21/08/06(金)23:48:52 学園... のスレッド詳細
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21/08/06(金)23:48:52 No.831946917
学園の大部分が夜に包まれる21時の中頃、私はまだ明かりの灯る数少ない施設である栗東寮を後にする。フジさんに『ごゆっくり』なんて言われて苦笑いを返しまだ温い夜の空気に身を浸す。 学園の正門の方へ歩いて行くと門限ギリギリ、駆け込みダッシュをする生徒何人かとすれ違う。怪訝な顔をされるので笑って手を振ると一様に納得して手を振り返してくる。……まるでこれから逢い引きにでも行くんだな、みたいな事を考えてるみたいに。
1 21/08/06(金)23:49:30 No.831947156
「違うんだけどなー……」 「ん?なにかあったか?」 や、こっちの話。つい零れた独り言に反応されたので適当に誤魔化しつつ車窓の景色を眺める。 「寝てていいぞ?」 しばらく夜の街並みに点在する灯り達を数えているとそんな提案をされた。もうすぐでアクアライン入るから、と。 「長いトンネルだっけ?」 ああ、と返事が来る。そして 「トイレとか大丈夫か?今気づいたんだけど。」 「うん、大丈夫だよ。」 「そうか。でもまだ先は長いしほんとに寝てて大丈夫だからな。」 「ふふっ……わかってますよ、わかってますって。」 相も変わらずこちらの心配をしてくるトレーナーにどこか気が抜けて表情が緩む。だからだろうか?先程までは感じなかった眠気が直ぐに襲ってきて── 「……ふわぁ。……じゃあ、おやすみなさい。」 私は白旗を上げるのだった。
2 21/08/06(金)23:49:52 No.831947301
「ん、おやすみ。」 車の中という眠りにくい環境なのにやけにするりと意識が深くに沈んでいく私。多分それは空気が染まっているからだなって、いつかの夜の事みたいだなって考えながら。 次に意識を表層に引き上げたのはスマホのタイマーだった。設定した時間は朝の4時で普段であればまだベットで惰眠を貪っている時間帯。なのにこうして起きようとしたのは 「……うっし。」 夜明けが見たいから。正確には日が昇るのを見たくなった、水平線から昇る陽を。 「……zzz」 だから隣で眠っているトレーナーに無理を言って連れてきて貰った。丁度いい息抜きだよ、なんて言ってくれたけど相当疲れるのはなんとなく理解できた。 だからせめてもの、お礼。 「ありがとうございます。連れてきてくれて。」
3 21/08/06(金)23:50:27 No.831947527
頬に口づけ。起きてたらもう少し言いたい事あったけど起こすのも悪いしね、なんて。 「こっちもありがとな。」 「…あれ、いつから?」 目をぱちりと開けたトレーナーと少し固まる私。 「うっし、から?」 追い打ちのように言われた私。 「……急に恥ずかしくなってきたんですけど~……」 ぷい、ってそっぽを向くと 「悪い悪い。俺も実は楽しみにしててさ。」 なんて謝りつつも茶化しに来る。 「じゃ、仕方ないかもね?楽しみだったならさ。」 「だろ?それにこうしてドライブみたいなのも……うん、楽しいし。」 「の割には疲れてるように見えますな~?」 「夜通し運転はなぁ……それにパーマーだっ」 「──あ!」
4 21/08/06(金)23:50:43 No.831947638
先程から明るくなってきた水平線から一際強い光が覗くのを見た。 つまりそれは── 「トレーナー!ほら!」 「……!……ああ!」 興奮が隠せない私と首を捻って日の出を見たトレーナー。二人が居る車内に光が差し込んでくるにはそう時間はかからなかった。 そうして太陽が完全に姿を現す時間になった頃、トレーナーが口を開く。 「じゃ、帰ろうか?」 ここに留まる理由もあまりないし、と。 私も答える。 「そうしますか。」 このまま居るのもいいけれど貴方がそう望むなら、って。 ブルル、とエンジンがかかる音と振動を受けながら私達は走り出しました。寄り道して帰ろか、と笑って喋りながら。
5 <a href="mailto:s">21/08/06(金)23:51:57</a> [s] No.831948178
へえデートかよ
6 21/08/06(金)23:54:39 No.831949240
大逃げかましちゃいましたなぁ
7 21/08/07(土)00:20:39 No.831958582
爽やかな湿度だ…いいね
8 21/08/07(土)00:43:03 No.831966656
良い...