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21/07/26(月)01:48:53 「合同... のスレッド詳細

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画像ファイル名:1627231733757.png 21/07/26(月)01:48:53 No.827654343

「合同練習?」 「はい」 サクラバクシンオーのトレーナーに育成方針を乗って貰った次の日のこと。 トレーナー室にて、マーベラスサンデーのトレーナーは、早速、担当のウマ娘であるマーベラスサンデーに、提案して貰った合同練習の話を持ちかけた。 「他のウマ娘の子達とトレーニングできるの?」 「そうですね、その・・・マーベラスサンデーさんが、嫌でなければ・・・」 新人トレーナーの彼女からするとそれは願ってもない話だったが、合同練習をする当の本人、マーベラスサンデーの気持ちは測りかねていた。ひょっとしたら合同練習を嫌がるかもしれない。そう思い、一旦は話を留保させたトレーナーだったが

1 21/07/26(月)01:49:07 No.827654383

「マーベラース☆☆☆」 その話を切り出した途端、マーベラスサンデーはソファから立ち上がり、両手を広げ、喜びいっぱいの表情を全身で表した。 ぽかんと、その様子をトレーナーが見ていると 「いいよ☆すごくいい☆☆☆みんなでマーベラスな練習が出来るんだね☆☆☆絶対賛成☆☆☆いつからやるの☆?」 と問いかけてくるマーベラスサンデー。 「えっと・・・一週間後からを予定しています」 と応えるトレーナー。 全く合同練習を嫌がらなかったマーベラスサンデーの態度に安堵したトレーナーだった。 その反面、他のウマ娘と練習したい気持ちに溢れている彼女の様子を見て、彼女しか担当が持てていない事実に対して情けなくなる気持ちも僅かに抱えていたのだった。

2 21/07/26(月)01:49:27 No.827654449

6月上旬。 合同練習の約束をサクラバクシンオーのトレーナーと交し、あっというまに一週間が経過した。 そして合同練習の初日を迎えていた。 「はい、みんな聞いてね。今日からこちらのトレーナーさん、そしてマーベラスサンデーさんとしばらく一緒に練習して貰います」 サクラバクシンオーのトレーナーである、初老の女性トレーナーが、担当するウマ娘達にそう声を掛ける。 「よろしくおねがいします!!!!」 サクラバクシンオーと他のウマ娘達は一様に彼女たちに挨拶をした。 「今日から宜しくお願いします!」 すこし緊張した面持ちで背筋をはる新人トレーナーと 「よろしくお願いします☆」 いつものように天真爛漫な調子で頭を下げるマーベラスサンデー。 その様子を見て微笑むと、サクラバクシンオーのトレーナーから今日の練習の説明が始まった。 天気は雲一つ無い晴天。絶好の練習日和である。

3 21/07/26(月)01:49:51 No.827654523

他のウマ娘達が個々の練習に取り組み始める中、新人トレーナーとマーベラスサンデーは、サクラバクシンオーのトレーナーの話を聞いていた。 「まず、メイクデビューを勝つコツだけど、足りないところは最低限補いつつ、長所を伸ばすことだと思ってるの。これが私のやり方」 一通りその理念の説明を受けた後、 「ちょっと走ってみましょうか」 とサクラバクシンオーのトレーナーから、二人はそう切り出された。 「「はい!」」 元気よく返事をした後、 「マーベラスサンデーさん!」 「うん☆」 二人は視線を交しあう。 まずはマーベラスサンデーの特性とは何なのか。見極めのための練習が始まろうとしていた。

4 21/07/26(月)01:50:18 No.827654612

練習に熱心に励めば励むほど、時間の経過というのは速く感じるものらしい。 すっかり練習場の空の色は夕焼け色に変わっていた。 芝1600m・1800m・2000m。そして併せウマに、1800mの模擬レース。 一通り練習をこなし、それを見ていたサクラバクシンオーのトレーナーは 「なるほどね」 と、納得したように微笑んだ。 「マーベラスサンデーさん。脚質は先行でも差しでもいけそうな感じね。距離適性は・・・マイルより中距離の方が向いているかも。もしマイルを走らせたいならなるべく長めの・・・1800mのレースを選んだ方が賢明かしら」 ベテラントレーナーの言葉から語られるそれを、新人トレーナーの彼女は熱心に伺い、そしてメモを取って聞いている。 「ただ・・・」 一瞬、言葉が詰まり、苦笑するベテラントレーナー。 その雰囲気を感じ取り 「物見のクセ、ですか」 と、マーベラスサンデーのトレーナーは言葉をつないだ。

