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  • 6月下旬... のスレッド詳細

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    21/08/06(金)01:05:30 No.831615798

    6月下旬になった。 日本ダービーを目指していたマーベラスサンデーとそのトレーナーだったが、トライアルレースの青葉賞直前で二度目の骨折をしてしまい、日本ダービーの出走権を得ることはできなかった。何せここまでの彼女の成績は、メイクデビューのダート1勝、そして条件戦の芝1勝だけだったのだから。しかしそれでもめげず、骨折のリスクを鑑みながらも練習に励む彼女たちである。勿論、彼女たちが目指すのは、クラシック最後のレースである菊花賞だった。 「9月のトライアルレース、神戸新聞杯を目指したいと思うんだけど…どうかな、マベちゃん」 トレーナー室でそう、トレーナーはマーベラスサンデーに問いかけた。 「菊花賞は芝3000mの長距離レースなんだけど、体力のあるマベちゃんには向いてると思うの。もう一つのトライアルレース、セントライト記念は芝2200mだし、それより少しでも距離の長い芝2400mの神戸新聞杯のほうが、本番の勘もつかみやすいんじゃないかなって」 そのトレーナーの意見を聞き 「うん☆」 マーベラスサンデーは満面の笑顔で同意した。

    1 21/08/06(金)01:05:58 No.831615908

    検査入院の甲斐もあり、トレーナーはある程度マーベラスサンデーの脚の弱さについて客観的な知見が得られていた。医者曰く、マーベラスサンデーの脚の骨は、一般的なウマ娘に比較し、極端に細いとのことだった。それ故に、骨に負荷がかかることで脆くなる、骨の硬化の影響を受けやすく、骨折がしやすいという仮説が得られた。 この知見を得てからは、トレーナーは骨に負荷のかかる練習にインターバルを設ける一方、骨に負荷がかかりにくい練習のローテーションを増やす試みを行っている。具体的にはプールトレーニングと坂道トレーニングである。 プールトレーニングでは心肺機能と筋肉の増強を行いつつも、骨にかかる負担が少ない。坂道トレーニングは、脚部に負担がかかり、骨折のリスクが高まりそうに思えるが、トップスピードが出にくいことで、継続的な骨への疲労が軽減できるらしい。少なくともそのような症例をトレーナーは見つけたのだ。

    2 21/08/06(金)01:06:14 No.831615970

    以前はマーベラスサンデーが長い距離のレースに挑むことを避けていたトレーナーだったが、定期的にレントゲンを撮り、健康診断とその維持にさえ努めれば、何とかなるのではないか。そう彼女は思い、神戸新聞杯を目標レースに設定したのである。

    3 21/08/06(金)01:06:30 No.831616036

    トレセン学園での授業中のこと。 授業の一環で、マーベラスサンデーは同級生のウマ娘たちと模擬レースを行うことになった。 「はーい、クラス分けを行いまーす!」 教師役のトレーナーが、ウマ娘を3クラスに分け、それぞれのクラスに一人ずつトレーナーがつく。クラシックレースに挑める成績を残しているウマ娘はAクラス。クラシックレースまであと一歩の成績を残しているウマ娘はBクラス。そして、未だ条件戦やオープン戦で苦労しているウマ娘はCクラス。クラスを分けるのは実力差がありすぎるメンツで模擬レースを行っても、効率のいい練習にならないという判断からだったが、それはある意味、若きウマ娘にとって、実力差を顕在化させる残酷なものだった。そして、実績の伴わない、マーベラスサンデーのクラスは勿論、Cクラスだった。

    4 21/08/06(金)01:07:53 No.831616394

    そしてマーベラスサンデーの模擬レースが始まった。 芝2200m、10人立てで行われたこのレース。最終局面となり、彼女は二番手で最後の直線を迎える。そして 「マーベラース☆」 最後の200mに躱し切り一着。二着とのウマ娘との差は1/2バ身差。好位置をキープし、最後の最後で差し切る、優等生の先行策だった。 「あー!もー!!!」 二着のウマ娘が悔しそうに叫び、それをマーベラスサンデーはにこやかな笑顔で見守っていた。だが決して彼女には話しかけない。彼女は一歩引いた態度で、レースに臨んでいるようだった。 「マーベラスサンデーさん。最後に差し切ったのは見事でした。ですがまだまだ展開に余裕がありません。もっと早めにスパートをかけましょう」 「はーい☆」 ギリギリで勝ったマーベラスサンデーに、教師役のトレーナーがそう声をかける。従順に返事をするマーベラスサンデーだったが、その指摘は的外れなものだった。マーベラスサンデーは本当はもっと速く走れた。体力も有り余っている。それをしないのは、脚部に余計な負担をかけないという意識からであり、彼女の物見という悪癖がもたらすものでもあった。

