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21/08/14(土)03:38:34 No.834772861
4月下旬、京都競バ場。 日曜日、第10レース。G1、天皇賞(春)。芝3200m。 天候は晴、バ場は良。 控室にて。 勝負服に着替えたスリゼローレルは、椅子に座りその出番をただ待っていた。 3月に行われた中山記念にて晴れてG2ウマ娘となった彼女である。出走登録も順調にすみ、春の天皇賞に出場する運びとなっていた。昨年は、同レースに登録したものの、出走直前で両足を骨折し、選手生命すら危うかった彼女にとって、この春の天皇賞は因縁のレースであるとも言えた。 「気分はどう?」 そう彼女のトレーナーが聞き 「はい、大丈夫です」 と答えるスリゼローレル。しかしその顔にはこわばりが残っており、身体にも硬さが残っている。 明らかに緊張した彼女を見るトレーナーだが、敢えて言葉をかけることはしなかった。声をかけるのにもタイミングがある。緊張をほぐすには、レース直前に一言だけ声を駆けるといいだろう、そう思っていた矢先である。 控室のドアをノックする音がした。
1 21/08/14(土)03:38:51 No.834772907
「どうぞ」 とトレーナーが言うと 「失礼します」 と言う若い女性の声とともに、大きなツインテールのウマ娘がドアの陰からひょっこり顔を出した。 その姿を見て、目を大きく見開き、スリゼローレルは席から立ち上がる。 「マベちゃん!」 そう彼女が喜びを伴う声で話しかけたのは、マーベラスサンデーというウマ娘だった。かつては一緒に練習をした仲のウマ娘。重大な骨折を抱えて沈んでいた時にも暗に励ましてくれたウマ娘。そして彼女自身、スリゼローレルと同様、決して健康とはいけない、同じような体の弱さと苦難を乗り越えてきた経験のあるウマ娘である。 「ローレル先輩☆マーベラス☆」 笑顔で彼女はそうスリゼローレルに話しかけた。 「ありがとう、いつも応援に来てくれて」 そう微笑む彼女を、マーベラスサンデーは上から下までじっくりと眺めた。 「あぁ、これ?」 その視線がめぐる正体に気づき、彼女は自分の勝負服を指さす。
2 21/08/14(土)03:39:11 No.834772938
そう、今日はG1レース。ウマ娘にとって憧れの勝負服を身に着ける唯一の機会である。そしてマーベラスサンデーは彼女の勝負服姿をこの時初めて見た。 ピンクと白で彩られた、軍服のようなジャケット。白いショートパンツ。太ももまであるニーソックス。そして頭には円筒状の帽子、大きなケピ帽が添えられている。帽子をかぶっているせいか、普段から背が高く、細めの体つきの彼女である。勝負服を身に着けると、一層背が高くスマートな印象を誰もが抱くだろう。 「どう?似合うかな?」 首を傾げて、反応を伺うスリゼローレル。 そんな彼女の様子に対して、マーベラスサンデーは大きな目を見開き、無言で立ち尽くしていた。 「どうしたのマベちゃん」 と少し怪訝な顔をしてスリゼローレルが問うと 「はじかみ」 とマーベラスサンデーは答えた。 「え?」 聞きなれない言葉に戸惑いを口にするスリゼローレルに対して 「はじかみっぽい!」 と彼女は言葉を続ける。
3 21/08/14(土)03:39:35 No.834772985
それを聞いて、スリゼローレルのトレーナーが吹き出した。 「確かに、言われてみればそんな感じもするわね」 「ね!」 目を合わせて笑いあう二人に、何が何だか分からないという顔をするスリゼローレル。 一方、その様子を見るマーベラスサンデーのトレーナーは、表情を強張らせ、口を一文字に噤んでいた。 「マベちゃん、もう一度言ってみて」 「はじかみ!」 「はじ…」 「はじかみ!」 聞きなれない言葉をようやく捉え、彼女はスマートフォンを取り出し、 「は、じ、か、み…」 とインターネットでその言葉を検索する。 そして 「はぁ!!??」 と大声を張り上げた。その大声にマーベラスサンデーとスリゼローレルのトレーナーは笑い、マーベラスサンデーのトレーナーはきまりが悪そうに視線を逸らした。
4 21/08/14(土)03:39:57 No.834773026