5 21/07/26(月)01:50:42 No.827654695

(何だ、わかってるじゃない) と、ベテラントレーナーは思い、目を優しく細めながら、深く頷いた。 「そう。結構しっかり見ちゃってるわね。だから現状、先行も差しもできそうっていい点があるんだけど・・・」 「はい」 よく他のウマ娘を見ることが出来るというのは利点でもある。回りの状況を把握し、適切なポジションやペース配分を取れる可能性があるからだ。だからこそ先行も差しも出来ると踏んだのであるが、問題は最後の展開である。ゴールを目指して加速すべき時に、他のウマ娘の動きに気が行きすぎてしまうのは、大きなリスクを孕むのだから。 しかし 「あとは、あなたたち次第よ。困ったら協力はするけど、お互いライバルなのだから、必要以上に教えたり、手助けしたりはしないわよ」 そうベテラントレーナーが告げたとおり、この物見のクセをどう克服するか・もしくはそれとどう付き合っていくかは、全て担当するトレーナーとマーベラスサンデー本人にかかっていることでもあった。 「い、いえ。ここまで教えていただいてありがとうございます!」 「そう」 深々と頭を下げる新人トレーナーに、ベテラントレーナーは短くも穏やかに返事を返した。

6 21/07/26(月)01:50:59 No.827654756

あとは自分達次第。そう言われたことを胸に刻み込んだ、新人トレーナー。 今日学んだことは、二人で一緒に向き合って、メイクデビューを目指そう。そう心に決め夕日を眺める。紅の空に宵の明星が輝き、カラスが空の向こうへ飛んでいく。 ほんのりと暖かい空気を感じながら、充実した一日だったと思っていると、心地よい疲れの波が彼女の身体に少し沸き立ってきていた。 そんな最中 「あと、ちょっといいかしら」 と、ベテラントレーナーに声を掛けられた。 「それと・・・今回の合同練習だけど、これから私にも協力して貰いたいことがあるんだけど、お願い出来るかしら」 何だろう、と首をかしげる彼女に、ベテラントレーナーから語られた『協力』の内容は、彼女に取ってかんり面食らうものだった。

7 21/07/26(月)01:51:22 No.827654852

6月中旬、ある日のこと。 「え、えーこれからトレーニングを初めて行きたいと思います」 目の前に並んだウマ娘達を見て、ひきつった顔つきで彼女は話す。 サクラバクシンオーをはじめとし、ベテラントレーナーの練習を受け持っているのは、マーベラスサンデーを教える新人トレーナーだった。 ベテラントレーナーから出た『協力』の内容。それは彼女のトレーナー代行という重要任務だった。 ベテラントレーナーが話すにはこうである。 「教え子に入院してる子がいてね。その子の看病に行きたいんだけど、トレーナーの仕事をほっぽり出す訳にもいかないからちょっと困っていたのよ」 そんな事情もあり、毎日ではないにしろ、時たまトレーナー代行をすることになった新人トレーナー。 勿論、練習内容は事前に決まっており、皆真面目なウマ娘ばかりのため、与えられた課題をただこなすだけであり、彼女の仕事に大きな負担はなかった。マーベラスサンデーも他のウマ娘に混じり、トレーニングに打ち込んでいた。

8 21/07/26(月)01:51:36 No.827654898

トレーニングも後半を迎え、併せウマの時間となった。 2人もしくは3人のウマ娘が、同時に走る練習である。まだレースに出ていないマーベラスサンデーにとって、非常に重要な練習だった。レースに出る前から、追い越す感覚や、食らいつく感覚を身につけられる。 それぞれのウマ娘がペアを組んでいく中、 「マーベラスサンデーさん!!!一緒に走りませんか!!??」 とマーベラスサンデーに声を掛けてきたのは、なんとサクラバクシンオーだった。 少しどよめきが起こるウマ娘の中で、 「いいよ☆委員長さん☆マーベラース☆☆☆」 それを全く意に介さないように、マーベラスサンデーは応えた。

