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21/07/21(水)00:41:36 季節は... のスレッド詳細

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21/07/21(水)00:41:36 No.825668811

季節は夏、七夕の日。 織姫と彦星が逢える唯一の日。 世間では天の川がどうとか、祭りがどうだとかでざわめきだっている。 それはここ、トレセン学園でも同じだった。 在籍しているウマ娘や、さらにはトレーナーや理事長まで出店を構えている。 祭り囃子にノせられて、洒落た浴衣を着込んだ生徒たちの声が響く。 屋台の料理を堪能するやつ、射的やヨーヨーすくいに一喜一憂するやつ、誰もが七夕という日を楽しんでいる。 ここはそんな喧騒から離れた三女神像の前。 物言わぬ女神たちがどこか寂しそうに見えるのはきっと気のせいだ。 「お前は祭り行かねぇのか?」 「シャカールと行きたいの。今日は花火もあるんだって、楽しみね!」

1 21/07/21(水)00:42:24 No.825669061

他のヤツをあたれ、なんて言ったところで聞かないのはわかってる。 お嬢様のわりに頑固。いっつもこの調子だ。 短いため息をついてラムネを一つ口に放る。 「浴衣を着てみたんだけど、どう?似合ってる?」 「ん、あぁ」 「シャカールの浴衣姿も見てみたかったな~」 「いいンだよ、オレは。浴衣なんて動きにくいしな」 実際、白を基調にした浴衣はファインによく似合っていた。 でも似合ってるなんて口にはしない。オレまで浮かれちまいそうになる。 ファインはオレの隣に腰かけると、短冊とペンを取り出して渡してきた。 「書かねぇぞ」

2 21/07/21(水)00:43:13 No.825669265

ロジカルじゃねェ。 ペンと短冊をわきに置く。オレは占いやまじないの類いは信じちゃいない。 「私ね、七夕ってあんまり好きじゃないの。だって好きな人同士が一年に一度しか逢えないなんて悲しいし」 「べつに一生逢えない訳じゃねェだろ」 「……シャカールはそれでもいいの?」 「なにが」 「私はね、好きな人とはいつも一緒にいたいなぁ。シャカールは……?」 「……さァな」 顔を覗き込んでくるファインから思わず目をそらした。 その若苗色の悠然とした瞳に、オレの中のものが見透かされちまいそうで。

3 21/07/21(水)00:43:54 No.825669454

普段お喋りなファインが黙りこくって珍しくオレたちの会話が途切れる。 三女神の視線がやけに気になっちまう。見せモンじゃねぇぞ。 「……お前、なんて書いたんだ?」 「気になるの?」 「べつに」 「ふふっ、シャカールといつまでも一緒にいられますようにってお願いしたんだ」 臆面もなくなんてこと言いやがる。急に暑くなってきた。 そうかよ、一言返してオレはペンと短冊を手に取り、ファインに見られないようにさっさと書き殴った。 ペンを返してベンチを立つ。 「行くぞ。短冊、飾るんだろ」 「うん!」

4 21/07/21(水)00:44:52 No.825669747

ファインの顔はまだ見れなかった。 いま自分がどんな顔してるのか、なんとなくわかる。みっともねェ顔は晒したくない。 細くて小さい手を引いて三女神たちに別れを告げる。 「なんてお願いしたの?」 「教えねェ」 前までのオレは織姫と彦星の伝説なんて一切興味もなかった。 でも、今のオレなら少し同情してやれる。 いつかオレたちも離ればなれになる日が来るかもしれない?いや、そんな日はまず来やしない。 オレもこいつもお互いに離れる気はこれっぽっちもないみたいだ。 ……後悔したって遅いからな、お姫様よ。

5 <a href="mailto:s">21/07/21(水)00:45:31</a> [s] No.825669921

シャカファイたくさん増えてほしい

6 21/07/21(水)00:48:50 No.825670924

ヒョエ~~!!ヒョッ

7 21/07/21(水)00:49:25 No.825671095

ああああああああああああ

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