はじかみ、それは紅ショウガの一種である。よく焼き魚に添えられている、細長くい赤色と白色の棒状の物体と言えば想像がつくだろうか。 「ひっどーい!!!」 流石の彼女も目を怒らせ、咎めるようにマーベラスサンデーに非難の視線を浴びせる。 「あはは~☆」 それに特に反省した様子もなさそうに彼女は笑った。 「トレーナーさんもトレーナーさんですよ!!!どういうことですか!?」 「ごめんなさいね、本当に」 非難の言葉を浴びたスリゼローレルのトレーナーだったが、その表情は必死に笑いを堪えているようだった。 「もう、知りません!」 遂にそっぽを向いてしまったスリゼローレル。 「ごめんね先輩☆よく似合ってるから☆」 「しーりーまーせーん!!!」 笑顔で謝罪の言葉を口にするマーベラスサンデーに対して、スリゼローレルは拗ねたように顔を背ける。
5 21/08/14(土)03:40:15 No.834773058
そんなじゃれあう二人の様子を笑って眺めるスリゼローレルのトレーナーだが、その脳裏には安堵感を覚えていた。 先程までスリゼローレルが纏ってきた悪い緊張感が一切ないのだ。レースを前にして固さを和らげるのは自分の役目だと思っていたが、どうやらそれも必要なくなったようだと、心の中で確信する。恐らく、マーベラスサンデーもわざとやったのだろう、と思うと、彼女に感謝の気持ちを覚えざるを得なかった。 「先輩、本当にごめんね☆」 「…マベちゃん、本当にそう思ってる?」 「うん☆すっごい素敵だよ、その勝負服☆」 その言葉に、ふっと笑い 「そうでしょ?」 と笑顔を見せるスリゼローレル。 もうすぐそこまで、本バ場入場の時間が迫っている中での出来事だった。
6 21/08/14(土)03:40:47 No.834773133
『春の暖かさが会場いっぱいに広がる京都競バ場、最高のレース日和となりました。天候は晴れ、馬場は良。11万人が訪れる熱気も手伝い、レースが始まる前にも関わらず、芝も大ケヤキも、生命の息吹に満ち溢れているように伸び伸びと輝いています。最も強いウマ娘を決める春の天皇賞。いよいよ始まろうとしています』 実況の穏やかな語り口が会場に響く。 そんな中、一人のウマ娘が地下バ道を通り、会場に姿を現した。 『さぁ姿を見せました!今回の堂々の一番人気!果たして今日はどんな力強いレースを見せてくれるのか。シャドーロールの怪物の異名は伊達ではありません。誰もがその名を心に刻む三冠バ。ナリタブライアンの入場です!!!』 その姿が現れた瞬間、11万人の観客が大声援を上げる。 ナリタブライアンはそんな声をも一切気にしないような、ただのそよ風だと言わんばかりに、威厳溢れるゆっくりとした歩みでゲートに向かう。 そしてもう一人、ウマ娘が姿を見せると同じくらいの大声援が京都競バ場にわきあがる。
7 21/08/14(土)03:41:18 No.834773195
『彼女も忘れてはいけません。2番人気のウマ娘。菊花賞ではレコードで勝利し、有マ記念に直行してグランプリに輝きました。今日はどんなレースを見せてくれるのか、誰にも予想が付きません!変幻自在のトップガン、マヤノトップガンの入場です!!!』 津波のような観客の熱気を受けてもどこへやら。まるでさざ波に乗るかのように、マヤノトップガンは笑顔を振りまきターフに向かって手を振っている。余裕の表情を見せながら、のんびりした足取りでゲートに歩を進める。 今回の春の天皇賞、出走するのは16人のウマ娘。しかし、実際はナリタブライアンとマヤノトップガンに大きな注目が集まっていたため、大人気の2人とその他14人という、極端な雰囲気となっていた。それも無理のないことだった。3月に行われた阪神大賞典。このレースで後方に差をつけマッチレースを演じた彼女たちである。観客の期待、それはナリタブライアンとマヤノトップガンがどんなレースを今日は繰り広げてくれるのか、という一点だった。
8 21/08/14(土)03:41:34 No.834773232
