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21/08/11(水)20:29:33 あらす... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1628681373279.jpg 21/08/11(水)20:29:33 No.833811292

あらすじ クシェペルカに敗北したジャロウデク王国は現在国土を蝕まれていた。 イシル=ディンガー率いる黒顎騎士団のティラントー中隊は、国内の砦の防衛に就いていた。イレブンフラッグスの襲撃を退けるが穀倉地帯が燃えてしまう。 イシル達は穀倉地帯を燃やした可能性のある鬼面の幻晶騎士をだまし討ちにして捕獲することにした。

1 21/08/11(水)20:29:50 No.833811429

 ヴォラキーロに追われた馬車達は逃げる。食料を投げ捨て危険を少しでも軽く、鞭を打ち危険から一歩でも遠ざかろうとする。しかしヴォラキーロの一歩はあまりにも広い。馬車はますます速度を上げる。背後からなり続ける銅鑼の音に呼応するように心音が高鳴る。  その先に待っていたのは、また別のヴォラキーロ達だった。右手にメイス、左手に杖を構え、現れた馬車達を無慈悲に見据えている。  一刃砦のヴォラキーロが鳴らす銅鑼の音は、三刃砦のヴォラキーロに馬車の逃げ先を伝えていたのだ。 「風の杖、放てっ!!!」

2 21/08/11(水)20:30:07 No.833811556

 対人鎮圧用魔導兵装、風の杖が前方から馬車を直撃する。強烈な風で馬は足を前に出すことすらできない。同時に吹き飛ばされる小石や砂でさえも侮れない威力となる。直撃を受けた馬車には転倒する物さえあった。 「馬と馬車、金もの物は全て捨て置けば命は助けてやる。金の使いどころだぞ、商人ども?」  右手のメイスが大地を抉る。大地が揺らぎ、馬の恐怖を煽る。御者が逃げようと必死に鞭打つが馬は脅えて前へと進まない。転がり、脅え、降伏する者もあり、その場の馬車は殆ど動きを止めていた。万全の状態の幻晶騎士を相手に馬車が勝てる筈がないのだ。いわんや人ごときが相手にならない。

3 21/08/11(水)20:30:28 No.833811710

「逃げるのは無謀だぞ」  馬車から数名の人間が飛び降り、蜘蛛の子を散らすように逃げ出していく。すぐさまヴォラキーロが一斉に地面へとメイスを振り下ろし始める。  地震と間違うほどの揺れに立つことさえ困難になるが、這ってでも逃げ出そうとする者はなお存在する。誇りを捨て地を這う虫けらへと、隠れていた兵士からのクロスボウが放たれる。既に一刃砦の騎兵にも完全に追いつかれ、逃げ出すものはもう残っていないかった。 「これだけの食料があれば、逃げるにしろ籠るにしろ暫くは持つ。この場の半数を逃がしてやるには、十分な身代金だ」

4 21/08/11(水)20:31:36 No.833812226

===  黄金の鬼面は地へ引きずり落された。鎖に絡めとられた『飛空盾』には即座に4体のティラントーが抑えつけに向かう。 「黒騎士ごときに、やらせるわけねぇだろぉ!?」  しかし鬼面は鎖に絡まれた銃装剣を振り回しティラントーに叩きつける。大質量の銃装剣の一撃はティラントーの脳天を大きく凹ませ、その場に伏せることを強いた。  たまらないのはイシルだった。鎖を引き銃装剣を奪おうとするもむしろ引っ張られるばかりだ。ティラントーが力負けしている。むしろ鎖の重量を味方につけ、一撃でニ機のティラントーを退ける。こうなれば意味が無いとイシルは鎖を捨てる。 「鬼面の相手は私がする。皆は盾をお願いね?」  イシルが隊員を下がらせると、ティラントーの拡声器から歌声が流れる。両手に棍『鈍風』を構えたイシルのティラントーが『飛空盾』に跨る鬼面へと棍を振り下ろす。鬼面は僅かに体を動かし躱すと、銃装剣をティラントーの腕へと振り下ろす。

