虹裏img歴史資料館

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21/08/02(月)21:37:23 「ワン... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1627907843648.jpg 21/08/02(月)21:37:23 No.830467771

「ワンツー!ワンツー!…もっと大きく!はいワンツー!…」 かのんちゃんと可可ちゃんが出場するフェスまであと5日に迫った放課後、今日も私は2人のダンスレッスンに付き合っていた。 最初はてんでダメだった可可ちゃんのダンスも今では十分ステージに立てるくらいまで仕上がってきたし、かのんちゃんもトラウマを克服して人前で歌えるようになったみたいで…本当に良かったと思ってる。 スクールアイドルって正直あまり興味なかったけれど…今はフェスが楽しみで仕方ない。 だって、かのんちゃんの作ったかのんちゃんらしくて素敵な曲で、私が考えた振り付けのダンスを、かのんちゃんが踊ってくれるんだから! …かのんちゃんと一緒に踊れないのが残念といえば残念だけど。

1 21/08/02(月)21:37:52 No.830467999

「……はい、おっけー!」 「「ありがとうございましたぁ~」」 最後のステップを踏み終わってポーズを決めたのを見届けてから、パン!と両手を合わせると、2人はほとんど同時にへたり込んだ。 「そんなんで大丈夫~?本番は舞台袖まで戻らなきゃなんだよ~?」 苦笑しながら、肩で息をする2人に向かってタオルを手渡す。 「あとはまぁ…気合いで…なんとか…」 ふぅふぅと荒れた息を整えつつ自信なさそうな笑顔を見せたかのんちゃんは、首筋から鎖骨に流れる汗を拭きながらそう答えた。 そのタオル、持って帰ろっと。 「かのんちゃん達は曲も出来たし…ダンスも形になった…衣装も可可ちゃんが準備してる…という事は、あとは本番に向けて練習あるのみ…」

2 21/08/02(月)21:38:10 No.830468135

「まだデス!!」 私の言葉を遮って、地面に倒れ込んでいた可可ちゃんが起き上がった。 「営業が全然足りてないデス!」 眉間に皺を寄せて力説する可可ちゃんに、私もかのんちゃんも何を言っているのか初めは理解できなかった。 「可可ちゃん、営業ってどういう事…?」 私が思っていた事と全く同じ疑問を、かのんちゃんが恐る恐る口にした。 「エート…スクールアイドルは普通、学校のミンナが応援してくれマス」 可可ちゃんの言葉に、かのんちゃんが険しい表情で答える。 「うん…でも私達は…普通科の子達はともかく、葉月さんのいる音楽科の子達からの応援は期待できないよね…」 「ソウデス!それにソモソモこの学校はまだ人数がソコマデ多くないデス」

3 21/08/02(月)21:38:32 No.830468292

可可ちゃんの指摘は正しい。 ウチは新設したばかりの高校でまだ1年生しかいないから、確かに他所の学校より生徒数は少ない…という事は…。 「…そっか…フェスでは一般来場者の投票もあるから、学校からの応援が期待できない分、私たちは不利なんだ…」 「1位取らなきゃいけないって状況でこれは…キツいねー…」 思わずかのんちゃんと顔を見合わせる。 めちゃくちゃ不利な状況に悩むかのんちゃんも可愛い。というかまつ毛長いし顔が良い。

4 21/08/02(月)21:39:01 No.830468512

「そこデ!クゥクゥとかのんサンは百合営業でファンを一気に増やすしかないのデス!」 なるほど。"営業"ってそういうことか…でも 「「百合、って何…?」」 かのんちゃんと同じ疑問をハモって尋ねる。 心と心が繋がってる幼馴染だからこその芸当…なんてね。 「百合とはぁ…こういう感じデス!」 突然、可可ちゃんがかのんちゃんを抱き寄せて頬と頬をくっつけあう。何何何近い近い近い!!! 「あわわわわ…ク、可可ちゃん!?」 突然のスキンシップに目を白黒させるかのんちゃんを尻目に、ウィンクを決めた可可ちゃんはスマホで自撮りした。

