21/08/05(木)23:29:03 水野愛... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1628173743514.png 21/08/05(木)23:29:03 No.831578326
水野愛の命日である8月4日。 不謹慎にも、私が死んだその日は"祝われていた"。 もちろん、悪い意味ではない。 まあ、これもある種の「記念日」ということでフランシュシュの他のメンバーから プレゼントだのご馳走だのが私に振る舞われていた。 こうなったのは、今日が全員とも仕事がオフだったというのもある。
1 21/08/05(木)23:30:33 No.831578925
そしてその夜。他のメンバーがもう寝静まった頃。 一日中仕事でどこかへ行っていたアイツの部屋を私は訪れていた。 正直、今日に限って放っておかれて内心不機嫌だったというのは否定できない。 「……ねえ」 「はい」 「一言ぐらい……何か言ってくれるかと思ってたけど、期待しすぎたみたいね」 「……本人には切り出しにくいじゃろ。『今日はお前が死んだ日だな』っていうのも」 「他の子はあまり気にせず誕生日みたいな扱いをしてくれたわよ」 「じゃあ、それでいいじゃろがい」 「……」 少々気まずい沈黙が流れる。いや、これは自分にも非がないとは言えない。 私自身モヤモヤしていて、それでいてアイツに具体的に何かしてほしいのかわからなかったからだ。
2 21/08/05(木)23:31:47 No.831579479
「ワシは特別な理由がない限りは、常識的なことしかせんぞ」 彼はふっとため息をついて、私から離れて何かゴソゴソし始めた。こちらからは死角で見えない。 「なんちゅうか……まあ……供え物じゃい」 私の元に戻り、そう言って彼は袋に入った箱を手渡した。……お弁当? 「えっ?……これって東京でしか手に入らないものなんじゃ?」 「仕事で行ってたからな。……仕事で東京へ行ったというのはウソじゃないぞ?」 「あ……はい」 何か含みのあるもの言いだった。確かに本当に仕事の用事があって東京には行ったのだろう。 でも……。さっき彼は"常識的なことしかしない"と言った。
3 21/08/05(木)23:32:33 No.831579811
「まさか……わざわざ行ってくれたの?その……お墓に」 「ついでじゃ、ついで」 アイツはそう言うと、恥ずかしそうに顔を背けた。 当たり前の話だが、私は佐賀出身ではないので当然お墓も佐賀にはない。 東京に行かなければ、私のお墓はない。……自分でも行ったことがないので場所がわからないけど。 それで、今日一日中留守にしていたのか。……ふーん? 「そんなに肉が嬉しいのか?今日もご馳走食べたんじゃないのか?」 「そこまで食い意地張ってないわよ……」 アイツは私の顔がにやけたのを見て、からかった。そういう意味じゃないんだけど。まあいいや。
4 21/08/05(木)23:33:51 No.831580388
袋の中身は、肉がメインの「駅弁」だの「空弁」だのが入っていた。 どれも佐賀では入手困難なものだった。 「へえ……」 私は、感心してしげしげとそれらのパッケージを眺める。 「……他のメンバーには内緒じゃぞ。ワシがこれ買ってきたの」 「わかってるわよ」 それから、私はアイツの使ってる机に弁当類を広げて「秘密の夜食タイム」とあいなった。 彼は私が座っているところから少し離れた後ろの方で腕組みしながら立っていた。 弁当の味はどれも良かったが、何かが引っかかる。 「人が食べてる時にジロジロ見られてるのって……」 「ああ、すまん。……部屋から出てようか」
5 21/08/05(木)23:35:30 No.831581183
「う~ん……。ああ、そうか」 「なんじゃい?」 単に見られているのが気まずさの原因ではないとわかったので、私は彼を手招きする。 「はい、あ~ん?」 「えぇ!?いや……その」 アイツは素で驚く。 "自分がそういうことするイメージが全くない"というのはちょっぴり傷つく。 「二人でいるのに自分だけ食べてるっていうのもなんかやりにくいのよ。だから……」 「……」 「『供えられた当人』の言う事だから、従いなさい」 「……はい」 とうとう彼も堪忍して、私の箸から差し出された薄切り肉を頬張った。
6 21/08/05(木)23:36:11 No.831581509
