虹裏img歴史資料館 - imgの文化を学ぶ

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21/08/02(月)23:02:03 8/1 日... のスレッド詳細

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21/08/02(月)23:02:03 No.830508532

8/1 日曜日 晴れ!です!!! 「こんにちはこんにちはこんにちはこんにちはーっ!!!あんまり使う機会がないと仰っていましたから、一週間分くらいのこんにちはを差し上げます!どうですか?!私にならいくらでも言えますし、どうせなのでお返事してくださいね!お昼の挨拶なので!  貴方がトレーナーさんになった理由を聞かせてくれて、誠にありがとうございます!いやあ流石私のトレーナーさんですね!私の担当になってくれて、本当にうれしいです!これからも一緒に頑張りましょうね!バクシンバクシン!  バクシーン!と行きたいところでしたが、はて。私のすきなもの、ですか!そうですね、桜餅!!!と書いてしまいたいところですが、もう既にトレーナーさんに知られてしまっていますもんね。そこで私の好きなものは何だろう、と。一生懸命考えてみたのですが……うう、出てきません!よくばりかも知れませんが、大体全部好きなので!  でも、全部好き!じゃトレーナーさんが聞きたかったことについてあやふやなままで終わってしまいますよね。それではいけませんよね。ええ、分かっています!ですので、その中でも特に好きなものを挙げさせていただきます!

1 21/08/02(月)23:02:58 No.830508982

 私のとっても好きなもの、それはきっと走ること、です!これは胸を張って語れますよ!なにせ私は最強最速のウマ娘!皆の模範となるべき学級委員長でもあるのですから!走ることは私にとってのアイデンティティ!これを好きになれぬとしたら、今の私はないでしょう。なので!私の好きなものは走ることです!何度でも言いますがもちろんみんなみんな好きですよ!当然です!  それと、質問続きで申し訳ないのですが、お酒って美味しいんですか?実はその、父上も母上も飲んでみたら分かるの一点張りで教えてくれないのです!ふわっと香るアルコールのあの感じ的に随分と飲みにくそうなのですが、大人のひとたちはみんなおいしいおいしいと言って飲むでしょう?だから気になっているのです!ああ、トレーナーさんが羨ましい!お酒だけの話ではないですが、私も早く大人になりたいものです!  ぴーえす・明日のトレーニングで教えてくれるの、まってます!  それでは明日、練習場でお会いしましょう!  おふとんに向かってバクシンバクシンバクシーン!!!」

2 21/08/02(月)23:03:46 No.830509402

 夜の十時を回って、夜の風は幾分か湿度を失っている。けれど過ごしやすさはない。天気予報じゃ今日も熱帯夜だそうだ。それでも、一日に一回は夜の空気を吸いたくなる。  置きっぱなしのサンダルを履き、ベランダの手摺に腕を乗せ、もうすぐ寝ようとしている府中の街並みを眺める。すう、と空気を飲んでみる。じめっとしたその味はもたつきつつも喉を通り抜け、肺にじわじわと染み通って僕のかわきを癒していく。夏場特有の嫌な湿気は、ひとには厳しいが気管支には優しいようだ。  雨のあとは緑のにおいがとても濃くなる。草木の青臭さと土のもったりするような苦い香り。朝の分は流石にもう乾いただろうから、夕方のやつが悪さをしているんだろう。トレーニング中に降られなくて本当に良かった。雨に濡れたままだと風邪を引きかねないし、練習効率も落ちてしまう。  物思いに耽りながらビル群の上を眺めれば、最終便だろうか、飛行機の赤と白がぴかぴか星のように光っている。空の様子を横目に僕は、ズボンのポケットからスマホを取り出してウマインを起動した。そして、もう一回読む。今日のレポートの、ラスト付近の一文を目で追った。

3 21/08/02(月)23:04:31 No.830509832

 早く大人になりたい、かあ。前向きなバクシンオーらしい言葉だと思う。  スマホを仕舞い、見るものを夜の光へと切り替える。風雨でかすかに汚れた手摺のざらつきを、肌に感じながら僕はゆっくりと息を吐き出した。  彼女とは違って僕は、大人になりたくはない。叶うならずっと子供のままで居たいとすら思っている。大人は夢を追うことを諦める存在だ。童心を持ったまま成長していくことは出来る。けれど、本当の意味で子供のままの心では居られない。歳を食えば皆、社会通念に即す必要性や、求められる立ち居振る舞いを身に着けなければならない。無垢で一生懸命な気持ちは成長と共に少しずつ捻じ曲げられていく。そして、最後に。夢のおわりを直視させられるのだ。かつての僕がそうだったように。  右手首に浮き上がっている血管を、親指でつうっと撫でてみる。右手を握り、開きを何度か繰り返す。骨と筋肉が連動して動き、僕が生きている証を返してくる。昔のような痛みは想起されない。生暖かい空気を掴もうと試みるだけだ。それも結局何も掴み取れないまま、東京の夜の十時は普段と変わらずに過ぎ去っていく。

4 21/08/02(月)23:05:15 No.830510180

 彼女を一世一代の大スプリンターにしたい。これは今すぐにでも叶えてあげたい、心からの想い。いつかステイヤーとしての道を踏ませてあげたい。それも本当の気持ち。でも、後者については今すぐじゃなくてもいいと思ってしまっている。皐月、ダービー、菊花賞。クラシックでの芝の至高はこの三つ。けれど彼女の適正は、どう走ってもマイルが限界だ。それ以上を走るとなると、長い長い矯正の時間が必要になる。バクシンオーは素直で賢いけれど、決して器用な子ではない。でも、彼女の夢を潰してしまいたくはない。僕は傲慢だ。きっとバクシンオーと同じくらい、彼女自身に夢を見ている。だから僕は嘘をつく。彼女の「すきなもの」を傷つけないための、最低最悪で最良の嘘を、吐き続ける。

5 21/08/02(月)23:06:06 No.830510543

 多分、僕の嘘はいつかばれる。三年を越えて、いやその前に誰かに看破されるか、もしくは彼女自身が僕の嘘を見抜くだろう。その時、彼女はどんな顔をして、どんな言葉を置いていくのだろう。僕が想像したのは、千変万化するバクシンオーの、悲しそうな顔。それを想うと、不思議だ。分かっていることなのにどうしても、怖くなってしまって。胸が軋んで、呼応するかのように口が、動く。  嫌、だな。  月のない曇天の下で、そんな言葉が僕の口から勝手に漏れ出ていた。

6 <a href="mailto:s">21/08/02(月)23:07:44</a> [s] No.830511284

fu215217.txt これまでのレポート 今日で一週間目終わり 二週間目の始まりはトレーナーレポートからになります

7 21/08/02(月)23:09:59 No.830512329

最近の俺の毎晩の楽しみ来たな…

8 21/08/02(月)23:16:12 No.830515091

トレーナーさん優しいからこそうそつきにならざるをえないしそれで自分がどんどん傷ついていくタイプだ…

9 21/08/02(月)23:22:17 No.830517486

シナリオ上だと重い頷きでコメディチックになってるけどそもそも本人が明確に拒絶してるものを100%騙す形で走らせてるからな… 空重いわな…

10 <a href="mailto:s">21/08/02(月)23:34:09</a> [s] No.830521800

読んで頂き感謝 気付けばトレーナーさんがやたら重くなってしまった…おかしいな…

11 21/08/02(月)23:38:13 No.830523443

でもこういう方向性も私はいいと思う

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