ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/07/30(金)22:50:12 No.829329951
イレブンフラッグスの幻晶騎士ナードナックは、改修済みのヴォラキーロであれば問題なく倒すことが可能だ。 問題はタクール砦を狙う機体の数と布陣だ。120機のナードナックが、投石機やヴォラキーロの魔導兵装の射程の外へと布陣している。 一方でタクール砦にはタクール砦駐留する50機の改修型ヴォラキーロ、一刃砦、三刃砦から逃げ出した20機のヴォラキーロ、ディンガー中隊のティラントー10機、計80機が配備されている。単純に正面からぶつかれば200機程度であれば殲滅可能だ。 砦の外には今は30機のヴォラキーロが、城壁に法撃準備をした30機のヴォラキーロが配備されている。 対するイレブンフラグッスは前方に盾と大槍を構えたナードナック60、後方に杖を構えたナードナック60の二列の戦陣は微塵も動く気配がない。
1 21/07/30(金)22:50:53 No.829330251
「イレブンフラッグスの雑魚どもがっ、我らがそれで臆すると思うたかっ!!! 一刃隊、剣構え!!! 我に続けぇえええええええっ!!!」 剣を正面に構えた一刃砦のヴォラキーロ達が、ナードナックの壁へと突撃する。前衛のナードナックが後衛を盾で隠しつつ、紅蓮の法撃を放つ。地表を焼きつつヴォラキーロへ向かう法撃は来るのが解っていたかのように横にかわし、小賢しくそれを狙う炎を剣で弾き飛ばし、宙で火炎の華が咲く。 ティラントーにはない俊敏さでナードナックへ接近するが、大型槍数本が密に壁を作っている。 「そんなもので止まるかぁああああああああああっ!」 力任せに剣で槍の切っ先を振り払い強引に進む。更なる法撃が迫るも、この距離であれば剣で防ぎ致命的な一撃は防げる。それさえ凌げば既にナードナックの喉元まで至っている。 「我らが必殺の剣、受けるがよいっ!!!!!!!!!」
2 21/07/30(金)22:51:09 No.829330364
ナードナック隊まで剣が届くか否かの距離で、ヴォラキーロの背面武装が炎の戦術級魔法を起動した。前衛のナードナック2体の腹へと命中し、装甲を大きく抉りつつ大きくのけぞらせる。そこを、迷わずたがわず、ヴォラキーロの剣が穿つ。次々と前線で近距離戦術級魔法が炸裂する。 「うぉおおおおおおおおおおおおおおおおおっ!!!!」 勝鬨を上げながら、さらなる戦果を求めてヴォラキーロは切りかかっていく。 それに対しイレブンフラッグスは盾による防御を主軸にしながら徐々に後退していく。
3 21/07/30(金)22:51:21 No.829330462
「超近距離からの戦術級魔法。やるね、やるねぇ! 杖による法撃は正確さに欠けたから確かにああやって近距離で撃つのも手段の一つだったけど、バカだよ、凄い、凄いっ!」 「興奮なさっているところ申し訳ないんスが、あちらさんはどうするッスか?」 イシルの中隊も遅れたが、砦の防衛へのため砦外部に布陣する。しかしその横には黄金の鬼面が立っている。先程まで交戦していたのに、飛行に用いた盾はやはり盾として用いるものらしく、縦に構えている。 「あー、いやまぁ、報告はしたし、いいんじゃない? この砦落とすつもりならもう落としてるし。それよりも、あいつら時間稼ぎに走ってる。ディンガー中隊前進っ! 法撃で一刃隊の撤退を支援しよう!」 「もう撤退させるんスか?」 「すぐに帰ってくるとは思うけど、念のためね?」 イシルは鬼面の方をちらりと見る。
4 21/07/30(金)22:51:33 No.829330564
「そちら様は、助けてくれるというお話でしたが?」 「手柄を全部持っていかれても困るだろう。戦場が温まったら俺も動く」 鼻で笑い、さも当然だろうとばかりに鬼面は吠える。傲岸不遜なのは内面もらしい。 イシルは第一、第二小隊に支援法撃を行わせる準備をしながら前進する。 前衛のナードナック達は後衛の法撃仕様のナードナックを守り切れなくなっていくが、まだ致命的なダメージを与えられていない。こうなるとヴォラキーロの魔力貯蓄量は改修型ゆえみるみるうちに減っていく。一度撤退し体制を立て直さなければいけない。 その頃になってやっとナードナック達の動きが変わる。右翼、左翼のナードナック達が一斉に押し寄せ、ヴォラキーロ達を包み込もうとする。動きが鈍り始めたヴォラキーロは、突き付けられる大槍を満足に捌くのも困難になり始める。
