ここでは虹裏imgのかなり古い過去ログを閲覧することができます。
21/07/17(土)11:38:50 No.824325311
「ラブホテルという所へ行ってみたいんです!」
1 21/07/17(土)11:39:16 [1/7] No.824325425
トレーニングが終わり、明日の予定を伝えいざ解散というタイミングで飛び出した我が担当の爆弾発言。噴き出した珈琲によりダメになったデスクを片付け終わったのは先刻の話であり、今は目的の場所へ向けて車を走らせている。 なんでも、同級生の話を小耳に挟んで以降気になってしょうがなかったらしい。 目を爛々と輝かせ、今にも飛び出してしまいそうな助手席のダイヤを横目に見ながらこれも社会勉強の一環だと自身に言い聞かせる。 放っておけば一人でも行きかねない勢いだった為、付き添って案内をした方がマシだと判断をして現在に至る訳である。 そうしてしばらく夜道を走ると、目的の建物が見えてきた。念の為、周りに見知った人がいないかを確認し、場内に進入する。知りたがりお嬢様はというと、しきりに辺りをきょろきょろと見渡し何かを探してる様子だった。 「何か気になる事でもあるのか?」 「あっ、えっと……こういった場所には入り口に暖簾があると聞いていたものですから……」 言われて思い当たる、確かにそういう場所もあった。 「ああ……昔はよくあったみたいだけれど、今は無いみたいだね」 「そうですか……」
2 21/07/17(土)11:39:37 [2/7] No.824325501
なぜか残念がるダイヤを伴い、フロントへ向かう。ここは非対面式のようだった。空き部屋を示す光るボタンのうち、なるべく高い方を選択する。別に何かをするつもりはないけれど、良家のお嬢様を連れて行くのに安い部屋はやや気が引けた。 給料日までの食事代と別れを告げ、エレベーターで最上階へと登る。部屋に行くまでの間、頬を紅潮させて右斜め後ろをついて来るダイヤは先程までと打って変わってやや緊張した面持ちで控えめに辺りを伺っているようだった。 そうして、目的の部屋へと辿り着く。そこからはドトウの質問タイムとなった。 「このベッドはどうして丸いんですか?」 「わっ大きなテレビ……点けてみても?ダメ?そうですか……」 「冷蔵庫もあるんですね!中身は……お酒ですか、残念です……」 くるくると表情を変え、矢継ぎ早に知識欲を満たしていく。内容はどうかと思ったけれど、楽しめているようで何よりだった。 「これは……お兄さん、ちょっとこちらへ来てくださいー」 いつの間にか隣の部屋へと進出していた好奇心王に呼ばれ、隣室へと向かう。そこは様々な衣装が置かれた貸衣装部屋だった。
3 21/07/17(土)11:39:55 [3/7] No.824325574
「学校の制服にお給仕さんの服……看護師さんの制服もあるんですね、これは何に使うんでしょう……?」 「それは……まぁ……男のロマンと言いますか……」 ろまんですか?とキョトンとした顔でこちらを見上げるダイヤ。どう説明したものか……と言葉を選んでいると、別の何かに興味を惹かれたらしいダイヤはパタパタと部屋の奥へと駆けていった。 「これは……勝負服?見たことのあるデザインが沢山……あっ」 その中の一つ、鮮やかな緑色と金の刺繍……フリルを豪奢に使用したデザインの勝負服を手に取る。それは手がすっぽり隠れてしまう程、大きな袖が付いた特徴的なデザインをしていた。 「これは……私の勝負服と一緒……?」 「え!?あ、ああ……本当だ、よく似ているね……」 しどろもどろになりながら、どう誤魔化すか頭をフル回転させる。嫌な汗が背筋を伝う感触がする。 彼女達にとって勝負服はレースに挑む為の神聖なモノ。それがこのような場所にあって、用途がアレ目的となればいい思いはしないだろう。 弁明しようと口を開こうとしたその時、ダイヤが此方を振り返った。
4 21/07/17(土)11:40:19 [4/7] No.824325671