    5 21/08/06(金)01:09:22 No.831616826

    マーベラスサンデーはその後もレースを続ける。2回目のレースは芝2400m。差しのポジションから最後に差し切って一着。二着との差は3/4バ身差だった。そして3回目のレースは芝2000m。先行策で三番手につけ、またしても最後に差し切って一着。二着との差はクビ差だった。 あと少しで勝てそうで勝てない。その惜しさが、悔しさが、心を刺激するのだろう。マーベラスサンデーと走ったウマ娘は皆が皆、闘志に火をつけられているようだった。 「マーベラスサンデーさん!次は私と走らない?」 「何言ってんの、アタシともう一回走るの!」 マーベラスサンデーを囲んでちょっとした小競り合いをするウマ娘たち。それを見て 「皆で走ろ☆楽しいね☆」 とマーベラスサンデーは笑顔を見せていた。 そんな中、Aクラスのレース場の方から歓声があがった。どうやらマーベラスサンデー同様、連勝を続けているウマ娘がいるらしい。その歓声が気になったマーベラスサンデーは、Aクラスの練習風景を覗きに、コースへと歩みを進める。

    6 21/08/06(金)01:09:35 No.831616899

    そんな中、Aクラスのレース場の方から歓声があがった。どうやらマーベラスサンデー同様、連勝を続けているウマ娘がいるらしい。その歓声が気になったマーベラスサンデーは、Aクラスの練習風景を覗きに、コースへと歩みを進める。 そこにいたのはとびきり背の低いウマ娘だった。栗毛の少しだけウェーブがかかった長い髪。丸く明るい黄色の瞳がくりくりと光る。元気いっぱいに飛び跳ねる彼女は、連勝を重ねるレースで、こう叫んだ。 「いぇーい☆マヤちゃん大勝利☆」 彼女の名はマヤノトップガンと言った。おしゃまで明るいクラスの人気者のウマ娘だった。

    7 21/08/06(金)01:10:04 No.831617019

    この後も模擬レースは繰り返し行われた。 そのうち、AクラスとCクラスで奇妙な現象が起こっていた。連勝をつづけるウマ娘が二人いる。Aクラスではマヤノトップガン。そしてCクラスではマーベラスサンデー。彼女たちが勝ち続けるたびに歓声が上がる。最初はAクラスやBクラスのウマ娘達はCクラスのウマ娘など格下とみて興味を示さなかったが、流石に連戦連勝が続くからだろう、その視線がマーベラスサンデーに集まり始めていた。というより、マーベラスサンデーはクラスの中だと、ほぼ注目されていない、というより存在感の薄いウマ娘だった。9月から骨折や入退院を繰り返していたウマ娘である。そこまで彼女を知る機会のないウマ娘ばかりだったというのが大きい。 そして彼女も、この時初めてマーベラスサンデーを意識した。 「すごーい!やるじゃんあの子!」 最後の最後でまたしても差し切り一着を取ったマーベラスサンデーを見て、マヤノトップガンは目を輝かせた。 ターフを程よい疲労感を保って走り抜けたマーベラスサンデーを見かけると 「ねぇ!」 とマヤノトップガンがマーベラスサンデーに話しかけた。

    8 21/08/06(金)01:11:57 No.831617538

    「何☆」 と首を傾げるマーベラスサンデーに 「今度はマヤと走らない!?」 とマヤノトップガンは満面の笑顔でそう話しかける。その途端どよめきが周りからあがった。それは当然の反応だった。連戦連勝とはいえ格下のクラスと走りたいという格上のウマ娘。そんなこと自体、あり得ないことである。 「ちょ、ちょっとマヤノトップガンさん!」 慌てた様子でCクラスを指導するトレーナーが彼女を呼び止める。 「ナニ?」 「貴方はAクラスでしょう。自分のクラスに戻ってください!」 そう声をかけるCクラスのトレーナーに 「えー!!いいじゃん!!マヤ、この子と走りたいの!!!」 むくれた様子でだだをこねるように、マヤノトップガンは言葉を返した。 「いや、クラスが異なるから…」 「そんなこと知らない!マヤこの子と走るの!!!」 「あの、だからそれは…」 あまりの激しい気性に少し押され気味のCクラスのトレーナー。

    9 21/08/06(金)01:12:27 No.831617668

    その後もマヤノトップガンの駄々こねは続き、 「…ちょっと相談してきます」 遂にCクラスのトレーナーが折れた。彼女はAクラスのトレーナーのところにとぼとぼと歩いて向かっていく。無論。クラスを超えたレースを打診するためである。 満足そうな笑顔を浮かべマヤノトップガンはその後姿を見ていた。 そして 「ねぇ!キミ、なんて名前なの!?」 と、Cクラスの覇者に話しかけた。 その笑顔を見て、彼女は瞳の中の星に光をともらせ 「アタシ?マーベラスサンデー☆よろしくね☆☆☆」 と元気よく、Aクラスの覇者、マヤノトップガンに右手を差し出したのだった。 こんな話を私は読みたい 文章の距離適性があってないのでこれにて失礼する fu223669.txt

    10 21/08/06(金)01:30:56 No.831622612

    相変わらずの適正で安心する

    11 21/08/06(金)01:36:29 No.831623989

    おい待てェ どう見ても適性アリじゃねぇか

    12 21/08/06(金)01:40:29 No.831625005

    マエストロ覚えて