そんな中でスリゼローレルも本バ場入場をし、ゲートの中に身を委ねる。 今日は気負わず走ればいい。いつの間にか、そう彼女は思っていた。自分は注目されてない。そうであれば、ただ観客の視線は無視して自分ができる最高のレースを行えばいい。そう自分に言い聞かせるように心の中で独り言ちる。ふとどこから来たのだろう、桜の花びらがゲートに一枚掛かっていた。そうか、もうすぐ5月になるんだな、と思うと、不意に湧き出てきたのは参加できなかった日本ダービーの思い出だった。 (あの時、もし日本ダービーに参加できてたら…どうなってたのかな…) それは思っても仕方のない記憶。取返しなどつくはずのない過去。 ただ、今を走る彼女には無用のもの。 しかし、今彼女は、あの時一緒に走れなかった、ナリタブライアンと同じレースに出ているのだ。 遅咲きの桜が京都競バ場の外で風に揺られた瞬間、 『さぁ、ゲート開きました!』 春の天皇賞が幕を切って落とされた。
9 21/08/14(土)03:41:55 No.834773275
『先頭を切ったのはティーエムザンボ!やはり行きました!逃げウマのティーエムジャンボ!そしてケヤキロッテがその後ろに続きます!2人の逃げウマ、第三コーナーの坂をすいすいと上っていきます!』 芝3200mの長丁場のこのレース。逃げウマ2人が飛び出て序盤のペースを作り始める。 『さぁ注目の2人はどうだ!ナリタブライアンは先団!マヤノトップガンはその後ろにつけています!』 少し離れて先団あたりで様子を見る2人のウマ娘。そのまま坂を上り切り、第四コーナーに向かっていく。ここからは坂である。 『さぁ第四コーナー!おおっとマヤノトップガン、早くも加速しました!ナリタブライアンを抜きさります!』 自信満々の様子で早くも抜き去るマヤノトップガンの背中を見て、ナリタブライアンは顔をしかめた。 抜き去りはしたものの、大きく差を開けることなく、すぐ目の前を走るマヤノトップガンである。 (…挑発しているのか?) という思いを胸に抱えるナリタブライアンだが、それに応じることはしない。まだレースは始まったばかり。こんなところで体力を浪費させるほど、彼女は愚かではなかった。
10 21/08/14(土)03:42:14 No.834773304
ホームストレッチに入り、ウマ娘達の流れは一旦落ち着く気配を見せた。逃げウマの、ケヤキロッテ・ティーエムザンボの2人が遥か先を進み、離れてバ群となった14人。そのうち、マヤノトップガンとナリタブライアンが先団に位置し、対してスリゼローレルは中団に位置していた。 11万人の観客の割れんばかりの大声援が、彼女たちを祝福するかのように沸き起こる。 『さぁどうだ、マヤノトップガン!それを見るように走っていますナリタブライアン!今日はどんな駆け引きを見せてくれるのでしょうか!?」 マヤのトップガンは外側を走り、内を開けている。まるで差してくれと言わんばかりの走り。それはまさにナリタブライアンに対する挑発であり、挑戦状でもあった。 (早く早く☆マヤがこのままいっちゃうよー☆) 自信たっぷりに彼女はそう思い、第一コーナーに侵入し始めた。
11 21/08/14(土)03:42:31 No.834773327
そんな中、第一コーナーで先頭2人の逃げ馬が、コーナーで加速し始める。一段とを大きく差が開く2人とバ群。ペースメーカーにしては早すぎる足を他所に、バ群の様子は変わらなかった。状況は変わらず第二コーナーを抜け、向こう正面に入る。 (そろそろね…) (緩めるか…) ここで逃げウマ2人が少しだけスピードを緩め始めた。3200mの長丁場のレース、どうしてもスタミナが重要となってくるこのレースである。十分なリードを作った2人が感がることは一つだった。どのようにこのリードを維持しつつ、スタミナを温存するかである。バレないように少しずつペースを下げることができれば、仮に後続のウマ娘たちが自分たちに迫ってきても、自分たちが掛かり気味だと勘違いすることがよくあるのだ。勘違いをしたウマ娘は、冷静になるために意図的にスピードを緩める。それを期待しての動きだったが (マヤには見えてるんだからね!) 問題は洞察力に優れるマヤノトップガンがバ群先団に位置していることだった。 すぐさま意図を見抜いた彼女はスピードを緩めることなく走り、それにバ群が引っ張られていく。結果、逃げウマのとの差は徐々に縮まり始めていた。
12 21/08/14(土)03:42:56 No.834773363
