虹裏img歴史資料館

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21/08/09(月)09:44:48 朝一番... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1628469888446.jpg 21/08/09(月)09:44:48 No.832906504

朝一番に飲むコーヒーは、私の目を醒ましてくれる。夢や惰眠の幸福に引き摺られる私を、明瞭な現実へと引き戻してくれる。だから、私は朝のコーヒーを欠かさない。 どれだけ退屈でも、現実は得難く。泡沫に消える夢の世界と違って、一つのものが永遠に続く。砂糖の全く入っていないこのコーヒーのように、ただ黒一色の苦々しいものに思えなくもないけれど。 その苦さが、今までの私を生かしている。 今日は休日だ。久方ぶりの休日。それは羽根を伸ばす時間であり、心を癒す時間であり、退屈に殺される時間でもある。 等しく黒い湖面を持ったさまざまのコーヒーがあるように、人それぞれ等しく24時間の自由がある。何もしなければ黒のまま、何かをすれば口を付けて、その黒における闇を垣間見れるような。同じに見える休日という一杯。けれど、人によってその味は細かく違うのだ。

1 21/08/09(月)09:45:11 No.832906590

「…今日は本でも読みましょうか」 一つ手に取り、一つ文章を読む。物語に生きる人々はその思考回路さえ我々読者に晒している。そのことを少し可哀想に思う時もある。彼らの人生はどんなに美しくても見せ物として描かれ、彼らには休日という概念は存在しない。 常に蠢くその日常に平穏は全くなく。それはそれで、退屈そうだ。 女優という仕事をする上で、凡ゆるヒトガタを自分に映した。激情的に、冷淡に、怠惰に、真剣に。それらを憑依させることは私にとって苦ではなく、それは私自身に色がかけらもないからだと思う。 鏡は光と映り込みを以ってのみそこに色を持てるのだ。誰かが照らし、誰かを取り込む。そうしてやっと、私は私というつまらない存在を生かしてやれる。 即ち、普段の退屈な私は生きていないのと同義だ。物語の登場人物を見せ物の人生とは言ったが、結局のところ彼らはそれだけ魅力的な存在ということでもあって。無色透明の私は、何処にも、誰にも。 プルルルル。思考を徐々に現実に慣らしているところで、電話が鳴った。…マネージャーからだ。

2 21/08/09(月)09:45:25 No.832906643

「おはようございます」 「おはようございます、マンハッタンカフェさん。…早速ですが、あの件どうですか」 「…ああ、レースでしたっけ」 あの件とは他でもない。一介のウマ娘である自分が、いよいよもってレースの世界に身を投じるべきだという話。それは単なる人気取りの一環なのか、私の存在を何か変えるものなのか。マネージャーにとっては戦略の一部なのだろうが、その一杯を私がどう味わうかは自由だ。 今までの私の人生は物語になれない。私は退屈に殺されそうなほど味のしない毎日を送っているから。けれど物語とは、何もその存在の生まれから始まるものとは限らない。 ここから、先に。どこかに、往けるだろうか。私一人ではやはり無理な気がした。けれど私は孤高を気取り、誰にも彼にもつまらなさそうな態度を取る。 本当につまらないのは、私自身以外あり得ないのに。

3 21/08/09(月)09:45:39 No.832906704

「カフェさん聞いてます~?」 「…ああ、すみません」 「もう一回言いますね。…今度、トレセン学園に行ってきてもらうことにしましたから。入学届とかそーいうのです。寮生活、学園生活!…どうです?」 「…したことがないので、わかりませんね」 集団生活、か。物語に於けるそれは人同士の群像劇ではなく、大抵主人公の周りに息遣いを感じさせるための道具である。どんなに生きているような演技をしても、その名前はA、とかB、とか。そういった記号以上にはならない。 けれど現実は違う。良い言い方をすれば全員が主人公で、悪い言い方をすれば全員等しく価値がない。そこに差はなく、思い思いに生きている。そしてそれは基本的に波紋を作らない。影響され合う立場にいながら、結局他人の力で動くほどのものにはならない。 それでもなんとなく飢える感覚はある。今の生活を退屈と断じ、それ以上を求める感覚はある。それは傲慢か、懇願か。どちらにせよ私が変化を求めていることには変わりはない。存外私はこのレースというものに乗り気なのかもしれない。

4 <a href="mailto:こんかいはおわりです">21/08/09(月)09:45:57</a> [こんかいはおわりです] No.832906794

…少しだけ。少女のような夢を見る。どこかに劇的な出会いがあって、全ての私が色づくような。そんな、形すらない夢を見る。 顔も身体も見えない君は、確かに私に手を伸ばし。私はその手を取って、強く強く握る。絶対に離さない。血が溢れて私の掌を染めるまで、力を込め続ける。 そして私は、嗤うように呟いた。 ねえ、早く連れて行って。 これが私の物語の始まり。正確には、私と君の始まり。終わらない言葉を何度も繰り返し、それでいて終わりへ突き進む。終わらない物語も楽しいが、終わるからこそ物語は美しいのだから。 刻一刻。紡がれよ。私と君の愛が為。

5 21/08/09(月)09:49:57 No.832907739

初期カフェ育成シナリオ生徒会長まで fu232838.txt その他 fu232839.txt

6 21/08/09(月)09:56:20 No.832909415

待ってたよ! 本編開始前?

7 21/08/09(月)09:58:33 No.832909934

>待ってたよ! >本編開始前? です そろそろ本編も書く!書くわよ!ファン感謝祭終わったら春天で次はその…がいせんもん…

8 21/08/09(月)09:59:57 No.832910241

凱旋門か…行くのか…

9 21/08/09(月)10:02:41 No.832910833

凱旋門終わるまで期待して待ってるぜ

10 21/08/09(月)10:06:15 No.832911666

>凱旋門終わるまで期待して待ってるぜ あっ言い方で勘違いさせてしまったかもだけど凱旋門の後も続きます たとえ最後はifであっても育成シナリオは勝って終わりたいので

11 21/08/09(月)10:41:44 No.832919782

そういやスケジュール的には凱旋門終わってからURA出れんのか

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