいく中、ウーサー君も……?『無理。』と書かれた看板が流れてキレて飛び込んだ!?……あ、浮かんできましたね。 巷に広がる詩通り、厄災がノリッジにあらわ……ウーサー君…やはり貴方はウーサー君なのですね、動けなかった予言の子を抱きかかえて走るその姿。昔、私が芋虫まみれの森で目を開けたまま気絶した時に鐘まで運んでくれたのとまったく同じですよ。……きっとウーサー君なら余裕であの程度突破できるでしょうし、今のうちにここへ飛ぶように水鏡の調整でもしておきましょう。 ……何でしょうかあのへんな服の男。倒す瞬間に変な紙に厄災を取り込みましたね。……まぁいいでしょう。そーれ。……この盾の少女……何でしょうか?確実にウーサー君を狙ったはずなのにしっかりとガードされましたね。とりあえず女王しましょう。
7 21/08/14(土)14:47:04 No.834907675
ふふっ。そう警戒しないでください、ここには私とあなたの二人だけ。あの厄災を討伐した立役者たるあなたへの褒美として謁見の許可を与えただけです。ただ、下手にそう構えられるとあそこに居る異邦の魔術師達の……先輩?……あの黒い髪の青年の事ですか……どれほど大切な人なのですか? そこから語られた彼女とウーサー君の旅路。正直オルレなんとかあたりからどうでもよかった。分かったことは一つ、ウーサー君を誑かす悪い女。意図的な悪女ならウーサー君は問題ありませんがこういう無自覚に誘ったりする子にウーサー君は弱いので軽く四千年ぐらい過去に吹っ飛ばして私とウーサー君の旅路を見せてそのまだ自覚していない恋心を粉砕しましょう。 盾の少女を過去に送り、ウーサー君と予言の子だけを招待する。後ろでスタンバっているベリル・ガットはきっとウーサー君を冷やかしたりするつもりだろうが普通にそこ射程圏内であったために一枚軽い防御壁を張って最低限の命の保証だけはしておく。
8 21/08/14(土)14:47:26 No.834907821
見物の妖精たちが群がり、兵士達が揃う。正直ここで妖精やベリル・ガットが下手にウーサー君を怒らせてしまえばウッドワスも妖精騎士も居ないこの会場では数秒で殺戮現場になって何も知らない彼らにあらぬ誤解を与えて戦争に発展すればおしまい。今回はただ予言の子を見極めるだけであり、それ以上は無い。 扉が開く。瞬間、嵐の様な殺気にも近い重圧感が吹き抜け妖精たちが一目散に逃げだし、小さな足音が一つだけ響いてくる。足音の正体は予言の子であり、ウーサー君は足音一つ立てずに歩き、ただ私を見て微笑んだ後、何もなかったように彼女のお付きとしてただ静かに一歩後ろに下がり。私は久しぶりの再会に体温を感じたいという衝動を抑えて女王モルガンとして話を進める。
9 21/08/14(土)14:51:53 No.834909371
オベロンとコヤンが計100連で出て気分がいいから アヴァロン・ル・フェ編 前編落とすんだわ ここまでで大体3500字なんだわ 夫視点この倍あるとかしりたくねーんだわ。 夜にカルデアでの恋人書くんだわ
10 21/08/14(土)14:52:37 No.834909659
ありがたい…
11 21/08/14(土)14:55:45 No.834910755
洪水が…ことばの洪水がワッと…!
12 21/08/14(土)15:05:22 No.834913846
3500って凄い…
13 21/08/14(土)15:21:45 No.834919486
>動けなかった予言の子を抱きかかえて走る しれっとすごいこと書かれてる…
14 21/08/14(土)15:38:08 No.834925369
モルガンルートはいくらあってもよい