21/07/20(火)02:22:40 「あれ... のスレッド詳細
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画像ファイル名:1626715360021.jpg 21/07/20(火)02:22:40 No.825353304
「あれ?」 「おお、偶然だな久しぶり」 鹿毛のウェーブロングの落ち着いた印象を受けるウマ娘の女性を見て お兄ちゃんの声のトーンが変わったのを見て思わず顔を見上げる その顔は嬉しそうでキュッ…と胸がざわめいたけど 表には出さない様に我慢して改めて目の前の女の人の方を見た 「何だ、トレーナー稼業忙しいって聞いてたけど意外と元気そうじゃない あ、こっちが噂のカレンチャン?どうもこんにちは!はじめまして」 年頃からすれば恐らくお兄ちゃんと同世代の大人の人なのだが くしゃっと朗らかに笑うその人懐っこそうな笑みは…カワイイ 年上にこんな印象を受けるのは滅多に無いのだが、少なくとも敵意は感じない 「うん、初めましてお姉さん。ねえお兄ちゃん、こちらの人は?」 「ん?ああ、友達だよ友達」 「ふーん長年来の親友の紹介にしては随分と淡泊じゃなーい?」 「うっせ。…式、出れそうになくてごめんな?」
1 21/07/20(火)02:22:51 No.825353339
「いやいいのいいの。あいつ、アンタの事になると相変わらず冷静でいられないみたいでさあ 式の日取りだって後から知ったけどこの子のレースの日に重ねたみたいなのよ」 「ま、しょうがないだろ。どっちにちろ予定は合わなかったと思うし …なんにせよおめでとう。幸せにな」 「うん…」 「…で?」 「で?って何?」 「誤魔化さなくていいの。お兄ちゃん、あの人はただのお友達じゃないでしょ」 軽く3人で雑談して別れた後、学園への帰り道で隣を歩くお兄ちゃんへと声をかける 河川敷を歩くその目線は道の先を見たまま、こちらを見てはくれない 「あー…うん。付き合ってたんだよ。大学までさ」 「やっぱり…」 聞かなければ良かったな、と一瞬後悔したけど聞かないままモヤモヤしたくはなかった けどまさか、そんなに長い付き合いだとは…
2 21/07/20(火)02:23:38 No.825353465
「彼女とな、もう一人…幼馴染の奴がいて昔から3人つるんでてさ 高校の時告白されてそれから付き合いだしたんだ」 「あーあカレン騙されちゃった。バレンタインの時すっごく喜んでくれたから てっきりそういう経験無いのかなって思ってたし」 「ん?いや、あいつに貰うのは毎年の恒例行事だったからなあ 親から貰うようなもんで特別感は無かったというか…」 …藪蛇。 「まあ、俺がトレーナーになる事で少し揉めてこっちから別れ話を切り出したんだ それから彼女はもう一人の幼馴染と付き合いだして、もうすぐ結婚する」
3 21/07/20(火)02:23:48 No.825353493
「ね、お兄ちゃん」 「…ん?」 これもきっと藪蛇。聞かなくてもいい事だし、余計な詮索だ 「あの人の事、今でも好きなの?」 「ああ。そうだな…好きだよ。幸せになって欲しいと思ってる だから結婚するのがあいつとで良かったよ。彼女の事で…喧嘩はしてるけどいい奴でさ 俺は結局、泣かしてばっかりだっただから。あー…祝電どうするかな」
4 21/07/20(火)02:24:17 No.825353568
そんな事をぼやくお兄ちゃんの顔は少しだけ困っていて それがなんだかもどかしくて頭が少しずつ、かき混ぜられていく お姉さんと会った時から攪拌され続けていた思考はもうわやくちゃ いつものカワイイ方程式が定まらない。こういう時、何て言うのが正解なんだろう 「ねえ、お兄ちゃん…悲しくないの?」 「悲しいよ。でも嬉しくもある。だから多分…俺の中でも結構複雑でさ カレンが考えてくれてるように大人ぶって我慢をしてる訳じゃないんだよ 整理がつかなくて、むしろ顔にでない。そういう事もあるんだ、きっと」
5 21/07/20(火)02:24:30 No.825353602
いや、やっぱりお兄ちゃんは大人だ ちゃんとカレンの事も考えてくれてる でもカレンはそうじゃないから 「お兄ちゃん、カレンちょっとカワイく無い事言うね」 「え?」 「今、カレンあの人に嫉妬してるの」 「……」 お兄ちゃんがやっと、こっちを見てくれた
6 21/07/20(火)02:24:41 No.825353643
「お兄ちゃんが彼女に会ってからこっち、ころころ顔色が変わるのを見てて こういう顔カレン以外にもするんだな、っていうのが凄く悔しいの それはそうだよね。再会するまでの間にだってお兄ちゃんの人生があって カレンの知ってるお兄ちゃんより断然あの人の方が長く過ごしてるんだもん 二人の時間なんて、ほんのまだ3年未満」 自分で言っていて、勝手に追い詰められていく まるで差しや追込バに詰められて来た時みたいなイヤな感じが胸を締める 「でも、でもね、それでもカレン、お兄ちゃんの事は分かった気になってた ごめんね?何かこう上手く言えないんだけど、聞いて欲しくって」 「うん」 もしかしたら彼女の会った事でお兄ちゃんは今傷ついているのかもしれない そんな時にこんな話をしているのはカレンの完全なワガママだ でも 「負けたくないの…」 「ありがとう、カレン」
7 21/07/20(火)02:25:11 No.825353720
いつの間にかぐしぐしと零れていた涙でぐちゃぐちゃになった頭を わしわしとお兄ちゃんが手で撫でて慰めてくれる 困ったようにしながらもやっと笑ってくれたのを見て汚い顔で笑ってみせた カワイくない。可愛く無くていいや、今は そして再び歩き出した所でつい、我慢できずにお兄ちゃんの手を握る 「まあ、カレンとは確かにまだそんなに長い時間過ごしてる訳じゃないけどさ」 「うん。3年なんてあっという間だね」 「これからも付き合いが長く続くなら、そこで俺の事、もっと知ってくれればいいよ 多分これからもどうせカレンはずっとカワイイだろうけど もっと沢山色んな所を見せてくれたら嬉しいし」 「それは…」 それ以上はカレンは聞かなかった 言ってしまったら今度こそ何も我慢できなくなるような気がして …だから今は手を繋ぐだけでもいいや
8 <a href="mailto:オワリ">21/07/20(火)02:26:17</a> [オワリ] No.825353893
「じゃ、これからもカレンの事ちゃんと見ててね」 「言われるまでもないさ」 こうして握り返された手ですっかり箍が外れて がっつり外泊許可取った後生まれたのがカレンモエ。貴方よ
9 21/07/20(火)02:27:58 No.825354156
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10 21/07/20(火)02:28:42 No.825354291
こんな惚気聞かされるモエちゃん...