「お兄さんも、こういったものに浪漫を感じますか?」 勝負服を胸に当て、袖に手を添わせて鏡の前に立つようなポーズで小首を傾げそう問いかけて来る。 その瞳はとてもきれいに澄んではいるけれど、その奥に隠れた真意は読み取れそうになかった。 ウマ娘を指導する立場にあるトレーナーが、勝負服に劣情を抱いてる等と思われてしまっては不味い。声が震えたりしないよう努めながら、静かに首を横に振る。 「いや……勝負服は大切な物だからね、こういう場で着て欲しいとは思わないよ」 「そう……ですか?」 いけない、目が少し泳いでしまった。誤魔化すためにわざとらしく咳払いをする。少し頬を膨らませたダイヤが「私……構…ません……ど…」と言った気がしたが、小声だったのでよく聞き取れなかった。 一先ずは満足したのか、最後に残った部屋へ移動するダイヤ。そこはシャワールームで、あまり説明したくない形状をした椅子や、何に使うのか聞かれたらこれまた窮地に立たされそうなマットレスがある以外は普通のシャワールームといった感じであった。ある一点を除いては。
5 21/07/17(土)11:40:40 [5/7] No.824325765
「ここはシャワールームですか?でもこの壁……」 「ああ……ガラス張り……だねぇ……」 シャワールームと部屋を隔てる壁はガラスで出来ており、向こう側がよく見通せた。申し訳程度に体の高さに当たる部分は磨りガラス状になっているが、これはなんの配慮なのだろうか。 「あの……お兄さん、実は少し汗をかいてしまって。シャワーで流してもいいですか?」 再び飛び出す爆弾発言に今度は心臓が飛び出そうになる。今飲み物を口に含んでいたらまたデスクの惨劇が繰り返されるところであっただろう。 「いや!?い…今じゃなくてもいいんじゃないか!?」 「少しはしゃぎ好きでしまったみたいで……その……ニオイとかしてしまわないか気になるんです。お願いします……!」 そこまで言われては無下にすることも出来ない。年頃の女の子は悩みが多い……下手に突っぱねても傷付けてしまうかも。そう思い、なら自分はあっちを向いてるからと伝えシャワールームから視線を外す。 ありがとうございますとお礼を言い、早速服に手を掛けたらしいダイヤの、衣擦れの音だけがやけに耳に突き刺さった。
6 21/07/17(土)11:41:00 [6/7] No.824325841
背中から聞こえて来る水音へ意識をやらないよう、無心で壁の一点を見つめる。今の若い娘って羞恥心が希薄だったりするのだろうか……? などと年寄りのような感想を抱いていると、コンコン、とガラスをノックする音が聞こえた。 何かトラブルだろうか?意を決して薄目で振り返る。そこには、上手に手で胸を覆い隠して、にっこりとしながら手を振るダイヤが居た。 守護られるべき秘所はしっかりと磨りガラスにカバーされている。ありがとう磨りガラス…… 「お兄さーんっ!なんだか面白いですねっ」 「た、楽しめてるならよかったよ……」 この娘無敵か? 嘆息し、視線を再び外そうとすると、ダイヤが湯気で曇ったガラスに指を這わせてるのが視界に入った。 キュッキュッと音を鳴らし、細い指でなぞったそのマークはハート型。描き終えると、とろんとした笑顔で再び手をひらひらさせてきた。頬どころか耳まで朱に染まっている顔を見て、こちらも頬が染まる感覚があった。鏡で見たら多分同じように顔真っ赤になっているであろう。 うっかり見惚れてしまいそうになり、慌てて視線を外す。何か不満げな気配が背中の方からするのはきっと気のせいだろう。
7 21/07/17(土)11:41:17 [7/7] No.824325912
「お待たせしました、お兄さん」 長い髪にタオルを充てて水気を吸い取りながら、バスローブを見に纏ったダイヤが戻ってきた。これでこの部屋のものは一通り確認を終えたことになる。 彼女の知りたがり壁には驚かされる事も多いけれど、なんとか今日も乗り切ったな……そう感慨に耽っていると、えいっ!と可愛らしい声がして、腰掛けていたベッドの淵からベッド上へと転がされた。えっ…? 自身の身体の上に覆い被さるようにダイヤが跨る。バスローブが擦れるシュル…という音がやけに耳に響いた。 「まだ……教えて貰ってませんよ?この場所でする行為について……♡」 えっ……?
8 21/07/17(土)11:41:54 No.824326081
おわり ダイヤちゃんの知りたがり癖ってあんまり取り上げられないよね
9 21/07/17(土)11:42:24 No.824326207
>7/7 もしもし? 8/7になりません?
10 21/07/17(土)11:42:27 No.824326219
ねぇこれ多分分かって……
11 21/07/17(土)11:42:30 No.824326233
まだ終わってないじゃないか…