5 21/07/30(金)22:52:28 No.829330975
「左翼のダメージがやや大きいからあっちを攻撃して退路の確保を!」 包囲が完成する直前、ナードナックの左翼へとティラントーの法撃が突き刺さる。そのままイシル率いる切り込み部隊が左翼に突撃する。 「まだピッカピカのティラントーよ、傷の一つでもつけて見たくない?」 その重量がただ突っ込むだけで、盾を構えたナードナックを吹き飛ばし、重棍をふるえば、掠った腕を吹き飛ばす。ティラントーの機動性にいくら問題があろうと、第一、第二小隊の支援法撃が反撃の隙を与えない。左翼に瞬く間に大穴が開いた。 ティラントーの本懐である防御ごと吹き飛ばす突破力を見せつけ、ヴォラキーロの退路を確保したと思った所で、上方から耳慣れた音がする。
6 21/07/30(金)22:52:40 No.829331076
「こっちの手の内を見せてあげたんだ。次はそっちが見せる番だよ?」 イシルが一人ごちると、それに応えるように上空で銃装剣が大きく口を開いた。 上空から轟円の槍が放たれ、上空への防御などまるで行っていないナードナックを数体まとめて吹き飛ばす。鬼面の存在に気が付き杖を上空へ向けた機体がいるが、杖が腕ごと吹き飛ばされ、余波で地面が抉られる。 それはあまりにも一方的だった。ある機体が盾を構えれば、それを無視し隙のある機体を狙撃する。隊が密集し盾を構え全方位からの攻撃に備えれば、吹き飛ぶまで連続で法撃を放つ。地面を抉る法撃は後退を困難にする。戦線を突破さえせず、鬼面はイレブンフラッグスの軍をガタガタに崩していった。 その光景は、自分が鬼神に初めて会ったときに似ていた。鬼神はティラントーを一方的に蹂躙し、義父と親友と仲間を奪ったその光景に。 だが、あの時聞こえた音楽は、イシルを縛る音楽は、目の前の光景の中には無かった。
7 21/07/30(金)22:54:17 No.829331755
=== 「如何でしょう。我々の保有する戦力は? ご覧いただけましたか?」 茫然とするタクール砦の戦力の前に、鬼面は笑いながら告げる。 「では、商談に入らせら貰おう。我々はそちらに食料・私財を販売する準備がある。断る権利は勿論あるが、断った場合の命の保証はない」 盾の一角がスライドして開き、そこに詰まっていた紙を鬼神は放り投げた。イシルはティラントーでそれを拾い上げる。 「んにゅ!?」 それは穀物や私財の値段の一覧表で、取引を行う場所などが仔細に書かれている。 (いや、食糧は背後の穀倉地帯から届くし、物資も、いや、そもそもコイツは何を、え、そんなことだけのためじゃないでしょ?) さらに紙をばら撒きながら、鬼面は西の方角へと去っていった。 その日の夜。タクール砦背後にある大穀倉地帯が襲撃され、壊滅したという報告が届いた。
8 21/07/30(金)22:54:43 [s] No.829331940
めでたしめでたし
9 21/07/30(金)23:07:36 No.829337031
ハメられてるじゃないですか…
10 21/07/30(金)23:09:50 No.829337930
クリストバルが無理ならカタリーナがエレオノーラを落としていればあんなことには!
11 21/07/30(金)23:10:45 No.829338328
>ハメられてるじゃないですか… 小型魔獣がちょっとだけ出るからそこら辺かもしれないし
12 21/07/30(金)23:22:41 No.829343153
とりあえず明日で日刊連載は一旦終わりの予定です
13 21/07/30(金)23:24:44 No.829344022
お疲れ様です 楽しませて読ませていただいてます
14 21/07/30(金)23:27:04 No.829344969
>お疲れ様です >楽しませて読ませていただいてます ありがたい でも眼精疲労と以前に書いたストック使い果たしたのと他の用事でペースは落ちます
15 21/07/30(金)23:28:19 No.829345428
>日刊連載 なそ にん
16 21/07/30(金)23:46:01 No.829352163
一体何が貴様をそこまで駆り立てるのだ…