9 21/07/26(月)01:51:53 No.827654957

そして併せウマが始まった。 今日のコースは芝1800m、右回り。トレーナーは各ハロンのタイムをストップウォッチで追いながら、必死にそれを記帳していく。この記帳こそが、後から自分達の調子を見返す貴重なマイルストーンとなるのだ。手を抜くわけにはいかないと、神経をとがらせる。 そんな事を行って行くうち、遂に、マーベラスサンデーとサクラバクシンオーの順番となり、併せウマが始まろうとしていた。 走る準備運動を行っているサクラバクシンオーに 「あ、あの。サクラバクシンオーさん」 と、トレーナーは話しかける。 「ややっ、何でしょう。トレーナー代行さん!!!」 トレーナー代行、という言葉に引っかかりを感じながらも 「あの・・・お願いがありまして・・・」 トレーナーは、マーベラスサンデーに聞こえないように、小声でサクラバクシンオーに語りかけるのだった。

10 21/07/26(月)01:52:19 No.827655036

「逃げ、ですか?」 「はい。あの子と走るときは、逃げて欲しいのです」 あの子。それは勿論マーベラスサンデーの事だった。そしてトレーナーが依頼した内容。それは非常に単純で容易な内容だった。逃げといえば、サクラバクシンオーの十八番の戦法である。 高らかに笑いながら 「分かりました!!!」 と応えるサクラバクシンオー。 だが 「しかしッ!!!」 とサクラバクシンオーは言葉を返す。 その言葉に一瞬身を縮めるトレーナー。 「私は普段、一緒に他の子達と走るときは、先行で!!!他の子の様子を見て走って欲しいと厳命されています!!!私が速すぎるので!!!」 最もなことだった。サクラバクシンオーが本気で逃げたら、誰も追いつけるものなど、この練習場にいるウマ娘にはいないだろう。

11 21/07/26(月)01:52:41 No.827655107

「すみません、一回だけで結構です。バ身差があんまり離れたら・・・流石にスピードを落としていただきたいですけど・・・」 うーん、と一瞬悩むような素振りをしたが、 「分かりました!!!」 と快活にサクラバクシンオーは返事をする。

12 21/07/26(月)01:53:01 No.827655173

そして併せウマが始まり、結果はといえば 「はー・・・はー・・・」 ターフで大の字に寝転がり、息を整えるマーベラスサンデー。彼女が全力で走っても、サクラバクシンオーとの差は全く縮まらなかった。サクラバクシンオーが所々、ペース配分をしてくれたので5バ身差で済んだものの、実際のレースであれば間違いなく大差だっただろう。 「大丈夫ですか?マーベラスサンデーさん?」 余裕綽々の息づかいで、マーベラスサンデーをのぞき込むように声を掛けるサクラバクシンオー。 「マ・・・」 「ま?」 マーベラスサンデーの瞳が輝いた。 がばっと身を起こすと 「マーベラース☆☆☆」 と元気いっぱいに叫び声を上げる。

13 21/07/26(月)01:53:21 No.827655264

「ちょわっ!!?」 とそれに驚くサクラバクシンオー。それに一切気にすることなく 「速いねー☆委員長すっごく速い☆もうビックリしちゃった☆☆☆」 と言い、マーベラスサンデーは笑顔を見せた。 「当然です!!!優等生ですから!!!」 サクラバクシンオーの高らかな声が響き渡る。