そして第三コーナーに差し掛かる。 『さぁ二週目の第三コーナーに入ります!ここで16人のウマ娘、遂に一団になりました!マヤノトップガンは三番手!それを見るようにナリタブライアンは七番手につけています!』 逃げウマ2人はついに捕まり16人が一団となった。 (あっちゃぁ…) (ダメだった…) 逃げウマ2人の作戦はものの見事に失敗した。ここからは必死に体力を絞り出し走り切るしかないことを覚悟する。 そしてスリゼローレルはといえば、九番手に位置取りをし、坂を上っている。彼女の目の前にはナリタブライアン。 (ナリタブライアンさんは…マヤノトップガンさんを完全にマークしてるわね) 目の前のナリタブライアンを見て、彼女はそう感じた。自分の体力はまだ十分ある。そしてナリタブライアンはマヤノトップガンしか見ていない。 (それなら…) ナリタブライアンの後ろにつけたスリゼローレル。スリップストリームを使い体力を温存する構えを取る彼女である。
13 21/08/14(土)03:43:11 No.834773386
そして第三コーナーが終わり第四コーナーに入り始めた。 『ここからは坂の下り!坂の下りです!おおっと、マヤノトップガンがスパートをかけ始めた!ナリタブライアンもそれに続いていく!』 (さぁ勝負だよ!マヤについてこれる!?) 遂にマヤノトップガンがしかけ始めた。阪神大賞典の時と同様、円弧のマエストロと言って過言でない走りを見せる彼女。 (同じような手を…何度も何度も!) そしてそれに食らいつくはナリタブライアン。やはりその脚は曲線のソムリエ。コーナーを曲がりながらもなおも加速の色を見せる。 『第四コーナー!第四コーナー!第四コーナーを抜けてマヤノトップガン先頭!!!ナリタブライアン二番手!!!やはり最後はこの二強だ!!!最後の直線、再びあの名勝負が起こるのか!?』 熱狂する実況席。そしてそれに煽られたかのように雄たけびを上げる11万人の観客。 突風のように駆ける2人のウマ娘。 「勝負だよ!!!」 汗を散らしてマヤノトップガンが叫び 「望むところだ!!!」 不敵な笑みを浮かべ、ナリタブライアンが応じる。 春の嵐が京都競バ場に吹き荒れようとしていた。
14 21/08/14(土)03:43:31 No.834773417
『マヤノトップガン先頭!マヤノトップガン先頭!!!』 直線を向いて一陣の風となり駆けていくマヤノトップガン。 『ナリタブライアン食い下がる!ナリタブライアン食い下がる!!!』 しかしナリタブライアンも負けてはいない。一文字にかけ、彼女を追い抜こうと食らいつく。 そして 『2人が並んだ!!!2人が並んだ!!!内にマヤノトップガン!!!外にナリタブライアン!!!』 遂に2人は肩を並べる。 (負けない!!!今度こそは絶対に負けない!!!) 阪神大賞典での悔しさをばねに駆けるマヤノトップガン。 (何度やっても同じだ!!!勝つのは私だ!!!) 絶対王者の誇りを賭けてターフを駆けるナリタブライアン。 どちらも全力だった。どちらも必死だった。絶対に負けたくない。お互いの意地と根性がぶつかり合う。
15 21/08/14(土)03:43:58 No.834773457
だが 『ナリタブライアン躱した!!!ナリタブライアン躱した!!!ナリタブライアン先頭だ!!!』 遂に勝負は決まった。ナリタブライアンがマヤノトップガンを差し切り前に出る。 「なんで…なんで…!!!!!」 それを必死に追うマヤノトップガン。しかし無情にも目の前のシャドーロールの怪物の背中は遠ざかって行く。 勝った。そうナリタブライアンは思った。しかしまだ彼女は力を抜かない。最後までマヤノトップガンは食らいついてくるだろう。だから全力をもって叩き潰す。そう思い足色を輝かせようとした、その時だった。 『スリゼローレル!スリゼローレルも来ているぞ!!!』 彼女の後ろから、フランスの桜の名を持つウマ娘が迫っていた。 『スリゼローレル並んだ!!!スリゼローレル並んだ!!!』 外から差してきたウマ娘はマヤノトップガンではなかった。 (やっと、やっと…!あなたと戦える時が来ました!ナリタブライアンさん!!!) スリゼローレルの全身全霊の末脚がナリタブライアンを捉えにかかる。
16 21/08/14(土)03:44:15 No.834773494
