21/08/08(日)00:44:32 「リッ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1628351072348.png 21/08/08(日)00:44:32 No.832381217
「リップか…まあ、気にしないよなぁ」 唐突に切り出された話に、深く考えるでもなくそう答えた。それを聞いた彼女──我が愛バたるゴールドシチーも、やっぱりね、という顔をしている。 「最近は男向けのもあるんだよ。こっちでは昔から男もつけてたけど」 「へぇ…見られる人は気にするってことか」 モデルという職業なら、顔をアップで写されることもざらにあるだろう。なら、性別に関係なくそのケアは必須というのも頷ける。 自分がそれに値するような器だとは、間違っても思えないけれど。
1 21/08/08(日)00:44:53 No.832381326
「今度買ってみようかな」 「…意外。どうせ『俺はいいよ、見られるもんじゃないし』とかなんとか言うと思ってたから、引きずってでも連れてこうと思ってたのに」 意外というか、一周回ってわかりやすい彼女の頑固さには苦笑させられたが、ただの思いつきで言ったわけではない。 「俺は見られなくても、『ゴールドシチーのトレーナー』は見られるだろ?なら、それに見合うようにしないと、シチーの隣には立てないよ」 それを聞いた彼女の顔には一瞬だけ陰が差したように見えたけれど、それを確かめる暇もない。いつものような穏やかな笑顔で、涼やかに提案が飛んでくる。 「じゃあ、ちょっと試してみる?そんなに高いもんじゃないし。 選ぶの付き合ってあげるからさ」
2 21/08/08(日)00:45:11 No.832381426
結局デパートに行ってみれば、リップクリームだけでなくヘアトニックや整髪料などの諸々の品々まで買う運びとなった。彼女に勧められるままに買ったおかげで使い方などわからないから、彼女にセットまでしてもらってしまったのだった。 少し不甲斐ないなぁと嘆息しながらも、彼女のスタイリングの腕には舌を巻くばかりである。終わってみれば、慣れ親しんだ顔とは似ても似つかぬ別人が、鏡の前にいた。 「リップ、厚く塗りすぎだって…こう」 仕上げにすう、とリップクリームを塗ってもらって、今朝は各々の仕事に向かった。 やはり、彼女の腕には目を瞠るものがある。同僚や知り合いの殆どから変化を指摘されたが、好意的な評価を下されるのはいつ味わっても良いものである。それが普段評価されないことであるのなら、なおさら。 上機嫌な一日の終わりに、携帯が鳴る。彼女からのメッセージを伝えるものだった。 『今日、部屋で待ってる』
3 21/08/08(日)00:45:27 No.832381543
「…ふぅ」 嬉しいような悲しいような気持ちになって、携帯をしまった。何かがあったことは間違いないのだろう。 願わくばそれが、彼女にとってよいことであればいいのだけど。
4 21/08/08(日)00:46:16 No.832381853
ヒトよりも優れた聴覚を持っているとはいえ、玄関から聞こえる音にぴくりと反応してしまうのは、意識してしまっていることの証左に他ならない。そんな自分を内省する間もなく、足がそこへ駆けてゆく。 「ただいま。ごめんな、遅くなって」 「…おかえり」 言葉が見つからない。焦燥を形にするように、言葉を紡ぐ代わりに彼を抱きしめた。 「…情熱的だな」 「今日、みんなアンタのこと見てた」
5 21/08/08(日)00:46:26 No.832381910
私がしたのは本当に基本的なことだけだ。それだけであれほど変わることができるのは、彼の素養に他ならない。 今まであいつの魅力に誰も気づいていなかったのが、悔しかった。それにやっと気づいた連中が、あいつの周りに群がってアプローチしてくるのを見ていると、胸がどうしようもなくざわついた。 矛盾していると思う。でも、抑えられない。 ──私だけのあいつで、いてほしいのに。 「…ん」 求めたものにきちんと応えてくれるのは、彼の好ましいところだ。寂しかった唇は、すぐに温かいもので満たされた。 「リップ、剥がれるんじゃないか?」 「いいじゃん。何回でも塗り直したげるから。 キスするなら、綺麗なほうがいいでしょ?」
6 21/08/08(日)00:46:56 No.832382089