14 21/07/26(月)01:53:39 No.827655314

遠くからその様子をトレーナーは見ていた。 いくら他のウマ娘を見過ぎてしまう物見のクセがあったとしても、実力差がかけ離れていればどうしようもないだろう。そう考えてサクラバクシンオーに逃げを頼んだが、どうやら正解だったようだと胸を撫で下ろした。 むしろ、他のウマ娘を気にしすぎるのであれば、相手がとにかく速いほうが、彼女のスピード能力を鍛えるのにもいいかもしれない。問題はそれでメンタルが傷つかないか、という点だったが、マーベラスサンデーの様子を見る限り、特にへこんでる様子はなさそうだ、と安心感を覚えた彼女である。 「こういう事で・・・全力を出せるようになればいいんだけど・・・」 と、自分のウマ娘を心配そうに眺めるトレーナーの背中は、新緑の枝のようにしっかりと伸びたものだった。

15 21/07/26(月)01:54:23 No.827655477

7月中旬。 マーベラスサンデーとそのトレーナーが、合同練習を始めて1.5ヶ月が経過した。 最初は短い期間で終わるつもりで始まった合同練習だったが、ベテラントレーナーの側にも安心して担当ウマ娘のお見舞いができるというメリットもあり、すっかり二人は長居することになっていた。 そんなある日の午後。 ウマ娘達がまだ学業に励んでいる時間帯。 「入院していた子がね。ようやく退院できるようになったの」 ベテラントレーナーのトレーナー室にて、ベテラントレーナーは、新人トレーナーに笑顔でそう切り出した。 「おめでとうございます!結構長い入院でしたね」 「球節炎だったの。慎重に治療をしたくて、2ヶ月じっくり休んで貰ったわ」 球節炎。それは足の指の関節が炎症を起こす病である。足が命のウマ娘にとって、非常に辛い病であった。 様々な治療方法があるものの、一番重要なのは患部を固定し安静にすること。炎症が長引けば治療も困難を極め、競技生活を諦めなくてはならなくなるほど厄介な病であると、新人トレーナーも聞いたことがあった。

16 21/07/26(月)01:54:57 No.827655585

さらに新人トレーナーが聞いた所では、そのウマ娘は日本ダービーに挑む直前、トライアルレースの青葉賞に挑んだその後に、その病を発症したとのことだった。怪我の治療もさることながら、ウマ娘本人のメンタルケアも大変だっただろうな、と思いを寄せる彼女である。 「それでね、呼んであるの、彼女。これから一緒にトレーニングしていく仲になるから。お世話になった貴方に一番に合わせたくてね」 「そ、そんな・・・」 にこにこと笑うベテラントレーナーから語られた言葉を聞き、少し照れくさくなる新人トレーナー。 言われたことを言われたように代行しただけで、特に大きな協力をした覚えは彼女にはなかった。 しかし、それでベテラントレーナーの役に立てたのであれば、心が晴れやかになる彼女である。 彼女からしても、今回の合同練習で学ぶべき所はたくさんあった。練習の成果は顕著に表れ、マーベラスサンデーもめきめきと実力をつけている。ただ感謝されるだけでなく、このような機会を貰えたこと自体、新人トレーナーもベテラントレーナーに感謝の念を覚えていた。

17 21/07/26(月)01:55:15 No.827655637

そんな最中、トレーナー室をノックする音がした。 「入りなさい」 とベテラントレーナーが声を掛けると 「失礼します」 という声と同時に、一人のウマ娘が姿を現した。 栃栗毛の長い髪をした、足が長くすらっとした身体。肌は白く、瞳の色は宝石のアクアマリンのような明るい水色。そして瞳にはサクラバクシンオー同様、桜の花びらが踊っている。 まるで外国からきた人形のような彼女は、礼儀正しく新人トレーナーに頭を下げた。 そして 「はじめまして、スリゼローレルです」 と、自己紹介をしたのだった。 こんな話を私は読みたい 文章の距離適性があっていないのでこれにて失礼する

18 21/07/26(月)01:56:15 No.827655830

おい待てェ 完全に適性距離だそのまま走り切れェ

19 21/07/26(月)01:58:34 No.827656310

fu192941.txt これまでのやつ

20 21/07/26(月)01:59:16 No.827656442

このまま適正距離を保っていけ

21 21/07/26(月)03:43:33 No.827668654

>文章の距離適性があっていないのでこれにて失礼する うんうん☆続きはまだかな☆

22 21/07/26(月)04:52:50 No.827672704

マーベラース☆

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