『残り100m!ナリタブライアン!!!スリゼローレル!!!ナリタブライアン!!!スリゼローレル!!!』 2人が並び、デッドヒートを繰り広げる。 全てはいつ始まったことなのだろう。いつから勝ちたいと思ったのだろう。どうして輝いたいと思ったのだろう。 もうそれも、記憶の彼方に、想いの果てに、消え去ったことだった。 ナリタブライアンにとっても、スリゼローレルにとっても。 だが、今日は。 『差した!差した!!!差し切った!!!スリゼローレルです!!!!!』 遅咲きのフランスの桜が、春の盾の上に咲き誇る一日となった。
17 21/08/14(土)03:44:57 No.834773558
『誰が予想したでしょうか!?春の盾を手にしたのは、変幻自在のトップガンでも!!!シャドーロールの怪物でもありませんでした!!!』 場内がどよめく。それは春の嵐が巻き起こるように。そして11万人の観客は、二強を負かしたウマ娘の名前に刮目する。 「勝ったのは、スリゼローレル!!!4月の京都競バ場!!!桜が咲き誇る一日となりました!!!」 興奮した実況が声を上げ、新たなG1ウマ娘の誕生に、会場から喝さいが贈られる。 「見てよトレーナーちゃん!!!先輩勝ったよ!!!ローレル先輩勝ったよ!!!」 「わかってるよマベちゃん!!!やった!!!やったね!!!」 マーベラスサンデーとトレーナーは、両手を取り合い、観客席で歓喜に包まれていた。 あのスリゼローレルが、一年前に競争能力喪失と医師に判定されたウマ娘が、なんとまさかのG1タイトルを取ったのだ。それも実力者2人を完封しての大勝利である。 「やりましたね!ローレルさん!!!」 サクラバクシンオーが同胞の勝利に喜びトレーナーに話しかけるが 「何言ってるの、遅すぎるわよ」 と、彼女のトレーナーから出てきたのは辛辣な言葉だった。
18 21/08/14(土)03:45:30 No.834773612
「ややっ!ですがタイムは3分17秒8ですよ!立派なタイムじゃないですか」 食い下がるサクラバクシンオーに対して 「違うわ」 とかぶりを振り、彼女は少し潤んだ眼をして穏やかに微笑む。 そして 「あの子なら、一年前に取っていたタイトルよ、春の天皇賞」 と言い放った。 その言葉を聞いて、瞳の中の桜を輝かせ 「そうですねッ!!!」 と満面の笑顔でサクラバクシンオーは答えた。
19 21/08/14(土)03:46:24 No.834773696
体中を汗で湿らせ、満面の笑みで観客席に手を振るスリゼローレルだったが、ある所に視線が行くと途端、手を振るのを止めた。 そして右手で銃の形を作り、指を軽く突き上げる。 その先に居たのはマーベラスサンデーだった。 この時、マーベラスサンデーは感じた。 スリゼローレルが『次はマベちゃんの番だよ』と言ってくれているのだと。 こんな話を私は読みたい 文章の距離適性があってないのでこれにて失礼する fu246557.txt
20 21/08/14(土)03:54:05 No.834774484
おい待てぇ レース中の描写書けるやつは貴重だろうが
21 21/08/14(土)04:04:31 No.834775488
いいよね番狂わせ…
22 21/08/14(土)04:13:12 No.834776261
毎回キッチリレース書き切るの凄いし読みやすい
23 21/08/14(土)04:13:12 No.834776262
眠れなくていもげ見てたらいいものが見れた
24 21/08/14(土)04:15:59 No.834776484
スリゼローレルさんがここまで来て私は満足ですよ… 正直マヤノとブライアンには及ばないくらいでマベちゃんにもっと先があることを見せるような役どころかと思ってた
25 21/08/14(土)04:17:32 No.834776593
読んでてちょっとウルッときた… いいよね…
26 21/08/14(土)04:39:55 No.834778408
熱すぎる…
27 21/08/14(土)06:18:13 No.834785758
私はフランスから来たファンなのですがこれはシリーズ物なのですか?
28 21/08/14(土)06:44:23 No.834787938
そのうちウマ娘に来ますかねサクラ…スリゼローレルさん
29 21/08/14(土)07:20:19 No.834790987
前にカフェとアイネスフウジン書いてた人か… 今回は前にも増して長いね