5 21/08/02(月)21:39:28 No.830468694

「こういう写真や動画をいーっぱい撮りマシテ、SNSで拡散するのデス!」 可可ちゃんから手渡されたスマホの画面には、なるほど確かにアイドルがSNSに上げそうなキラキラした写真が表示されていた。 「いやこれ恥ずかし…」 「かのんサンは可愛いですし、クゥクゥも自撮りに自信ありマスから、没问题!ダイジョウブ!…それと…」 可可ちゃんがごにょごにょと耳打ちすると、かのんちゃんの顔が真っ赤になった。 「えええええ!?!?そ、そんな事…!それに私初めて…」 「クゥクゥも初めてデスカラ!…千砂都サン!クゥクゥ達今から自己紹介しマスので、それで動画撮ってくだサイ!」 慌てるかのんちゃんを気にした様子もなく、可可ちゃんが私にスマホを投げてよこす。 一体何をする気なのかさっぱりわからなかった私は、言われるがまま受け取ったスマホのカメラを録画モードにし、2人にレンズを向けた。

6 21/08/02(月)21:39:50 No.830468875

●REC 『你好!コンニチハ!上海から来まシタ、結ヶ丘女子高等学校1年ターンクゥクゥと言いマス!そして…』 『は、はじめまして…同じく結ヶ丘高校1年の…澁谷かのん、でーす…』 笑顔の固いかのんちゃんをフォローするように、可可ちゃんがかのんちゃんの両手を握る。 ぐいぐいと迫る可可ちゃんと、若干引きつつも満更でもなさそうなかのんちゃん…スマホの画面越しに見る2人の距離感に、だんだん喉が渇いてくる。 『クゥクゥ達は、代々木スクーールアイドルfestivalでデビューしますノデ、ぜひ応援してくだサイ!』 『お、応援してくださーい…』 肩を寄せて、幼馴染の私でさえ躊躇うような距離で…可可ちゃんとかのんちゃんの頬がくっつく。 喉はもうカラカラに渇ききっているのに、ジトッとした嫌な汗が全身から噴き出る。

7 21/08/02(月)21:40:12 No.830469033

『2人ともとっても仲良しデス!ね?かのんサン?』 『…ねぇ可可ちゃん、ホントにするの…?』 『しマス!…ほらこっち向いてくだサイ、かのんサン…』 かのんちゃんの両頬を可可ちゃんが手のひらで優しく包み込む。 ごく自然に目を細めた可可ちゃんにつられてか、かのんちゃんもなんだかとろんとした表情でまぶたを閉じる。 一方、スマホを構えたままの私は、背中に流れる一筋の冷たい汗を感じつつ、血の気が引いていた私の足は、激しいダンスを何時間も踊り終えたあとみたいにガクガクと震えている。

8 21/08/02(月)21:40:52 No.830469337

『かのんサン…可愛いデス…』 徐々に近づく2人の顔と顔。 待って…嘘…嘘でしょ…やめて…。 思った言葉は頭の中をグルグルと駆け巡り、でも決して口から出ては来ない。 ほんの少し、つんと突き出したかのんちゃんの唇に、可可ちゃんが迫る。 嫌…ダメ…嫌だよ…かのんちゃん……。 夕日の逆光でシルエットになった2人の距離がゼロになったのとほとんど同時に、私は膝から崩れ落ちていた。 2.5話「幼馴染」完

9 21/08/02(月)21:42:17 No.830469951

ラブライブの怪文書はじめて見た

10 21/08/02(月)21:42:49 No.830470196

途中で露骨に空気が変わってダメだった

11 21/08/02(月)21:43:35 No.830470539

見られてるのに営業所しちゃだめだよ!

12 21/08/02(月)21:44:34 No.830470984

ちーちゃん曇らせ隊

13 21/08/02(月)21:44:52 No.830471144

でも二人の時間も大切だから…

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