5 21/08/11(水)20:32:51 No.833812760

 鈍風に取りつけられていた結晶触媒が輝き、棍の軌道が横薙ぎの動作へと強引に変えられる。胴体へと一撃を見舞いつつ鬼面の一撃を躱す。しかし鬼面の装甲は厚い。以前ティラントー10機の法撃を耐え抜いただけはある。  イシルは足回りの出力を向上させるよう歌う。二本の棍と銃装剣が何度か交わり、手数の多さでティラントーが幾度も隙を掻い潜り攻撃を加えるが十分な傷を負わせることが出来ない。鬼面の一撃は攻防一体、前へ前へと進みながら剣を打ち続けることで棍に勢いが乗る前に敢えて受けているのだ。棍で防ぎつつ、圧縮した大気で剣の勢いを殺し、後方へと跳ぶ。それでも腕の結晶筋肉から火花が散る程に一撃は重い。

6 21/08/11(水)20:33:03 No.833812867

 ティラントーの魔力貯蓄領は魔導兵装を用いた棍の加速・防御・軌道変更で見る見るうちに減っていく。だがそれは鬼面にも言えることだった。イカルガを模した鬼は『魔力転換炉』を一つしか積まず、『飛空盾』の魔力供給が無ければ強化魔法で魔力を貪り食う銃装剣を維持できない。 「黒騎士の癖にちょこまかと!」 「この間は法撃ばかり撃ってた癖に、そっちの動きは何よ!」  『飛空盾』を用いた突撃よりも、『飛空盾』に乗った一方的な法撃よりも、鬼面の騎操士は銃装剣を振るう近接戦闘を得意とするようだ。 「いいね、いいよ、鬼面。上手い、私がお前の旋律を支える側になるなんて――」  お互い決め手に欠けるが、出力負けするティラントーは防御に重点を置き攻めを凌ぐので手いっぱいになり始める。 「けど鬼面の吸気音がちょっとおかしいの解ってる?」  棍が銃装剣を振り払った。

7 21/08/11(水)20:33:17 No.833812978

「何が起きた!?」 「まさかティラントーが粘り勝ちするとは思わなかったよ。炉、そろそろ限界なんだよっ!!」  鬼面のたった一つの『魔力転換炉』の出力を支えたのは大型の『源素供給器』だった。その結果、恐ろしい速度で炉の劣化が進んでいたのだ。  今まで重く、防ぐのも困難だった銃装剣はたやすく振り払われた。この機を逃さず、イシルは歌う。全身のリミッターを無視して出力をさらに高める。『鈍風』が轟と唸り、鬼面の右肩を叩き落とした。 「強化魔法の維持さえ困難って、もう炉が殆ど停止してるんじゃないの?」  もう一撃、棍で左肩へと一撃を加える、強化魔法が十分な出力ではないようで、あっさりと肩が外れる。

8 21/08/11(水)20:33:35 No.833813119

「鬼面の騎操士、私の名前はイシル=ディンガーだよ」  両腕が無くなった鬼面は既にあらがう術を失っていた。背面武装もなく、イシルとの戦いで『飛空盾』からも遠くへと離れていたのだ。 「そちらの名前は?」  イシルは柔らかく尋ねると、少し間をおいて鬼面の騎操士は応える。 「ナルヤ……」 「じゃあナルヤ、死ぬ前に私の名前を呼んでもらっていいですか? 呼び捨てでいいですから」 「イシル=ディンガー?」  おずおずとナルヤが答えると、ティラントーが鬼面の眼球水晶へと棍を突き入れる。 「違うな。もうちょっと憎悪の籠った声で言ってもらっていいですか? 次は操縦席ごと叩きつぶすので断末魔をイシルにしてもらえると助かります!」  ナルヤは言葉に詰まる。相手が何を言っているのかまるで理解できないからだ。一方でイシルにとっては道理にのっとった行為なのだ。