「……美味いな」 「それは良かった」 「いや、立場が逆じゃろ。……愛はどう思ったんだ」 「自分が美味しいと思わなかったものを人に薦めたりしないわよ」 「それもそうだな」 二人きりで美味しいものを食べて、思わず笑みがこぼれる。 自分はゾンビだけど、カラダの中からじんわり温まるような気持ちになった。 私は、エヘンと咳払いをして彼の方を向く。 「ありがとう……。"巽幸太郎"さん」 「お、おう」 珍しく私が名前を呼んだので、若干挙動不審になる彼。 まあ、嬉しがられても変な感じがするし、いいのかこれで。
7 21/08/05(木)23:37:29 No.831582146
「もし、可能なんだったら……来年は……私も連れて行ってくれない?命日に」 「それは…………。墓にってことか」 「うん」 「う~ん……」 私のお願いに、アイツは難しそうな顔をした。無理っぽい……、のかな? 「別に自分のお墓を見ることに拘りがある訳じゃないのよ。ただ……」 「ただ?」 「事情が分かったから今は納得してるけど、今日一日アンタがいなくて……嫌だった」 「……」 てっきり「甘えんぼう」だの「恋人気取り」だのからかわれるかと思ったけど、黙ったままだった。
8 21/08/05(木)23:40:47 No.831583816
「だから……墓参りが無理なら……。来年のこの日も今みたいな時間を作ってほしい」 「……わかった」 "二人きりの時間"を予約して、私は満足げに部屋を後にした……。 と、見せかけて。 食べ終わって片づけをしていったん私が部屋を出た後、急に物音がしなくなった。 ……私はこっそりとノックもせずに静かに部屋のドアを開けた。 そして、"思わぬちょっとしたご褒美"を自分の目に焼き付けた。 日帰りで遠出をして疲れたのか、 油断しきった表情でスヤスヤとソファで眠る彼の寝顔を。 【愛ある眠りの日】 おわり
9 21/08/05(木)23:45:41 No.831586104
愛はん!目の前の据え膳も食べなんし!
10 21/08/05(木)23:45:57 No.831586213
ま、まさか見るだけで終わりってことは
11 21/08/05(木)23:46:54 No.831586649
巽の場合ほんとに疲れて寝てるだけなんだよなあ
12 21/08/05(木)23:47:19 No.831586844
実際問題、水野愛の墓ってどこにあるんだろ 出身地って明言されてたっけ
13 21/08/05(木)23:52:29 No.831589591
自分は知らん
14 21/08/05(木)23:54:01 No.831590384
あーんとかってイチャイチャしてる手元に弁当数個並んでる光景想像したらなんか駄目だった
15 21/08/05(木)23:57:12 No.831591754
>あーんとかってイチャイチャしてる手元に弁当数個並んでる光景想像したらなんか駄目だった でも愛ちゃんっぽくていい
16 21/08/06(金)00:03:57 No.831594333
>実際問題、水野愛の墓ってどこにあるんだろ >出身地って明言されてたっけ 出身はわからないけど多分関東のゆかりのある地にファン向けの墓が置かれて遺骨とか納める本物の墓は公開しないみたいな感じな気がする
17 21/08/06(金)00:07:11 No.831595544
ますます「墓の下からどうにかした」って感じのゾンビじゃなさそうだな ゾンサガのゾンビって
18 21/08/06(金)00:11:13 No.831597150
甘えん坊な愛ちゃんやーらしかね
19 21/08/06(金)00:11:29 No.831597259
一日中巽がいなくて不機嫌になる愛ちゃんいい.....
20 21/08/06(金)00:13:45 No.831598084
紺野純子と水野愛がなんやかんやあって墓からドーン!してたら割と大事になりそうだしなんなんだろうなあのゾンビィの肉体…
21 21/08/06(金)00:15:21 No.831598693
ゆうぎりや純子なんてもう土に還ってるだろ
22 21/08/06(金)00:20:01 No.831600478
>紺野純子と水野愛がなんやかんやあって墓からドーン!してたら割と大事になりそうだしなんなんだろうなあのゾンビィの肉体… 受肉したサーヴァントかな
23 21/08/06(金)00:21:13 No.831600950
まぁ呪術的なジャンルなのはわかったよな二期で 少なくともアンブレラ的ゾンビィじゃない
24 21/08/06(金)00:26:58 No.831603118
まあゾンサガのゾンビは基本無害だしな