私の色で、ずっと格好良くいてほしい。 仕上がった綺麗なあなたを、ずっと独り占めしていたい。 浅ましい独占欲かもしれないけど、いいでしょ? 独り占めする分だけ、私が満たしてあげるから。 「俺のことなんて誰も見ないって言ってたけど、違うよ。アタシはいつも、アンタのこと見てるから。 だから、今は忘れて。ゴールドシチーのためじゃなくて、アタシのためにかっこよくいてほしいから」 漸く言葉になった気持ちに。彼は微笑んで応えてくれた。 「じゃあ、忘れずに使わないとな。ずっとしてほしいからさ」
7 21/08/08(日)00:47:18 No.832382216
背に回った彼の大きな手が心地いい。互いの温度を交換するように、深く抱きしめあう。 心の距離も同じように、寄り添えることを願いながら。 「心配しなくてもいいよ。ずっと前から、シチーのものだから」 「ん…じゃあ、誓ってよ」 ──交わした約束は、何度でも確かめたくなるような甘い味がした。
8 21/08/08(日)00:47:39 No.832382378
おわり 言い忘れてましたがふたりは付き合ってます
9 21/08/08(日)00:49:07 No.832382875
いいべ...
10 21/08/08(日)00:49:22 No.832382983
いいね…
11 21/08/08(日)00:49:35 No.832383064
シチーがシチトレを逃がす気なさすぎるしシチトレもシチーにぞっこんだもんな…
12 21/08/08(日)00:49:43 No.832383113
だげーー!だげーーー!
13 21/08/08(日)00:50:10 No.832383276
シチーさんが独占欲出してくるのいいよね… 甘えん坊のシチーさんに応えるトレーナーさんは私性合
14 21/08/08(日)00:53:22 No.832384463
ユキノのレスは見るのにジョーダンのレスはほとんど見たことがない気がする
15 21/08/08(日)00:53:49 No.832384646
>言い忘れてましたがふたりは付き合ってます 周知の事実
16 21/08/08(日)00:55:54 No.832385421
シチーが塗ったリップにキスしていいのはシチーだけだからな…
17 <a href="mailto:おまけ">21/08/08(日)01:07:36</a> [おまけ] No.832389945
「シチーさん、耳飾り変えたんですか?」 「ああ、うん…ちょっと新しいのも使ってみようと思って」 バイクのキーと錠を模したそれは、あいつが手づから選んだものだった。この間のセットアップのお礼がしたいと言って。 「…かっこいいです。とっても」 「…ありがと、ユキノ」 実は、この錠は本当に開けられるのだ。それを開けると、赤いハートのアクセサリーが見えるようになっている。 でも、その鍵はあいつに預けてある。 ──あいつになら、私の心の鍵を預けてもいいと思ったから。
18 21/08/08(日)01:11:26 No.832391561
知ってほしいけど独り占めはしたい めんどくさくていいと思います
19 21/08/08(日)01:11:52 No.832391726
やっぱり純愛は最高だべな…
20 21/08/08(日)01:13:32 No.832392413
しれっと同棲してる…
21 21/08/08(日)01:15:20 No.832393099
>だげーー!だげーーー! 多分このあと抱くよ
22 21/08/08(日)01:15:45 No.832393261
純愛してるシチーはユキノの健康にいい
23 21/08/08(日)01:17:47 No.832394087
うまぴょいは!?うまぴょいはないべが!?
24 画像ファイル名:1628353169597.png 21/08/08(日)01:19:29 No.832394781
キタ━━━━━━(゚∀゚)━━━━━━ !!!!!
25 21/08/08(日)01:20:12 No.832394993
むっ! いいねぇ...
26 21/08/08(日)01:24:34 No.832396508
とっととおそろの指輪を嵌めて幸せな家庭を築かんかい
27 21/08/08(日)01:25:45 No.832396910
ムッッッ
28 21/08/08(日)01:30:34 No.832398379
名画来たべ…
29 21/08/08(日)01:33:21 No.832399216
ユキノちゃんステイ!