9 21/08/11(水)20:34:22 No.833813496

「イシルぅぅうううう!!」  怒気を隠しもしない絶叫が響く。ティラントーの棍が鬼面を叩き割ろうとした瞬間、最後の武器で鬼面はティラントーへと抗う。ティラントー以上の質量がティラントーへと向かう。ティラントーの背面武装が吼え、鬼面の膝関節を撃ち抜いた。  そしてため息を付いたイシルはティラントーに根を大きく振りかぶらせる。 「あの隊長、これ以上はちょっと残酷では?」 「いや、違うんですよ私もこんなことをしたいわけじゃないんですよ? ただ、もう一度聞きたいだけなんですよ。どんな声が私の魂を震わせるのか。もう少し聞けば、何かわかると思うんですよね。3度も戦った相手の声なら、きっと、良い歌になるんです。聞けば、聞けば――」  イシルのティラントーが棍を振り下ろすよりも先に、遠方から爆音が響く。脅えるように棍を構える腕が震え、一度棍を降ろす。  そんな時、騎馬が一騎イシルのティラントーの元へと駆けてきた。 「馬車を追った部隊が、馬車に乗った鬼面に攻撃されている?」

10 <a href="mailto:s">21/08/11(水)20:34:44</a> [s] No.833813670

めでたしめでたし

11 21/08/11(水)20:37:27 No.833814850

鬼面複数いるのかよ!?

12 21/08/11(水)20:42:19 No.833817025

銃装剣の黄金偽イカルガ、銀色の腕六本の偽イカルガ、紅くて腕二本の偽イカルガの三兄弟らしいですね

13 21/08/11(水)20:46:10 No.833818673

>銃装剣の黄金偽イカルガ、銀色の腕六本の偽イカルガ、紅くて腕二本の偽イカルガの三兄弟らしいですね イレブンフラッグスはバカなのか…?

14 21/08/11(水)20:47:22 No.833819152

>>銃装剣の黄金偽イカルガ、銀色の腕六本の偽イカルガ、紅くて腕二本の偽イカルガの三兄弟らしいですね >イレブンフラッグスはバカなのか…? 金儲け以外は真面目にバカだし何なら金儲け面もアホだぞ?

15 21/08/11(水)20:52:14 No.833821419

ティラマスレだと思ったらジャロウデク怪文書だと…?

16 21/08/11(水)20:58:14 No.833824038

最近やってるんだ ティラントーのカッコ良さをアピールすべく奮闘中というわけだ

17 21/08/11(水)20:59:40 No.833824657

>>銃装剣の黄金偽イカルガ、銀色の腕六本の偽イカルガ、紅くて腕二本の偽イカルガの三兄弟らしいですね >イレブンフラッグスはバカなのか…? なんとクシェペルカの貴族との闇取引で手にいれたティラントーパーツとレーヴァンティアの設計図、自前の高級パーツと国王騎並の予算を使った作品だ! ジャロウデクの女ドワーフが音頭をとることで中身の8割がティラントーだがなんとか完成したぞ!

18 21/08/11(水)21:03:10 No.833826156

ジャロウデク内で争ってるのか…?

19 21/08/11(水)21:07:22 No.833827901

いやそこはレーヴァンティア作れよ…

20 21/08/11(水)21:08:45 No.833828453

>ジャロウデク内で争ってるのか…? 鬼面は イレブン内のジャロウデクに参戦してない国の秘密結社の所有兵器です ただし製造者の一人はクシェペルカに取り残されたジャロウデクドワーフです クシェペルカのために闇取引を暴こうとしたら乗り込んだ先で騎操鍛冶がちんたらしてるのを見てしまい新型幻晶騎士(ティラントー)製造を手伝ってます

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